◆ハリスのパイプ、浮世絵など200点
○日米修好通商条約が締結されて、来年で150年を迎えるのを記念した特別展「幕末ニッポン~ハリスと黄昏(たそがれ)の大君の都~」が11月23日、渋谷区の「たばこと塩の博物館」で始まった。外国人が上陸し、外国文化の流入が始まった激動の時代を、当時の写真や藩士の日記など数々の資料から紹介する。同博物館は「日本の西洋化が始まった時代の活気ある雰囲気を感じてほしい」としている。○1858年(安政5年)に結ばれた日米修好通商条約は、外国人の居留を認め、自由貿易の確立が盛り込まれた。日本が本格的に開国に踏み出す要因となり、10年後には約260年続いた徳川幕府が終わって明治政府が発足した。○それまで見たこともない外国人が洋服姿で市中を歩き、新しい文化が続々と入ってくる。日本人の間では、いやがおうでも外国への関心が高まった。一方、外国人にとっても、日本は強い興味の対象で、刀を差した侍の写真が撮影されたり、本国の新聞に日本の様子が掲載されたりした。○展示されるのは、外国人を描いた浮世絵や外国人が撮影した日本人の写真、初代駐日総領事を務めたハリスのパイプなど約200点。幕府が倒れるまでの約10年間をたどる様々な資料を集めた。○目玉は、初公開される桑名藩士の江戸滞在記録「文久日記」。日記には、薩摩藩士が横浜付近の生麦村でイギリス人を殺傷した「生麦事件」(1862年)や、その後、イギリス艦隊と薩摩藩の間で起きた薩英戦争(1863年)といった歴史上の事件が登場。また、コレラの流行で、毎日数多くの棺おけが日本橋付近を運ばれていく様子など、当時の世相をうかがえる記述もある。○日記の中では、実際は薩摩が負けた薩英戦争を、うわさをもとに「英国に勝ったらしい」などと書かれている。主任学芸員の谷田有史さんは「日本史の年表にも出てくる歴史的な出来事が、その時代に生きていた生活者の立場から描かれており、大変貴重な資料」と話している。○1月14日まで。午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)。月曜と年末年始。大人100円、高校生まで50円。問い合わせは同博物館(℡03-3476-2041)。 (11/24 読売新聞より)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます