どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設19年目を疾走中。

新作KAIDAN その2 『自然薯の涙』

2024-04-18 01:13:00 | 短編小説
修二さんは秋になると零余子〈むかご〉の収穫をしながら自然薯の蔓の位置に目印の竹竿を刺ししっかりと記憶しておく。 晩秋から冬にかけて本命の自然薯を掘るために欠かせない作業である。 修二さんの家の裏山は大昔、合戦に敗れた坂東武者が逃げ込んだ場所と言い伝えられていて、武具が持ち去られた後には亡骸が放置されていたとも言われている。 時代を経て亡骸は海に近い湿地に集められ、その場所はしばらく白骨が砕け . . . 本文を読む
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