香が散る

本を読むのが大好き、少し前からノロノロですが走るのも好き
そんな、代わり映えのしない、でも大切な日々を書き綴っています

海岸列車

2015-02-27 21:48:55 | 本のこと
今週はずっと海岸列車に乗っておりました
宮本輝さんの
『海岸列車』

 

<上>
「鎧」という無人駅は自分たちを捨てた母がいる場所--
父の死後、夏彦とかおりの兄妹は伯父の元に引き取られ成長する。
「モス・クラブ」という会社で働き始める。
兄は、ぽっかり空いた心の隙間を埋めるように
寂しさを紛らわしながら暮らし、
妹は心にある秘密を隠して急逝した伯父の後を継ぐために奔走する。
そんな時目の前に現れたのが、国際弁護士・戸倉陸離だった。


<下>
戸倉陸離に支えられ、「モス・クラブ」を経営していくかおり。
時代に、彼への想いが抑えられなくなっていく。
同時に彼もその気持ちに気づき、
大切に思うが故に距離を置く。
夏彦は会社から身を引き、
まったく新しい自分の人生を歩み始める。
そんな時、会社ではある陰謀が進行していた。
それぞれの人生、それぞれの愛の形。
そして彷徨える二人の魂に救いはあるのか…。


以前の文庫は文春文庫だったのですが
今回は集英社文庫から出版されたのですね
すごくいい表紙のイラストレーション
この表紙じゃなかったら、
単行本も文庫本も持っているのに買わなかったな

宮本輝さんの本は、エンドマークがくっきりつくことはなく
ずっと、登場人物がどこかで生き続けているような気がします
かおりも夏彦も、高木澄子さんも
きっと幸せにそれぞれの家族に囲まれて生きていると
今回も読み終わって、確信したような気がします
そして、何回も読んでいるのに、本にはたくさんの付箋
たくさんの言葉に、胸をうたれました
昨日の夜、読み終わってしまって、少し寂しい気持ちなのです

昨日、直木賞作家・西加奈子さんと、
芥川賞作家・小野正嗣さんが出演された
ゴロウデラックスを見ました
小野さん、小説のイメージと違って面白い人でした
西加奈子さんは、ラジオとかテレビで見て
楽しい方だなという認識はあったのですが小野さんは意外
ただ面白いだけではなくって、人の話を聞く姿勢も素敵でした
お二人の言葉で印象的だったのは、小説の書き方で
場面が浮かぶと、書いてみる。そこから広がる
無性に感心というか、胸キュンしてしまった
「サラバ!」読んでみたいな
小野さんの小説も、また挑戦してみよう

第152回芥川賞

2015-02-22 20:22:46 | 本のこと
先月発表された第152回芥川賞作品
小野正嗣さんの『九年前の祈り』
いつものように、選評も読みたいので
雑誌、文藝春秋で読みました



三十五になるさなえは、幼い息子の希敏をつれて
この海辺の小さな集落に戻ってきた。
希敏の父、カナダ人のフレデリックは
希敏が一歳になる頃、美しい顔立ちだけを息子に残し、
母子の前から姿を消してしまったのだ。
何かのスイッチが入ると引きちぎられたミミズのように
のたうちまわり大騒ぎする息子を持て余しながら、
さなえが懐かしく思い出したのは、
九年前の「みっちゃん姉」の言葉だった──。
九年の時を経て重なり合う二人の女性の思い。
痛みと優しさに満ちた〈母と子〉の物語。


この小説は、さなえという女性の気持ちに
寄り添い、理解しようと思うやさしさがなければ
なんでこういうお話を読み続けなくてはならないのか
わからなくなり、暗い気持ちになり、理解できず
そんな風になるのでは…というか、なりました
芥川賞はむずかしいですね



久しぶりに発寒のイオンに行った帰り道の
穏やかに見える農試公園沿いの琴似発寒川
帰り道だけ、少しだけど走ろうと思っていたけど
風が強くて、すぐにめげてしまった



カエルの仲間を見つけた



フクロウのマグカップが400縁
カエルと一緒に連れて帰ってきてしまった



うちの中にいても、風の音が激しい中
久しぶりに宮本輝さんの『海岸列車』を再読
単行本も文庫本も絶版になっていたのですが
集英社文庫から新刊として発売になったのです
表紙の古屋亜見子さんのイラストがとても素敵
単行本は1989年発売だから26年前の作品
もう何回読んだんでしょう
この小説は、宮本作品の中でもとても好きな作品で
いま、読んでいても古さを感じない
しばらく、海岸列車の旅に出ております


ナキウサギ他もろもろ

2015-02-21 19:43:11 | なんでもない話
明日はお天気が良くない予報なので
今日は走らなくてはっと思って
朝7時前に家を出て3時間半 
農試公園方面に行き、ぐる~っと回って
北1条通り、藻岩山麓通り、中央区ジグザグ
最後は北大を通って約25kmちょっと
ヘトヘトになってうちにたどり着いたら
管理人さんに「北海道マラソンに出るの?」
なんてずいぶん先のことを聞かれ
「いえ~、遅すぎて出られないんですぅ」と宣言

お友達と約束のため、また外出
地下歩行空間で
ナキウサギふぁんくらぶの展示がありました



実物のナキウサギを旭岳で1度だけ見かけて
その可愛さに身悶え~
ポストカードが1枚50円というお買得さでした



帰り道にいつもの通勤路を通ったら
町内会で交通安全のアイスキャンドルをやっていました





寒い中、ひとつひとつの灯りを確認している方々は
お年寄りの方ばかりだったな
「ありがとうございます」と声をかけたら
夜行反射ストラップをくれました

今朝の新聞に載っていた
小樽文学館で3月29日まで行われている
「北の文人 立ち話 - 高山美香イラスト原画とエッセイ展
ちまちま人形を作っている高山美香さん
わたしのブログにも3度ほど登場 → こちらです
忘れずに見に行かなくちゃ

と、いろいろだった土曜日でした

ソラシド

2015-02-20 20:58:55 | 本のこと
吉田篤弘さんの
『ソラシド』



レコードばかり聴いていた1986年の冬、
忽然と現れ、
忽然と消えた女性デュオがいた


むかし写真誌のレイアウター、
今は文筆業のおれは、
ふと手にした古い雑誌の記事に惹きつけられる。
その二人組は愛してやまないアルバムと
一番好きな曲が自分と一致し、
片割れはかつてのおれと同じくダブル・ベース弾きだった。
彼女たち=ソラシドの断片を掻き集め、
おれは紡いでゆく――。
クラフト・エヴィング商會の物語作者が描く、
失われたものの小説。


吉田さんの小説は、静かに静かに始まる
そして、どこか変わった人たち、建物から
物語が動き出していくのが心地よい
1986年、渋谷区と世田谷区の間の
松見坂の上にある「空中の長屋」
まずいコーヒー、「ザ・ビートルズ」
エレファントという名のダブル・ベース
現在の「オレ」と年の離れた妹「0(オウ)」が
過去を探していく
不思議だけど、心地よく
たくさんの音楽が聴こえてくるような小説
極上の読書の時間を過ごすことが出来ました

  

ココ何日か、暖かい日が続いています
だいぶ雪が溶けたけれど、
まあ、またドッサリと降るんでしょうね
このまま春になるなんて、甘いよね
それでも、日が昇るのが早くなって
起きたら朝日が見えるとうれしい
春分の日まであと1ヶ月

透明カメレオンと約束の森

2015-02-17 21:17:53 | 本のこと
すっかり風邪をひいて弱っておりました
横浜マラソンまで1ヶ月を切ったのに
土日も含めて全然練習できず
弱って、意識朦朧で洗面所で転んで後頭部を打ち
足でひっかけたステンレスの物干し竿が落ちてきて
右前頭部を打ち、大きなたんこぶ2つ
ただのアホですね

道尾秀介さんの
『透明カメレオン』



冴えない容姿と“特殊”な声を持つ
ラジオのパーソナリティの恭太郎は
ある雨の日、行きつけのバーで
びしょ濡れの美女に出逢う。
ひょんなことから彼女の企てた
殺害計画に参加することになる恭太郎だったが――。


何か内容に関して書くと
これから読む方ががっかりするかもしれない
色々なことが、色々なきっかけやヒントになるので
だから書きませんが
こういう気持ちで読み終えるミステリーだったのかと
読み終わってびっくりしました
道尾秀介さんのやさしさがあふれた小説だなと思います

沢木冬吾さんの
『約束の冬』



妻を亡くした元刑事の奥野は、
かつての上司から指示を受け
北の僻地にある別荘の管理人を
務めることになる。
やがて明らかになる謎の“組織”の存在。
一度は死んだ男が、
愛犬マクナイトと共に再び立ち上がる。


ハードボイルドで、ドキドキする展開で
血や殺人、暴力、顔をしかめたくなるようなことが
たくさんあるのですが、
気持ち、気配、不器用さがやさしくって
すごく面白かった
沢木冬吾さんの小説、他の本も読んでみたいと思いました

オヤジの特訓

2015-02-11 22:13:28 | 走ること
今日は、
名古屋ウィメンズ対策オヤジの特訓2015
上野幌の森の湯駐車場で待ち合わせて
約20kmくらいをみんなで走ろうというもの
名古屋ウィメンズは出ないけど~という女性も
名古屋ウィメンズには出れないけど~という男性も
物好きな人たちが集まって
オヤジの特訓を受けに集まりました


一度暖かくなって雨が降って溶けた後
しばらく凍えるような寒さが続いたので
歩道はツルッツルで、
みんなおそるおそるゆっくり住宅街を走って
森林公園の中に入ると、
こんなところを降りるの 登るの




(こまっちさんから写真を借用)

なんかもう、笑っちゃいました
百年記念塔が見えた時はホッとした



帰りは12号線を通って新さっぽろまで
そして、上野幌に向かってずっと歩道
ガタガタだったりツルツルだったりで
いつもは使わない筋肉を使っているからか
変なところが痛くなりながらも走り続け
最後は森の湯への坂道の途中で
仁王立ちとなりゲキを飛ばすオヤジに笑いながら
なんとか約17km走り終えました

お風呂に入って、みんなでランチを食べて解散
こはるさんが琴似駅まで送ってくれて無事帰宅
洗濯しているうちに、疲れて寝てしまいましたとさ
ああ、楽しかった 
オヤジ、みなさん、ありがとうございました~

くちびるに歌を

2015-02-11 21:57:45 | 本のこと
中田永一さんの
『くちびるに歌を』



長崎県五島列島のある中学合唱部が物語の舞台。
合唱部顧問の音楽教師・松山先生は、産休に入るため、
中学時代の同級生で東京の音大に進んだ柏木に、
1年間の期限付きで合唱部の指導を依頼する。
それまでは、女子合唱部員しかいなかったが、
美人の柏木先生に魅せられ、男子生徒が多数入部。
ほどなくして練習にまじめに打ち込まない男子部員
と女子部員の対立が激化する。
一方で、柏木先生は、
Nコン(NHK全国学校音楽コンクール)の課題曲
「手紙~拝啓 十五の君へ~」にちなみ、
十五年後の自分に向けて手紙を書くよう、
部員たちに宿題を課していた。
提出は義務づけていなかったこともあってか、
彼らの書いた手紙には、誰にもいえない、
等身大の秘密が綴られていた--。


五島列島という、九州から離れた島ならではの
狭い世間のうわさや習慣
自閉症の兄を持つサトルと
早くに母親を亡くし、だらしのない父に捨てられ
祖父母と一緒に住むナズナ
二人の語りで、淡々と語られる中学生活
青春小説といっていいのかな
懐かしさと、切なさと、景色の美しさ
とってもきれいな、好きな小説でした
2月28日に映画が公開されるそうです
新垣結衣さんが柏木先生役はぴったり
でも、主人公は中学生たちだな~
中学時代じゃなくてはならないお話だもの



昨日は、中学の同級生4人で
白石のソレイユで食事会
4人で集まるのは5年ぶり
笑って、驚いて、笑って、食べて
楽しい時間だった
ソレイユのお料理も、相変わらず美味しくって大満足
元気でまた会いたいな

甘美なる作戦

2015-02-09 20:40:39 | 本のこと
イアン・マキューアンの
『甘美なる作戦』



MI5の女性スパイと、若き小説家。
二人の間に生まれた愛は、幻だったのか?


任務を帯びて小説家に接近した工作員は、
いつしか彼と愛し合うようになっていた。
だが、ついに彼女の素性が露見する日が訪れる――。
諜報機関をめぐる実在の出来事や、
著者自身の過去の作品をも織り込みながら、
70年代の英国の空気を見事に描き出す、
ユニークで野心的な恋愛小説。
ブッカー賞・エルサレム賞作家の最新長篇。


本好きのお友達と、書評家の豊崎由美さんが
一押しの小説だったのです
この頃は、あまり海外作家の小説は
読んでいなかったので、久しぶり。
恋愛小説であり、推理小説であり、仕事小説
何かに分類できない感じ。
そして、なんというか、もってまわったような言い回し
風景や事実にも馴染めず
うんんん、ストーリーは面白いけど
どうしても、小説の中に入り込めない
最後まで、読んでいて苦痛という珍しさ
読解力がないんだろうなと、本当に思ってしまった
すごい挫折感でいっぱいという感想です

イアン・マキューアンの文章が合わないのか
翻訳家の方の文章が合わないのか
そんな風にも考えてしまった。
別に、海外小説が嫌いなわけでもなしなぁ



この前行ったカエルヤ珈琲店の
白と黒のカエル写真… 意味もなく

白と黒のアイツ

2015-02-07 19:36:49 | なんでもない話
えっと、今、読んでいる本が
外国小説なのですが、
面白いんだけど、なかなか読み進まなくって
途中で、他の本を読みだすと、挫折しそうで
新潮クレストブックなので、持ち歩きも不便なので
移動中とかは、村上春樹さんのエッセイ
『やげて悲しき外国語』を再読したりして
しばらく、本の感想ブログはアップ出来そうもないっす
本を読み終えて、ブログアップというパターンが
自分の中で定着していたので、
ちょっと変な感じ

木曜日からさっぽろ雪まつりが始まりました
初日に、仕事で大通りに行く用事があって
お昼休みにちょっとだけ見てきましたよ





お天気が良くて、雪まつり日和だった
平日のお昼は、去年の夜よりずっと人は少なかったけど
それでも、すごい人たち、多分観光客
歩き方がぎこちないからね~
昔は、雪像を見ることがメインで
かまくらに甘酒くらいしかなかったのに
ここ数年は、たくさんの露店が出ているので賑やか
すごく高いけどね
イベントも多くなったし、雪まつりの楽しみ方が変わったなぁ

今日は、お天気もいいので、白石サイクリングロードへ
走った後も行きたいところがあったので、
リュック背負ってゆっくりゆっくり
たくさんのランナーさんたちが走っている中
トン子さんに偶然お会いして、少し一緒に走っておしゃべり
その間だけ、なんだか楽な気持ちで走れた~
昼間の晴れている時に走るのは気持ちいいね



木曜日の夜、遠回りして走って帰った時
農試公園の裏側を通ったら、
十六夜の月と針葉樹と農試公園のドームが
突然目の前に現れて、美しくてうれしくなった
外を走っていると、風景に後押しされる感じ

今日は、カエルヤ珈琲でやっている
中井亜沙子さんの『白と黒のアイツ』を見に行きたかったのです



カエルがいたるところにいる珈琲店

個展の写真はNGだったのでないのですが
にくたらしくて可愛らしい動物たちの横に座って
深煎りの珈琲をいただいてきましたよ
シマエナガのぽよよんとした感じ
フクロウのなんともいえない目付き
欲しかったわ おうちの子になって欲しいよ

歩いてマルヤマクラスへ行って
軽井沢きなりで、燻製いちじくと無添加アプリコットを購入
中井さんのアイツっぽいポストカードと
カエルヤ珈琲店のカエルのポストカードも購入



なんだかひとり上手な休日を過ごした気持ち
あ、まだ本を読んでいないわ…
読み終わるんだろうか


ワン・モア

2015-02-03 22:20:05 | 本のこと
桜木紫乃さんの
『ワン・モア』



安楽死事件を起こして離島にとばされてきた
女医の美和と、オリンピック予選の大舞台から
転落した元競泳選手の昴。
月明かりの晩、よるべなさだけを持ち寄って
躰を重ねる男と女は、まるで夜の海に漂うくらげ。
同じ頃、美和の同級生の鈴音は
余命宣告を受けていて…
どうしようもない淋しさにひりつく心。
人肌のぬくもりにいっときの慰めを求め、
切実に生きようともがく人々に
温かなまなざしをなげかける。
再生の物語。


桜木紫乃さんの小説を読むといつも感じる
狭い世界、土地に生きる人たちの閉塞感は
やはり、今作でも同じように感じながら
やるせなく、悲しく、寂しいけれど
人間らしく、そして再生していくさまに
心がじんわりとあたたかくなってきた
いい時間を過ごせたな

    

今日は、4週間ぶりの足つぼマッサージ
いやぁ、痛くて痛くて、悲鳴をあげましたわ
でも、見た目からむくんでいた足がすっきり
帰りは、少し遠回りしながらゆっくり走って帰ってきた
足、軽かったわ~ん