日銀の追加金融緩和、「投資家を奮い立たせ米株価を押し上げた」―シンガポール華字紙
今回の日銀による資金供給、株価維持対策は国民に何をもたらすかは明らかです。物価高、生活苦、貧富の格差拡大をもたらします。その一方で大手金融機関には0金利での資金調達、投機による利益追求を提供しました。富裕層には株高での資産膨張を提供しました。多国籍企業には為替安での利益をもたらしています。それが真相であり、投機家にとっての利益追求手段の提供に世界の投資家が喜ぶ構造は同じです。しかし、そのことで自国民の生活苦の改善は全く考慮されていません。
新自由主義政治経済が席巻する主要国の格差拡大は政治の劣化と、治安の悪化、不安定さ、テロ事件を頻発させるだけです。
<レコードチャイナ記事>
11月2日、日銀の追加金融緩和発表を受けダウ工業株が1万7390.52ドルと終値の過去最高値を更新した。
2014年11月2日、シンガポール華字紙・聯合早報は、日銀の追加金融緩和発表を受け、大企業で構成するニューヨーク株式市場のダウ工業株が1万7390.52ドルと終値の過去最高値を更新したことについて「予想外の景気刺激策が、世界経済の先行きに対する投資家の信頼を奮い立たせた」と伝えた。中国新聞(電子版)が報じた。
オランダの金融グループING関係者は「日銀は(市場に)花を添えた。基本的な経済状況は依然として良好で、企業の収益予測も明るい。ユーロ地域の数字が低迷しても、米国のマクロ経済データは力強い」と述べた。
<同志社大学大学院教授・浜矩子>講演
同志社大学大学院教授・浜矩子は4日、日本YWCAに招かれ、東京YWCA・カフマンホールで『さらば、アベノミクス』と題する講演をした。 副題は『一人ひとりが大切にされてこそ経済』で、以下浜矩子教授の講演録である。
●アベノミクスの別名「アホノミクス」という言葉がだいぶ定着してまいりました。 報道のアナウンサーなどが間違って「アホノミクス」などと言ってしまうほど浸透することを願っておりますが、私は尚も飽き足らず、その「ア」前に「ド」をつけたりしているわけでございます。
安倍首相は、始まった臨時国会で「経済最優先」と言っておりますけれども、経済活動は人間の証なのですから「人間最優先」と言うべきところなのです。
しかし、安倍首相の旗印は「日本を取り戻す」ということでして、今年の年頭所感では、たった1700文字の所感の中に3回も「取り戻す」という言葉を使うわけでございます。
また、6月末に発表した日本再興戦略では「稼ぐ力を取り戻す」と言っておりました。 ここでは、「国民一人一人が」という言葉も使われておりましたが、「国民一人一人が頑張って・・・・」というわけでございます。
まるで、「お前らは、日本の稼ぐ力を取り戻すために、こうせよ!、ああせよ!」「政府が頑張っても国民一人一人が頑張らなくっちゃ!」
というようなわけで、安倍首相には国民は見えず、国力にしか目が向かないのでございます。
●となれば、アベノミクス即ちアホノミクスの行く先は自明でございます。
されば、我々のなすべきことは何か? そのためには、相言葉と目指す場所を知っておかなければなりません。
その合言葉は、「奪い合いのシェアから分かち合いのシェア」へ、目指す場所とは「アホノミクスから一番遠いところ」でございます。
そこは、多様性と包摂性が出会うところでなのです。