そよかぜから-映画

見てきた映画の記録です
ネタばれあるかも、気をつけて

パンズ・ラビリンス

2007年10月27日 | ファンタジー/アドベンチャー


2006年 メキシコ/スペイン/アメリカ 119分
■原題「EL LABERINTO DEL FAUNO/PAN'S LABYRINTH」
2007.10.25 サロンシネマ1
■監督 ギレルモ・デル・トロ
■出演
   イバナ・バケロ(オフェリア)
   セルジ・ロペス(ピダル大尉)
   マリベル・ベルドゥ(メルセデス=大尉に仕える)
   ダグ・ジョーンズ
      (バン=牧神、ベイルマン=怪物)
   アリアドナ・ヒル(カルメン=オフェリアの母)
   アレックス・アングロ  エウセビオ・ラサロ
   パコ・ビダル  フェデリコ・ルッピ

 《story》

「だから少女は幻想の国で、永遠の幸せを探した」

1944年スペイン。内戦終結後もゲリラたちはフランコ将軍の圧政に反発。以前として戦いは続いていた。オフェリアはおとぎ話が大好きな少女。臨月を迎えた母とともに、再婚相手のピダル大尉の元に向かう。途中母の具合が悪くなって休んでいるとき、偶然拾った石が近くにあった石像の目にはまった。すると口から昆虫が飛び出てきた。将軍の屋敷の近くで、妖精になった昆虫のあとをつけて迷宮を見つける。そこにはバンがおり、オフェリアは地底の魔法の王国のプリンセスであると告げる。満月の日までに3つの試練を乗り越えれば、魔法の国に帰れるという。オフェンスは、試練に立ち向かう決意をする。

 童話の中でハッピーエンド
現実は、あの冷酷なピダル大尉に殺されてしまうのだ。ピダル大尉は、他人の痛みなんて感じない。自分の痛みさえ感じない。ぬくもりのひとかけらもない。しかも頭脳は明晰、館はするどい。悪の道をのしあがっていく素質十分すぎるくらいだ。
現実は変えられない。オフェリアが魔法を使えるようになり、悪を退治して、親子共々幸せに暮らしましたとさ、で終われたら最高だね。しかし、現実と童話は重ならない。彼女がただ殺されたのではなく、試練を乗り越えて、童話の世界で英雄になれたことが何より幸せな結末だ。彼女は殺されたけど、ハッピーエンドだったと言えると思う。彼女の心の中は、魔法の国にたどり着くことができたのだから。
唯一、現実と童話の世界が重なった、あのミルクが入った洗面器の怪しげな木。母親を救ってくれそうだった。でも、暖炉に放り込まれてしまった。今一度、同じものを作っていたら、母親は助かったかもしれない。いや、やっぱり死ぬ運命だった。だから、焼かれてしまったのだ。
決して食べたり飲んだりしてはいけない迷宮で、彼女が口にしたぶどう。なぜなんだ。あんなに賢い子なのに。ここで食べさせてもらっていないわけでないと思う。何が彼女を誘惑したのだろうか。妖精たちが、「食べてはいけない」と何度も止めようとしたのに。それを振り払って食べてしまった。幸せへの誘惑。それとも、いたずら心。童話の世界の、必ず通る道。童話の世界のクライマックスに通じる道。言われたことをしなければいけない。でも、最後に弟を傷つけなかった。それが、大きな試練への道だった。心の中はすばらしいハッピーエンド。

 公式サイト「パンズ・ラビリンス」


キングコング[1976年版]

2007年10月27日 | ファンタジー/アドベンチャー


1976年 アメリカ 130分
■原題「King Kong」
■2007.10.24 wowow
■監督 ジョン・ギラーミン
■出演
   ジェフ・ブリッジス(ジャック・プレスコット)
   ジェシカ・ラング(ドワン)
   チャールズ・グローディン(フレッド・ウィルソン)
   ジャック・オハロラン(ジョー・パーコ)
   ジョン・ランドルフ(ロス)
   ルネ・オーベルジョノワ(ロイ)
   ジュリアス・ハリス(ボーン)
   デニス・フィンプル(サンフィッシュ)
   ジョン・ローン(中華料理店のコック)

 《story》
ペトロックス社は新たな油田を求めて、南太平洋の島に調査船を送った。いつも霧に囲まれた伝説の島がそこにあった。動物学者のジャックは、その島が霧に覆われているのは、巨大な動物が生息しているのではないかと考え、調査船に密航する。ある日、漂流しているボートを発見。映画撮影のために香港に向かう途中嵐にあって難破した生き残りのドワンが乗っていた。。霧に包まれた島を発見した一行は上陸し、巨大な柵の中で生活する原住民を見つける。原住民は、ドワンを差し出すように要求してきたが、船に逃げ帰る。その夜、原住民は船に近づき、ドワンをさらう。ドワンは生け贄としてつながれた。現れたコングは、ドワンを丁寧に扱った。ドワンに愛情を持って接した。ジャックたちは、ドワンを救出するためにコングを追う。調査団は、コングで一儲けしよう、生け捕りにするための罠をしかける。ニューヨークに連れてこられたコングは、頑丈な鎖につながれていた。大勢の観客の前でコング披露のセレモニーが行われた。ドワンが囚われの演技をしているところに、多くの記者が押し掛け、襲われていると思ったコングが暴れ出す。鎖を断ち切って、ドワンを追う。ドワンを見つけたコングは、故郷の島の様子と酷似した世界貿易センタービルに向かう。その頂上で、戦闘機に撃たれ落下する。

 懐かしく見ることができたね
最新の「キングコング」は、この1976年版以上の期待をしてしまう。それは、映像だけでなく、どれだけ感動できるかだ。コングとドワンの報われぬ愛情がどんな形で感動を与えてくれるかを考えてしまうからだ。そういう意味では、まだまだ1976年版の方が心に残った。無理はいっぱいあった。あまりに簡単な島の発見、巨大過ぎる柵、あれはどこの木を使ってどうやって作ったのだろう。コングの不自然な動き。コングを求めて、行きは難関を越えて行くのに、帰りはあっという間に帰り着いた。きっとつぶしてしまうだろう人を握る場面。どうやって船に乗せたのか。どうやって鎖につないだのか。謎は多いが、昔は単純なスト-リーで満足できた。今は、ついつい現実と比較してしまう。
当時、あのコングの手は話題になった。巨大な手、リアルに動き。ワゴンの胸をなでるシーンは、コングの無邪気な思いを表現してくれた。
金儲けしか考えない人間が命を軽んじるのはいつものこと。あの島で密かに暮らしていれば幸せだったのにね。人間の欲望の犠牲になったコングの悲哀さがある。現代の生き物たちも大なり小なり、こうした人間の欲望の犠牲になっているのだろうな。
 


レディ・イン・ザ・ウォーター

2007年10月27日 | ファンタジー/アドベンチャー


2006年 アメリカ 110分
■原題「Lady in the Water」
■2007.10.22 wowow
■監督 M・ナイト・シャマラン
■出演
   ポール・ジアマッティ(クリーブランド・ヒープ)
   ブライス・ダラス・ハワード(ストーリー)
   ジェフリー・ライト(デュリー)
   ボブ・バラバン(ハリー・ファーバー)
   サリタ・チョウドリー(アナ・ラン)
   M・ナイト・シャマラン(ビック・ラン)
   フレディ・ロドリゲス(レジー)

 《story》

「急いで、ハッピーエンドまで、もう時間がないわ」
「この秋、眠れぬ夜に贈る」


アパートの管理人クリーブランドは、電球を交換したり空調を修理したり、住み込みで単調な生活を送っていた。ある夜、クリーブランドは庭でストーリーという少女を見つける。彼女はプールの地下水路を住処にしていて、「ナーフ」という妖精であることをつきとめる。女子大学生の母が語る伝説と酷似していた。ストーリーは魔物に襲われ故郷に帰ることができないでいた。ストーリーは特殊な予知能力を持ち、アパートの住人への予言と運命がつながっていた。ストーリーを自由にするには、住人は一致団結して謎を解かなければならない。クリーブランドは、自分の過去を直視し、住人は自分達の運命を信じなければ団結はできない。そして、この賭けに挑まなければ、ストーーリーどころか人間の運命をも変えることができない。

 まるでゲームみたい
大人が子どものように目を輝かせてゲームをやっているみたい。もっと幻想的な映像があるのかと思っていたが、期待はずれ。あのモンスターだけがうろうろしていて、現実に入り込んでいるけど、妖精はまるでそう思いこんでいるだけに見える。チラシは不気味なほど幻想的なのに、映画はクリーブランド一人が騒いでいて、仕方なく住人も参加しているみたいな感覚だった。
人間と水の中の妖精は元々仲が良かった。人間が水から離れてしまって、妖精を置き去りにした。平和をもたらす妖精がそばにいなくなり、人間戦争を繰り返すようになった。この伝説も無理があるように思えて仕方ない。全体的に無理して作った作品に見えた。

 公式サイト「レディ・イン・ザ・ウォーター」