磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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現代の創作児童文学44 ミナのあした

2007年11月01日 | 読書日記など
『現代の創作児童文学44 ミナのあした』
   大野允子・作/吉田翠・画/岩崎書店1989年

田辺聖子さんなどの小説を読んでいると、さほどの影響を受けられていないように感じます……。軍国主義に強い影響をうけられていた大野允子さんの作品です。



表紙の裏に書かれてあります。下「」引用。

「梅西ミサ子。十三歳。広島県女(けんじょ)一年四組。昭和二○年八月、広島で被爆。のこされた彼女の日記を、ミナは夢のなかで読む。毎日のように繰り返される空襲。とぼしい食料。弟の疎開。あこがれの県女に入学してはりきるミサの日々。克明に記された戦時中の生活のようすを、ミナは胸が裂ける思いで、読んでいく。そして、八月六日の朝--。
日記を読み終えて、ミナの新しい日がはじまる。きのうとはちがう、あしたがくる。」

これでも、戦争に勝てると思ったのでしょうか? 下「」引用。

「そう、現実はきびしい。東練兵場の開拓作業がはじまりる。広島の町には東と西に、軍隊の広いグラウンドがあった。そこを、畠(はたけ)にするの」

機能的に考えられない人たち。

今も精神主義で、事が成せると思い、日本は古来から『言霊宗教』とウソブク文化人もいる。

もちろん、当時は軍国主義と生きておられたことを書くことは有意義なことと思います。

それを信じて生きておられたこと……。

そんな人たちがおられたことも大切な史料でもあると思う。

だからといって、われわれと変らないところもある……。下「」引用。

「県女(けんじょ)を卒業して三十年もたって、やっとわたしは『ひろしまの少女たちの遺書』という本を、だしました。死んだ一年生はもうなにもいえないから、日記を借りてきて、わたしがかわりに書いた遺書でした。
 広島で死んだ少女は何千人もいます。県女の一年生も二百何人死んだのに、本に書いたのは六組の少女たちだけ、たったの十六、七人です。」


そして、著者はさらに書き進めていかれる……。下「」引用。

「わたしは勇気をだして、また、少女たちのお母さんやお父さんの家をたずねることにしました。少女たち日記やノートを読ませてもらいました。
 わたしも同じ県女(けんじょ)の生徒でしたから、少女たちの思いが、胸にびんびんせまります。その気になって耳をすますと、今の少女たちにもきっと、広島の少女の声がきこえるはずです。
 そう願ってわたしは、二冊め『八月の少女たち』、三冊目『あなたへ」を、書き上げました。
『あなたへ』は、一年四組の石崎睦子(いしざきむつこ)さんの日記をもとにした、記録です。たくさんの同級生が登場します。梅西ミサ子さんもいっしょに劇の相談をしています。」


今も、そんな『言霊信仰』というのを信じておられる人は滅多にいないと思いますが、そんな思考方法が泥沼の戦争に陥れたことも忘れてほしくありません。

目に見える戦争だけが、平和を疎外するものではない。
終戦になれば、人がまったく変わることもない……。
自ら変わろうとしなければ……。

いつものことは、ずっと続いている……。









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