どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設19年目を疾走中。

どうぶつ・ティータイム(139) 『居直りの構図』

2012-01-19 00:34:43 | コラム

     絆



     (居直りの構図)



1月17日阪神・淡路大震災から17年目の追悼式典が行われた日に、東京電力の平べったい顔をした責任者が電力料金の値上げを発表した。

 まずは大口利用者に対する値上げ要請で、値上げ率が17パーセントというから「数字遊び?」と妙な気分になりかけた。

 それにしても、この人たちの厚顔さには呆れかえる。

 一応昨年の内に、「原発が止まり火力発電の燃料費が増大するから値上げをお願いせざるを得ない」とアドバルーンを揚げていた。

 それに対しエーダノさんが「絶対許さん」ふうのコメントを述べていたから東電も多少は態度を改めるだろうと思っていたが、今回あっさり無視された。

 この居直りともいえる強引さは、今回に始まったことではない。

 玄海原発の関係者(九州電力社長、佐賀県知事ら)のヤラセ問題について、第三者委員会からクロの認定を受けたにもかかわらず、エーダノさんの怒りをコケにした前歴がある。

 玄海原発を指弾することは、エーダノさんの舌鋒をもってしても<限界>があったということである。

 いやいやもっとさかのぼって、福島第一原子力発電所の事故対応では、国民の神経を逆なでしつつ決して責任を取ろうとしないヌエ集団の存在が明らかになった。
 
 この時点から、内閣という日本の最高権力より自分たち(亡霊)の方が上という態度が露わになった。

 菅笠さんの時代には、まだ「面従腹背」なる四文字熟語が残っていたが、いまやその言葉さえ変質してしまった。

 エーダノさんが「ノー」といってもエーことになってしまい、「ノー」ダさんはほとんど何も説明せずにエーことにしてしまおうとしている。

 話を元に戻すと、まず大口利用者の料金値上げのほか、中小企業等の消費電力帯にはアップ率をやや控えめに提示して納得させようとした。

 しかし、もともと青息吐息の中小企業にとって、料金値上げは死活問題だ。

 たちまち悲鳴が上がるが、顔の平べったい人は自分の都合ばかり述べてさっさと引き上げてしまう。

 もちろん本命は、一般家庭の電気料金値上げである。

 節電キャンペーンから一貫して、国民生活を人質に有無を言わせぬふるまいが目立っている。

 これを「居直りの構図」と言わずしてなんというべきか。

 誰もがわかっているのに、それを阻止できない仕組みが恨めしい。

 頼りのエーダノさんやノーダさんが、結局は押し切られる(?)のが目に見えているようだ。

 束の間希望に膨らんでいた胸が、バコバコ音を漏らしながらしぼんだのであった。



 居直りは東京電力に限らない。

 1月18日、政府は原発の廃炉期限を40年から例外的に20年間延長し、最長60年間稼働できるように改訂することを発表した。

 何週間か前に「原則40年で廃炉」と見解を述べたホソーノさんの言葉はどこへ行ってしまったのか。

 厚顔+無恥=「厚顔無恥」

 ホソーノさんの眼の動きから察するに、本来神経のフトークないホソーノさんは、どこやらの指示を受ければ抵抗できない立場にあるらしい。

「甘い甘い・・・・」一蓮托生だと言われれば、否定のしようがないが・・・・。

 ほかにもSPEEDI(放射性物質拡散予測システム)情報が、地域住民より先に米軍にもたらされていたことがわかった。

「このシステムは確実性がない」という理由で、緊急時にも関わらず公表されなかったのに、米軍にはこっそり伝えられていたのである。

 しかも後からの検証で、放射性物質の拡散状況がほぼシステムの予測通りだったといわれている。

 わざわざ危険な方向へ避難させられた住民の恨み言を、関連のお偉いさんたちはどのように聞いたのであろうか。

 元旦のマグニチュード7・0の地震直後、福島第一原発周辺でセシウム137ほかの観測値が上昇したことも本当の原因は分かっていない。

 東電も政府も風に舞い上がった塵が降下したのだろうと説明しているが、単なる推測で今後も注意が必要だ。

 水素爆発でガタガタになり、その後修理もできていないのだから、地震の横揺れで亀裂ができる可能性だって否定できない。

 調べもせず、調べたところで国民には何一つ知らせないのが国家にとっての王道と信じ込んでいるかのようだ。

 民主主義とは似ても似つかぬ、半世紀以上前の国家主義に似ているんとちゃいますか?

 これまでは誤魔化しがばれるとオタオタしていたのに、ある時期からばれたって構わないと腹を決めたようだ。

 舌の根も乾かないうちに前言を翻す。

 時事ネタに関わる空しさは昔から思い知らされているが、東日本大震災を機にこれまでぼんやり霞んでいたこの国の実体がはっきり見えてきたのは収穫だ。

 どのように対処するのか、どう行動するのか、それは一人ひとりにゆだねられている。

 消費税率アップ、TPP参加、その他国民が迷っている隙に、俄然強まってきた「居直り」で強行突破しようとするかもすれない。

 国家がこうした手段を多用し始めたのは、それだけ自身が追い込まれているからで、反比例して国民への配慮が希薄になっていくことが危ぶまれる。

 福井県大飯原発のストレステスト判定会におけるエーダノさんの怖い顔は、原発の恐ろしさに比べればマシなのかなあ。

 何をおいても、しっかりと事態を凝視することが、国民にとって最も大切な心がけと痛感した二日間であった。



     (おわり)
 


 
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