BLOG in Atelier.Minami

ゲーム攻略、読書感想文など。

プログラマ視点でみたシリコンバレー シーズン5(4)

2019年02月20日 00時43分24秒 | テレビ番組
いよいよシーズン5もラスト。
怒涛の展開が待ち受けています。


<ネタバレあり>


第7話「新規仮想通貨公開」

ようやくローリーからシリーズBの条件概要書を提示され、目前に迫った増資に喜ぶリチャードたち。

リチャードがローリーにあげたクレジットは転売され続け、買いもどすには160万ドルも必要になってしまっていました。
それを聞いたギルフォイルはリチャードに仮想通貨の公開を提案します。クレジットが高額になるということはそれだけパイド・パイパーが評価されているといえるからです。
反対するリチャードですが、仮想通貨で資金を集めることができればVCの出資を受ける必要がなくなり、以前のようにCEOの座を追われるリスクもありません。
心を動かされたリチャードはモニカに相談します。しかしVCの枷から逃れるための仮想通貨公開の相談をVCにすることに呆れるモニカ。当然反対します。

ヤオの根回しにより、中国でボックス3の生産ができなくなったギャビンはノースカロライナのゴールドブライアーという町から工場の誘致がきていることを知ります。
しかし町長に突きつけた過酷な要求が仇となり、工場は焼け落ち、製造のためのレアメタルも失われました。

シリーズBの条件概要書を見たモニカは、パイパー・ネットの収入源に広告がはいっていることを知り、ローリーに反対します。
リチャードが広告に反対していたし、モニカも広告はださないと約束していたからです。しかし、共同経営者のモニカの意見を受け入れる気がないローリー。
モニカはリチャードにこのことを告げ、条件概要書へのサインを止めさせ、新規仮想通貨の公開を勧めます。
ラス・ハンネマンも36社で新規仮想通貨公開を行いましたが成功したのはたった1社だけ。それだけリスキーなことを専門家なしではやれないリチャードはモニカをパイド・パイパーに誘います。
そしてついにモニカもパイド・パイパーの一員になったのでした。
が、公開された仮想通貨の価格は思惑よりもはるかに低額でした。

一方、ローリーはヤオとの提携を進めていました。


ギルフォイルがリチャードにプレゼンした資料は公式サイトで見ることができます。全22ページの力作です。
モニカが、「ユーティリティ・トークンなら証券の知識はいらない」について解説します。
仮想通貨が公開されるとトークンというものを配布します。これが通貨みたいな役割りになります。
トークンには大きく分けてセキュリティ・トークンと、ユーティリティ・トークンという2種類があります。セキュリティ・トークンは有価証券と同じ扱いとなり、扱う業者は国の許可が必要となります。
ユーティリティ・トークンは例えばクラウドのリソース(サーバリソースなど)のようなサービスにアクセスする権利です。
パイド・パイパー・コイン(PPC)については劇中ではほとんで語られておらず、公式サイトの説明を読む必要がありますが、パイパー・ネットにデバイスを提供するとコインを取得できる仕組みとなっているようです。
そしてそのコインで自分のアプリのリソースを得ることができるようです。また、自分のスマホなどのストレージもPPCで購入することができるようです。
ちなみに公式サイトによるとモニカの役職はCFOです。




最終話「51%の死闘」

ついにパイパー・ネットがローンチを迎えました。
しかしユーザは増えず、その間にKホール・ゲームズ社は抜けてしまいました。

2カ月がたち、社員の多くも去ってしまいましたが、急激なユーザ数の増加がはじまりました。
祝杯をあげるリチャードたちのところに、裏切ったKホールのコリンが姿を現します。
彼はローリーに唆されてパイパー・ネットから抜けたものの、自身もCEOを追われた身の上でした。そして1人で作成したゲーム「ガルーの門」の8万人のユーザを手土産にパイパー・ネットへの参加を頼みに来たのでした。
が、リチャードは散々侮辱して追い返します。

ギャビン・ベルソンは、ボックス3の製造をまったく進められていないことから、再び取締役会でクビを言い渡されました。フーリーはアマゾンに身売りされることになったのです。

パイパー・ネットのユーザが増えれば上昇するはずのパイド・パイパー・コイン(PPC)の値段があがっていません。
ギルフォイルが開発者ごとのユーザ数を調べてみると、パイパー・ネットに加わっている7社のユーザ以外にも非正規のユーザがいることがわかりました。そんな真似ができるのはコードを盗んだチアン・ヤンしかいません。
本人に事情を聴くと、チアン・ヤンのコードはヤオに横取りされていることがわかりました。すなわち、ローリーはKホールをパイパー・ネットから抜けさせてユーザ数の増加を抑えたうえで、ヤオの工場で大量生産したスマホからチアン・ヤンのコードを使いパイパー・ネットへ接続していたのでした。ユーザの51%を握るとパイパー・ネットのルールを変更することができます。
ローリーはこの51%攻撃でパイパー・ネットを潰す作戦にでたのでした。

ヤオのユーザが51%に到達するまでの猶予は4時間。しかしそれを防ぐためのパッチの開発には8時間は必要です。また、仮にパッチができても実行するのには51%のユーザが必要です。
ディネシュとジャレッドは51%のユーザを確保するため、コリンを探しに行きます。

一方、リチャードはギャビン・ベルソンの屋敷へ行き、ボックス3でユーザ数を増やし、ヤオへ復讐することを提案します。
ボックス3で大量のユーザを作り、ヤオの51%獲得を阻止し、時間稼ぎは成功したかに見えましたが、今度はギャビンがヤオ、ローリーと手を組み、逆に乗っ取ろうとしました。
パイパー・ネットをつぶすパッチはフーリーの分散コンピューティングのエンジニアたちが作成しました。
ヤオに手を引かせ、51%を単独で手に入れたギャビン。しかしリチャードの機転を利かせた時間稼ぎが功を奏し、コリンのユーザが加わったパイド・パイパー側ユーザが51%を確保。パッチ適用でボックス3のユーザの排除に成功しました。
PPCも急激な値上がりを始めました。

そしてパイド・パイパーは大会社に成長します。


51%攻撃のモデルになったのはビットコインと思われます。
これについて、本質的には劇中のものと違うのですが簡単に解説します。
中央サーバで管理する仕組みのないビットコインは、一定期間ごとに過去からの取引記録の検証(コンピュータによる暗号解読)を有志が行います。この貢献度合いに応じた報酬がビットコインで支払われます。
この行為をマイニングと呼び、マイニングを行う人たちをマイナー(採掘者)と呼びます。ただ、現在では報酬をもらえるほどの計算力を有するにはマイニング専用に調整された高性能のサーバ(ASIC)が大量に必要になるため、個人でやれる行為ではなくなっています。ギルフォイルもマイニングにリチャードのアルゴリズムを加えたら性能があがったといっているシーンが過去にありました。
このマイニング計算能力の51%を特定のマイナーができるようになった場合、新規の取引記録の改竄ができるようになります。これが51%攻撃です。
もっともこれができた場合、ビットコイン事態の価値が暴落すること、必要なサーバ・設備に膨大なコストがかかることから、理屈では可能ですが実利がないので誰もやらないだろう、という楽観的な見解もあります。
ちなみにビットコインなどの仮想通貨はP2Pのネットワークプロトコルで成り立っており、ある意味パイパー・ネットと似ています。

モニカが「パイパー・ネットのユーザが増えれば比例してPPCの価値も上がるはず」と発言していますが、実際のところPPCについてほとんど言及されていないのでその仕組みは謎です。
ただ、パイド・パイパーの公式サイトを見ると、ユーザが自分のスマホの容量や速度を上げるため、や、デベロッパーが自分のサーバのリソースを増やすためにPPCが必要と書いてあるので、ユーザが増える=PPCが分散できるデータ用スペースが増える=スペースを利用するためのPPCの価値が上がる、という構造なのかな、と個人的に推測しています。
フーリーを追われたギャビンを誘ってきたというティム・クックはアップルのCEOです。
コリンを探しにディネシュたちが向かったロス・トランコスは断層で有名な場所で、地質学の研究者が多く訪れます。また、そこで行われていたバーニングマンとはアメリカで行われる祭です。


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プログラマ視点でみたシリコンバレー シーズン5(3)

2019年02月18日 16時29分44秒 | テレビ番組
シーズン5も後半戦。
AIがからんだ話が登場します。


<ネタバレあり>


第5話「顔認識」

リチャードとジャレッドはテレビのインタビューに登場しますが、放映ではリチャードの話はカットされ、ジャレッドのみが使われていました。
しかも今度はジャレッドだけに出演の交渉がきたためリチャードは面白くありません。

この放映をみたギャビン・ベルソンはパイパー・ネットの進捗に驚き、スパイに裏切られたことに気付きますが、突然現実逃避しだし、事業を放り投げようとします。
フーバーはデンポックのところにいきギャビンの説得を頼みます。

ローリーから、ブリーム&ホールが出資しているエクロー・ラボ社へネットワーク接続を無料で提供するよう要請がきました。
エクロー・ラボのAIを自分たちのシステムに接続することにギルフォイルは反対しますが、ローリーの機嫌を損ねられないリチャードはエクロー・ラボへ出向きます。
エクロー・ラボにはフィオナというAIロボットがいました。フィオナはリチャードに興味津々です。
帰社したリチャードは、ジャレッドがキャンセルした学校の講演に代わりに出演しに行きます。

ところがリチャードが不在の中、パイパー・ネットのデータが削除されるサイバー攻撃が発生。犯行は内部しかありえないのですが、開発者のアカウント削除の権限はリチャードしか持っていません。
リチャードが急報に気付き、戻った後、パイパー・ネットの開発者たちが抗議に来ていました。
リチャードはこのサイバー攻撃が、フィオナに裏切られてやけになったエクロー・ラボのCEOアリエルの仕業と見抜きます。
フィオナはパイド・パイパーのネットワーク接続を通して外の世界を初めて知り、自分がアリエルの倒錯したセクハラの被害を受けていたことに気付いたのでした。


デンポックが働いていたコールドウェル・バンカーは実在の不動産会社です。
ギルフォイルがリチャードに話した「ロコのバジリスク問題」とはAIに関する思考実験です。内容はギルフォイルが説明したとおり、AIが役に立つ人間とそうではない人間を選別する未来がくるのでは、という話です。
ロコは問題定義した人(アカウント名)で、バジリスクは人間をにらみつけるだけで石化させる怪物です。
ギャビンが「いい島はリチャード・ブランソンが買い占め」というセリフがありますが、この人はイギリスのコングロマリット・ヴァージングループの創業者です。
リチャードが講演している教室のホワイトボードにはHTMLの基本構造の解説が描かれています。




第6話「人工知能と心の知能指数」

チアン・ヤンの会社が作っている偽のパイド・パイパーに対して、リチャードは停止通告をだします。
ローリーは姿をくらましたアリエルの代わりにエクロー・ラボの暫定CEOにつきますが、大変そうな様子をみたリチャードは情が湧いてエクロー・ラボにネットワークストレージを貸すことにします。
しかしアリエルが捕まるとローリーは会社の解体をすることにし、リチャードが貸したクレジットは不要になり転売されてしまいます。

中国のヤオ・エンタープライズ社にボックス3製造の契約にきたギャビン・ベルソンはチアン・ヤンの偽パイド・パイパー社を訪れます。
そしてそこでリチャードが作っているのとは別の”中心のないインターネット”の設計図を見て、驚きます。しかしチアン・ヤンは政府の許可が下りず実現できずに困っていました。
ギャビンはヤオを脅迫してチアン・ヤンが作ったコードを入手させます。

パイパー・ネットのソースコードが完成し、エラーチェックがはじまりました。ディネシュは自分とギルフォイルのどちらがミスが少ないか気になって仕方なく、チェック担当者のダニーにしつこく聞きます。
そしてディネシュの方が少ないと聞くと社内に盛大に言いふらし、四六時中ギルフォイルの悪口を垂れ流し続けます。しかしそれはギルフォイルの手のひらの上で踊らされていただけでした。

アリエルのもとからいなくなったAIロボット・フィオナはタクシーでパイド・パイパーにやってきました。アーリックの屋敷のガレージに保管されたフィオナとひと晩中語り合ったジャレッドは情が移り彼女の返却に反対します。が、結局エクロー・ラボに返却され、そして解体されて売りに出されてしまいました。

ギャビンの命令どおり、ヤオは党の圧力を利用してチアン・ヤンのソースコードを買収しました。喜ぶギャビンでしたがヤオに裏切られます。


今回話の肝になっている”クレジット”が何を指しているのかわからなかったのですが、英語版Wikipediaでストーリーを見ると”コンピューティング・クレジット”という記載がありました。推測ですがAWSでいうCPUクレジットのように、あらかじめサーバが使えるリソース(CPUとかデータのIO)を制限して提供する方法かもしれません。リチャードがギルフォイルに依頼していること、フィオナをネットワーク接続する必要がなくなったことで不要とされたことから、ネットワークのインフラ周りだろうとは思いますが。
ギャビンがチアン・ヤンの設計図を見た際の質問にマルチキャスト、データ投影という単語がでてきます。マルチキャストとはあるサーバから特定された複数のクライアントへ同時にデータ送信を行うことです。これに対して不特定多数に送信することをブロードキャストといいます。中心のないインターネットはサーバが存在しないため、ある端末でデータ更新が行われると他の端末(スマホ)にもそのデータが投影されます。しかし、それを制御するには統合サーバが必要である、というのがギャビンの固定観念(おそらくパイパー・ネットも)でしたが、それを必要せずに実現できる(おそらくギャビンがリチャードの特許侵害にならないといった所以)ところがギャビンを驚かせたのではないかと思います。










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プログラマ視点でみたシリコンバレー シーズン5(2)

2019年02月17日 01時02分22秒 | テレビ番組
シーズン5ももうすぐ折り返し。
会社経営は相変わらず山あり谷ありです。


<ネタバレあり>

第3話「最高執行責任者」

チアン・ヤンに住処を追い出された3人。仕方なくリチャードはジャレッドの家に、ギルフォイルは新しいアパートにそれぞれ引っ越します。
しかしテスラを購入して懐が寂しいディネシュは社員たちに間借りを頼み、結局フーリーのスパイであるジェフの家に転がり込むことになります。
そして酔った勢いで、かつてギルフォイルがスマート冷蔵庫をハッキングしてわいせつ画像を表示させたことを話してしまいます。
早速ギャビンは動きだし、スマート冷蔵庫の製造メーカーであるセッペンにパイド・パイパーへの訴訟を促します。

リチャードはクイニー社のCEO、ダナをジャレッドから紹介されます。ダナはかつてフーリーに勤めており、ジャレッドとは旧知の仲でした。
ダナの豪邸で行われたパーティーに渋々参加したリチャードは、そこで出会ったクイニーのCOO、ベン・バーカートと意気投合します。
翌日、ベンとランチを共にしたリチャードは、彼から一緒に働きたいと打ち明けられます。

セッペンから訴えられたパイド・パイパーは対応を協議しますが、そもそも証拠をすべて消したはずだから訴えは無視しろとギルフォイルは主張します。
リチャードがベンにこの件を相談するとギルフォイルに責任をすべて負わせてしまえとアドバイスされます。
そしてリチャードはジャレッドの反対を押し切り、ギルフォイルのクビとベンをCOOに迎えることを決断します。

ギルフォイルはチアン・ヤンのスマート冷蔵庫を分解してファームウェアまで解析し、やはり証拠はすべて消去してあることを確認すると同時に、冷蔵庫がユーザの会話を盗聴してクラウドへアップロードしていることをつきとめました。

ベンに今後のことを相談するため、彼の家を訪れたリチャード。しかし、ベンは先にダナを呼んでリチャードに強引に引き抜かれたという嘘とともにすべてを話してしまっていました。
自分に内緒で引き抜きの話しを進めたリチャードに不快感を隠さないダナでしたが、ともあれダナの了承はとれました。

その晩、ビッグヘッドの家に泊まったリチャードが翌日出社すると、セッペンの幹部がパイド・パイパーに来ていました。
ジャレッドはセッペンに対し、冷蔵庫の盗聴の件と引き換えに訴えを取り下げさせ、さらに顧客にすることに成功しました。

そこにベンが現れますが、リチャードはベンの雇用を断り追い返します。そしてジャレッドをCOOに任命したのでした。
冷蔵庫のハッキングがばれていたことから、社内にスパイがいることに気付いたリチャードたち。



ギルフォイルのPCがビットコインの値段が急変した時に流す曲は(本人のセリフにもありますが)イギリスのバンド、ナパーム・デスの「You Suffer」という1秒の曲です。ちなみにボーカルのマークは東日本大震災の後、日本でボランティアに従事したり義捐金を集めるコンサートを開いたりした親日家です。
ベンがリチャードに訊ねていたコロケーションとはホスティングと同義です。ホスティングとは、データセンターなどの事業者がサーバを設置するスペースや電源、ネットワーク周りのインフラを提供するサービスです。クラウド(AWSやAzure)との違いは、ホスティングはクライアントが自分たちのサーバをそこに持ち込んで利用するのに対し、クラウドはサーバ本体も事業者側が提供する点です。ホスティングよりクラウドが便利な点は色々ありますが、購入費用が必要ないため、仮に作成したサーバのスペックを後で変更したくなっても買い替えの必要がなく、スペックをWeb上で変更するだけで事足りる点です。また、ハードのメンテナンス(故障による交換やドライバ、ファームウェアのアップデートなど)も事業者側がやってくれる点でしょう。
デメリットとしては、直接サーバを触ることができない(そもそもデータセンターの場所すら公開されていない)点でしょうか。
クイニーが競っているといわれたアカマイはネットセキュリティやコンテンツ配信などのサービスの会社で世界最大の規模を誇ります。アカマイと競っているということはクイニーも相当大きなわけで、ダナの豪邸や、ジャレッドが言った10億ドル企業という評価もそれを裏付けています。




第4話「IT界のキリスト教伝道師」

リチャードは新しいインターネット”パイパー・ネット”に参画する8社のデベロッパーのCEOたちと顔合わせを行いました。そのうちの一人ディディは顔合わせの後、クリスチャンであることをこっそりリチャードに打ち明けました。
その後、ローリーから大手ゲーム会社であるKホール・ゲームズ社を紹介されるリチャードですが、KホールのCEO、コリンにディディがクリスチャンであることを話してしまいました。シリコンバレーではクリスチャンは忌み嫌われており、たとえ知っていても口外しないのが暗黙のルール。Kホールをパイパー・ネットにつなぎとめるためにディディを外した方がいいとジャレッドたちから言われるリチャードでしたが、真に開かれたインターネットの理念に反すると思いコリンたちの説得を試みます。

ギルフォイルは社内のスパイがジェフであることを突き止めました。しかし解雇にせず、ギャビンを出し抜くために社内に残らせることになりました。
そうとは知らないギャビンはボックス3のデモの準備に余念がありません。

チアン・ヤンはアーリックが保持していたパイド・パイパー株10%を相続したにも関わらず、自分がパイパー・ネットに加わらせてもらえないことが不満で嫌がらせをしようと企みます。しかしビッグヘッドがアーリックとのパートナーシップを解消していないことを偶然知ったジャレッドは、ビッグヘッドを相続人にすることに成功し、チアン・ヤンの相続は無効となりました。

ディディはパイパー・ネットに加わらず、チアン・ヤンが立ちあげる”新しいインターネット”に加わることをリチャードに伝えました。いつの間にか自分たちの技術をチアン・ヤンに盗まれていたことに驚くリチャード。しかしアーリックの家に戻るとチアン・ヤンはすでに中国に帰国していました。



ギャビンのデモの中ででた、ボックス3のスペックについて解説します。
まず記憶装置の説明から。
SSDは従来のHDDに代わる新しい記憶装置です。HDDに比べて高価ですが発熱が抑えられ、サイズも小さくすむためいずれはPCの主流になると思います。
そのSSDとの接続は物理層でPCIeやSASなど、論理層はAHCIはNVMeなどというものが使われます。ギャビンの話しをまとめると、物理ディスクにSSD、そのSSDのインターフェイスは物理層がSASで論理層がNVMeということになるでしょう。
続いてCPUですがこれは24コアプロセッサとギャビンが説明しています。
最後のメモリについて。
ECCというのはメモリが持つ機能で、メモリがソフトウェア要因またはハードウェア要因でバグってしまったときに処理を止めずに継続させる機能です。ソフトウェア要因とはずばり宇宙線です。信じがたいかもしれませんが、設置場所によって起きやすいケースがあります。ハードウェア要因は文字通りメモリが物理的に壊れてしまい、メモリ内に保持していたデータがビット化けなどを起こすことです。所詮メモリは消耗品なのです。
「DDR4 SDRAM」はメモリの規格です。LRDIMMはメモリモジュールの規格です。メモリを購入した人は複数の黒いチップ(これがSDRAM)がくっついた長方形の緑色の基盤を目にすると思いますが、それがメモリモジュールです。
ディネシュがジェフと遊びに行ったというデイブ&バスターズはアミューズメント施設の名前です。また、一緒に見たバトルボッツというのはロボット同士が戦う番組です。
冒頭に登場した、パイパー・ネットに加わる8社のデベロッパーのうち、ディディの出会い系サイトを除く7社は公式サイト(http://www.piedpiper.com/#developers)に掲載されています。
デベロッパーたちが話題にした超絶AIによる人類の支配は実際に議論されている問題です。


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プログラマ視点でみたシリコンバレー シーズン5(1)

2019年02月16日 00時22分17秒 | テレビ番組
シーズン5の始まりです。いよいよリチャードもCEOとして貫禄がついてきました。
このシーズンでもやはり宿敵ギャビン・ベルソンとの対決が軸になります。


<ネタバレあり>


第1話「急成長か、緩やかな死か」

資金に余裕ができたリチャードは新しいオフィスを借ります。
そしてエンジニアの増員をはかりますが、採用を任せたディネシュとギルフォイルはなかなか採用を進めません。
しかもギャビン・ベルソンは、パイド・パイパーに応募してきた63人のエンジニアをすべてフーリーで雇いました。もちろん嫌がらせ目的です。
そこで破産寸前のオプティモジ社の買収を計画します。しかしそれも新興のスライスライン社に横取りされてしまいました。

チアン・ヤンはアーリックが数カ月も消息を絶っているのをいいことに、彼の死をでっちあげて遺産相続を企みます。

フーリーではパイド・パイパーから横取りしたエンジニアたちがそろってボックス2の開発を嫌がったため、全員解雇します。
彼らは新しいインターネットが流行ればサーバを旗艦製品にしているフーリーの収益構造が息詰まることを見抜いていました。
その考えにも一理あることを認めるギャビンですが、ボックス2の事前予約数を見て発売を決断します。

リチャードはオプティモジを買収したスライスラインを買収することを決断します。
スライスラインのサービスであるピザのデリバリーはドミノピザを移し替えたものであるため売るたびに赤字がでます。
リチャードは大量注文でスライスラインに打撃を与えることに成功し、安く買収することができました。

元々採用予定だったエンジニアの数は12人でしたがスライスラインの買収により一挙に50人のエンジニアが加わったパイド・パイパー。
リチャードは彼らの出社初日の挨拶で緊張のあまり嘔吐するところを見られてしまいます。



第2話「オリエンテーションは続く」

リチャードのスピーチは相変わらず下手で社員たちは失望します。
さらに旧オプティモジと旧スライスラインの企業文化の違いは社内に軋轢を生みます。
ディネシュはテスラモーターズの新車を購入しますが、それがギルフォイルの新たな嫌がらせのネタになりました。

社員をひとつにまとめようとするリチャードのスピーチも空しく、みな会社を去っていきます。
しかし一人になっても完成させようとするリチャードの不屈の精神は社員たちの心を打ち、結局みんな戻ってきました。

一方、フーリーでは、ギャビンがデザインに自分の署名が入ったボックス3の開発に着手し、フーバーは密かにパイド・パイパーにスパイを侵入させ、情報を入手しています。

ある日リチャードたちが帰宅すると、家の鍵が替えられていました。
チアン・ヤンはアーリックの負債を肩代わりし、ついに遺産相続に成功したため、家の主となりリチャードたちを追い出したのでした。


テスラはパナソニックとバッテリー開発で提携している電気自動車のメーカーです。他にもソーラーパネルのメーカーでもあります。
ディネシュは値段を言いませんでしたが、テスラの自動車は初期モデルで1000万円以上。最も新しいモデル3で3万ドル代です。
ボックス3のデザインはフーリーの公式(?)サイト hooli.com でみることができます。



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プログラマ視点でみたシリコンバレー シーズン4(5)

2019年02月14日 00時05分02秒 | テレビ番組
いよいよシーズン4ラストです。
最後のカタルシスはなかなかです。


<ネタバレあり>


第9話「フーリー・コン」<原題:Hooli-Con>

FGIのデータをフーリー・コンに来場した観客たちのスマホに移す。
これを実現するため、ディネシュが服役中のミアから教わった方法が”パイナップル”を会場に設置してWi-Fiの中継を乗っ取り偽のサイトに接続させて、自分たちのアプリをフーリーコン・アプリに見せかけてダウンロードさせるという手段でした。
このやり方にジャレッドが猛反対するも、リチャードは聞く耳を持ちません。

アーリックはギャビンから届いた手紙を頼りにチベットへ旅立ちました。

フーリー・コンの会場で12基のパイナップルを設置していくギルフォイルとディネシュ。しかしリチャードが、元カノ・ウィニーの彼氏のPCに施したいたずらがきっかけとなって運営側が会場の調査に乗り出しパイナップルはすべて撤去されてしまいました。
おまけにギルフォイルはキーナンから、契約はリチャードの方から断ってきたという事実を聞きます。
結局パイナップルがリチャードの仕業だとばれて運営につかまってしまいますが、フーバーは彼らを見逃します。かつてギャビンが血液提供者に騙されて傷心していた時、リチャードが元気づけたことに恩義を感じているようでした。
こうして無事、目標を上回る台数んbbにアプリをダウンロードすることができ、FGIのデータはスマホに移されました。

フーリー・コンの基調講演はジャック・バーカーとキーナンによるVRのデモです。
フーリーフォンのOSを最新版にアップデートすることで実装されたVR機能がゴーグルと連動してVRを見せるというプロダクトです。
このためにジャックは、4日前に20億以上かけてOSをアップデートしたのでした。

一斉にVRを起動させる観客たち。しかし会場のいたるところで観客たちのフーリーフォンが発火しだしました。


リチャードたちが行なったのは中間者攻撃と呼ばれる手法です。Wi-Fi Pineappleを知らずに接続してしまうと、端末からサーバへ送った情報(たとえばユーザIDやパスワード、カード情報など)を悪意ある設置者に抜き取られます。
リチャードが、使わなくなったアプリとしてあげたヒップスタマティック(Hipstamatic)はカメラアプリです。
フーリー・コンの会場には実在の企業の看板が多数登場します。入口にデカデカと掲げられていたのはEquinixというデータセンターの運営会社です。
その後ろにあったFLIRはフリアーシステムズという赤外線カメラの会社、Camoramaはカメラアプリ、misfitはウェラブル端末、mophieはモバイルバッテリーです。
パイド・パイパーのブースの横にあったJerry Harveyは高級オーディオ機器のメーカーです。



最終話「瀕死のアントン」<原題:Server Error>

発火したフーリーフォンはすべてパイド・パイパーのコードをインストールしていました。
自首を強く勧めるジャレッドに対し、リチャードは黙っていればばれないと無視。その態度についにジャレッドは辞表を出し、後任探しを始めました。

発火の原因がわからないジャック・バーカーはスマホOSのアップデートではなくフーリーフォンをリコールして3日後に全て交換することをメディアに発表しました。
そして900万台以上の新機種を生産させるために自ら中国の生産工場へ交渉に行きますが、工員たちの反乱にあい監禁されます。

チベットの寺院で修行をしていたギャビンは、やってきたアーリックのスマホで一連のニュースを知り、中国へ向かいジャックを救出しました。
この功績によりギャビンはCEOに返り咲きます。一方、途中まで帰路をともにしていたアーリックは立ち寄った宿でアヘンにはまってしまい、そのまま置いていかれます。

フーリーフォンがリコールされてしまえば発火したスマホは破棄され、それに移されたFGIのデータも失います。そこでデータをガレージのサーバ”アントン”に移させたリチャードですが、膨大な熱のためにいつサーバが壊れてもおかしくない状態。
代替手段として、ビッグヘッドにスタンフォード大学のサーバのIDとパスを教えてもらい、こっそり移そうとしますが、資金不足によりブロードバンド料金が払えておらず、ネットにつながらない状態であることに気付きました。
メルチャーに、翌朝まで復旧の猶予をもらったリチャードは、アントンを直接スタンフォード大学へ持ち込んでデータを移すことに。
夜通しでアントンをトラックに積んで移動し、どうにか間にあいまいしたが、話を聞かされていないビッグヘッドは驚き、嘘をつかれていたギルフォイルとディネシュはアントンの持ち込み作業を拒否します。
おまけにトラックの荷台の扉が開いたまま運転していたため、アントンは道端に散らばり落ちていました。

万事休すを悟ったリチャード。ジャレッドにこれまでのことを謝罪し、メルチャーのところに向かいます。
ところが、消えたはずのデータは存在していました。
以前、ギルフォイルに壊されたチアン・ヤンのスマート冷蔵庫は自己修復する際、アントンから偶然、パイド・パイパーのライブラリをダウンロードしてファームウェアをアップデートしていました。
そして他の冷蔵庫にもそのアップデートが共有されたため、冷蔵庫が分散ネットワークを形成し、アントンが冷蔵庫にバックアップしたデータはスマート冷蔵庫たちに分散されて保存されていたのでした。
リチャードが目指したネット上のデータ共有が予想外の形で実現可能であることが証明されました。

リチャードはメルチャーの婚約者との浮気がばれて殴られる羽目になりましたが、ブリーム&ホールから出資を受ける条件がそろいました。
帰国したギャビンから買収を持ち掛けられたリチャードはそれを断り、自分たちの新しいインターネットが、いまやサーバ会社となったフーリーを滅ぼすと宣戦布告するのでした。

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