BLOG in Atelier.Minami

ゲーム攻略、読書感想文など。

読書感想文【図南の翼 十二国記】

2006年08月29日 03時09分28秒 | ゲーム雑記
今回は恭の国の話。

図南の翼

ストーリー:
恭の大商人・相如昇の娘・珠晶は、20年以上王の空位が続いているため荒廃していく国を憂い、自ら昇山して麒麟の選定を受けようと志す。自宅から乗ってきた騎獣を黄海に入る直前で奪われてしまったものの、朱氏(国をもたず、黄海で妖獣を生け捕りにすることを生業にしている者)の頑丘を剛氏(黄海で道案内に従事している者)として雇い、謎の男・利広と3人で黄海に踏み込む。昇山には珠晶らのほかにも大勢の恭人がおり、剛氏を雇うものや家人を大勢引き連れてきたものなど様々だった。
昇山への道のりは険しく、妖魔が出没する夜は犠牲者が出るのも当たり前だった。だが珠晶らは頑丘の知恵のおかげで危機を乗り越えていった。しかし、自分たちの安全ばかりを考え、他の昇山する人へアドバイスをしない頑丘に不満を持った珠晶は、頑丘を解雇して、大勢の家人を連れて昇山している室季和のもとへ転がり込む。だが室季和一行は、馬車を捨てたくないという理由で、剛氏ですら避けたルートを進む。なぜ剛氏が避けたか。そのルートには危険な妖魔が潜んでいるからだ。
案の定、妖魔に襲われた一行はひとり、またひとりと人員が欠けていく。森林地帯を抜けてもまだ襲い掛かってくる妖魔に、室季和は家人たちを見捨てて馬車で駆け抜けていってしまった。それを見過ごせなかった珠晶は危険を承知で見捨てられた家人たちの方へ戻り、みんなをまとめて妖魔を退治した。が、珠晶はみんなとはぐれてしまう。
のまず食わずで3日間粘った珠晶は頑丘・利広と合流することができたが、妖魔に襲われて頑丘が負傷を負ってしまう。絶体絶命のピンチに陥った珠晶と頑丘を救ってくれたのは黄海の守護者である天仙・犬狼真君だった。
ようやく目的地である蓬山に辿り着いた珠晶は供麒に迎えられ登極する。


感想:
利広の正体はてっきり麒麟だと途中まで思っていたのだが。意外な正体だった。というかこいつのセリフは意味不明なのが多い。
珠晶のキャラはいまいち好きになれないが、昇山する目的がかっこよく、頭の回転の速さもあって陽子より好感もてる。
ストーリーは昇山にスポットをあてたもので、昇山がいかに危険なものかを描いていて、面白かった。

読書感想文【風の万里 黎明の空 十二国記】

2006年08月25日 01時57分19秒 | 読書感想文
今回は「月の影 影の海」の続編ともいうべきシリーズ。

風の万里黎明の空(上) 風の万里黎明の空(下)

大木鈴は貧農の家に生まれたため、口減らしで奉公に出された。が、途中で蝕にあい、才の国に辿り着いた。言葉が通じないことに困った鈴は、言葉の通じる飛仙・梨耀と出会い、仕える。そして100年間こき使われてきたが、ついに我慢の限界に達し、梨耀の元を脱出。才王である黄姑の元に逃げ込んだ。しかしその黄姑からも追い出されてしまった鈴は、自分と同じく日本から来て最近慶の王になった陽子のところに行こうと決めた。

芳王・仲韃は厳しすぎる法で民衆を縛ったため、諸侯の1人・恵州侯月渓に討たれてしまう。その公主であった祥瓊は月渓の情けにより殺されず、里に出された。が、そこで出自がばれてしまいいられなくなり、仕方なく月渓によって恭王珠晶に預けられた。しかし下女として働くことにプライドが許さず、恭を脱走。慶の王が自分と同じ年頃の女性だと知り、自分が慶の王になってやろうと企てた。

慶の王・景王になった陽子は官の派閥争いにうんざりし、まったく政治を行えない状態に陥っていた。初勅も決まらず、行き詰った陽子は思い切って民の中に混じりこの国のことを知ろうと考えた。

慶に辿り着いた鈴と祥瓊は、和州侯・呀峰と止水郷郷長・昇紘が圧制をしいているのを見て、景王に失望する。いつしか二人はそれぞれレジスタンスに身をおくことになり、昇紘と呀峰の打倒に専念する。そこに陽子も加わり、和州の乱が起きた。危機に陥りつつも乱は鎮圧され、呀峰を影で操っていた前冢宰・靖共の罪も明らかにすることができた。
そして陽子はこの乱を通じて出会った信頼できる部下たちを登用し王朝の新出発をきった。


感想:
特筆すべきは雁・慶・才・芳・恭の五カ国の王が登場するという珍しいシリーズであることか。
途中、鈴や祥瓊がうじうじと語るシーンが多く、辟易してしまわないでもなかったが、最後の終わり方は全シリーズの中でも一番気に入っている。陽子の活躍も読んでて楽しい。

読書感想文【風の海 迷宮の岸 十二国記】

2006年08月23日 01時56分51秒 | 読書感想文
今回は麒麟にスポットをあてた話。

風の海迷宮の岸

『風の海 迷宮の岸』

ストーリー:
麒麟は蓬山に生まれ、やがて自らの主である王を選ぶ。が、泰麒は卵果の時に蝕にあい、蓬莱に流れた。胎果として生まれた泰麒は10歳まで日本で育つ。その後仙女によって発見されて蓬山に戻り、珍しい黒麒麟であることがわかった。だが蓬莱で過ごした時間が長かったせいか、泰麒は麒麟への変身―転変をする術がわからず、自らの使令も持てなかった。仙女たちは泰麒のあせりをなだめようとするが、その気遣いがかえって泰麒を傷つける。
やがて戴の国から、我こそは王に認めてもらおうとする人たちが蓬山を訪れ、泰麒はその中から王を探さなければならなかった。
しかし、訪れた人たちの中から王を見つけることができなかった。かわりに戴の女将軍である李斎と親しくなり、さらに戴で最高の軍人である驍宗にも、畏怖の念を抱きつつも親しくなった。
泰麒から、麒麟としての力を持たないことを打ち明けられた二人は、泰麒を妖獣の狩りに連れ出す。が、そこで出会ったのは伝説の妖魔・饕餮だった。李斎が負傷し、驍宗も身動きがとれなくなった中、泰麒は饕餮を折伏し、成功した。

やがて李斎も驍宗も蓬山を離れるときがきた。しかし驍宗に別れ難いものを感じた泰麒は、周囲の制止を振り切って麒麟に転変して驍宗の元へ向かい、彼を王として認めてしまった。
本来、麒麟は王たるべき人物に出会うと天啓が降り、自然に王がわかる。だが泰麒は天啓が下っていない驍宗を王に選んでしまったため、罪の意識におびえる。そのまま驍宗の即位式まで迎えてしまう時、慶の麒麟である景麒が泰麒のもとを訪れる。すべてを話した泰麒に、何もいわない景麒。2日後、雁の王である延王と延麒が泰麒のところへやってきた。周囲から延王へ頭を下げろといわれた泰麒だが、なぜか頭を下げることができない。
実は麒麟は自国の王にしか頭を下げることができず、そのため頭を下げることができた驍宗は間違いなく王であることが証明された。天啓とは麒麟が自分の王を選ぶことを指すのだった。


感想:
なんかストーリーがすごい下手くそだな。見せ場はやはり饕餮の折伏シーン。一度も妖魔を折伏できなかった泰麒が初めてゲットした使令が伝説の妖魔であるところが興奮する。仙女たちも聞いてびっくりの場面。
泰麒が間違って王を選んでしまい、これからどうなるのだろう、というハラハラ感もよく、ミナミも最後まで騙された口だった。でも驍宗の性格はいまいち好きになれないなぁ。

読書感想文【東の海神 西の滄海 十二国記】

2006年08月21日 09時25分57秒 | 読書感想文
今回も十二国記シリーズから。主人公の尚隆はほぼ全シリーズに登場する、十二国きっての快男児。

東の海神(わだつみ)西の滄海

ストーリー:
雁の国の麒麟である延麒はまだ胎果の時に蓬莱に流されてしまい、室町時代の日本で六太という名で育った。が、戦乱の日本から戻った六太はとある海辺で妖魔に育てられた少年と出会い、更夜という名を与えた。
自分の使命を知った六太は再び日本に行き、瀬戸内海の弱小豪族である小松氏の元に厄介になる。そこで六太は、小松氏の跡取り・尚隆に出会う。

小松氏は村上軍によって滅ぼされ、尚隆は六太によって選ばれて雁の国の王・延王となった。当時の雁の国は前王の暴虐により国土は荒廃し、人口も激減していた。
だが王となった尚隆は自分に諫言をした二人の官吏を抜擢したこと以外はなすことなく、政務をまったく省みずに6年の月日が過ぎていった。
雁の国の中の元州から、治水工事の嘆願が3度に渡って尚隆の元に届いたが、尚隆はまったく手を付けない。尚隆は各州の長である州侯の権限を奪い取っていたため、州では治水工事ができないのだが…。
ある日、更夜が六太のところへ尋ねてきた。久しぶりの再開に喜ぶ六太だったが、更夜に拉致されて元州に連れ去られる。元州では数年前から州侯が病に臥せ、かわりに息子の斡由が政務を取り仕切っていた。民衆への思いが強い斡由は、その民衆を脅かす川の氾濫を防ぐため、治水工事の嘆願を王へ提出していたが、一向にその願いが叶えられないため、業を煮やして麒麟をさらったのだった。そして斡由は尚隆へ要求した。王の上に上帝の位をつくり斡由を上帝につけ、一切の権限を委譲しろと。
大騒ぎする廷臣たちを他所に、一向にあわてない尚隆は元州の討伐を決定する。だが、討伐しようにも兵が不足していた。それに麒麟を人質にとられている以上、尚隆の生殺与奪も相手の思うままだった。
そこで尚隆は国中に宣伝し、兵を募り、尚隆自身はいつのまにか元州の将軍にスカウトされ、斡由の懐に潜り込んでいた。
自身の思惑がことごとくはずれた斡由は、化けの皮がはがれ、尚隆と六太の前で罪を暴かれて斬首された。こうして元州の反乱は終わった。


感想:
シリーズの中で、年代順に並べると、この巻が一番最初にあたる。
作中では六太が尚隆を王に選ぶまでの話しと、現在の元州の反乱のストーリーが交互に描かれる。
結論からいうと、すべて尚隆の手のひらの上で踊らされたような感じで、尚隆が政務を省みず、下界に下りていたのも実は深謀遠慮があってのこと、そんな感じになっている。途中から筋書きが見えてきたのだが、最後の終わり方が爽やか。

読書感想文【月の影 影の海 十二国記】

2006年08月21日 03時13分12秒 | 読書感想文
十二国記シリーズはネットの書評を読んで、前々から興味を持っていたのだが、巻数表示がないのでどこから読んでいいかわからず躊躇していた。
たまたま仕事中暇だったのでネットで注文して入手した。

月の影影の海(上) 月の影影の海(下)

十二国記シリーズはそれぞれが独立した話しなので、一応どこから読んでもいいらしいのだが、やはり独特の世界観はとっつきにくいので発売順がいいんじゃないだろうか?ということで今回は最初のシリーズ。

『月の影 影の海』

ストーリー:
東京に住む女子高生・中嶋陽子は家では親に決して逆らわず、学校では決して友達に嫌われないよう振舞う大人しい性格をしていた。ある日学校に金髪の男・ケイキが訪れ、陽子を主と呼び、一緒にきてほしいと行ってきた。ケイキと見たこともない獣(使令)の後を、バケモノが追いかけてくる。逃げた先は海に浮かぶ月の影。きづくと陽子は異世界にいた。

その世界は十二の国と中央の山から成り、それぞれの国は王が治めている。陽子が辿り着いたのは”巧”という国だった。この世界では”蝕”という怪現象が稀に起き、そのたびに日本(こちらの世界では蓬莱とよぶ)から流れてくる日本人が昔からごくごく少数だがいた。それらの人は海客と呼ばれるのだが、巧の国では海客は役人に突き出され、よくて軟禁、最悪処刑されるのが法で定められていた。

ケイキたちとはぐれてしまった陽子は何をしていいかわからない。そして一度は役人に捕まった陽子だったが護送中に妖獣が襲ってきたため運良く逃げ延びた。その後も人に見つからないよう旅を続け、夜は襲い掛かってくる妖獣と戦い続ける日々が続いた。頼りになるのはケイキからもらった宝剣と、陽子の体を操って妖獣を切ってくれるジョウユウだけだった。途中、人に騙され続け、完全に人を信用できなくなっていた陽子だったが、力尽きた時に助けてくれた半獣の楽俊と一緒に雁の国を目指すことに。一度は楽俊とはぐれてしまった陽子だったが機転で船に乗り込み雁の国に辿り着き楽俊と合流。そして雁の王・延王と邂逅する。そして陽子は自分が景の国の王であることを知る。

景の国は現在、全王の妹・舒栄が偽王として振舞っていた。が、この世界では王が偽者であると国は乱れる。景の国は最悪の状態であり、さらに王を補佐する麒麟であったケイキ(景麒)は捕らえられていた。その背後には巧の王・塙王がいた。陽子に襲い掛かってきた妖獣はすべて塙王の差し金であった。
そして延王の力を借りて舒栄を討った陽子は景の国王となる。

感想:
世界観がすごいというかやたら細かい。一応中国の神話などをベースにした世界観になっており、国の風俗も中世の中国に倣っているようだ。また、歴史背景なども色々設定されており、とにかく設定だらけの小説。まぁファンタジーだから仕方ないが。
内容は最初の方こそ結構退屈で、そもそも陽子の性格がいまいち好きになれなかったせいもあるんだが、一人旅の途中からだんだん面白くなり、陽子が王だというのがわかってから一気に加速する物語がよかった。
ただ麒麟の景麒はいまいちだようなぁ。