香が散る

本を読むのが大好き、少し前からノロノロですが走るのも好き
そんな、代わり映えのしない、でも大切な日々を書き綴っています

水のかたち

2012-10-09 21:57:53 | 本のこと
宮本輝さんの新刊 『水のかたち』

(上)
 東京の下町で暮らす平凡な主婦、能勢志乃子。50歳の誕生日に、
 近所の古い喫茶店で、年代ものの文机と茶碗と手文庫を買い受
 ける。後日、その茶碗の驚くべき価値が判明して、志乃子は骨
 董の世界に足を踏み入れて行く。
 予期せぬ出会いと友情が引き寄せる、新たな人生の喜びーーー

(下)
 志乃子が貰い受けた手文庫には、小さな手縫いのリュックサッ
 クと、1946年に北朝鮮から決死の逃避行を試みて、三十八度
 線を越えて帰国した家族の手記が入っていた。命をかけて困難
 に立ち向かう人々の歴史。数奇な運命が連環し、志乃子は持ち
 主を探し始める・・・。
 ひたむきに胃来る人々の喜び、哀しみ、怒り、そして祈りーー


宮本輝文学らしく、心に残る言葉が今回の小説にもたくさんありました
読み終わった小説の中にはたくさんの付箋が貼られました
「負けるな、負けるな、あきらめるな。心は巧みなる画師の如し、だ」
「石に一滴一滴と食い込む水の遅い静かな力を持たなければなりません」
「きみは努力することをあきらめなかった。」
書き出したら切りがないほどなのです
そして、宮本輝さんの小説は、本当に文章がきれいで読みやすいです
それなのに、わたしはどうしてもこの小説が好きになれないのです
物語の中で、どうしても腑に落ちないストーリーがあり
また、志乃子を平凡な主婦と書いているけれども
お金持ちの、目利きの親戚がいて、優秀な仕事をする人を紹介されて
自分自身も、天才的な骨董の目利きで、あれよあれよと幸運が訪れる
どこが平凡なんだろうと思う、それはわたしの嫉妬なのかもしれません
まわりの人たちが、善意あるとても素敵な人たちで、志乃子を助けてくれる
そのまわりの人たちの欠点などが、とても人間らしく
わたしには、志乃子だけが、ファンタジーのように思えてしまうのです
こんなに、悪い方に心を揺らされる宮本文学は正直初めてです
何年かたって、もう一度読んだとき、違う思いで読めるかもしれない
志乃子にやさしい視線を向けられるかもしれない そう願っています

    

今日、仕事で岩見沢まで行って来ました
岩見沢駅が建て替えられてから、初めて行きました

考えてみたら、昔の駅舎も見たことなかったのです
ホームは古いままなのですね~
駅を降りた町の様子は、アーケードが続いていて
なんとなく富良野の町の雰囲気に似ている気がしました
仕事なのに、ちょっとしたプチ一人旅をした感じです