香が散る

本を読むのが大好き、少し前からノロノロですが走るのも好き
そんな、代わり映えのしない、でも大切な日々を書き綴っています

さよならドビュッシー

2011-05-31 22:50:10 | 本のこと
本屋さんの平台にあって、ずっと気になっていた本
中山七里さんの『さよならドビュッシー』

 ピアニストからも絶賛!ドビュシーの調べにのせて
 送る、音楽ミステリー。ビアにストを目指す遥、16
 歳。祖父と従姉妹とともに家事に遭い、ひとりだけ生
 き残ったものの、全身大火傷の大怪我を負う。それで
 もピアニストになることを固く誓い、コンクール優勝
 を目指して猛レッスンに励む。ところが周囲で不吉な
 出来事が次々と起こり、やがて殺人事件めでに発生す
 るーー。第8回「このミス」大賞受賞作品。

ミステリーなので、詳しくは語れないのだけど(いつも
スマトラ沖地震、身体障害のこと、現実社会の問題や本人の気持ちなどは
淡々と書いているからこそ、心に響くところがある反面
音楽(クラッシック)の演奏の描写は熱く素晴らしくドキドキする
音楽を奏でるには、作曲家の生き様を知ることも必要
わたしは大好きな映画『アマディウス』『敬愛なるベートーヴェン』
「ラフマニノフ ある愛の調べ』くらいしか知らなくって
表題になっているドビュッシーなんて、ピンとこないんだけど
文章を読んでいても、音楽が聞こえてくるような感じ
小説の中には、たくさんの心に残る言葉があった
「全ての闘いは詰まるところ自分との闘いだ。
 そして逃げることを覚えると余計に戦うのが怖くなる。」
「保身は卑屈さの元凶だ。卑屈さは人の内部を腐食させ、
 そのうち鬱屈した感情が自分と毛色の違う者や少数はに向けられる。
 彼らを攻撃し排泝しようとする。」
最後は、ちょっと考えられなかった結末だった
夢中になって、一気に読んでしまったよぉ

ほぼ日でこの頃連載している「山元町と手をつなぐ」
わたしは読んでいて心にぐっとくることがたくさんありました
もし良かったら、読んでみてください

制服捜査

2011-05-30 21:23:07 | 本のこと
佐々木譲さんの『制服捜査』

 札幌の刑事だった川久保篤は、道警不祥事を受けた大異動により、
志茂別駐在所に単身赴任してきた。十勝平野に所在する農村。
ここでは重大犯罪など起きない、はずだった。だが、町の荒廃を
宿す幾つかの事案に関わり、それが偽りであることを実感する。
やがて、川久保は、十三年前、夏祭の夜に起きた少女失踪事件に、
足を踏み入れてゆく――。警察小説に新たな地平を拓いた連作集。


ツイッターで佐々木嬢さんを勝手にフォローしていて
本当は違う小説を読みたかったのだけど、本屋さんで見つけられなくって・・・
またもや北海道警察シリーズなんだけど、短編で読みやすい面白い
田舎町の怖さっていうのかなぁ、ちょっとぞくっとする
佐々木譲さん、素敵な先輩だぁ

もう一度、抱きしめたい

2011-05-27 22:23:29 | 本のこと
中村勝男さんの
『もう一度、抱きしめたい』
 脳性まひの僕に舞い降りたダウン星の王子さま

生まれたときから脳性まひで、車イス生活をよぎなくされ、
一人では食事もできない。そんな著者が結婚し、生まれた
子どもはダウン症と診断された――。
「わが子がダウン症児として誕生したとき、ぼくは歩いた
こともないのに、膝から崩れ落ちていくように自分の感情
が壊れていくのを止められなかった。発狂してしまいそう
だった。障害者を取り巻く環境など、それを知り過ぎてい
る自らの記憶が忌まわしかった」
 それでもわが子への愛情は日に日に大きくなり、不自由
な体で、NICU(新生児治療室)に入院する愛児のもとに通い続けた。
「ケンジはな ダウン星の王子なんだ……でも王様に何かあったら
ダウン星に帰らなきゃいけないんだ」
 共に障害者という父と子の、432日――
      短くも濃密な1年2ヶ月を綴った感動の記録。


作家の宮本輝さんが宮本輝公式HPで、
友人の中村勝雄さんの本ということで紹介してくれた本
この本を読んで知ったのは、中村さんが重度の障害を持っていて
3歳まで生きられないと言われたのだけど、お元気で50歳になられていて
脚本、小説、エッセイなどを書いたり、沢山の講演をされている方だということ
初めての新聞エッセイを頼まれた時は、宮本輝さんの
『命の器』と『二十歳の火影』を教科書として読んだとのこと
宮本輝さんに友人と言われて、嬉しいだろうなぁ
この本は、中村さんが結婚することから、長男の賢ちゃんが生まれ
たくさんの悲しみや苦しみや戦いの中から生まれた歓びと
ダウン星に逝ってしまったあとのことまでが
中村さんの正直な気持ちのまま書き綴られていた
簡単に泣いたりしないで、ちゃんと読もうと決めていたけど
途中、何度も読み続けられなくなった
でも、そんな中で、中村さんの強さと明るさが素晴らしかった
明るさはその人の財産なんだなぁ
読んで、よかった

なぜ絵版師に頼まなかったのか

2011-05-25 07:32:50 | 本のこと
北森鴻さんの『なぜ絵版師に頼まなかったのか』

 葛城冬馬、十三歳。明治元年生まれの髷頭の少
 年は、東京大學医学部教授・ベルツ宅の給仕と
 して働くことになった。古式ゆかしき日本と日
 本酒をこよなく愛する教授は、比類なき名探偵
 でもあった。米国人水夫殺害事件、活き人形が
 歩き出す怪事・・・数々の難事件を、冬馬の調
 査をもとに鮮やかに解決していゆく。史実を絶
 妙に織り交ぜながら綴る、傑作ミステリー!

読んでいる最中、楽しかったです
ベルツ先生や外国人先生たちの日本愛
冬馬と一緒に行動し、事件のたびに名前が変わっている男
ひとりひとり、さらっと個性的でいておかしい
また、明治維新から10数年後の日本の姿が興味深い
あっという間に読んでしまって、余韻にひたりながら
解説を読んだ途端にびっくり 
北森鴻さんは、昨年1月に心不全で亡くなっていた
「香菜里屋」シリーズや「裏京都ミステリー」など
読んでいきたい本がたくさんあるなぁと思っていたのだけど
新しい本が出る事はもうないのですね
とても残念です・・・

通勤の時間が気持ちよい季節です
見上げると

歩いている道端には

色とりどりの景色に心が安らぎます
さて、週半ばの水曜日、気持ちをひきしてめ行ってきます

シェイクスピア&カンパニー書店の優しき日々

2011-05-22 20:11:44 | 本のこと
本屋さんで何度か立ち読みをして熟慮して購入した(高いんだもの
ジェレミー・マーサー著『シェイクスピア&カンパニー書店の優しき日々』

 カナダの事件記者だった作者がパリで住みついたのは、
 セーヌ川左岸に立つ風変わりな書店。貧しい作家にただ
 で食事とベッドを与えるその書店とは、伝説の「シェイ
 クスピア&カンパニー」だった。数々の作家を育てた同
 店は文学賞と文芸誌の立ち上げを先日発表したばかり。
 その生活を綴(つづ)った本書の登場は嬉(うれ)しい。

 本書の扱う「シェイクスピア&Co.」は実は2代目だ。
 初代は1920年代にパリのアメリカ人が開店した書店
 で、失われた世代の作家やフランス詩人らが集ったパリ
 時代の象徴。この精神と店名までちゃっかり継承した2
 代目店主は「見知らぬ人に冷たくするな、変装した天使
 かもしれない」をモットーに、作家の卵をびしびし育て
 た。店にはH・ミラーやビートニク作家が集まり、無名
 詩人が脚光を浴び、ロマンスが生まれる。しかし破天荒
 な店主が雨上がりに、お揃(そろ)いのレインコートを
 着た父親と三人の男児に目をとめ、自ら手放した家庭の
 喜びを想(おも)う小さなくだりなどに、本書は深い煌
 (きら)めきを宿す。パリの異邦人を異邦人がチャーミ
 ングに活写。極上のメモワールだ。

わたしの外国文学に対する知識があまりにも無いためか、
この小説の中に出てくる出来事に驚くことすら出来なかった
最初は、この小説の世界観の中に気分よく浸っていたのだけど
どんどん読み進んでいるうちに、話の内容や人物が多岐に渡り
なんとなくついてゆくことすら難しくなってしまった
それでも頑張って1週間以上かけて読んだのは、意地かしら・・・
この後、何を読みたいのか分からなくなってしまった

落語物語

2011-05-21 21:14:03 | 映画のこと
落語家、林家たい平さん(笑点の大喜利で画面一番右端の人)の
PodCastトーク落笑亭で知った映画
『落語物語』を今日、見て来た

ピエール滝さん、田畑智子ちゃんに柳家わさびさん
もうもう、笑えて笑えて、しゅんと涙して、泣けて笑えて・・・
あっという間の2時間弱
地味だけど、垢抜けないけど(失礼)いい映画だったなぁ
札幌は蠍座というとても小さな映画館で1日2回、2週間ちょっとだけの放映
初めて行った映画館だけども、70人くらいしか入れないような劇場で
入場料も800円と激安でびっくり
ビルの地下なんだけど、雰囲気のあるところでよかった
いい時間を過ごせてよかった

春眠暁を覚えず

2011-05-20 19:44:30 | なんでもない話
毎日、読み続けたい本があって読んでいるのだけど
気付いたら、寝ているんだよなぁ
WOWOWでも結構おもしろい映画をやっていて
見たりしているのだけど、これっという感じじゃない
なんとなく、ゆる~い毎日を過ごしているなぁ

今日は仕事で大通方面の会社に行ったりしてたんだけど
ちょうど良い気候で、歩き続けると少し汗ばむ感じ

大通公園もこんな感じで、緑が多くなりました
真ん中はイサムノグチデザインの滑り台
ラジオではライラックが開花ということだったけど
まだまだこれからかなぁという感じだった

ちょっと分かりにくいけど、濃い紫と白いライラックが少し
今は、なんといってもチューリップが綺麗

可愛い色のチューリップを発見
赤、白、黄色、ピンクと花盛りで、いとおしいぃぃ

ずっと読み続けている小説、そろそろ読み終わりたい気持ち
金曜の夜、今日はゆっくり本を読もう

なごり桜

2011-05-16 20:43:10 | なんでもない話
汽車を待つ君の横で僕は時計を気にしてる~
じゃないけど、函館本線の琴似発寒間と下手稲通りの間にある
農試公園の桜もそろそろ見納めかな~と思って
日曜は混んでいるだろうから、今日月曜日の朝、
すいているだろう通勤途中に遠回りして寄ってみた

ソメイヨシノが満開 綺麗だった

風が強くて、桜の花が舞っている中を歩いたの

今年の桜も見納めだなぁ

何となく、仕事場でピリピリしている自分がいて
これって、駄目な傾向だなぁと思いながらも
自分の気持ちのコントロールが出来ないので
ついつい無口に、黙々と仕事をしているので
きっとやな感じだろうなぁ・・・
すまぬ先輩と思いつつも、
ま、そういう時もあるよね・・・静かにしのぐのさ

人質の朗読会

2011-05-14 19:37:03 | 本のこと
小川洋子さんの『人質の朗読会』

  遠く隔絶された場所から、彼らの声は届いた--
 紙をめくる音、咳払い、慎み深い拍手で朗読会が始まる
    祈りにも似たその行為に耳を澄ませるのは
     人質たちと見張り役の犯人、そして・・・
 しみじみと深く胸を打つ、小川洋子ならではの小説世界

人は誰でも語れることがあるのだろうか
それとも、状況が人を語らせるんだろうか
ふとしたことなのに、心の奥にシンとした静けさが広がる
そして悲しみや懐かしさがわき上がってくる
不思議な小説・・・何度も読み返してしまうだろう大切な小説

ちょっと体調が悪くって(もう大丈夫 ご心配無用っす
今日は自宅に殆どいたのだけど、昨日今日とちょっと大変だった
マンションの前理事長という人との引き継ぎがスムーズに行かず
管理会社の協力を得て、何とか印鑑や書類、通帳を受け取り
管理会社の人と管理員さんと3人で、その書類の確認などで1時間半
前の理事長は書類の整理は一切していなく、1年間の書類がただ袋に入っている
いるもの、いらないものを整理したり、懸案事項を管理員さんから聞いたり
そして、会計の帳簿と小口現金が無いことが判明
前の会計の人が持っているのではないかと、連絡をしたら
その方に烈火の如く怒られた
「前の理事長さんに総会の時に返しました!失礼な!」と・・・
そんな、誰も貴方の思っているような失礼な人とは思っていませんが
それで、また嫌々ながらも前の理事長に連絡したら
「ああ、持っています」って・・・
そして今日は休みなのでこれから渡したいと・・・
朝早くから夜遅くまで忙しくて、休みもいつだか分からないから
直接引き継ぎ出来なかったんじゃないのと思うと、腹が立つ~
思わず、顔を見て文句を言ってしまった
人を責めてしまう、そんな自分に後悔
こんな気持ちになるのはもう嫌だなとしみじみ思ったけど
これまで理事を何回もやってくださったおじいさまたちも
好き勝手なこと言われて、嫌な思いをしたんだろうなと思って
申し訳なかったなと、またもや反省
冷静に、自分らしく、管理会社の人にたくさん協力してもらって
嫌だ嫌だじゃなくって、これも経験と思う1年にしていかないとね

七夜物語2

2011-05-11 23:14:23 | 本のこと
昨日の朝刊に、
「七夜物語」連載を終えての川上弘美さんの記事があった
長い連載となり、いちばん心配だったのは、
何かのことで書く手がとどこおることだったそうです
3月11日は、7章の最後に向かう部分を書いていて・・・
これからは、川上さんの文章を抜粋します
 津波、原発。たくさんの苦しんでいる同胞。亡くなったひとびと。
手をつかねて見ているしかない自分。手がとどこおる、という易しい
ものではありませんでした。書こうという気持ちに、一切なれなかっ
たのです。こんな物語を、誰が望んでいるということなのだろう。何
もできずに、無事にのうのうとここにいて。そんなふうにしか感じら
れませんでした。
 その葉書が来たのは、3月16日のことでした。「津波で、父が行
方不明になりました。テレビも、新聞も、悲しすぎて見られません。
今はただ、ずっと読んで来た連載小説だけを読んでいます。日常とい
うものがまだこの世界にちゃんとあるのだと思えるからです。」そん
な内容のものでした。身が震えるような思いに打たれました。葉書を
下さった方をささえたのは、おそらくわたし個人の力ではありません。
言葉自体の力なのです。物語自体の力なのです。書いていいのだと、
許された気持ちでした

読んでいて、震災後のつらかった悲しかった気持ちが蘇った
何も出来ないと思い込んだり塞いだりしたけど、糸井重里さんのコラムで
「あせらずに、いつか順番がくるから」「今頑張っている人を応援しよう」
そんな言葉で少しづつ元気をもらっていったことを思い出した
大好きな小説が、最後にこんな力を持って終わったのだと思い
もっともっと好きになった

月曜日の仕事中に通った宮の沢の山

そして、今日仕事を早く終えて行った円山公園

札幌も元気にいつものように桜の季節