助手:博士! サントラってなんの事ですか?
博士:昔、よく街中を走っていた三輪トラック、オート三輪トラックの事じゃよ。簡単に言えば、オートバイの後輪を左右に1輪づつ取り付けた車体の上に荷台を載せたものじゃ。しかし3輪ゆえ安定性に欠け、悪路や高速走行は不向きという欠点からその後4輪車に取って代わられたのじゃ。大型の三輪トラックはバキュームカーに使われていたからのう、もしなんらかの拍子でひっくり返れば、大変なことなるな~ とよく思ったものじゃ。
いや違った! サントラとは映像フィルム上のサウンドが入ったトラックの事じゃ。その昔、特に映画音楽の事をサントラと呼んどった。
助手:ああ、わかりました。サイモンとガーファンクルの“卒業”というアルバムがそうですね。だけど、そのアルバムの新曲は、ミセス・ロビンソンだけで、残りはサウンド・オブ・サイレンス、4月になれば彼女はとスカボローフェヤーなどの既出の曲、 アウトテイクのような既出曲の断片、そしてジャズ・ミュージシャンのデイブ・グルーシンの曲で構成されていて、サイモンとガーファンクルのアルバムとしては少し物足りない内容ですね。
博士:収録されている内容や当時駆け出しで有名になる前だったデイブ・グルーシンの起用などを考えると、そのような印象を持つのも仕方ないことのじゃが~
もちろん映画の内容が良かったのも事実だけど、実はサントラ部門のグラミー賞を獲得するほど非常に評価され、また売上も全米1位、全英3位を獲得したベストセラーになったアルバムだったのじゃ。
助手:へー、そうだったんですか。なぜそれほど売れたんですか?
博士:昔はのう、今と違ってブルーレイ、DVDやインターネットで簡単に映画を見ることが出来なかったので、もう一度見るには映画館に足を運ばなければならなかったのじゃよ! ロードショーでの公開が終了するとそう簡単に再び見ることは出来なかったからのう。サントラ盤を購入し聴くことによって、映画のシーンを思い出し再びその感動に浸れるのじゃ。だからヒット曲以外のオーケストラなどの演奏による挿入曲も非常に重要だったわけじゃ。
一期一会の映画での思い出を大切にする、なんとも良き時代だった~
おい、何を泣いているのじゃ?
助手:博士もたまには、まともなことを言うと思うと、涙が。
卒業サントラ盤の収録曲。よくアルバム1枚分の量に出来たなと感心。
ヒット曲のみから構成されている、映画FMの2枚組サントラ盤。
1978年当時、スティーリー・ダンが作ったFMという曲はここでしか聞けなかったので、その1曲のためだけにこの2枚組のサントラ盤を購入したディープなスティーリー・ダンのファンもいたとか。
その後、FMという曲はスティーリー・ダンのベストアルバムに含まれることになったが、その1曲のためだけにまたまたそのベストアルバムを購入したさらにディープなスティーリー・ダンのファンもいたとか。