CLASSIC ROCKを聴こう! PLUS

1960年から1980年代のロックを紹介していきます。またPLUSと言うことで、ロック以外の話題も!

ピンクフロイドと緩パンの理論

2015年03月18日 | PROG ROCK

博士:何! 15 X プラチナじゃと!

助手:ええ、アメリカだけで1500万枚、全世界で5000万枚以上売れたとのことです。

博士:それじゃキッコーマン醤油卓上瓶と同じで、ロック一家に1枚という勘定になるのう。

助手:マイケル・ジャクソンのようなアイドルでもなく、ビートルズのように、多くのシングルヒットがあるわけでもなく、プログレというジャンルで何故こんなに売れたのでしょうか?

博士:解らぬの~。わしが長年研究し導き出した、ロックビッグバンの定理では全く説明出来んのじゃ。世界中でヒットしたので、アルバムの邦題”狂気”に惑わされて無意識に買ってしまったとも思えないし。

助手:テープなどの効果音の使用は当時他のグループでもありましたからね。また彼らの演奏技術も、特段難しいことをやっているようには思えないのですが。むしろ、ゆるい感じがするのですが。

博士:それじゃ! そうか、わかったぞ! 仕事から帰ってきて、風呂に入り、そのあと、緩パンを履くと非常にリラックスするのと同じじゃ。 日常のプレッシャーから己を解放しさらにリラックスするため、アメリカ人は挙ってこのアルバムを買い求めたのじゃ!

助手:おお、博士! 伝説の緩パンの理論ですね。

博士:その通り。但しこの理論は、残念ながら日本人には当てはまらんのじゃ。何しろ、日本人は、プログレ道を極めると称して、必ずステレオの前に正座して一音たり逃さずに聴くという習性があるからのう。それでは音楽を楽しむことは出来ないと思うのじゃが。困った人たちじゃ。

という会話が実際あったのかはさておき、ピンクフロイドのDARK SIDE OF THE MOONはマイケルのあのスリラーに次いで現在世界売上の座2位に位置し、メディアがCDやDVDなどのフォーマット変わった今日でも売れ続けているお化けアルバムです。皆さんはなぜこのアルバムがこれだけ売れたのかと思われるでしょうか?

イギリスでは、EMI傘下のハーベスト・レーベルが販売し、アメリカではEMIと繋がりのあるキャピトルが販売権を持っていました。

イギリスでは、デビューアルバムから売上は常時十位以内で、あの原子心母のアルバムは全英一位を獲得するまでになりました。残念ながら、それまでアメリカではイギリスと比べると売れ行きが芳しくなかったようです。

新しくキャピトルの会長に就任したBHASKAR MENORは、ピンクフロイドは必ず売れるという確信を持って、売上を増やすためにテコ入れしました。彼が打ち出したのは、アメリカ限定でシングルを発売しラジオのエアプレーを利用しプロモーションを展開することでした。

通常プログレのアルバムは、難解な内容の詩や尺の長い曲などシングルカットするには不向きな曲が多く、売れないと想像のつくシングルの発売にはレコード会社としてはどうしても躊躇します。またバンド側も当時尖っていて、シングルの発売を許可しない場合もありました。彼はなんとかバンドを説き伏せ、ラジオに乗せやすいように曲を短く編集し、都合このアルバムから2枚のシングルを発売しました。

特にMONEYという曲は、曲の頭にレジスターの出す効果音がイントロに絡むアレンジにインパクトがあったのか、プログレ系シングルとしては大ヒットとなる全米13位。

それがうまく作用し、結果的にアルバムもベストセラーとなったのです。まあ、プログレは難解であるというような固定観念にとらわれず、普通のポップアルバムのように楽しんで聴いて欲しいというメッセージになったのではと想像します。

余談となりますが、以前からキャピトルのマーケティングになんらかの不満を持っていたフロイドのメンバーとマネジャーは、同じ時期に極秘裏にコロンビア・レコードと新規の契約の交渉を進めていました。キャピトルとしてはようやくアメリカのマーケットでの成功に辿りついたのに、次に出すアルバムから、その美味しいところはコロンビアに持って行かれるという残念な事になりました。

一説によりますと、コロンビアはフロイド側に契約の前金として1ミリオンドル(当時1ドルは300円ぐらいでしたから、1974年頃の約3億円)を支払ったようです。 フロイドのシングルMONEYの歌詞と同様に、世の中本当にマネーですね~ 1975年、次のアルバムWISH YOU WERE HEREの日本での発売が東芝からCBS-SONYに変わった時、当時の少年たちはそのような裏のドロドロとした話を想像する由もありませんでした。

それではピンク・フロイドのDARK SIDE OF THE MOONを是非リラックスしてお聴きください。なぜこれほどまでに売れたのか貴方なら解明出来るかもしれません。


初盤のレーベルは、青いプリズムのイラストを採用。


ボックス・セット購入も、このボックスの目玉である5.1CHのDVDとB-RAYの再生する装置が現在ないため、猫に小判の状態
エントリー系の音を出すマルチのシステムとなると、プレイヤー、アンプとスピーカーで少なくとも15万円ぐらいかかるのでは?
誰かお金貸して~、いや、お金ください。