桜岡設計事務所のブログ

東旭川、桜岡にある設計事務所の日々の事、仕事の事、愉快な仲間達。

天然塗料の自由研究

2015-01-26 20:29:37 | 設計・計画・スケッチ
アンのトイレ掃除用に毎日使っている紙製ちりとり「はりみ」が結構傷んで来たので、柿渋を塗り直して修復しました。
特に手で押し付ける部分や紙の接合部分なんかは剥がれやすくて、数回塗り直しています。


乾いたらより深みのある色と奥ゆかしい艶が出ました。
柿渋の風合いは前から好きで、そういえばこういう雰囲気を住宅の塗料でも使えないかと思いついて、
サンプルを作ることにしました。


塗りの回数も変えながら数パターン作りました。
材料は高橋さんが去年からセルフビルドで手伝っている現場の端材を頂きました。


左から無臭柿渋、墨柿渋、今まで使っていたオイルステインです。


左の墨柿渋は二回塗り。広い面積だとオイルステインより手間がかかりますね。
右のオイルステインは一回塗りで結構濃い色がつきます。うちの床はこのオイルステインの一回塗りです。
うちの床は6年経って床の木材が日焼けして赤みが出たのか、黒というよりは落ち着いた茶色に変わっているのが判ります。


墨柿渋は木目が透けながら、今までオイルステインでは出せなかった独特のくすんだグレーが出せました。
但し墨なので、こすると色がつきます。床や手が触れる家具等には使えません。
外壁や天井の仕上げなんかに良さそうな気がします。


それから無臭柿渋も、今まではやった事無いけどチークの様な、良い色味と艶が出せます。


無塗装のテーブルと比べてみるとこんな感じ。和室の床や作り付けの家具等でも使えそうな塗装です。


柿渋は化学物質を含まず、無臭タイプであれば臭いも気にならずどなたでも扱いやすい素材ではないかと思います。
一回塗りだとやや物足りないので、数回重ね塗りする手間と必要数量は増えます。
オイルステインは色の乗りが良く、少量・短時間で塗り上げる事が出来ます。
その時の気候によっては家が出来上がってから数ヶ月間は独特の臭いが残る場合があります。
(ホルムアルデヒド放散量は、改正建築基準法のF★★★★基準値をクリアしたものを使っています。)
柿渋、オイルステインのどちらも防腐効果がありますが、耐久性で言うと柿渋の方が天然塗料の為、短いと思います。
数年経ってから塗り直す事もより愛着が湧いて楽しみ、と思ってくれる建主さんにはお勧め出来ます。

柿渋塗りは日本では伝統的な技法です。
北海道では柿が採れないせいなのか、本州程見る機会がありませんでした。
探してみると値段も扱っている店も豊富で手に入れやすい塗料でした。
今後はどこかの現場で使う機会があれば良いなと思っています。