“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

保守はなぜこれほど無能なのか

2016年05月06日 17時00分55秒 | 臼蔵の呟き

「 金持ちでつくられた政権は国家経済や庶民経済に対し平民政権よりもはるかに関心が低い。資本主義と民主主義の歴史であらわれた「金持ち政治の逆説」だ。民主政権が平民的(国民的)であるほど国家経済と国民経済をさらに発展させた理由だ。」 

 この解説は、隣国韓国の総選挙結果を分析するものです。しかし、アメリカ、イギリス、日本、フランス、ドイツなど先進工業国でおきている政治支配の矛盾と問題点を正確に言い当てているように思います。日本は、自民党議員の世襲、政治資金問題、政権党と大手企業などの癒着も顕著になっています。法人税率の引き下げとセットの消費税率の引き上げ、大手企業に対する研究開発費援助、富裕層への所得税率引き下げなどはまさに、政治における「金持ち政治」の実態そのものです。

[中央日報]韓国の保守はなぜこれほど無能なのか

  韓国には1つの神話が存在する。「保守は有能で、進歩は無能だ」という神話だ。本当に韓国の保守は有能で、進歩は無能なのだろうか。国家運営能力を判別する核心基準は安保と経済だ。経済に限って民主化以降の保守と進歩政権の成果を客観的に比較しよう。 

  そうすると無能なのは進歩ではなく保守だ。無能といっても相当な無能だ。個別の政権を比較しようが保守政権の2つ〔金泳三(キム・ヨンサム)・李明博(イ・ミョンバク)〕と進歩政権の2つ〔金大中(キム・デジュン)・盧武鉉(ノ・ムヒョン)〕の平均を比較しようが、保守が上回った指標はない。進歩が有利な民生・福祉・平等指標ではなく、保守が注力する成長・輸出・外国為替・株価部門でさえ進歩政権のほうがはるかに有能だ。通貨危機も保守政権の時だった。保守が執権する時は世界経済の環境が悪かったのだと答えるならば、その問題は別に議論しなければならない。 

  まず保守の金科玉条である経済成長率は保守政権の平均5.15%に対し進歩政権は6.01%だ(以下、金泳三・金大中政権両方の責任と帰結されうる1998年の指標は除外。外国為替統計は98年を含む)。輸出増加率は保守10.88%vs進歩12.06%だ。外国為替保有の増加額は保守582億ドルvs進歩2420億ドルだ。外国為替保有の増加率は保守19.76%vs進歩314.81%だ。株価上昇率は保守マイナス3.94%vs進歩37.84%だ。 

  国民の生活にとって最も重要な1人あたりの国民総所得(GNI)の増加率は保守5.25%vs進歩12.65%だ。進歩が2倍を超える。就業者の増加率は保守1.6%vs進歩1.9%だ。最低賃金の引上げ率は保守7.15%vs進歩9.92%だ。消費者物価の上昇率は保守4.16%vs進歩2.71%だ。すべての指標が進歩の優位もしくは圧倒的優位だ。公的支出・公平・貧困・福祉・民生指数ももちろんだ。「保守有能-進歩無能」神話は完全に虚構である。 

  それならば重大な質問が残る。韓国の保守はなぜこれほど無能なのか。またこれほど無能な業績なのにどうして執権し続け、第1党を維持してきたのだろうか。 

  最初は反共主義と安保商業主義のためだ。民主・進歩・改革勢力を左傾・容共・従北・左派という烙印を押した虚偽の理念攻勢だけが成功できるならば、それによる理念の動員と支持結集のおかげで保守はあえて能力を証明する必要はなかった。実際に保守政権は執権時に経済公約を達成したことがなかった。無能を理念で隠したのだ。

2つ目、制度要因と地域要因のためだ。87年以降、総選挙で圧倒的な制度の歪曲とアンバランスのために嶺南(ヨンナム)基盤の保守政党は大統領弾劾時を除き継続して第1党だった。得票率と議席比率は違憲であるほど歪曲が大きい。大統領選挙でも嶺南出身の保守候補は100%勝利した〔敗北は忠清(チュンチョン)出身候補が唯一〕。 

  しかし保守の牙城である大邱(テグ)の1人あたりの地域総生産(GRDP)は盧泰愚から李明博まで全政権で全国最低だった。5つの政権でそれぞれ466万ウォン、808万ウォン、1034万ウォン、1387万ウォン、1742万ウォンで常に全国最下位だ。衝撃的だ。にもかかわらず大邱は自分たちをずっと貧しくさせる政権と政党に票を集中して投じてきた。制度の歪曲と地域主義は保守無能の基底要素だった。 

  3つ目、世代別の投票率の顕著な格差だ。総選挙と大統領選挙で20代・30代と50代・60代以上の投票率はあまりにも大きい格差を露呈した。2012年の総選挙と大統領選挙で30代以下と50代以上の投票者数の差は何と361万7000人と264万2000人だった。この格差は選挙結果を分けた決定的な要因だった。若者たちの投票不参加によって人生を10~20年残している世代の意志が、人生を60~70年残している世代の未来を決めてきたのだ。高齢世代の高い投票参加は、賞賛を受けるべきものだ。問題はあまりにも低い若者世代の投票率だった。 

  4つ目、保守政権と政党の主要人物があまりにも良い暮らしをしているためだ。彼らと進歩改革政権・政党の主要人物および一般国民の平均資産の差がものすごく大きい。今日、米国議会(534人中268人)と英国内閣(29人中23人)の半分以上が百万長者で構成されて国民の生活と不平等が悪化しているという調査結果は鋭い。ノーベル経済学賞を受賞したジョセフ・スティグルリッツ氏は最初から「政治が経済ゲームの規則を決め、競技場は上位1%にとって有利に傾いている」と批判する。 

  金持ちでつくられた政権は国家経済や庶民経済に対し平民政権よりもはるかに関心が低い。資本主義と民主主義の歴史であらわれた「金持ち政治の逆説」だ。民主政権が平民的であるほど国家経済と国民経済をさらに発展させた理由だ。 

  第20代総選挙は従北・左派理念攻勢の作動不能、若者世代の若干の投票増加、一部地域の地域主義の崩壊程度でも保守の無能が報復を受けた。無能な韓国の保守を有能にさせる方法を探してみよう。まずは「韓国保守=無能」の命題に対する深層討論を展開しよう。 

  パク・ミョンニム延世(ヨンセ)大学教授(政治学)


貧困の実態に目を注ごう こどもの日に

2016年05月06日 14時35分16秒 | 臼蔵の呟き

貧富の格差が拡大しあらゆる問題を引き起こしています。新自由主義の名のもとに、アメリカ、イギリス、オーストラリア、日本などで急激に貧富の格差が拡大しました。先進工業国による資源国からの収奪、経済格差問題、中東周辺国での紛争とテロ事件発生、子供たちの貧困による教育機会の喪失なども先進国共通の問題として広がっています。

貧困と格差が次世代に継承されないようにすることが、政治が果たすべき役割であるにもかかわらず、その子供の教育が危機に瀕している。新自由主義政治経済の醜さと愚かさには驚きます。その政治的代理人であるこれらの国家の政治指導者層への民主的な規制と法制度における規制を再確立しなければなりません。

同時に、政治的な整備、改善ができるまでの補完措置としての市民社会が貧困と格差をこれ以上放置せずに、補うための共同した支援活動も必要になっています。

<信濃毎日社説>貧困の実態に目を注ごう こどもの日に

 おもちゃで遊ぶ幼児がいる。近くでは大人を相手に将棋を楽しむ中学生。おにぎりを食べている子もいた。とてもにぎやかだ。隣の部屋に入ると、数人の子どもたちが熱心に宿題に取り組んでいる。横には大人が座り、質問に答えていた。長野市街地にある介護施設の一角で、毎月3回開いている「きずな塾」の光景だ。

 「ここはご飯も食べられて、勉強も教えてもらえる。塾に行きたいけれど、お金のことで親に心配かけたくないし…」

 学校の宿題を終えた中学生の男の子はこう話した。

   <深刻化する格差問題>

 きずな塾は地元の有志や医療生協関係者、弁護士らでつくる「反貧困ネット長野」が2012年に始めた。経済的な問題を抱えた家庭の子どもらのための無料学習支援活動だ。

 幼児から高校生まで毎回十数人が訪れる。元教師や社会人、大学生ら登録ボランティアが子どもらの希望に沿って、マンツーマンで勉強の手伝いをしたり、話し相手になったりしている。経済的な理由だけでなく、居心地がいいからと来る子も多い。

 塾の開設時から関わる元小中学校教師の小林啓子さんは「子どもの貧困は一人一人事情が異なり、実態が見えにくい。当事者も世間体を気にして助けを求めにくく、対応が難しい」と話す。

 小林さんは、子どもの貧困は日本の社会が抱える構造的な問題と考えている。さまざまな課題を掘り下げて対応策を考えようと、12年から「長野子ども白書」の編集にも関わっている。

 毎年途切れることなく、これまでに4冊出した。今年ももうすぐ出る。貧困についてさまざまな問題点を指摘し続けている。

   <国の施策は不十分だ>

 昨年の白書には「学校事務室からみえる子どもの貧困」という記事を載せた。県内のある小学校の事務職員に仮名で書いてもらったもので、深刻化する実態を浮き彫りにしている。

 この小学校の児童数は440人。うち、生活保護世帯の子は12人、給食費や学用品代などを自治体が補助する就学援助制度の対象者は65人に上った。17・5%の子どもが経済的な支援を必要としているのだ。申請をしない家庭もあるため、実際には20%を超えるのでは、と書いている。

 国の調査でも同様の結果が出ている。就学援助制度の支給対象者の割合は12年度に15・64%で過去最高を更新。13年度は15・42%とやや減ったものの、高止まりの傾向がはっきりした。

 近年注目されている「子どもの貧困率」も同じ傾向だ。平均的な所得の半分に満たない家庭で暮らす18歳未満の子どもの割合を示すもので、12年度に16・3%と過去最悪を記録している。

 他の国と比べても日本の状況はよくない。国連児童基金(ユニセフ)が発表した子どもの格差に関する調査では、先進国など41カ国の中で下から8番目。米国や韓国より格差が大きかった。

 国は14年に子どもの貧困対策推進法を施行し、「子供の貧困対策大綱」を閣議決定。昨年は学習支援などを進める生活困窮者自立支援法を施行した。

 大綱には奨学金制度の充実、幼児教育無償化などを盛り込んでいる。しかし、貧困改善に向けた数値目標の設定は見送られ、実効性を疑問視する声は多い。

 調査などによると、一つのクラスの中に6人に1人、5人に1人といった高い割合で貧困状態の子どもがいることが想像される。就学援助を受けても、光熱水費に回さざるを得ない家庭も多い。国の施策は不十分だ。

 貧困問題の解消を願う小林さんは「国は所得や資産の再配分に力を入れ、児童扶養手当の充実や医療費の窓口無料化など、子どもに関わる施策にもっとお金を回してほしい」と訴える。

 政治の対応が鈍いのに対し、民間の動きは広がっている。

 松本市では市民団体「反貧困セーフティネット・アルプス」が3年前から無料の塾を開いている。市が子どもの権利条例を施行したのをきっかけに、家庭の経済事情に左右されることなく、学ぶ権利を保障しようと始めた。

   <マンパワーを生かす>

 県内で始まった市民による無料学習支援の特徴は、さまざまな世代の人が子どもの教育や育ちに関わっていることだ。多くの人の目が1人の子どもに注がれることで見えにくかった問題解決への糸口が見つかるかもしれない。

 地域として取り組むこともできる。少子高齢化の中、ボランティア活動に携われるマンパワーはあるはずだ。学習支援などを通じて地域で子どもを育てる意識が広がれば、貧困の直接的な解決にはならなくても孤立化を防ぐことにつながるのではないか。

 「こどもの日」。それぞれの地域で子どもが置かれた状況に目を向けたい。 


国民とマネー資本主義 貧富の格差

2016年05月06日 10時20分42秒 | 臼蔵の呟き

「格差が広がれば富める者はもう買う物がなくなり、貧しいものは節約するしかないのですから。」

 シリア、イラクなどの内戦、難民流出の要因は、先進国による収奪と暴力がもたらした紛争、武力衝突です。多くのテロ事件の根底には、テロリストの発生を促す、貧困と差別が存在しています。1%の超富裕層が、99%国民の貧困と引き換えに、富を独占する社会構造、政治経済を転換しない限り、この問題は解決しません。

<東京新聞社説>民衆とマネー資本主義 貧富の格差は正さねば

 若者や弱い立場の人々を苦しめている貧富の格差。それを正そうという新たなうねりが日本はもちろん、先進国で広がり始めています。

 重厚な低音の声優として活躍した大平透さんが先日、八十六歳で亡くなりました。白黒テレビに子どもたちがかじりついたころはスーパーマン。バブル経済が崩壊した一九九〇年代にはテレビアニメ「笑ゥせぇるすまん」、喪黒福造の不気味な語りが印象的でした。

 曰(いわ)く「この世は老いも若きも男も女も、心のさみしい人ばかり、そんな皆さんの心のスキマをお埋めいたします…」

◆広がる心のすきま

 三年前の二〇一三年、忘れていたこのせりふを呼び覚まされる事件がありました。人気漫画「黒子のバスケ」を並べる書店や関連イベントの会場に脅迫文を送り付けた容疑で、三十六歳の派遣社員の青年が逮捕されたのです。

 希望の進学がかなわず、年収が二百万円を超えたことがないという青年は裁判で「手に入れられなかったものをすべて持っている作者のことを知り、人生があまりに違いすぎると愕然(がくぜん)とした」「負け組に属する人間が、成功者への恨みを動機に犯罪に走る事件は、今後の日本で頻発するかもしれない」と述べたのです。

 バブル崩壊後、企業のリストラがすすみ、非正規でしか就職できなかった若者に広がる失望、無力感、そして妬(ねた)み…修復できないほど広がった心のすきまとは社会の断裂ではなかったでしょうか。

 あの事件から三年。止まらない格差の拡大は社会の大きな課題となり論議が広がっています。国内はもちろん、米国でも欧州でも。

 九一年に冷戦が終結してから二十五年。当初は独裁や全体主義に対する民主主義の勝利と称賛されました。ところがリーダーの米国をはじめ民主主義の先進国で貧富の格差がどんどん広がります。

 膨張するマネー、資本の力は「冷戦に勝利したのは民主主義ではなくて資本主義…」とさえ言われるようになりました。その金融資本主義も08年のリーマン・ショックで力を落とし、今、二つの壁に見直しを求められています。

◆パナマ文書は警告する

 ひとつは長期停滞の可能性です。資本主義は発展するにつれて欲望が飽和し、収益のあがる投資先がなくなって長期停滞する-かつて経済学者のケインズはこう指摘しました。最近では資本主義の終焉(しゅうえん)論も耳にします。

 もうひとつは格差に立ち向かい、不公正を正そうとする民衆からのうねり、新たな波です。

 格差社会の象徴になった米国の大統領選挙では、格差と不公正の是正を訴えるサンダース候補が支持を集めています。その主張のひとつが「大銀行解体論」です。

 大銀行に集まる巨額のマネーは少しでも利益のあがる投資先を求めて世界のあらゆる商品、市場を投機の対象に右往左往し、時に破綻し、暮らしの土台である経済を根底から揺さぶります。巨大銀行を分割して金融バブルを防ぐのが解体論の狙いです。米国の中央銀行のひとつ、ミネアポリス地区連銀の総裁も同じ考えを表明するなどウォール街も無視できない動きになりつつあります。

 不公正を正す動きも出てきました。富裕層の脱税の抜け道になっているタックスヘイブン(租税回避地)の実態を暴く「パナマ文書」です。

 新たなうねりは日本でも見え始めています。

 バブル崩壊から二十年の〇九年、民主党が掲げた「コンクリートから人へ」は多くの共感と期待を集め、政権交代が実現しました。新政権は未熟で、国民の期待は失望に変わり、自公政権が復活。企業収益重視の旧来型の政策で経済を立て直そうとしますが、消費が伸びず行き詰まっています。

 そのはずです。格差が広がれば富める者はもう買う物がなくなり、貧しいものは節約するしかないのですから。

◆人への投資はだれが

 格差是正を求める声が高まる中、国民の審判を受ける参院選挙を前にした安倍晋三首相は、同一労働同一賃金や介護、保育士の給与引き上げなど人への投資を重視した政策へと転換せざるをえなくなっています。

 「笑ゥせぇるすまん」では、客は心のすきまを埋めてもらう代わりに交わした喪黒福造との約束を守れず、家庭が崩壊したり、犯罪に走るという悲劇の結末を迎えます。人間の弱さ、愚かさを浮き彫りにするストーリーです。

 でも格差と不公正が生み出す心のすきまは私たちの手で、社会の力で埋めなければなりません。埋めることはできるはずです。それは民主主義の力であり、政治を動かす力でもあります。