ラヂオアクティヴィティ[Ra.] 第一部ブロック・バスター 083核兵器を持つということは…… ![]() マイクはおおいに希望をもった。だが、バーバラのことを思って慎重になる。 「まだ、安全宣言は出されていないのだから、安全な所へ行けよ。わかったね」 ソフィーが質問する。 「もし、核兵器が落ちたら、見えるのかしら……」 「見える? そうだね。日本に原爆が落とされたとき、中国大陸でも見えたそうだからね……」 「中国大陸……」 眉間に皺をよせる勇気。 「そうだよ。スピルバーグ監督は、そのころ中国大陸で日本軍の捕虜だった。そして、その朝、東の方が輝くのを見たそうだよ」 「『太陽の帝国』という映画でしょう……」 夏八木は話しかけてやめた。 「そう、スピルバーグ監督は、その映画で、表現していたね」 「スピルバーグ監督って、『シンドラーのリスト』をつくった人?」 「そうだよ」「……」 ミス・ホームズは腕を組んでいた。そんな遠くまで輝く爆弾があるとしたら、どれほどのエネルギーがあるのか、推理できるというものだ。 まったく、呆れたものだ。そんなものを作りながら、よくも環境問題なんて主張しえたものだ。 いや、待てよ。 環境問題をいう大人と、核兵器を製造し使用する大人とは別の大人だろうと、考察した。 「広島と同じで、そんなものが落ちた後、何万人も苦しむことになるのだろう?」 「そうだよ。広島では医師がいたとしても、医師も被爆者だ。医師だからと、被爆しないわけではない!」 「そりゃ、そうだろう」 勇気はイライラしていた。 「広島の医師は九五%が診療できなかった。死亡したり、自らも負傷したりしていた」 「そんなに多くの苦しんでいる人たちがいるのに、医師もいないなんて……」 「仕方ないさ……。核兵器を持っているということは、こういうことを想定して作ってあるのだから……」と行者。 「仕方ないって……、バーバラにそんなことが説明できるか?」 マイクは行者の胸倉をつかんだ。にらみつけていた。 まだ、バーバラは隅のテレビ画面に映っていた。マイクの様子が気になっているのだろう。 それとも、孤独になるのが、いやで、そこにいるのだろうか? カメラマンなどがまわりにいるのだろうか?
![]() ありがとうございます。 ![]() ![]() ![]() Index[Ra.] |
最新の画像[もっと見る]
-
いい音ってなんだろう-あるピアノ調律師、出会いと体験の人生- 12年前
-
音楽演奏の社会史-よみがえる過去の音楽- 12年前
-
AERA ’12.7.16 12年前
-
週刊現代 2012-8-11 12年前
-
AERA ’12.7.9 12年前
-
必ず来る!大震災を生き抜くための食事学-3・11東日本大震災あのとき、ほんとうに食べたかったもの- 12年前
-
僕のお父さんは東電の社員です-小中学生たちの白熱議論!3・11と働くことの意味- 12年前
-
日本の原爆-その開発と挫折の道程- 12年前
-
エコノミスト-週刊エコノミスト- 2012-3/13 12年前
-
エコノミスト-週刊エコノミスト- 2012-3/6 12年前