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プログラマ視点でみたシリコンバレー 人物紹介編

2018年12月30日 01時58分42秒 | テレビ番組
最近はまったドラマです。

■どんなドラマ?

アメリカのHBOという会社が制作したドラマで、現在シーズン5まであります。
日本ではAmazon Primeに加入するとみることができます。

内容はタイトル通り、シリコンバレーのスタートアップを描いたドラマです。
スタートアップとは創業間もない革新的なコンテンツを持つテック企業、くらいの認識でOKです。

主人公は画期的な圧縮アルゴリズムを武器に自分の会社を切り回していきますが大企業から特許を巡って訴えられたり、投資家に振り回されたり、せっかくのもうけ話を軽率な言動でフイにしてしまったりと、三歩進んで二歩下がるような感じで話が進むコメディです。

実在の人物・企業も登場し、主人公の会社が利用するクラウドもAWS、Azureといった実在のサービス、主人公の彼女(たった一話で別れますが)はfacebookの社員、などリアリティを加える設定も魅力のひとつです。

もう少し詳しいストーリーは別で書こうと思いますが、とりあえずドラマの雰囲気を味わってもらうために登場人物を紹介したいと思います。




■登場人物
<以下、ネタバレあり>

【パイド・パイパー社とその周辺の人物】
リチャード・ヘンドリクス
本作の主人公。
フーリーでチャットアプリ関連の開発に従事する傍ら、アーリックのインキュベートを受けて開発した音楽著作権検索サイト「パイド・パイパー」のために作った圧縮アルゴリズムが非常に価値があることに気づき、VC(ベンチャー・キャピタル)のラビーガの支援を受けてパイド・パイパー社を起業します。
根は人づきあいが苦手なオタクで、社交的ではなく、見栄っ張りで他人を見下す器が小さそうに見える面や、緊張したらすぐ嘔吐するといった(嘔吐するシーンが非常に多い)頼りなさ気なCEOですが、いざという時はリーダーシップを発揮して難局を乗り切るところがこのドラマの見せ場のひとつです。

プログラマ(ドラマではコーダーと呼んでいる)としても一流です。シーズン1のクライマックスとなるテッククランチ・ディスラプト(スタートアップのコンペ。実在のイベント)では、これまで自身が作った圧縮アルゴリズムの2倍近い性能の新たな圧縮アルゴリズムをたった一晩で開発します(しかもそのソースコードはギルフォイルとディネシュが見ても完全には理解できないという代物。)。ちなみにそのアルゴリズムは圧縮対象のファイルの中心から上下左右同時に圧縮処理を施すという特性から「ミドルアウト(中から外へ)」と呼ばれ、後々のシーズンまで重要なファクターとなります。

プログラムを書くときはインデントにタブを使うことに非常に強いこだわりを持っており、せっかくできた彼女がスペース派だったために別れてしまったり社則にもしてしまうほど。スペース派のプログラマたちは「コンパイルすればどっちも同じ」と主張しますが、病的なほどこだわっています。



アーリック・バックマン
リチャードたちのインキュベーター(支援者)。
かつて自身が起業したアビアト社を航空会社に売却した利益で広い屋敷を買い、そこでインキュベートを行っている男です。パイド・パイパーの創業メンバーであるギルフォイルとディネシュもアーリックの屋敷でインキュベートを受けていたエンジニアです。
面接して気に入ったエンジニアは、利益の10%がアーリックの権利になることを条件に住まわせ(家賃はとる)ているためパイド・パイパーの株を10%持っています。

自身を過大評価しているため自尊心が非常に高く、いつも上から目線で話すため周囲から煙たがれることが多いですが、意外なやさしさを見せる時もあり、このドラマのいいスパイスになっています。はったりが非常に上手く、VC相手のプレゼンで成功をおさめることが結構多いです。その手腕を買われ、パイド・パイパー社の取締役兼CVOとなります。

派手好きですが、会社の試供品や備品などを持ち帰る癖があります。




バートラム・ギルフォイル
パイド・パイパー社の創業メンバーの一人。
実はカナダからきた不法移民。システム構築やネットワークセキュリティなどインフラ周りに非常に強く、パイド・パイパーがギャビンの画策によってどこのサーバ会社からもサーバレンタルできなくなったときはアーリックの邸のガレージにサーバを構築しています。
プログラマとしても非常に優秀で、ディネシュですら見惚れるコードを書いたり、求職状態になった途端、多数の企業からオファーを受けたりしました。

悪魔崇拝者(サタニスト)で基本人を信じない偏屈な性格で、彼女もいますが「ある種の契約」と言い切ります。
そして毒舌家です。特にこのドラマの名物といえるのが、ディネシュに対するほぼ毎話の嫌がらせ。ディネシュに嫌がらせするためなら自分が恥をかくことも大金を払うことも厭わないほど。




ディネシュ・チャグタイ
パイド・パイパーの創業メンバーの一人。
パキスタンから帰化したエンジニア。女性経験がぜんぜんないけど美女に目がなく、そのせいで失敗もします。あと皮肉屋。
オフショアの女性エンジニアと鮮明な映像でチャットしたいがために、リチャードの圧縮アルゴリズムを使って非常に解像度の高いビデオチャットアプリを開発。これがシーズン3でプラットフォームのリリース後に本家よりヒットし、シーズン4ではパイパー・チャット社にまでなります。

「うちでJavaを書けるのは僕だけ」とシーズン1で言っていますがのちにギルフォイルもJavaのソースを書いているシーンがあり、そもそもJavaを書けるプログラマは世の中にごまんといえるので、それほどたいしてことではないような。ただスキルは非常に高いです。




ジャレッド・ダン
パイド・パイパーの創業メンバーの一人。
元々フーリーの幹部でしたがリチャードの才能にほれこんで自ら売り込み、能力を買われてリチャードに雇われます。その後はリチャードに対し非常に甲斐甲斐しく尽くしていきます。
エンジニアではありませんが経営戦略に長けており、パイド・パイパーの管理・経理部門を一手に担います。
こう書くと非常に有能な人材に聞こえますが(事実有能ですが)発言の端々が非常に闇が深いです。主な発言をあげると

「きみは裸の死体をみたことがあるかい?」
「福祉が必用な女友達のために役人と寝たことがあるよ」

といった謎めいた過去がさらりとでてきます(ちなみにストーリーにはまったく関係ない)。また、孤児のため施設育ちで、生物学上の父親は民兵だったことも明かしています。
他にもAzure(マイクロソフトのクラウドサービス)の利用交渉をするために架空の人物エドを自身の中に作り出して電話で一人二役を演じますが、そのエドが最高裁判事と仲がいいといったためにそのエドを始末した、という謎の言動をしたりします。
寝言ではしゃべれないはずのドイツ語で物騒なことを言ってリチャードを驚かせました。


ビッグ・ヘッド
本名はネルソン・ビゲティJr。
リチャードの親友で、アーリックのインキュベートを受けていたプログラマ。そこで「乳首アラート」という、乳首が立っている女性を発見するソフト(おそらく画像認識技術を使っている)を開発していました。
突出した才能はない(というよりお人よしということ以外なんのとりえもない)ため、パイド・パイパーを設立する際には雇ってもらえませんが、ジャレッドを引き抜かれた腹いせにギャビンが年俸60万ドルで契約します。そして圧縮ソフトの制作チームに配属されますが、まったく役に立たないためチームから外され窓際に追いやられます。
その後新部署xyzの副部長、さらに部長と昇進しますが、結局退職金2000万ドルで解雇され、悠々自適の生活を送ります。しかし、その資産を狙ったアーリックに言葉巧みに操られバック・マニティを設立。これが後々までパイド・パイパー社と様々な形で関わっていきます。
他にもスタンフォード大学に入学しようとしたら客員教授として迎えられたりと、本人がまったく望んでいないにも関わらず幸運が舞い込む不思議なシンデレラボーイです。



ロン・ラフラム
パイド・パイパーの顧問弁護士。
見た目は遊び人風で中身もチャラいのですが仕事は非常にできる優秀な人物。そしてリチャードが彼の忠告を聞かないせいで失敗するのはお約束です。



ピート・モナハン
シーズン2のフーリーとの仲裁裁判にて、パイド・パイパーが雇った元弁護士。
見た目は非常に固そうな法律家といった風体ですが、性犯罪やドラッグで弁護士資格を剥奪され、11カ月服役していました。
ですがロンが紹介するだけあって非常に有能で、裁判を有利に進めます。
シーズン2の後、再度服役しますが、またすぐに出所しています。



カーラ・ウォルトン
シーズン2でパイド・パイパーが雇った優秀な女性プログラマ。
サバサバして食えない性格ではありますがサーバ構築に際してはディネシュをさしおいてギルフォイルを手伝う場面もありオールマイティなエンジニアといった印象があります。
シーズン2終盤、他のプログラマとともにパイド・パイパーがフーリーとの訴訟に破れて潰れることを見越して姿を消しました。
シーズン3で再登場しますが未払いの賃金を要求して完全に縁が切れたようです。



【VCや投資家】
モニカ・ホール
ラビーガで働く女性。ピーター・グレゴリーを非常に尊敬しています。
リチャードにラビーガの支援を受けて起業するよう説得します。
後にそのやり方に責任を感じ、自身の年俸の10%をパイド・パイパー社に出資して取締役の一人となります。
ほぼ全話に登場し、時にリチャードに厳しい意見を突きつけ、時に彼のためにあえて自社の不利益になるような助言を与えたり、ボスのローリーに逆らったりと、パイド・パイパーに大きな影響を及ぼします。

本作のヒロイン的な存在ではあるものの、リチャードとは恋仲にはなりません。



ピーター・グレゴリー
ラビーガの代表。
気難しいですが優れた先見の明を持つ投資家であり、ピーター財団という組織も持っています。
若いころ、ギャビンと共に仕事をしていましたが何かの理由で袂を分かち、その後は不倶戴天の敵となります。
リチャードの開発した圧縮プログラムにギャビンが食指を伸ばしていると知ると、彼への嫌がらせのためにリチャードに出資して独立するよう仕向けます。
残念ながら演じていた俳優がシーズン1の途中で亡くなったため、シーズン2の冒頭でアフリカで命を落としたことになりました。
が、ピーターが残したメモはのちにリチャードが構想した「新しいインターネット」の開発に大きく寄与します。



ローリー・ブリーム
シーズン2から登場。ピーターの後継者としてラビーガの代表となります。
ビジネスに対して非常にクレバーで、堅実な利益を得るためには一切の私情を挟まない人物です。
また変人といっていいほどの仕事人間でもあり、臨月でも普通に仕事を行い、出産した当日も会社に姿を現しモニカを絶句させました。
シーズン4で、社内でクーデターが計画されていることを知り、独立してブリーム&ホール社をモニカと共同設立します。



エバン
ローリーのアシスタントと思われるラビーガの社員。
シーズン2ではモニカが喫煙していることをローリーに告げ口しますが、シーズン3では突然モニカに告白します。
その後どうなったかは不明。。。



エド・チェン
ラビーガの社員。
非常に有能で、モニカにチアン・ヤンのレシピアプリを押し付けられるも巧みにかわし、モニカの手柄すら横取りするやり手です。
ローリーの覚えもめでたく順調に出世しますが、のちにローリーに対するクーデターを企てます。



ラス・ハンネマン
いわゆるエンジェル投資家。
かつてラジオをインターネットで流す事業を起こし、その事業をAOLに売却して得た利益で投資をしています。またそれ以外にも複数の会社を経営していますがそちらはぱっとしないようです。
シーズン2で登場し、資金繰りに苦しむパイド・パイパーに投資をして議決権の5分の2を保有しますが、後にラビーガに譲渡します。
たまに本質を突いたことを発言をしますが、ほぼすべての言動が非常識で、ローリーやモニカたちからは非常に嫌われており、パイド・パイパーにとってもトラブルばかり持ちこむ困った男です。



【フーリー社】
ギャビン・ベルソン
巨大テック企業フーリーの創業者でありCEO。全シーズンを通してリチャードの最大の敵として立ちはだかります。
実績から考えると非常に有能な人物のはずですが、ドラマの中では部下に無茶な納期を強いて失敗したり、でたらめな進言を真に受けたり、社員から慕われていると勘違いしていたりと、裸の王様な描かれ方をしています。
傲慢かつ執念深くリチャードを容赦なく叩きのめそうと様々画策しますがシーズン4でCEOを追われると、同じくパイド・パイパーを新たに立ちあげなおそうとしたリチャードと手を組み、「新しいインターネット」の開発に手を貸します。その後、血液提供者の男に騙されていたことにショックを受け、チベットに出家しにいきます。
シーズン4の最後でCEOに返り咲き、再びリチャードの敵として現れます。



ジャック・バーカー
かつて複数の企業でCEOを務め成功した経歴をラビーガに買われ、シーズン3でパイド・パイパーのCEOにスカウトされます。
「会社のプロダクトは株、だから株価を上げるものを作るべきだ」という信念を持つためリチャードと開発方針で対立します。その結果、「ボックス」というサーバの開発をリチャードたちに命じますが、経営上の判断で致命的なミスをしたためにクビになります。
シーズン4でギャビン・ベルソンに雇われ、フーリー社で「ボックス」の開発の指揮をとり成功をおさめます。が、些細なことでギャビンの不興を買い左遷させられますが、ギャビンの後任のCEOになります。
そしてキーナンと組んでスマホ向けのVRアプリを発表しますが、バージョンアップしたスマホ(フーリーフォン)の発火騒動が発生。そのリカバリーのために中国のスマホの生産工場の従業員に無理な労働を強いたために人質になり、ギャビンに救われるもののCEOはクビになります。



デンポック
ギャビンが頼るスピリチュアルカウンセラー。
彼の精神が不安定になるタイミングでアドバイスを与える存在です。
が、ジャック・バーカーの嘘の情報をギャビンに話したために、彼がCEOを退任する遠因をつくってしまいます。
その後はお払い箱でしたがシーズン5で突然ギャビンが仕事の意欲を失った際に、フーバーが呼び寄せて再びギャビンのそばに侍るようになります。



フーバー
ギャビンの側近。
ギャビンに心酔していて忠誠心が高く、彼のためにスパイ行為のような裏の仕事もあたりまえのようにこなします。



パトリス
赤毛がトレードマークのギャビンのアシスタント。
シーズン1の第1話から登場しています。ギャビンが投資家たちの前でスピーチする際、比喩に使う動物を用意するシーンが多いのですが、そのうちのアジアゾウが死んだ際のギャビンの態度に反抗したためにクビに。
その後復帰しますが、フーリー社のプロダクトがことごとく金食い虫になっているのでいっそ開発をやめれば?と提言したために即クビになりました。



バナーチェク
ロボット工学の権威。シーズン2で登場。
ギャビンがビッグヘッドに箔をつけるために立ちあげた新プロジェクト”XYZ”の部長として招聘した人物です。
副部長のビッグヘッドが気に食わず、退職して大学教授の職を得ます。しかし、ニュークリアス部門の後始末を押し付けようとたくらむギャビンに説得され、その長となるも、フーリー・フォンのベータ版をみて即再退職します。



【その他の登場人物】
ダン・メルチャー
オラクルの社員(おそらく幹部クラス)で、シーズン1のテッククランチの審査員の一人として登場。
実は妻をアーリックに寝取られた過去があり、さらにテッククランチに同伴してきた二人目の妻もアーリックに寝取られた恨みから、アーリックがコンペで演説している最中に殴り掛かる暴挙にでます。結果、会社はクビになり、その後シーズン4で、パイド・パイパーが営業をかけにいった保険会社のCTOとして登場します。が、ここでも思わぬ災難に巻き込まれます。



チアン・ヤン
アーリックの邸で彼のインキュベートを受けている中国人エンジニア。
当初は英語が不自由なためにアーリックとトンチンカンな会話をして笑いをとる役回りでしたが、アーリックに支援を打ち切られるとだんだん狡猾さを発揮。アーリックがチベットから戻らないと彼の死亡した証拠を偽造して遺産相続人になり、屋敷からリチャードたちを追い出します。
その後中国に戻り、リチャードの「新しいインターネット」の構想をぱくって偽のパイド・パイパーを設立しますが、中国当局から認められません。



キーナン・フェルツパー
VRの新標準を打ち立てたシリコンバレーで有名なエンジニア。シーズン4で搭乗
彼の影響力は”キーナン旋風”と言われ、VCから注目されている存在です。
常識にとらわれない性格で、ミーティングに乱入したアーリックを気に入り、彼がいうがままブリーム&ホールの支援を受けます。
さらにパイド・パイパーを法外な価格で買収することも決断しますがモニカの横やりで失敗し、かわりにフーリー社と組みます。

なんといっても驚くべきは演じていた俳優がA.Iやシックス・センスの子役。あまりの変わりぶりにたぶん驚くでしょう。



C・J・カントウェル
シーズン3で登場する女性ブロガー。このシーズンでわりと重要な役割りを果たします。



ミア
中国政府の手先と噂される凄腕のハッカー。ギルフォイルが大嫌いなためディネシュと気が合い交際します。


コリン
大手ゲーム会社Kホール・ゲームのCEO。シーズン5で登場。
リチャードの”新しいインターネット”に参加しますが、途中で抜けてしまいます。


クロフォード
リチャードが時々通う病院の医師。シーズン1から登場。
輸血した後に「血液型があっているといいね」といったり人を食った性格です。


次回はストーリー紹介をしたいと思います。