■1955年 アメリカ 115分
■原題「EAST OF EDEN」
■2007.10.20 BS2
■監督 エリア・カザン
■出演
ジェームズ・ディーン(キャル・トラスク9)
ジュリー・ハリス(エイブラ)
レイモンド・マッセイ(アダム・トラスク)
リチャード・ダヴァロス(アーロン・トラスク)
ジョー・ヴァン・フリート(ケート)
ロイス・スミス(アン)
アルバート・デッカー(ウィル・ハミルトン)
バール・アイヴス(サム保安官)
《story》
1917年カリフォルニア州サリナス。農場を経営するアダム・トラスクには双子の息子がいた。兄のアーロンは真面目な好青年。弟のキャルは何を考えどんなことをするのかわからない無鉄砲で頑なところがあり、家族や世間と壁を作っていた。ある日、死んだと聞かされていた母を見つける。自分は、酒場を経営しているふしだらな母の血を受け継いでいるのだと考えるようになる。父のアダムに気に入られたいキャルは、冷凍レタスで大損した父の手助けをしたいと、母に頼み融資してもらい、大豆を育てる。戦争が起き、大豆は高騰し、大きな利益を得る。父の誕生日にそのお金をプレゼントしたが、どこで盗んできたのかとつっかえされる。逆上したキャルは、秘密にしていた母のもとに、兄のアーロンを連れていく。アーロンは、母に対し自分と同じ清く美しいイメージを持っていたため、父と母が別れた真相を知ると、自暴自棄となり、志願兵となって町を去る。信頼を置いていた息子のアーロンが去り、倒れた父は半身不随となり寝たきりとなる。アーロンの恋人のアブラは、キャルを許すように父アダムに語りかける。父はキャルを呼び、自分の世話をしてくれるように頼む。
あのやり切れなさ
ああ、あれがジェームズ・ディーンなんだ。何度かさらりと見た記憶があるが、今一度見て、あのはにかんだような素振りはまさしく彼なんだと思った。彼だからこそ、この映画は半世紀たった今でも輝いている。キャルの心を満たすためにどれだけのことが犠牲になったかを考えると、ハッピーエンドだとは言えない。アーロンはどなるのだ。恋人のアダムはキャルとともに生きるのか。死んでしまう父。息子との最悪な再会場面。このあとのあの母は・・・課題は山積みだ。父親から一言をもらうために、どれだけの犠牲をはらったか。彼がそれらを見据えられるようになったときに、新たな苦悩が始まるのだと思う。そう考えると、この一家は不幸をみんなが背負って生きていくことになるのだ。映画として、ジェームズ・ディーンのあの独特な演技を語るものとして、この映画はこれからも輝き続ける。
「エデンの東」神に背いたアダムとイブという人間世界と神の世界を隔てる場所。人間が神の世界に入ってこないように、燃えて回る火の剣が置かれているところ。神の祝福のない場所。それがキャルのいた場所。多分、これからもそこから離れられないのだ。