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【読書感想文】マヴァール年代記

2007年06月12日 01時21分11秒 | 読書感想文
アルスラーン戦記は当分でそうにないので別の田中芳樹作品を読んでみた。



『マヴァール年代記』
作者:田中芳樹

舞台:
中世ヨーロッパのハンガリー王国をモデルにした架空の世界が舞台。
主な舞台になるのはマヴァール帝国。この帝国は皇帝の下に6人の選帝侯がいて、それぞれ金鴉、虎翼、黒羊、竜牙、銀狼、銅雀公国を領している。
新しい皇帝を選出する際は6人中4人の選帝侯の同意が必要となる。
マヴァール帝国の周囲にはエルデイ王国、ツルナゴーラ王国、クールラント王国、ウルガール王国などの周辺諸国があるが、武力においてはマヴァールに叶わない。

主な登場人物:
◆三人の主人公◆
カルマーン…皇帝ボグダーン2世の三男。壮大な気宇と雄略を兼ね備えた人物。皇帝後継候補の一人。

ヴェンツェル…金鴉国公。カルマーンの学友。柔弱な外見とは裏腹に天才的な権謀の才と卓越した剣技と大きな野心を持つ。

リドワーン…元虎翼公国の国相。カルマーンの学友。武芸に秀で公明正大な性格。無口で権力に対して無欲。

◆主人公の周囲の人々◆
アンジェリナ…ヴェンツェルの妹。女ながら武芸に秀で金鴉公国の騎士たちの信望も厚い。後にリドワーンと相思相愛に。

ボグダーン2世…マヴァール帝国第24代皇帝。猜疑心が強く、自分の後継者たちを試すために悪辣な罠を仕掛けたりする。そのため長男・次男は命を落としている。

パール…リドワーンと虎翼国公の妹との間に生まれた子供。

アールモシュ…前黒羊国公。見識に優れた老人。後継者のストゥルザの死後に国公に返り咲き。

フェレンツ…カルマーンに殺された銀狼国公コステアの息子。カルマーンの侍従武官となり、将来銀狼国を継ぐことを約束される。

ラクスタ…カルマーンの股肱の臣。空位となった銅雀国公の座を与えられる。

ヴォーダ…カルマーンの股肱の臣。空位となった竜牙国公の座を与えられる。

ホルティ…旅の学者。始め虎翼国公に雇われてパールをさらうが後にリドワーンたちと行動を共にするようになる。

◆他国の人々◆
ラザール…エルデイ王国九柱将軍の一人。軍事も権謀も優れ、後にマヴァール国内で自身の野望実現のために謀略をめぐらす。

オルブラヒト…エルデイ王国九柱将軍の一人。右腕がないため隻腕将軍と呼ばれる。威厳があり正道を好む。ラザールの謀略に気づく。

ダニーロ4世…ツルナゴーラ国王。子福者だがみな才能がない。死の病に冒されてる時にマヴァール軍の襲来を迎える。


ストーリー:
◆第1部◆
大陸暦1091年、マヴァール皇帝ボグダーン2世が崩御した。次の皇帝候補として三男のカルマーンと孫のルセトがいたが、選帝侯はの支持は2つに別れてしまっていた。カルマーンは自らのために権謀を用いて有利に進めようとし、対立する選帝侯たちと血で血を洗う抗争を繰り広げる。そんな中金鴉国公ヴェンツェルは皇帝崩御の真相を見抜き、自身の野心のために密かに陰謀を巡らす…。

◆第2部◆
マヴァール皇帝となったカルマーンは選帝侯を整理し、自身の支配体制を確立していく。そんな中、エルデイの駐在大使であるラザールもまた自身の野心のために自国巻き込んで7カ国によるマヴァール包囲網を作り上げる。カルマーンはそうと知りながらあえてその罠に飛び込みツルナゴール王国へ遠征に繰り出す。そしてヴェンツェルはそれらの陰謀を影で操り続けていた…。

◆第3部◆
ツルナゴール王国を併呑したカルマーンは空前の版図を築く。だがヴェンツェルとの対立ももはや避けられないことはカルマーンだけでなくリドワーンもアンジェリナも気付いていた。ラザールの策を手玉にとって周辺各国を相手取るカルマーンだが、ラザールの思わぬ急襲に危機を向かえ、また、帝都でも異変が起きていた…。


感想:
最初から最後までとにかく謀略戦の連続。結局のところ誰が勝者になるかは最後の方までわからない。最後はなんとなく読める展開だが。
ヴェンツェルは言ってみれば銀英伝のロイエンタールみたいな感じなのだが、カルマーンはというとラインハルトではない。意外に俗っぽい感じ。
作者の作り出した世界観は素晴らしく、この短さは物足りないのだが、まぁこれはこれで十分面白い。
アルスラーン戦記と違い、これは歴史小説の体裁をとり、後世の評なども結構出てくる。