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プログラマ視点でみたシリコンバレー シーズン3(3)

2019年01月30日 23時44分12秒 | テレビ番組
シーズン3も折り返し。ようやくジャックが退場しましたがリチャードの苦労はまだまだ尽きません。


<ネタバレあり>


第5話「空いたイス」

次のCEOをきめるため、ローリーは様々の人物と面接をしていました。
ジャレッドがパイド・パイパーの財務状況を調べてみるとかなり厳しいことがわかりました。
ラビーガから500万ドルの出資を受けているとはいえ、プロダクトの作成に200万は受け取りましたが、残りはプロダクトを市場にだしてから。
資金節約のため、営業部隊やシェフなど、創業メンバー以外を全員解雇します。
そしてオフィスも解約、備品も売り払い7万ドルの資金をつくりました。
しかしディネシュは重要なコードが格納されている自分の外付けHDDが売り物の中に偶然紛れ込んで、売られてしまったことに気付きます。
ジャレッドが買い主を調べて買い戻す交渉をしましたが断られたため、ギルフォイルが修理会社のふりをして相手の家に乗り込み、HDDを物理的に破壊しました。

アーリックはビッグヘッドの資産を元手に「バックマニティ」というVCを起こします。

カントウェルというブロガーが執筆しているコード・ラグで自分がけなされていることを不満に思ったリチャードは、ローリーにカントウェルの取材を受けさせろと要求。
感情的になったリチャードは危険と判断したローリーはラビーガの広報担当からレクチャーを受けたうえで面接するよう指示します。

ローリーがモニカと二人で飲みながら、リチャードをCEOからはずした自分の不明を謝罪していたころ、ラビーガに赴いたリチャードは広報担当者の前でローリーへの不満をぶちまけます。
しかし担当者だと思ったのはリチャードの勘違いで、カントウェル本人でした。盛大に失言したことを悟ったリチャードはカントウェルに自分の発言をブログに載せないよう頼みます。が、当然もっと大きなネタとの交換だと言われます。

モニカから、実はローリーがリチャードをCEOに復帰させようとしていることを聞いたリチャードは自分の失言を悔やみます。が、偶然ビッグヘッドから、ギャビン・ベルソンがフーリーサーチから自分の悪口がヒットしないようにアルゴリズムをかえさせたことを聞きます。
このネタを、自身の失言ネタとバーターしたリチャードはようやく取締役会でCEOに復帰しました。
自宅に戻るとすでに開発者が雇われていました。人件費を安くするため世界中からオフショアの開発を依頼したのでした。ビデオチャットで彼らに挨拶するリチャード。


営業部隊が、次のCEO候補として口にしたリード・ホフマンは有名な起業家・投資家です。
また、ギルフォイルに、HDDの中は綺麗にしておけと言われたディネシュが「スノーデン」というセリフがありますが、おそらくNSAの個人情報収集の手口を暴露した元NSAのスノーデンのことを指していると思われます。
ギルフォイルが成り済ましたギーク・スクアッドという会社はベストバイという家電量販店のノートPC修理部門です。
最後にリチャードがエンジニアたちと会話に使っていたビデオチャットはフーリーチャットです




第6話「バックマン流バックレ術」

リチャードのCEO返り咲きを祝う飲み会の際、店で知り合ったfacebookのエンジニア・ウィニーとリチャードは意気投合し付き合い始めます。
ディネシュはパイド・パイパーが雇ったエストニア在住のエンジニア・エリザベトに執心し始めます。そして彼女の顔見たさに高解像度のビデオチャットを自作し、パイド・パイパーのおまけ製品のひとつとします。

ギャビン・ベルソンがフーリーサーチの検索アルゴリズムをいじって自分の悪口をヒットしないよう指示した暴露話をカントウェルがブログに載せたため、怒ったギャビンはカントウェルを脅迫。恐れたカントウェルはアーリックに相談します。
実はビッグヘッドは退職時に守秘義務の契約を結んでおり、この暴露話が彼の口から洩れたことがばれれば退職金が没収されます。そこでアーリックはカントウェルの口を封じるためにブログを50万ドルで買収しました。
アーリックの浪費はとどまることを知らず、バッグマニティのローンチのためにアルカトラズ島を島ごと買い取り、盛大なパーティーを計画します。

リチャードたちの職場に遊びに来たウィニーは、そこでギルフォイルたちから、リチャードがタブ派で、スペース派を非常に見下しているという話を聞き、リチャードと二人きりの時にその話を持ち出します。
結局スペース派の彼女とは相いれないと感じたリチャードはウィニーと別れます。

ディネシュは制作したビデオチャット「パイパー・チャット」でエリザベトと会話。しかしディネシュの顔をみた彼女は突然既婚者だと言い出し、振られたディネシュはギルフォイルにからかわれます。

アルカトラズでのパーティーの最中、アーリックはスタッフへの賃金が支払われていないと聞かされ、さらにビッグヘッドが抱える会計士からは破産したことを告げられます。


ウィニーがGitHubにアップしてある自分のソースをディネシュとギルフォイルに見せるシーンで映ったソースは拡張しが.ccなのでC++です。C言語をオブジェクト指向向きに拡張した言語で非常にメジャーです。TVゲームもこれで作られているものが多いです。
また、彼女が説明した「畳み込みニューラルネット」は機械学習の手法です。アタリ2600はアメリカで発売された家庭用ゲーム機です。AIとゲームについてMITで研究していたそうですが、具体的にアタリ2600とAIで何をするプログラムかはちょっと想像つきませんね。。


プログラマ視点でみたシリコンバレー シーズン3(2)

2019年01月28日 23時21分14秒 | テレビ番組
シーズン3の続きです。
ジャックが指揮をとるパイド・パイパーはますますリチャードの理想と離れていきます。。。


<ネタバレあり>

第3話「おとり作戦」

ジャックは”箱”を作ることをリチャードたち開発陣に命じます。
完成した箱はデータセンターに置かれ、エンジニアが1年間そこにメンテナンスのために常駐するというので、ばかばかしくなったギルフォイルは会社を辞めることにします。
リチャードは箱をやめてプラットフォームの制作に方針転換する説得をローリーに頼みます。リチャードの技術を買ってるローリーにしても、その技術がまったく生かされない箱の制作は容認できません。
しかし、箱を作らないならCEOを辞めるとジャック・バーカーに脅されてローリーは引き下がりました。リチャードをCEOから降ろしてまたすぐにジャックを降ろすのは会社が不安定になるからです。

会社を辞めるギルフォイルに各社からオファーがきます。
ヘッドハンティング会社に誘われてそのうちのひとつに顔を出してみると、待っていたのはリチャードの技術を盗んだエンドフレームでした。
盗み損ねた分をギルフォイルから聞き出すのが目的かと思いきや、フーリーのニュークリアス部門で働いていたエンジニアも加わったおかげで、ミドルアウトは完全に解析されていたことを知ります。

それを知り危機感を募らせるリチャードたち。
そこでアーリックのアイデアで、箱を作るふりをしてこっそりプラットフォームをつくる計画を立てます。
ギリギリまでばれなければ、いざ箱の代わりにプラットフォームが完成しても、ジャックは体裁を気にしてリチャードたちを罰せず、なし崩し的にプラットフォームを認めざるを得ないと計算したからです。
ひと晩かけて綿密な計画をたてたリチャードたち。

翌日、リチャードは出社したとたん、ケーブルに躓いて転んだはずみで、鞄の中に入れていた計画書が散乱し、ジャックの手にわたってしまいます。
こうして計画は出社わずか30秒で水泡に帰しました。


冒頭では、マリアントというデータセンター会社のサーバールームが舞台になっていますが、実際のサーバルームはすさまじい冷却風が吹いていて、大声をださないと全然会話ができません。
さすがにドラマなのでそういった騒音はでてませんが、現場を知ってる人間としてはちょっと違和感を感じました。
”箱”のことをアプライアンスと表現しているセリフがありますが、アプライアンスとは特定の機能に特化した製品(家電など)を指します。ここではデータストレージを意味していると思われます。



第4話「マリアント・データ・ソリューション」

箱をつくるふりをするという計画を知ったジャックは激怒します。
しかも箱についてはすでにマリアント社との契約が進行しており、10週間後にはプロトタイプを見せる約束となっています。
しかし、リチャードは、自分たちをクビにしたらミドルアウトの開発者はいなくなり、契約は履行できないと静かに反論します。そこで妥協案として最低限のスペックを満たすプロトタイプの開発までは行い、それが完成したらすぐにプラットフォームに取り掛かるということになりました。
嫌々箱の開発に取り掛かるリチャードたちでしたが結局要求スペックをはるかに超えるプロトタイプを作り上げました。
しかし、ジャックはマリアント社が別の会社と契約を結んだために箱の計画は中止と告げます。それを聞いたリチャードは競合他社の倍以上のスペックを誇る自分たちの箱なら契約を取り戻せると自信をみせ、ジャックとともに再交渉に向かいます。

ギャビンは、遠ざけようとしたデンポックのアドバイスを契機に大胆な方針転換を発表します。

アーリックは新しく面倒をみようとしたエンジニアが他のインキュベータのところに行ってしまったため、そこに怒鳴り込みに行きます。しかしそこにいたのはビッグヘッドでした。
ビッグヘッドは巨額の退職金によって豪邸に住めるようになり、空いた部屋を他人に無料で貸し始めた結果、無自覚のうちにインキュベータと同じことをしていたのです。
対抗意識をむき出しにするアーリックでしたがすぐに気が変わり、ビッグヘッドと手を組みベンチャー・キャピタルを起業することにしました。

マリアント社との再契約について、取締役会で動議がかけられました。全員が契約について賛成ムードでしたがモニカが待ったをかけます。
契約書ではマリアントへ5年間の独占販売をする見返りで3倍の値で購入してもらえる一方、箱に使われているアルゴリズムも5年間の縛りを受け、別の製品に使えないことになっていたからです。
それに対しジャックは、箱の販売による数字(売上見込み等)を出した自分の主張はローリーも反対できないはずだと主張し、ローリーも認めます。しかし採決ではリチャード、アーリック、そしてモニカも反対票を投じたため契約は否決となりました。
ローリーは翌日にモニカを別の人に代えて再度採決することを決定します。モニカもそれはわかっていましたが、かつてリチャードのCEO解任に賛成したとき、自分が取締役として残ることでリチャードの力になれる、といった約束をここで遂行したのでした。

その晩、ギャビンからリチャードへ電話がかかってきてニュースを見ろと指示してきました。
フーリーニュースを見ると、フーリーがエンドフレームを2億5千万ドルで買収したという記事がでていました。ギャビンはニュークリアスで失敗した圧縮技術の開発を買収で解決したのでした。
それを聞いたアーリックは大笑いします。採決の時、ジャックはプラットフォームが数字を出せない点を責めていましたが、ギャビンがミドルアウトのアルゴリズムに値をつけたのです。
その値段は箱の販売による利益よりも遥かに高額です。これで再採決はなくなり、間違いなくマリアントとの契約は否決となります。

翌日、ジャックの悔しがる顔を見るのを楽しみにしながら出社すると、CEOの席にはローリーが座っていました。ジャックはCEOを下され、しばらくはCEOは空席にするとのことでした。


プログラマ視点でみたシリコンバレー シーズン3(1)

2019年01月27日 01時40分27秒 | テレビ番組
今回からシーズン3です。
衝撃的な最後で終わったシーズン2最終話の直後から開始になります。


第1話「創設者に優しい」

CEOをクビになったと聞いたリチャードは怒りに震えラビーガに乗り込みます。
ローリーは、リチャードをCTO(最高技術責任者)にして開発に専念させ、CEOはベテランの経営者を雇う腹積もりでした。
しかし、自分が作った会社なのにそこの従業員に成り下がることに納得いかないリチャードはパイド・パイパーを辞めて転職することにします。

翌日、モニカがリチャードを引き留めに来ますが、耳を貸しません。
しかし次のCEOはジャック・バーカーという実績豊富なCEO経験者に決定しました。アーリックはラビーガに乗り込んでジャック・バーカーを挑発しようと試みますが、逆に彼におだてられてあっさり取り込まれ、リチャードにもジャックと会うことを勧めます。
リチャードは自分が辞めればジャレッド、ディネシュ、ギルフォイルも辞めてパイド・パイパーは立ち行かなくなるだろうと思い込んでいましたが、ギルフォイルとディネシュは残る判断をします。
自分なしでパイド・パイパーの開発をできると思い込んでる二人を罵倒したリチャードは、ジャレッドが探し出してくれた就職先の中で最も条件のいいフラタービーム社に話を聞きに行きますが、そこで彼に任せられるプロジェクトは微妙なものでした。

フーリーでは、ギャビン・ベルソンがニュークリアス失敗の責任をプロジェクトメンバーたちにとらせて全員解雇します。そしてまた、1700人の社員が違法契約のために退職になります。それらのおかげでプールできた資金でビッグヘッドに口止め料としての退職金2000万ドルを出して解雇します。

ギルフォイルとディネシュは、さっそくリチャードが書いたソースコードを見てみますが、結局リチャードの言った通り、彼抜きでのパイド・パイパーの開発は無理という結論になり、会社を辞めようと決めます。

フラタービームの契約書をピート・モナハンに見てもらいったリチャードは彼からジャックに一度会ってみることを勧められます。
ジャックに正直に気持ちを話すと、彼はリチャードが辞めるなら自分もオファーを断るといいます。
結局リチャードは残る決断をしました。


ついにこの話でミドルアウトのソースコードがでてきます。言語はC言語で書かれています。ギルフォイルとディネシュが首を捻っていた、0x79481E6BBCC01223というハードコーディングされた値は意味不明です(もっとも調べてわかるような代物ならギルフォイルたちも理解しているでしょうが)。



第2話「箱にはペア入り」

パイド・パイパーのCEOをクビになりCTOとなったリチャードでしたが、資金や場所について悩む必要がなくなり健康状態は良くなりました。
新しいCEOジャック・バーカーは新しいオフィス、新しい会社ロゴを用意し、リチャードたちも気に入ります。これまで会社の資金のために家を他人に貸していたジャレッドも、自宅に戻ることにしましたが、貸していた住人は屁理屈を言って居座ってしまいます。
残念ながら訴訟を起こそうにも1年待ちの状態で、州の法律も家主は保護していないのでジャレッドは泣き寝入りします。

フーリーではギャビン・ベルソンがフーリーサーチでエゴサーチした時にでてくる自分の悪口をヒットしないようにしろと部下に命じます。失敗の責任をとらされてクビになったニュークリアスの部隊に退職前の最後の仕事として割り振られました。

翌日リチャードたちが出社すると営業部隊の人たちがいました。ジャックいわく世界一の営業部隊とのこと。
彼らの前で今後の戦略を説明するリチャードでしたが、リチャードがBtoCのプラットフォームを開発するつもりなのに対し、彼らはジャックからBtoBと説明を受けていたため混乱します。

アーリックはチアン・ヤンに見切りをつけ、屋敷を退去するよう言い渡しますが、ジャレッドが居座られた話を聞き、自分もこのまま居座ることに決め、アーリックをいらだたせます。

ジャックからもBtoBのプロダクトを作れと言われたリチャードはギルフォイルとディネシュにその話を伝えますが、彼らはそれほど気にしません。当初のプランが後回しになったとしても自分たちに競合できる企業はないからです。
しかし、ニュークリアスの部隊がついにミドルアウトの仕組みに気付きます。彼らはそれをギャビンには伝えず、よその会社に売り込むことにしました。

BtoB向けのプロダクトについて営業部隊と議論するリチャードでしたが、彼らはニューラルネットやディープラーニングの機能は売りづらくなるからいらないと主張します。そこでジャックを説得するも、会社にとってのプロダクトは株、だから株価が上がるものをつくるべきだ、といい営業部隊の肩を持ちます。そしてたまたまリチャードが悪い例えとして出したデータセンターに置くためのデータストレージが営業部隊に気に入られ、それを開発する方向に舵が切られました。


ジャレッドが部屋を貸すために利用したAirbnb(エアービーアンドビー)は実在のユニコーン企業です。日本でも民泊の仲介で利用されています。
フーリーサーチでギャビンの悪口がヒットしないようにしろと命じた際、部下がアルゴリズムの中立性を崩すのはGoogleでも問題になったというせりふがありますが、おそらくGoogleがかつて中国に進出していた時、中国共産党の悪口をいうサイト等がヒットしないようにしたことを指していると思われます。ちなみにブラウザに表示されていたURL(hooli.com)は実際にあります。もちろんpiedpiper.comもあります。シーズン5終了時点の会社情報が掲載されています。
パイド・パイパーに組み込まれているニューラルネットとは、人間の脳神経伝達の動きをモデル化した数理のことです。正解データ(教師データといいます)をたくさん与えて、正解に共通するものを学習し、精度の高い判断ができるようにする、というものです。リチャードも営業部隊に「ニューラルネットはパターンを認識することでアルゴリズムを最適化し処理速度が向上する」と言っています。これを削除することはディープラーニングが使えないことを意味します。





プログラマ視点でみたシリコンバレー シーズン2(5)

2019年01月26日 18時40分14秒 | テレビ番組
いよいよシーズン2最終回です。

<ネタバレあり>

第9話「拘束力ある調停」

ビッグヘッドは偶然、ニュークリアスが搭載されたベータ版フーリー・フォンを手に入れます。
あまりのひどい出来に驚くビッグヘッドはそのフーリー・フォンをリチャードにあげます。

このフーリー・フォンがもしメディアの手に渡れば盛大に叩かれて株価にすら影響を及ぼすことが考えられます。
リチャードはこのフーリー・フォンの引き渡しと引き換えに訴訟を取り下げるようギャビンに交渉しますが、ギャビンも引かず、双方の弁護士同士で協議した結果、訴訟は正式な裁判ではなく、拘束力のある仲裁にゆだねられることになりました。
裁判だと1年以上も続くのに対し、わずか2日でけりがつけられることになったのはリチャードたちには朗報でした。
そして弁護士はロン・ラフラムの紹介で腕利きの元弁護士ピート・モナハンが担当することに。モナハンは数々の違法を犯し弁護士資格をはく奪され、現在も保護施設に住んでいる男でした。
裁判の関係資料を調査した彼は、パイド・パイパーの開発にフーリーの資産を使ったり職務中に内職でもしていない限り勝ちは揺るがないと断言します。

ジャレッドはライブ配信し続けているカリフォルニアコンドルの卵が死んでいるのではないかと気になりだし、監視している博物館に問い合わせしようとしますが、ギルフォイルとディネシュは「シュレーディンガーの猫」の話を持ち出し、もし卵が死んでいることを確認したらそれはジャレッドが殺したことになる、と教えます。

モナハンがフーリーから送られてきた大量の関係書類(プリントアウトしたメール)を読んでみると、リチャードがパイド・パイパーの開発を行っていた時期のメールに登場する”彼女”がリチャードのノートPCを指しており、その”彼女”が修理に出されている3日間の間に一度だけフーリーのPCで検証をしていた、というリチャード本人も忘れていた事実が判明します。これをフーリーに勘づかれたらパイド・パイパーの所有権をフーリーは主張できることになり、すなわち負けになります。
絶対に勝てると確信していたリチャードはメールボックスという箱をあけることでシュレーディンガーの猫と同様、自分の負けを確信させられたのでした。

運よく、法廷が始まった時点でフーリー側弁護団はその事実に気付いてませんでした。フーリーの戦術は、ビッグヘッドをパイド・パイパーの開発者に仕立て上げ、さらに本人がそれを否定するのを先回りして、とても謙虚な人物であるという印象を判事に植え付けます。
判事がフーリー側に傾きかけているのを修正するためにモナハンはアーリックを証言台に立たせ、彼がビッグヘッドの開発した「乳首アラート」を評価していた過去を証言させます。しかしコケにされたアーリックは我を忘れて乳首アラートのせいでリチャードのPCが3日間修理にだされた過去をうっかり話してしまいます。
結果、リチャードは負けるのを承知でフーリーのPCでパイド・パイパーの検証したことを認めます。

その頃、ジャレッドから卵の生死の問い合わせを受けた博物館は、卵は死んでいるだろうという結論をだし、さらにライブ配信の視聴者が非常に少ないことも知ったため、巣に設置したカメラを撤去することに。
しかし撤去作業員はカメラをはずそうとしてカメラごと崖下に転落してしまいます。


最終話「コンドルの2日間」

翌日、転落した作業員を映したライブ配信はネット上で瞬く間に拡散し、アクセス数が急増します。それでもクォリティを落とさずに映像配信できていることに一同は感動します(苦しんでいる作業員を眺めながら)。
ますます増加するアクセスに対し、サーバがその負荷に耐えられるよう、ギルフォイルはサーバの台数を増やします。
しかし、ガレージや部屋の中に設置したサーバは当然冷却に問題があるため熱を持ち出し発火しだしました。それでもアーリックまでコーディングに加わり、最終的に30万を超えるアクセスになったライブ配信は最後までやりきることができました。

仲裁では判事がフーリーの訴えを認め、パイド・パイパーの知財はフーリーのものとなりました。
フーリーに渡すくらいなら事故を装ってすべて削除することをギルフォイルたちから提案されていたリチャードは、自分たちの作ったものが例えフーリーにわたっても見守り続けたいと考えていましたが、結局ジャレッドにメールし、プロダクトをすべて削除するよう命じました。
ギャビンが起こした他の訴訟のうち、ジャレッドをリチャードが不当に引き抜いた件については、そもそもフーリーとジャレッドとの雇用契約に、州の法律に触れる文言があったために雇用契約自体が無効という判決がくだされました。
パイド・パイパーが手に入ったギャビンはそれをまったく気にしませんが、実はリチャードとフーリーとの契約も同様に無効であり、フーリーがパイド・パイパーの知財を所有することはできない、という判決が下されました。
予期せぬ逆転勝訴に喜ぶリチャード。
その直後、プロダクトの削除を命じたことを思い出し、慌てて帰宅します。幸い、ディネシュが作った削除プログラムがバグっていたために間一髪間に合います。

この一件で、フーリーの社員の半数が契約無効ということが発覚し、ギャビンの進退問題に発展します。

ラビーガでは、ローリーがラス・ハンネマンからパイド・パイパーの議決権を買い取り、ハンネマンとパイド・パイパーの縁は切れました。代わりに議決権は5票中3票がラビーガという事態になりました。
勝訴の歓びにわくリチャードのもとへモニカから電話がかかってきました。ラビーガは緊急取締役会を開き、リチャードをCEOから降ろすことにした、という決定が伝えられました。


ライブ中継が掲載されたバズフィートやRedditは実在のニュースサイト、SNSです。その際ギルフォイルがいった「サーバをスケールアウトする」というのは簡単にいえばサーバ(≒ハード全般)そのものを増設し、並列処理の能力をあげることです。それに対してCPUやメモリ増設による処理性能の向上を「スケールアップ」といいます。スケールアウトは水平スケール、スケールアップは垂直スケールともいいます。話の中ではギルフォイルが稼働させるサーバ台数を増やし、それにともないケーブルなどを大量に敷設していました。一般的にはサーバにリソース不足が発生した場合、スケールアップよりスケールアウトの方が効果的といわれます。ただしコストはスケールアウトの方がかかるため、一概にどちらが優れているとは断言できません。
リチャードがいじっていたソースはSMILというマルチメディアの扱いに特化したXML形式の言語です。再生にはRealPlayerなど、扱えるソフトが限られています。なので滅多に使われているのを見ませんが。



プログラマ視点でみたシリコンバレー シーズン2(4)

2019年01月23日 14時20分14秒 | テレビ番組
シーズン2もいよいよ佳境に向かっていきます。
今回も動画がらみの話になります。

<ネタバレあり>

第7話「アダルト向けコンテンツ」

エンドフレーム社に乗り込んだリチャードたちは、悪びれない彼らに営業部隊の陣容を見せつけられ、自分たちより技術は劣っていてもビジネスでは大きく差をつけられていることを思い知らされます。

ギャビン・ベルソンはニュークリアスの大失敗は次の成功につながると取締役会で説明し、ビッグヘッドが部長を務めるXYZ部門に施策を命じますがまったくあてになりませんでした。

損失を補填するため、早急に売り上げをだしたいハンネマンはエンドフレームと組む話をリチャードに持ち掛けますが、パイド・パイパーにとって不利な合併になるのは明らかだし、自分の技術をパクった連中と組む気になりません。
するとハンネマンは出資を取り下げると脅してきます。
リチャードは顧問弁護士のロン・ラフラムにハンネマンとエンドフレームへの訴訟を相談しますが、ギャビンとの訴訟を控えている今、それは無謀だといわれます。

エンドフレームがポルノサイトのインターサイト社と契約したという話を聞いたギルフォイルは、自分たちも同じことをしたらどうだと提案します。
この手の契約には詳細を取りきめるために長い時間が必要となるのですが、ギルフォイルはエンドフレームに乗り込んだ際、CEOのマークのPCに貼ってあったログインIDとパスワードを盗み、ハッキングしてインターサイトとの契約内容を入手していました。
邪道に踏み込む覚悟をしたリチャードは、インターサイトのCEOケンドルに会い、エンドフレームと技術力を競い、優れた方と契約するよう頼みます。


エンドフレームに乗りこんだ時、ホワイトボードにミドルアウトのアルゴリズム図が書かれていますが、LZWやエントロピー符号化(ENTROPY CODING)といった圧縮アルゴリズムの用語が書かれており、それっぽい雰囲気をだしています。



第8話「ホワイトハットとブラックハット」

エンドフレームからまんまと契約を奪い取ったリチャードは、次にハンネマンに裁判費用と技術者への給料のために小切手を依頼しますが、断られます。

ギャビン・ベルソンはニュークリアスの大失敗がいよいよ避けられない事態になったため、その責任を他人に負わせようとし、MITへの就職が決まっていた元XYZ部長のバナーチェク教授を招聘します。しかし復帰した彼はニュークリアス搭載のフーリーフォンを見てすぐに退職、ついにギャビンの責任は回避できない状況になります。

エンドフレームのセキュリティ担当者だったテスが、リチャードたちのせいで契約内容を盗まれた責任をとらされてクビになったことを知ったリチャードは彼に会います。そして契約を自分たちが盗めたのはテスが作ったセキュリティに穴があったわけではなく、IDとパスワードを盗んでやったことを仄めかすと、テスは逆上してパイド・パイパーのサーバを破壊すると脅しをかけます。怯えるリチャードですがギルフォイルとディネシュは意に介しません。再度テスに会って気持ちを確かめますが、さらに逆上させる結果となりました。

アーリックはチアン・ヤンが作ったアプリを売り込みにラビーガに行きます。喫煙が嫌いなローリーは、チアン・ヤンが開発し、モニカのアドバイスで完成した喫煙者をリアルタイムで検索するアプリを気に入ります。しかし、直後に社内でタバコを吸い台無しにしてしまいます。

インターサイトのコンテンツをパイド・パイパーのサーバに転送する作業が始まりました。リチャードはテスがサイバー攻撃をしかけてくるのではないかと気が気でなりません。
そんなタイミングでラス・ハンネマンが祝杯をあげにやってきます。ハンネマンの無神経さについにリチャードの堪忍袋の緒が切れ罵倒します。その時インターサイトから連絡があり、転送したコンテンツが片っ端から削除されていると告げられます。すわテスのサイバー攻撃かと思ったリチャードたちは阻止しようとしますがサーバのコンソールはキー入力をまったく受けつけません。するとハンネマンが1台のノートPCにうっかり載せていた酒瓶を持ち上げると削除が止まりました。ハンネマンが不用意にキーボードの上に酒瓶を置いたため、デリートキーが押されっぱなしになったのでした。
翌日、インターサイトに謝罪に訪れるリチャードたち。当然許されるはずもなく、1500万ドルの契約は成功を目前にしてあえなく失敗しました。

カーラのセリフにあったトランスコードとは、動画のビットレートを下げる際に、本来必用なアナログ信号にデコードする処理を飛ばして直接デジタル信号にデコードすることです。
また、ディネシュのディスプレイにはJavaのソースコードが映っていました。ちなみに開発環境は標準的ともいえるEclips。画面に表示されていたソースコードはBuffere.javaという名前で、それが含まれているパッケージ名はsrc.p2pradioであることがわかります。P2P(Pear to Pear)は後のエピソードで重要なキーワードとなりますが、この時点でP2Pの話はでていなかったので、用途不明でしたがシーズン3で明かされます。現在だとP2PはLINE電話やSkepeなどに使われている身近な技術です。
ちなみに、P2Pを使っているとはいっても、サーバを自前で用意しているのでパイド・パイパーは従来のサーバ・クライアント式なのは間違いないです。
インターサイトからデータ転送するシーンで、ついにパイド・パイパーのプラットフォームが画面に表示されます。バージョンは「Alpha Build 3.93」となっています。またその背後のLinuxっぽいコンソールにはコンテンツの転送中らしき表示が見られます。プロンプトには[rsync_user]というログインユーザ名が表示されています。rsyncはLinuxのコマンドで、サーバ・クライアント間のディレクトリやファイル単位で同期をとるコマンドです。
ギルフォイルのセリフにあったSQLインジェクションは比較的メジャーなサイバー攻撃方法です。ユーザがWebで入力した値がSQLをいじる構文になっていて、予期せぬデータ更新がかかる、という手法です。