そよかぜから-映画

見てきた映画の記録です
ネタばれあるかも、気をつけて

エデンの東

2007年10月21日 | 人間/社会派ドラマ

1955年 アメリカ 115分
■原題「EAST OF EDEN」
■2007.10.20 BS2
■監督 エリア・カザン
■出演
   ジェームズ・ディーン(キャル・トラスク9)
   ジュリー・ハリス(エイブラ)
   レイモンド・マッセイ(アダム・トラスク)
   リチャード・ダヴァロス(アーロン・トラスク)
   ジョー・ヴァン・フリート(ケート)
   ロイス・スミス(アン)
   アルバート・デッカー(ウィル・ハミルトン)
   バール・アイヴス(サム保安官)

 《story》
1917年カリフォルニア州サリナス。農場を経営するアダム・トラスクには双子の息子がいた。兄のアーロンは真面目な好青年。弟のキャルは何を考えどんなことをするのかわからない無鉄砲で頑なところがあり、家族や世間と壁を作っていた。ある日、死んだと聞かされていた母を見つける。自分は、酒場を経営しているふしだらな母の血を受け継いでいるのだと考えるようになる。父のアダムに気に入られたいキャルは、冷凍レタスで大損した父の手助けをしたいと、母に頼み融資してもらい、大豆を育てる。戦争が起き、大豆は高騰し、大きな利益を得る。父の誕生日にそのお金をプレゼントしたが、どこで盗んできたのかとつっかえされる。逆上したキャルは、秘密にしていた母のもとに、兄のアーロンを連れていく。アーロンは、母に対し自分と同じ清く美しいイメージを持っていたため、父と母が別れた真相を知ると、自暴自棄となり、志願兵となって町を去る。信頼を置いていた息子のアーロンが去り、倒れた父は半身不随となり寝たきりとなる。アーロンの恋人のアブラは、キャルを許すように父アダムに語りかける。父はキャルを呼び、自分の世話をしてくれるように頼む。

 あのやり切れなさ
ああ、あれがジェームズ・ディーンなんだ。何度かさらりと見た記憶があるが、今一度見て、あのはにかんだような素振りはまさしく彼なんだと思った。彼だからこそ、この映画は半世紀たった今でも輝いている。キャルの心を満たすためにどれだけのことが犠牲になったかを考えると、ハッピーエンドだとは言えない。アーロンはどなるのだ。恋人のアダムはキャルとともに生きるのか。死んでしまう父。息子との最悪な再会場面。このあとのあの母は・・・課題は山積みだ。父親から一言をもらうために、どれだけの犠牲をはらったか。彼がそれらを見据えられるようになったときに、新たな苦悩が始まるのだと思う。そう考えると、この一家は不幸をみんなが背負って生きていくことになるのだ。映画として、ジェームズ・ディーンのあの独特な演技を語るものとして、この映画はこれからも輝き続ける。
「エデンの東」神に背いたアダムとイブという人間世界と神の世界を隔てる場所。人間が神の世界に入ってこないように、燃えて回る火の剣が置かれているところ。神の祝福のない場所。それがキャルのいた場所。多分、これからもそこから離れられないのだ。

天国にいちばん近い島

2007年10月21日 | ラブロマンス/青春

1984年 日本 102分
■2007.10.17 BS-i
■監督 大林宣彦
■出演
   原田知世(桂木万里)  
   高柳良一(タロウ・ワタナベ=日系三世)
   峰岸徹(深谷有一)  赤座美代子(村田圭子)
   エティエヌ・ワモウ(酋長)
   ジル・ピーターソン(トム)
   ジョルジュ・ワヘオ(ジェローム)
   泉谷しげる(タイチ・ワタナベ=タロウの父)
   高橋幸宏(桂木次郎)
   小林稔侍(青山良男)
   小河麻衣子(山本福子)
   入江若葉(マダム・ヒロコ)  室田日出男(西尾久造)  
   松尾嘉代(桂木光子)  乙羽信子(石川貞)

 《story》
桂木万里は、幼い頃に父に聞いた「天国にいちばん近い島」の話が忘れられないでいた。いつかいっしょに行こうと言っていた父が急死し、高校生ながらも冬休みを利用して旅に出る決意をした。目指すはニューカレドニア。ツアーでの参加だったが、現地では自転車を借りて一人で散策。そのとき、日系三世のタロウと出会うが名前も聞かずに分かれてしまう。その後、万里の話を聞いた深谷という男が、イル・デ・バン島に彼女を案内するが、思う島ではなかった。再び再会したタロウに教えられた島にも行ってみたがそこもちがっていた。万里はその島でエイにさされ倒れてしまう。ツアーの滞在は過ぎ、一人取り残されてしまった。ホテルを追い出され、タロウの家に行った。次の日、エッセイストの村田圭子と戦争未亡人、石川貞が訪れる。石川が滞在しているホテルに万里は移る。そこで、村田と深田が出会う。彼らは20年前の恋人どうしだった。万里の仲立ちで、離ればなれになっていた愛をむすび合うことができた。一方、タロウは手紙とお金を万里の荷物とともに送る。その手紙には、これで「日本に帰ってください」とあった。万里は、すぐにタロウのもとに飛んでいく。そしてタロウに告げる。「天国にいちばん近い島を見つけた」と。

 何が天国なの
そういえば学生の頃、この本を読んで同じ思いをしたことがあった。題名にわくわくしながら読んでいくんだけど、結局何が天国なのかわからずじまいだった。今でもそうだけど、「天国」のイメージがはっきりしないのだ。極楽浄土や天使の住む天国を思ってしまう。そこで、不思議なことが起こり、死んだ父親と会う。またはこの世ではありえないことが起こってあっと言わせる。そんなことをいつの間にか想像していたのだと思う。今回は、映画では何を天国と言っているのか確かめたくて、昔の原田知世が見たいのと、大林監督だから何か発見があるかもしれないと少し期待しながら見た。しかし、演技がイマイチ。時をかける少女では良かったが、あのままではね。ニューカレドニアに着いたとき、自然を天国というなら、その国自体が天国だと言えるだろうな。連れて行かれた島だって美しい空や海、緑がいっぱいあった。原住民だって親切だった。いったい何を天国というのだろうと、最後まで見たが、結局恋したことだったんだ。がっかりで終わった。戦争未亡人がここで登場する意味、タロウの存在。深田と村田の恋って何。頭が悪くて結びつかなくて、何かちぐはくのような気がして消化不良だった。ニューカレドニアである意味がわからない。