そよかぜから-映画

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天国からの手紙

2008年10月21日 | ラブロマンス/青春


2003年 韓国 106分
■原題「A MAN WHO WENT TO MARS」
■2008.10.13 DVD
■監督 キム・ジョングォン
■出演
   シン・ハギュン(スンジェ)  キム・ヒソン(ソヒ)
   パク・ソヒョン(ソンミ=薬局)
   キム・イングォン(イ・ホゴル=スンジェの弟)

 《story》

「この地球に咲いた、一番きれいな恋でした」

ダムの底に沈む町。少女ソヒの父親は、「火星に行く」と言って亡くなった。 ソヒはそのことを信じて手紙を書き、ポストに投函した。スンジュは、ポストからその手紙を取り出し、返事を出す。少女ソヒとスンジュの奇妙な手紙のやりとりは続く。しかし、ある時、ソヒはソウルに引っ越すことになる。いつしか手紙は途絶える。17年後、大人になったスンジュは町の郵便配達の仕事についていた。久しぶりに故郷に戻ってきたソヒを向かえるスンジュ。彼の想いは純粋で一途だった。しかし、ソヒは都会の景色に染まり、都会に戻って行った。そして愛する人を見つけるのだが・・・。故郷から大事な物を届けにやってきたスンジュを冷たく帰してしまう。沈む村から出ようとするスンジュ。かつて幼い日々、ソヒと過ごした河辺。引かれるように川に入る。その川底には、ソヒがなくした靴。

 都会は人を変えるのか

田舎の人間は誰もが純粋だとは言えない。でも、コンクリートに囲まれた殺風景であったり、極端に派手で、虚ろだったり、都会はそれでなくても心が縮こまってしまいそうな雰囲気がある。自然の中で、緑豊で、水のせせらぎ、見ようと意識しなくてもふっと空を見てしまう。大地と空と緑と、自分もその仲間のような気がしてうれしくなる。そんな世界から自然の少ない都会に行くと、心が小さくなって、自分さえよければという気持ちになってしまう。子どもが福岡から関東に行ってしまって、ついつい荒んだ生活を想像してしまった。私の広島も都会だけど、私の家は山に囲まれた自然が身近に感じられるところだ。
ラストはスンジュとソヒが結ばれるハッピーエンドであってほしかった気がする。ソヒの心の中で本当の愛とは何かがわかってくる。後ろ向きになろうとしていたソンジュに差し出されるソヒの手・・・。でも、ソンジュがつかんだのは、昔亡くしたソヒの靴。ソンジュはいつまでも過去に縛られ、新しい世界には飛び出せない。川の底に沈んでいく。

後ろ向きになる。前向きになれない歪んだ世界。ソンジュの純粋さの裏には何があるのか。鈍感さか。それとも忍耐か。無垢な心とは、傷つくことを知らない心。一旦、その心が傷ついたら、なかなか立ち直れない。だから、傷つく前に後ずさりする。でも、結局、後ずさりしても、距離は離れるだけで、だれも手を差し伸べてはくれない。そのまま危うい場所にどんどん下がっていく。そして、いつも一人。ソンジュは、何をつかんだのだろうか。



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