民主主義における三権分立は非常に大きな意味があります。ところが、人事権が内閣、政権与党にあるために、現実には、最高裁判所の多数派は、自民党政治の中枢と思想的に同調しています。その証拠に、靖国派といわれる多くの右翼系幹部の中に最高裁判所判事経験者が多数、名を連ねています。
三権分立を建前どおりに信じる人は少ないと思います。最高裁、各級の判事は、自らの保身のための司法判断ではなくて、憲法に基づく、歴史の審判に耐えうる判断と判決を提示すべきです。
小選挙区制度が問題であり、一票の格差などは現行制度では解消しようがありません。解消するには、比例による政党別議席配分を行えば、瞬時に問題は解決します。地元選出議員が政治資金を使ってもてなすこともなくなります。また、憲法違反というならば、政党助成金こそ憲法違反です。
原発再稼動は当面無いから緊急性がない。寝ぼけるなと!自らの司法の責任放棄に等しい判断は怒りを感じます。このような判事には国民的な批判と運動で糾弾すべきです。
<東京新聞社説>一票の格差と違憲
昨年七月の参院選を最高裁は「違憲状態」と断じた。一票の格差が最大四・七七倍もあったからだ。司法は選挙制度の抜本是正を促しており、怠慢な国会の姿勢こそ、厳しく問われるべきである。
鳥取の有権者が「一票」持っているなら、北海道の有権者は「〇・二一票」しかない選挙だった。実際に北海道で約三十五万票を獲得した候補者が落選したのに、鳥取では約十六万票で当選する事態が起きた。不平等であることは誰の目にも明らかだ。
だから、各地の高裁で「合憲」としたところは一つもなく、「違憲」「違憲状態」と厳しい判断が相次いだ。広島高裁岡山支部では参院で史上初の「違憲・無効」判決が出たほどだ。
参院選での不平等問題については、「憲法の番人」たる最高裁から、ずっと“警告”が発せられている。二〇〇九年の大法廷は「定数を振り替えるだけでは格差の縮小は困難。現行の選挙制度の仕組みの見直しが必要」と迫った。
一二年の大法廷はさらに踏み込んで、「都道府県単位の選挙区設定となっている現行方式を改めるなど、速やかに不平等を解消する必要がある」と述べた。
昨年の参院選は「四増四減」という小手先の調整で済ませた。その点、今回の判決は「四増四減」は「格差解消には足りない」と切り捨てたうえで、「都道府県単位の現行の方式をしかるべき形で改めるなどの立法措置がいる」と、やはり抜本改正を求めた。
「違憲」とまで言い切れなかったのは、前回の大法廷判決から選挙まで約九カ月しかなかった。その「時間」を配慮したからだ。
これで衆院も参院も「違憲状態」という異常事態となった。だが、果たして立法府はその自覚があるだろうか。国会の動きは鈍すぎるのではないか。
一〇年ごろは当時の参院議長らが都道府県単位の選挙区を廃し、全国を九ブロックに分割する試案などをまとめたが、頓挫してしまった。
今年に入ってからも、隣接県を一つの選挙区に集約する「合区」案が検討されたものの、結論を見いだせないままだった。
今回の判決では「違憲」と考えた裁判官は十五人のうち四人いた。そのうち一人は「選挙無効」だった。その重みを感じるべきである。それでも立法府の腰が重いのなら、司法府も遠慮することなく、ずばり「時間切れ」の宣言をしたらどうか。
<原発再稼動の差し止め認めず 大津地裁>
関西電力の高浜原発3、4号機(福井県高浜町)と大飯原発3、4号機(同県おおい町)の地震対策は不十分だとして、滋賀県の住民らが再稼働差し止めを求めた仮処分の申し立てについて、大津地裁(山本善彦裁判長)は27日、却下する決定をした。
いずれの原発も停止中。関電が昨年7月、再稼働に向けて、新しい規制基準への適合性審査を申請し、原子力規制委員会が審査を進めている。
山本裁判長は「規制委員会がいたずらに早急に、新規制基準に適合すると判断して再稼働を容認するとは考えがたい」と指摘。再稼働が目前に迫っているとの住民側の主張を退けた。