消費税率の引き上げが、財政再建に貢献する。また、社会保障の充実に活用できるとの自民党、民主党、公明党の三党合意は、全くのうそであることが現実の政治の中で証明されています。赤字国債の残高は、減らずに、増え続けています。さらに、生活保護費、年金の切り下げ、国保料の負担はさらに拡大しています。これらの事実は、彼ら三党の密室談合は、国民無視と国民だましの談合であることを示しています。
本当に財政再建を行うのであれば、なぜ、法人税率の引き下げを最優先するのかを説明すべきです。また、支払い能力のある多国籍企業、富裕層への課税率の引き上げ政策をなぜとらないのか説明をすべきです。
<報道>トヨタ7年ぶり営業益最高
トヨタ自動車が5日発表した2014年9月中間連結決算は、本業のもうけを示す営業利益が前年同期比7・7%増の1兆3519億円と中間決算として7年ぶりに過去最高を更新した。
消費税増税の影響で苦戦した国内販売を好調な海外販売が補い、円安効果も大きく寄与した。
トヨタは15年3月期の連結業績予想を上方修正。営業利益を従来の2兆3千億円から2兆5千億円、純利益も1兆7800億円から2兆円に引き上げた。ともに過去最高益となり、純利益は初めて2兆円の大台に乗る見通しだ。
記者会見した小平副社長は上方修正について「為替相場が円安に進んだことが大きな要因」と説明した。
<北海道新聞社説>消費税率再増税 国民との約束忘れるな
消費税率を2015年10月に10%へ引き上げる是非について、政府が有識者から幅広く意見を聞く点検会合が始まった。18日までの計5日間、40人以上が出席して景気への影響などを議論する。安倍晋三首相は7~9月期の国内総生産(GDP)などとともに会合での意見も参考に、再増税に踏み切るかどうかを判断する。
再増税の実施をめぐり、最も重視すべきは景気の動向である。
だが日銀の追加金融緩和で株高が進んだとはいえ、それだけで景気回復と言われても困る。
円安の加速が家計や中小企業をさらに苦しめる心配が出てきた。
その上であらためて問いただしたいのは、そもそも4月に消費税率を8%へ引き上げるために言明していた「社会保障と税の一体改革」という国民との約束である。いまは増税の痛みだけを強いられているのが実感だろう。消費税増税の最大の目的は、持続可能な社会保障制度を築くことにある。少子高齢化とともに社会保障費は毎年1兆円規模で膨らみ続け、現行制度の維持が困難なのは明らかだ。にもかかわらず、政府が実現を強調してきた一体改革の道筋はさっぱり見えてこない。
問題なのは、増税分が肝心の年金や医療などの充実、強化にはわずかしか振り向けられないことだ。増税分の大半は赤字国債で賄っている社会保障費の不足分などに使われるのが実態である。
これではさらなる負担増への懸念は拭えず、社会保障の全体像を描けるはずがない。
「百年安心」をうたう年金制度では、給付の伸びを物価や賃金の上昇幅より低く抑える「マクロ経済スライド」が15年度に初めて実施される見通しとなった。医療保険制度改革案でも国民の負担増につながる見直しがずらりと並ぶ。
もちろん負担の分かち合いの議論を深めるのは必要である。だが国民の痛税感は暮らしへの安心感と引き換えでなければならない。
将来を見通した抜本改革を示せなくては増税先行の不満だけが高まることを肝に銘じるべきだ。
財政再建の本気度も疑わしい。
15年度予算の概算要求は過去最大の101兆円に上る。安易に増税分を当てにしているのなら言語道断だ。徹底的に無駄をそぎ落とすことが増税論議の前提である。
消費税で見過ごせないのは低所得者ほど負担が重い逆進性だ
<東京新聞社説>消費税意見聴取 デフレ脱却に専念せよ
来年十月の消費税再増税について政府が始めた有識者の意見聴取は賛否が二分した。だが今春の増税後の景気動向や増税の前提だった社会保障改革の現状をみれば予定通りの増税は受け入れがたい。
聴取は、経済界や学者、中小企業経営者ら四十五人を対象に五回に分けて引き上げの是非を尋ねるものだ。ここで出された意見や、十七日に内閣府が発表する七~九月期の国内総生産(GDP)速報値などを踏まえ、安倍晋三首相が十二月上旬に結論を出すという。
予定通りの実施を求める意見では、借金が一千兆円に上る中で財政健全化は急務なことや、将来世代への負担つけ回しは許されない、法律で決まったことの先送りは市場や国際社会の信認を失う-が主な理由である。
一方、増税先送りや反対の意見では、景気腰折れなど日本経済の先行き懸念や、まずはデフレ脱却を優先すべきだとの理由が多い。
どちらに理があるか、それは明らかだと考える。四月の消費税増税後に景気が後退したのは、異次元緩和による円安と増税で物価が上昇し、賃金の伸びが物価に追いつかないために消費が大きく落ち込んだからだ。
それなのに日銀が追加緩和で物価上昇を目指し、そこへ再増税するのであれば同じ過ちの繰り返しだ。日本経済に及ぼす影響は倍加しよう。そもそも金融政策で異次元緩和という「アクセル全開」をしながら、財政政策では消費税増税という「急ブレーキ」を踏むのでは、経済政策の整合性を欠く。
デフレ下では税収は伸びず財政再建が容易でないとの基本を、増税派は認識すべきだ。仮に増税が必要だとしても、まずはデフレ脱却を優先させるのが鉄則である。
政府も日銀も消費税増税の影響度を大きく読み間違えたのではなかったか。政府は、景気対策として五・五兆円もの補正予算を組み、「影響は限定的」としていた。日銀は、円安になっても輸出が伸びない構造変化を読めなかった。
増税に賛成できない理由は景気だけでない。民主党政権時代の公約違反で決まったうえ、原点の「社会保障と税の一体改革」はどうなったのか。年金制度の効率化は進まず、介護や医療の持続性も大いに疑問だ。
財政は危機的状況と国民を脅しながら二〇一五年度予算編成は過去最大百一兆円もの概算要求だ。歳出の膨張を放置したままの増税など国民は到底我慢できない。