磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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084最後に何をしたい?

2006年06月10日 | Ra.
ラヂオアクティヴィティ[Ra.]
第一部ブロック・バスター

四、インスタント・カーマ

084最後に何をしたい?



「ねえ、バーバラ。君はそこに一人でいるのかい?」
「そうよ……。もう、カメラマンたちは逃げたわよ」
博士は、この少女の落ち着きようが尋常でないと思った。
しかし、こんなことを、ふざけてするわけがない。
いや、ミステリー・ツアーじゃないか? とも思った。

「バーバラ、逃げなさいよ」
ミス・ホームズも勧めた。

「私のことを心配してくれてありがとう」
どうも腑に落ちないとミス・ホームズ。なぜ、逃げないの……。

「でも、シェルターがどれほど、有効なのかしら……」
「有効?」

「古いシェルターは、とても、今の核兵器に耐えられないそうだよ……。個人で作ったシェルターのほとんどが役に立たないという報告もあったくらいだよ」
勉は説明した。

「これで最後なら、マイクといたいのよ……」
ミス・ホームズにも博士にも、そういう思考回路はなかった。
まったく、二人とも恋愛のことには興味がなかったのだ。

「もし死ぬとしたら、最愛の人といたい、というアンケート調査の結果があったわね」
夏八木は参加者に教えた。

バーバラは、若い女性らしくって、かわいらしくもある。

でも、僕たちにも、もしそんなことがあるとしたら、何をしようとするのだろうか。

死亡するならば、最後には好きなことを選択するだろう。

バーバラの選択、それは馬鹿げた選択ではないかもしれないと、博士たちも思いはじめた。

マイクは画面に手をあてていた。
バーバラも画面に手をあてていた。

こんな様子を何処かで見たことがある。
そうだ。刑務所の面会だ……。

僕たちは、核兵器にとらわれた囚人なのかもしれない。

いったい、僕たちが戦争しようとしただろうか……。

しかし核兵器で平和を維持していると考える奴らが、天下を握っている。
そして、今、その結果がこれじゃないか……。

「核兵器で脅しあった平和なんて、結局は偽物だったのさ……」
弁護士は堂々と述べた。

「そう、偽物の平和だった……」
勇気は涙を流し、首をやたら振っている。

「そんなものに、身をまかせていたのが、馬鹿馬鹿しいわ!」
ミス・ホームズが呆れていた。

「悪魔に牛耳られていた平和なんて……」
輝代の声だった。

輝代がいつの間にか、部屋にいた。
輝代の瞳は紫色に燃えていた。

皆は興奮しているから、そんなことにも気づかなかった。








閑話休題

「もし死ぬとしたら、最愛の人といたい、
というアンケート調査の結果があったわね」

これは事実です。








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