そよかぜから-映画

見てきた映画の記録です
ネタばれあるかも、気をつけて

ミス・ポター

2007年10月08日 | ラブロマンス/青春

2006年 イギリス/アメリカ 93分
■原題「MISS POTTER」
2007.10.8 TOHOシネマズ緑井
■監督 クリス・ヌーナン
■出演
   レニー・ゼルウィガー(ビアトリクス・ポター)
   ユアン・マクレガー(ノーマン・ウォーン)
   エミリー・ワトソン(ミリー・ウォーン)
   ビル・パターソン(ルバート・ポター)
   バーバラ・フリン(ヘレン・ポター)
   マッティエロック・ギブス
   ロイド・オーウェン  アントン・レッサー
   デヴィッド・バンバー

  《story》

「その恋が私を変え、私の絵が世界を変えた」

1902年、ロンドン。まだ封建的な階級が強く前面に出て、女性が男性と肩を並べて仕事を持つなどあり得なかったイギリス。ビアトリクス・ポターは、裕福な家庭で育ち、夏は自然豊かな湖水地方で過ごした。父の影響もあって、幼い頃から動物の絵を好んで描いた。ビアトリクスには夢があった。物語と彼女が作った動物たちの絵本を出版することだった。そのため良縁をすすめられても断り続けた。スケッチブックと彼女が作った絵本を持って出版社を訪ねた。ウォーン社が承諾してくれ、三男のノーマンが初の仕事として任された。ビアトリクスはノーマンとともに、何度も話し合い、印刷所も訪れ色合いなども自ら見てきた。ノーマンの独身の姉とも親しくなり、3人の心は結びついていった。ポターの絵本は一躍ベストセラーとなった。クリスマスの日、ノーマンはビアトリクスに結婚を申し込んだ。しかし、ビアトリクスの両親は猛反対。ビクトリアの幸せを願う両親は、夏の湖水での生活後も気持ちが変わらなければ許すことにした。ところが、その間にノーマンが病気で急死してしまう。悲嘆にくれるビアトリクスは、湖水地方の農家を買い取り、そこで暮らし始める。この地方の美しい自然を守るために、困窮し売りに出される農地を買い取り、無償で貸し与えるのだった。その橋渡しをしてくれたのが、幼いときにこの地で夢を語り合った弁護士のウィリアムだった。

 さわやかな気持ちになれる
いやいや、妬みの心も大きくなった。お金があるからできること。あんな美しい自然の中で、何不自由なく暮らせるのだ。働くことなく絵を描き続けることができるのだ。そんなことも考えたけど、やっぱり映画の中のビアトリクスは自然と一体になって、動物たちと仲良しになれたことが、彼女が描いた動物たちに命を注ぎ込んだのだと思う。たまたまお金があって、それが有効に使われたのだと思う。彼女がいなければ、あの美しい自然が開拓されて住宅街になり、今では高層ホテルでいっぱいになっていたかもしれない。純粋に自然を愛する彼女の心が、さわやかな風を吹かせてくれる。今すぐにでも、自然の中に入り込み、その風をからだ全身で浴びたくなる。自然の中の植物や動物、生き物たちに触れあいたくなる。そして人に優しい気持ちを伝えたくなる。ピーターから伝わる優しさは、この自然を大切にしようとする心だったのだ。ジャケットを身につけていても、自然の姿のまま、自然の心のまま、人と共存しようとしているのかも。

 公式サイト「ミス・ポター」

1リットルの涙

2007年10月08日 | 人間/社会派ドラマ

2004年 日本 98分
■2007.10.7 DVD
■監督 岡村力
■出演 
   大西麻恵(木藤亜也)  かとうかずこ(木藤潮香)
   鳥居かほり(山本紘子)
   芦川よしみ(寮母のさと)
   松金よね子(パン屋のハル)  
   浜田光夫(木藤瑞生)
   森山周一郎(リハビリ室の患者)
   速水亮(入院患者)  村川敦子 松本五月

 《story》

「耐えておくれ、私の涙腺よ――
  悔しかったらやればいいじゃん。負けとったら、いかんじゃん。」

 これは実話を元にした映画である。
14歳で脊髄小脳変性症という不治の病に冒された木藤亜也。少しずつ筋肉が低下していずれすべての体の機能が働かなくなり死んでしまう。亜也は希望の東高に合格するが、足が思うように動かなくなり、転ぶことも増える。友人の力を借りて教室移動したり、時間に遅れることもあって、みんなにすまないと思っていた。ある日、転んでバスに間に合わなかった。近くの駄菓子屋のおばさんが、母親が仕事を終えて迎えに来るまで店に居てもいいと言ってくれた。しかし、学校での生活も思うようにいかず、学校側からは、これ以上他の生徒に迷惑をかけられないと訴えがあった。悲しみの中、亜也は養護学級に転校する。全寮制で自分の力で何事もするように、先生は厳しくあたる。文化祭で自分たちでやり遂げた満足感を体験する。卒業後、家にいることが多くなる。ますます体は動かなくなり、入院する。

 すっきりした仕上がり
テレビドラマを見たから、この映画があまりにすっきりし過ぎているような気がした。涙がいっぱいあふれ出たテレビドラマとちがい、淡々と彼女が病魔に冒されていく姿が・・・。「どうして病気は私を選んだの」という台詞が頭に焼き付き、そんな思いで見てきた。しかし、この台詞もなかった。もし、映画を先に見ていたらもっとちがっていたかもしれない。きっと実際の亜也さんは、もっと苦しんだだろうし、涙を流し、弱音を吐いただろうし、そんなにきれいに強く生きてきたわけじゃない。本を出し、自分が人の役に立つことをいつも考えていた。そこに生きる力を求めていた。多分映画ではそれを全面に出すのではなく、さりげなく精一杯生きている姿を出そうと思ったのだと思う。ラストも想像の中で生きていく亜也さんの姿をいつまでも残像として残そうとしていたような気がする。
テレビドラマがあまりに強烈過ぎた。家族の触れ合い、彼の存在、ひとつひとつがあまりに印象強く残されてしまった故に、映画は物足りなさを感じてしまった。

暗いところで待ち合わせ

2007年10月08日 | 人間/社会派ドラマ

2006年 日本 129分
■2007.10.6 DVD
■監督 天願大介
■出演
   田中麗奈(本間ミチル)
   チェン・ボーリン(大石アキヒロ)
   井川遥(三島ハルミ)
   宮地真緒(二葉カズエ=親友)
   佐野史郎(印刷会社の上司)
   岸部一徳(ミチルの父親)
   佐藤浩市(印刷会社の先輩)

 《story》

「光をなくした女、闇を抱える男。
   殺人事件からはじまった不思議な共同生活」


交通事故が原因で視力を失ったミチル。最愛の父も病気で失い、一人で生活を始める。ミチルの家の前は駅。アキヒロは毎朝、ミチルが窓を開ける姿を見ていた。ある日、駅で事故が起きた。だれかが人を線路に突き落とし、列車にはねられた。犯人は逃走し行方不明。テレビでは印刷会社の部下が上司を突き落としたと報道。アキヒロは、彼女の家に忍び込み窓のそばにすわり駅を見る。目が見えないミチルは、何か違和感を感じ始めていた。ある日、食器棚の上の物を取ろうとして落ちる。ミチルの顔に落ちてきた土鍋を誰かが拾う。ミチルはそのだれかのために夕食を作る。二人の不思議な共同生活が始まった。
ミチルの友人は外に出ることをすすめたが、でもミチルは怖くて拒絶する。そのことで友人とけんかした。アキヒロは駅を通る人の中で誰かを捜していた。けんか別れした友人に会うために、外に出ようとしてあきらめかけたミチルをアキヒロはサポートした。ミチルにかけてもらった上着のポケットに入っていた写真に、アキヒロが探していた人物が・・・。

 題の意味がわかった
真夜中の明かりのないところで密かに出会う二人。そんな怪しげなイメージのある題名だった。でも、その「暗い」という言葉は昼夜を指してしるのではなかった。目が見えない人生を心の奥底で絶望している女。会社で差別を受け、人を信じられず、人と触れあうことを拒否している男。二人の人生の悲しさが「暗い」という言葉に隠されていた。もちろん性格が暗いとはちがう。社会の歪みの暗さかもしれない。
目が見えない人が一人で暮らせるものだろうか。台所で料理したり、物を片づけたり、掃除したり・・・そんな現実を考えてしまった。目が見えても整理整頓できないし、何がどこにあるかもわからなくて、探しまわることが多いのに。
会社の中の差別。あの休憩室の中の雰囲気は最悪だ。おとないしい私は、アキヒロと同じようにすみで小さくなっているタイプ。噂のネタにされ、いつしか嫌がらせを受ける。学校よりひどいいじめ。今の職場にはそんないじめはない。実際の他の会社の中がどうなっているか知らないけど、きっと現実に存在するのだろう。
二人の行く末は・・・出会った二人の先には少し明るい道が。そんな予感を与えてくれる。幸せになってほしいと願わずにはおれない。