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法の不備の一つですね・・・

2017年10月12日 | 雑談
高速進路妨害で夫婦死亡 容疑者「むかついて車止めた」

非常に痛ましい事故だと思います。

こういう事故が起きた時に
「この容疑者から相談が来てもお前の所は相談受けるのか!」みたいな怒りのメールが届くことがあるんですが、
まず最初の問い合わせの段階ではどこの誰かは分からないわけですから、まず話は聞きます。

そのなかで事故の内容などを聞いて「その相談は受けられない」という回答になることは少なくありません。
また最初の無料相談というのは軽減措置が受けられるかというのがテーマですので、この容疑者のような場合でしたら
「その状況で軽減措置の可能性は無いでしょう」という回答になりますので、通常それでも相談したいと言う人はいません。
したがって実質的にこういった犯人からの相談を受ける可能性は非常に低いと思います。

さて、
今回の報道で『過失運転致死傷』で逮捕されていることに違和感を感じている人も多いようで
なぜもっと重い『危険運転致死傷』での逮捕ではなかったのかという論点ですが、
おそらく理由としては事故を起こしたのはあくまでも後続のトラックであってこの容疑者ではないからというのが理由だと思います。

ただ個人的な感想としては法律職としては不適切ですが、
本来駐停車禁止の場所に無理矢理停めさせたのであれば、未必の故意(みひつのこい⇒○○すれば△△になるだろうと分かっていてすること)として殺人事件にしてもいいと思います。
ちなみにその場合は交通の違反点数としては一つの違反では最高点の運転殺人で62点になります。

しかしこういった頭のおかしい容疑者なら
おそらく事故当時何をやったからどうなるということは全く考えてなかったと思います。
殺意が論点になったのなら弁護士は『そこまで深く考えていなかった』という流れで殺意は否認するはずですし『事故を起こしたのはあくまでもトラック』という論調で被告の責任を低く主張すると思います。

そして今回の事故でもう一人の被害者は直接事故を起こしてしまったトラックのドライバーです。
高速道路上であれば本来停止車両はいないはずですので、極論すれば注意義務さえ無いはずです。
しかしながら事故を起こしたという結果に対して安全運転義務違反(2点)が発生しますし、責任の小さい死亡事故ですので13点、合わせると免許取消の基準に達してしまいます。

ただしこれも多少の例外があって、予想することができない事故の場合点数自体が付かない事もあります。
ざっと僕の事務所での点数が付いた事例と付かなかった事例を並べてみると
〇飛び降り自殺の落下点を通行⇒点数無し
〇信号無視の歩行者⇒点数無し
〇信号無視の歩行者その2⇒点数有りで最初から免許停止の出頭通知
〇信号無視の歩行者その3⇒点数有りで免許停止に軽減
〇対向車線の車にはねられた被害者が吹っ飛んできて衝突⇒点数有りから免許停止に軽減
〇信号無視の自転車⇒点数有りから免許停止に軽減

この辺はある意味正しい結果になった事例です。
しかし
●深夜に崖から転げ落ちてきた被害者がトラックの側面に当たって死亡⇒免許取消
●歩道を泥酔状態で自転車を運転、勝手に転倒してガードレールを越えて車道に転がり、トレーラーの一番後ろのタイヤに踏まれて死亡、運転者はゴールド免許を何度も更新する超優良運転者、意見の聴取には弁護団が同席⇒免許取消
こういった事例はどういうものかというと『死亡事故で絶対に軽減措置が無い』という条件に引っかかってしまった事例です。
最も大きいのは都道府県の住所地によって正しくない進め方をしてしまった場合、あるいはその住所地は初めから死亡事故の軽減措置が無い場合などです。

そして今回のような高速道路の事故の場合
高速道路で寝ていた人や歩行者(横断者など)を轢いて点数有りで免許停止に軽減というのはよくあります、
それ以外にもいくつか似たような事例はありますが、点数無しというのは非常に少ないです。

理由としては高速道路で見通しが良いなら
駐停車が禁止とはいえ故障で停車している可能性もあるのだから、停止の理由が何であれ車両側にも気付くべき注意義務はあるという論点です。
ちなみに当たったのが車ではなく歩行者の場合は歩行者の方が小さいので見えにくい、あるいは車がいる可能性よりも歩行者がいる可能性の方が低いと評価される可能性もあります。

個別の事情と言ってしまえばそれまでなんですが
事故が6月ですのでもしかしたらこのトラックドライバーの方には既に点数が付いているかもしれません。

もちろん点数無しで終了しているかもしれません。

容疑者に厳罰を与えて欲しいのはもちろんですが、
トラックドライバーに対しても適切な処分執行がされて欲しいものです。

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