“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

韓国から見た事故から5年の福島第一原発事故現場と廃炉作業

2016年02月28日 10時15分28秒 | 臼蔵の呟き

「小野明・福島第一原発所長は「福島原発の廃炉は30-40年かかる作業であり、登山でいえばまだ1合目」と述べた。」

「例えば汚染水の場合、トリチウム以外の汚染物質は取り除いたというが、逆に言えば「トリチウムは残ったまま」ということになる。以前より汚染の度合いが弱まっただけで、汚染水であることに変わりはない。今後も汚染水を全て原発内に貯蔵して管理しなければならない。」

<朝鮮日報>福島原発事故から5年、廃炉作業はまだ「一合目」

 田舎道は早朝から車でいっぱいだった。トラック、バス、乗用車など大小さまざまな車が2車線道路を埋め尽くし、北に向かって走っていた。

 ここは福島県楢葉町。5年前、最悪の原発事故が発生した東京電力福島第一原子力発電所のすぐ近くだ。当時、この地域は震度6強の激しい揺れに襲われ、原発では原子炉内の核燃料が溶融する「メルトダウン」が発生した。半径30キロ以内の住民は、着の身着のまま住居を離れた。その後ゴーストタウンのようになっていたが、今はどちらを見ても車が走り、人が動いていた。「東京電力の社員1200人、原発作業員7000人、計8200人が毎日福島第一原発に出勤しています。しかし3年前までは1日に3000-4000人でした。社員の宿泊施設とオフィスを新たに建設しています」(オカムラ・ユウイチ東京電力スポークスマン)

 東京電力が東日本巨大地震(2011年3月11日)から5年を迎えるのを前に、福島第一原発を公開した。事故直後と比べて最も目立った変化は、原発の中に入る人たちが以前と異なり顔全体を覆う大型マスクを着けていないことだ。原子炉周辺など一部区域で作業する人を除けば、ほとんどの人は防護服と、鼻・口を覆う防じんマスクだけを装着していた。それだけ原発の除染作業が加速度的に進んでいることを意味しているのだろう。

 東京電力は放射性物質による汚染水65万トンから三重水素(トリチウム)以外のほぼ全ての放射性物質を除去する作業を昨年夏までに終えた。

 また、原子炉1-4号機のうち4号機については使用済み核燃料の取り出し作業も完了した。現在は3号機の使用済み核燃料を取り出す作業を実施する一方、建物上部をドーム型の構造物で覆う作業を進めている。

 これと同時に、東日本巨大地震で水素爆発を起こした原子炉1号機と3号機の建物の残骸についても、ほとんど撤去した。放射性物質に汚染された土壌が風で飛散しないよう、原発の中もセメントで舗装した。

 しかしこれらの成果も、今後しなければならない作業に比べたら「初期段階」にすぎないというのが東京電力の分析だ。小野明・福島第一原発所長は「福島原発の廃炉は30-40年かかる作業であり、登山でいえばまだ1合目」と述べた。

例えば汚染水の場合、トリチウム以外の汚染物質は取り除いたというが、逆に言えば「トリチウムは残ったまま」ということになる。以前より汚染の度合いが弱まっただけで、汚染水であることに変わりはない。今後も汚染水を全て原発内に貯蔵して管理しなければならない。

 このような状況で、新たな汚染水が毎日300トン、1カ月に約1万トンずつ発生している。雨や雪などが福島第一原発に降れば全て汚染水になってしまうからだ。原発敷地の地下を流れる地下水も同じだ。

 これを浄化し続けるのも大変だが、浄化した水の保管も問題だ。東京電力が確保している汚染水貯蔵スペースは85万トン分だが、すでに約75万トンの汚染水がたまっており、あと1-2年もすればいっぱいになってしまう。

 そのため東京電力は現在、汚染水の貯蔵スペースを95万トンに拡張する作業を行っている。地下水の原発内への流入を防ぐために「凍土遮水壁」も設置した。昨年9月からは、トリチウムの濃度を基準値未満まで最大限引き下げた汚染水を一度に数百トンずつ海に放出する作業も進めている。ただし、いずれも根本的な解決策にはなっていない。

 今後、どのような作業がどれくらい残っているのか。これまでに東京電力は、原子炉1-4号機の中でも最も被害の軽かった4号機のみ内部を収拾した。一方で原子炉1-3号機は内部に使用済み核燃料がそのまま残っている状態だ。このため原子炉周辺の一部地域は放射線量が依然として強く、3-4時間立っていれば日本政府の定めた年間の被ばく線量上限値(1ミリシーベルト)に達してしまう。それも防護服を身に着けている場合の数値だ。このため作業員たちも一定時間作業した後は必ず事故地域の外に出なければならない。

 周辺地域の復興も難題として残っている。東京電力はこれまで、周辺の住宅や農地で除染作業を進めてきた。既に住民の帰還が許された場所もある。しかし依然として人の住んでいる家よりも空き家の方がはるかに多いように見えた。

 この問題を少しでも解決しようと東京電力は昨年5月、地域の農産物を使った作業員向け食堂を原発敷地内にオープンした。しかし福島県や原発敷地内の食堂だけでなく、ほかの地域で同じように料理や食材を提供して同じ値段で食べてもらえるのかは、なおも疑問が残る。 

金秀恵(キム・スヘ)特派員 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版


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