どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設19年目を疾走中。

(超短編シリーズ)123 『伝説の諏訪』

2019-07-23 00:11:15 | 短編小説
        (1) 海面から三千尺も高いところに、諏訪の湖水がある。腹を赤く塗られた汽船が、花の頃も青葉の頃も水に浮かんでいる。この湖水は今から三百年(言い伝えからさらに百年経過)ほど前までは、今の倍もあって、高島というお城が海の中に立っていた。湖水の底には武田信玄の石棺が沈んでいる。小坂の観音様の下には鐘が沈んでいる。そして蛍の飛ぶ頃になると、その鐘が夜な夜な、ありし世を恋うて鳴 . . . 本文を読む
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