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ゲーム攻略、読書感想文など。

【マンガ100選】その23 ナムジ―大国主

2007年02月15日 02時27分40秒 | マンガ100選
安彦良和といえば一般にはガンダムのキャラクターデザインで有名だが、歴史マンガもけっこう書いている。

『ナムジ―大国主』
作者:安彦良和




ストーリー:
神話の時代の日本。今の島根県にあたる出雲の国の倭人・ナムジは、渡来系の布都族の支配に対して敵意を抱いている。があるきっかけで布都の支配者・スサノオの娘・スセリを手篭めにした。やがてナムジとスセリの婚姻は認められ(なぜかスセリはナムジを気に入る)、布都の一族となり、筑紫の邪馬台国や、大和政権と戦う。
スサノオが日向にある邪馬台国の女王・卑弥呼に篭絡された後、続いて邪馬台国で虜囚となってしまったナムジは、意に沿わぬまま故国・出雲と戦う羽目になり、実の息子と刃を交える。
その後、スサノオの三男・オオドシとともに大和を攻略。オオドシはここに政権を打ち立てる…。



感想:
細かいストーリーは全然覚えてない。基本的には記紀神話をベースに作者が大胆な仮説を立ててストーリーが作られている。
主人公ムジナはまるで初期のアムロ・レイのように青臭い青年だったのだが、様々な戦いを経験していくうちに今度は無気力なおっさんになってしまう。神武が登場するラストは結構感動的な終わり方だった。
このマンガには『神武』という続編があり、これも読まないときちんと物語が完結しないのだが、とりあえずはこのナムジを日本神話の入門として読むのはお勧め。もちろん日本神話に興味がなくても面白い(と思う)。



【マンガ100選】その22 ブラックジャック

2007年02月14日 01時31分03秒 | マンガ100選
いわずと知れた医学マンガの金字塔。

『ブラックジャック』
作者:手塚治虫




ストーリー:
モグリの開業医・ブラックジャックが法外な手術料を患者に吹っかけて様々な難手術を成功させたり、時には無料で手術したりしながら医学界や社会に対して風刺をする。



感想:
ストーリーははしょった。全話が一話完結になっているのだが、どの話もクオリティが高く、30年近く経った今読んでも全然色あせない内容だからすごい。
最近夜勤中に一気に読んで気づいたのだが、ブラックジャックが患者(というか患者の家族)に法外な値段を吹っかける理由がわかった気がする。それは命の価値を思い知らせること。特に不治の病に侵された患者にしてみれば、命が助かるならばどれだけお金を出しても助かりたいと願うのが当然。が、その家族はそれがわからない。そういうことをわからせるためにブラックジャックは法外な値段をふっかけてるんじゃないだろうか。



それと、「人間が人間を裁いてはいけない」と言った本人が、ある事情によって人間を襲うようになった動物を殺したとき、「人間が動物を裁いていいのか」という問いかけも胸に刺さる。
こういうかっこいいというか、はっとさせられるセリフが多いのも他の手塚作品には見られない特徴に思える。



今でこそ医学界・医療現場を舞台にしたマンガはけっこうある。だが実際には存在しない病気が出てくるどころか、宇宙人や幽霊を手術する話まで出てきてしまうブラックジャックを超えるマンガは今のところでていない。この理由は考えるに値するものだと思う。

【読書感想文】使命と魂のリミット

2007年02月14日 00時55分51秒 | 読書感想文
少し時間経ってるが、東野圭吾の最新作。得意の理数系ミステリー?

『使命と魂のリミット』
作者:東野圭吾



ストーリー:
帝都大病院で研修医をしている氷室夕紀はある目的があって、心臓外科の権威・西園の下で勉強していた。
直井穣治はある理由により、帝都大病院に入院しているアリマ自動車の社長・島原総一郎の命を狙っており、着々と準備を進めていた。

ある日帝都大病院に脅迫状が届いた。が、第一発見者が夕紀だったため、病院から秘密裏に警察に渡された。続いて病院内で第二の脅迫状が見つかる。さらに病院内のトイレに発炎筒が仕掛けられ、帝都大病院は、希望する患者を自宅療養にさせたり、他の病院に転院させる処置にでた・・・。


感想:
毎回ストーリーをまとめるのがうまくいかないのだが、今回は特にひどい・・・。
本書は大学病院内で発生した脅迫事件について、研修医の夕紀、刑事の七尾、犯人の穣治の3人の視点で交互に描かきながら進行される。
刑事の七尾は以前から上層部からよく思われておらず、手柄を立てる機会すら与えられないのだが、今回は捜査方針に歯向かい、一人たんたんと事件の核心に迫る重要な役。が、もう少しかっこよくというか、なぜ七尾だけが核心に迫れたかを説得力あるように書いてくれるとよかったかも。人並みはずれた才能がある、みたいな書き方はされてないし、ほとんど勘で捜査を進めてるにも関わらず核心に迫るというのはなんかリアリティに欠ける気がする。

また、本書はミステリーというよりは人間ドラマという感じの内容なので、ひねったものが少し物足りない。もう少し意外性のある話だったらよかったかな。でも手術後の西園の告白シーンはちょっと意表をつかれた。一応ラストの展開も伏線はあったものの、夕紀の最後のセリフにそれほど感銘を受けれなかった。
でも1日で一気に読んでしまう面白さではある。

【読書感想文】ナイチンゲールの沈黙

2007年02月13日 03時26分05秒 | 読書感想文
以前にこのブログに書いた『チーム・バチスタの栄光』の続編。今回も舞台は東城大学医学部付属病院。



『ナイチンゲールの沈黙』
作者:海堂尊

ストーリー:
小児科病棟に勤務している看護師・浜田小夜はある晩、伝説の歌姫・水落冴子のシークレットライブに参加、小夜が歌っている途中に倒れた冴子をそのまま東城大学病院に搬送する。
冴子を入れる空き室がないため、急遽VIPルームに入院することになったため、”愚痴外来”の田口公平が担当することになった。

小児科病棟には牧村瑞人という14歳の患者いた。彼は眼球の中に癌があるため、片目を摘出しなければならないが、本人は拒否。片親である瑞人の父もまったく病院に顔を出さないため親の承諾も得れていない状態であった。
だが時間がないことから意を決して瑞人の父に会いに行った小夜は、手術の承諾書を渡す。そして数日後、瑞人の父親に承諾書を渡すという名目で呼び出された小夜は瑞人の父に襲われそうになる。
翌日、瑞人の父が自宅で遺体となって発見された。しかも遺体は解剖されており、摘出された臓器は部屋中に散らばっていた。
警察庁から桜宮署に出向中の型破りの警察官僚・加納達也警視正は早い段階で小夜と瑞人を容疑者として特定した。しかし小夜のアリバイは固く、入院中の瑞人の犯行を証明するのも難しかった。しかも入院患者であり未成年の瑞人への聴取は簡単にはできないため、学生時代の同期である厚生省の白鳥に病院内での調査を押し付ける・・・。


感想:
今回も田口&白鳥が調査をする話なのだが、犯行を証明する手法がいまいちというか納得いかないというか、釈然としない。もう少し論理的な解明方法を前面に押し出してほしかった。それなりに伏線も張られているのだから、もったいない気がする。
また、登場人物の人物造形が前作以上に臭いというかわざとらし過ぎるというか、特に冴子とそのプロデューサー・城崎が小夜とするやりとりがなんか読んでる方が恥ずかしくなるセリフばかりで正直白けた。
作内に登場するウルトラマンの二番煎じ特撮ヒーローもの「ハイパーマン」が面白い。下手すると本編よりそっちの方が面白いかも。

なんかすごい酷評になったが、まぁ普通に面白い。白鳥が桜宮巌雄をばっさり断罪するセリフは本作の白眉。でも医学ミステリーという観点からは前作の方が全然面白いかな。
あと細かい設定多すぎ。


【読書感想文】はちまん

2007年02月09日 19時19分46秒 | 浅見光彦シリーズ
上下巻のボリュームある内容だが・・・

『はちまん』
作者:内田康夫

 



ストーリー:
女性カメラマン・小内美由紀は取材で立ち寄った長野県で、小内八幡という神社を見つけ、飯島という老人と出会った。が、飯島はその後秋田県で他殺体となって発見された。
国会ではサッカーくじを決める法案が着々と進んでいた。が、文部省主体のサッカーくじは、文部省内部でも反発が少なからずあった。文部省の役員松浦は反対派の急先鋒であり、上司にたてついていたのだが、婚約者の美由紀を残して高知県へ左遷になる。
美由紀とであった浅見光彦は飯島の不審な死に疑問を持ち、調査のため秋田に立つ。が、芳しい成果は得られない。一方、高知県ではサッカーくじ反対派が何者かに脅かされていた。飯島が各地で八幡神社巡りをしているのを知った浅見は飯島が会いに行った人物を片っ端から訪問、そして小内美由紀の祖母も含めたそれらの人物が50年前の終戦のとき、ある誓いを立てていたことを知る・・・。


感想:
今回はほぼ100%社会派になっている。浅見の訪問先は秋田、高知、金沢、熊本、広島などにわたるが、珍しく各地の名所などの紹介が全然ない。さすがに秋田と高知は事件の舞台となっていることもあり、多少詳しい解説があるが、それでもいままでのシリーズに比べると旅情的な箇所は少ないと感じた。
ヒロインは一応美由紀なのだが、松浦という婚約者がいるため浅見とのロマンスはなし。これもちょっと不満ではあった。
全体的な感想としてはいまいちかなぁと思った。50年前の誓いとか八幡神社などが話の骨子になるのだが、いまいちインパクトにかける。サッカーくじ法案も今になってみるとどうでもいいような話だったりする。