磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

鱧男の小説などをUP。環境問題に戦争・原発を!環境問題解決に民主主義は不可欠!

089エリックが生きていた……

2006年06月15日 | Ra.
ラヂオアクティヴィティ[Ra.]
第一部ブロック・バスター

四、インスタント・カーマ

089エリックが生きていた……



「偉大なるアメリカか……」
「そう、あれで偉大なるアメリカだった……」
「そんなに、めげるなよ!」
勇気はうつむくマイクの肩を叩いた。

マイクは一瞥して、
「これ以上にめげることがあるか!」
と怒った。

しかし冷静であった。いや興奮する力もなくなっていた。
「当然だな! でも、最初に核兵器をつくったのは、アメリカだ。核兵器なんて、どうして作った……」

マイクは涙を流した。夏八木は気の毒そうにマイクたちを見ていた。
今にも海に飛びこみそうなマイク。

「マイク! エリックが生きていたよ」
勉はうれしそうに夏八木の顔を見た。

「えっ!」
夏八木は驚いてみせた。

「どうしたっていうのだ!」
マイクは情報が欲しかった。
それは、できるだけ、自分を幸福にしてくれることを……。
いや、贅沢など望まない。現状維持でいいのだ……。
そんなことが、とてもラッキーに思ってしまうのだ。

人は巻き込まれた状況によって、ころころ感情が変わるものだと、マイクは自分が人間でいることが、もろくって弱くて、寂しがりやで、どうしようもない、ちっぽけで、惨めな奴に思えた。

とても、偉大なるアメリカ合衆国の市民とは思えなかった。
だが、もしかしたら、それが本当の人間の姿なのかもしれないと今のマイクには思えた。

「マイク! エリックが生きていたのよ」
「エリックが……」

「そうよ、エリックはワシントンにいたのよ。でも……」
「ワシントンなら、大統領はどうしている?」

マイクは大統領を尊敬していたのに、何とこんな状況になれば、やつは無力ではないかと思ったのである。しかし、核戦争を拡大させた張本人は大統領である。

「さあ、早く、エリックと会話ができるわよ」
「そう、よし!」
知ることを知り、できることはやる。

それがアメリカン・スピリッツだ!とマイクは胸をはった。
これこそが、偉大なるアメリカ合衆国の市民である。

そう、どんなに困難な状況であっても、夢見たキング牧師の演説のように、マイクは希望を見いだそうとしていた。
「アイ・ハブ・ア・ドリーム!」
マイクは涙を右手で振り払い、部屋に入った。

「こんにちは……」
椅子にすわっていたエリックは、苦しそうだった。

「どうも、建築士の設計にミスがあったのか!それとも、手抜き工事だったのか、わからないが、私のシェルターは完璧ではなかった。あれでも、三億ドルはかけたものだったのだが……」
発音も聞き取りにくい。

それも、そのはずである。顔は真っ赤なトマトのようになっていた。
声を聞かなければ、エリックかどうかもわからなかった。








閑話休題

今も民主主義といいながら、
優位な立場を保持するために、
武力で経済的圧力で、
この地球を思い通りにしようという
ごろつきがいます。

農業も遺伝子操作した大豆なども、
世界戦略の一つと書かれている
本もあります。






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