どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

(超短編シリーズ) 82 『拍子木を叩く者』

2013-01-28 01:22:55 | 短編小説
 風邪をひいて寝込んでいた正輝は、微かに拍子木の音を聞いたような気がして目を覚ました。 彼は昨日まで警備会社に勤める傍ら、夜勤明けの数時間を牛丼店のアルバイト店員として働いていた。 厨房に入って出勤前の客のために盛り付けし、仕事が終われば自らも奥の控室で遅い朝食を摂った。 彼にとって時給のほかに朝飯を確保できることは願ってもないことであり、長らくそうした生活リズムを維持してきていた。 それが風邪 . . . 本文を読む
コメント