キャピトル担当:今度新しく作るあなた方の楽団名教えてください。
ロビー:楽団。
キャピトル担当:あの~、 楽団名聞いているんですけど。
リック:だから楽団って言ってるでしょ。
キャピトル担当:真面目に答えてくださいよ~
リヴォン:楽団名が楽団ってこと。
キャピトル担当:何のことやら?
コントでボケと突っ込みのようなやり取りが実際にあったかどうか定かではありませんが。
簡単に経歴を述べると、アメリカ人のロック歌手ロニーホーキンスのバックバンド、ホークスとして活動を始め、1963年ローニーから独立し、1964年ボブ・ディランのバックに推薦され、ディランのエレクトリック・ロック・ツアーに帯同、そして1966年ボブの交通事故の後、休養中のディランと様々な曲のレコーディングを隠れ家(BIG PINK)で繰り返し、1968年に新しい名前、THE BANDでデビュー。
このアルバムは、初期4枚のスタジオ・アルバムのベストを集めたようなライブ盤で、1971年12月のニュー・イヤー・イブ公演で録音され翌年の夏に発売された、全米と6位となる彼らにとってヒット作となりました。
彼らの作品はルーツミュージックとR&Bがベースで、必ずしもシングルヒットするようなポップでメロディアスな曲や、これがニューロックだというような派手な曲はありません。THE BANDを知らない人が初めて彼らのアルバムを聴くと、なんと地味なという印象を受けるかもしれません。しかし何度も聴くことによって次第にこなされていき、曲が体に馴染んでいくって感じですね。
アルバムタイトルのROCK OF AGESとは、聖書の出てくる千歳の岩(神)という意味がありますが、ここでは岩の意味をROCKにかけて、熟成あるいは年代物のロックという意味でしょうか? また神ということでしょうか? ジャケット正面に黄金のブッダの写真を配置しています。
これはレコードアルバムのアートワークで有名なボブ・ケイトーが制作したもので(仏像の写真は息子のエリックによるもの)、ジャケットの色に濃い紫色を使いビンテージ感を出しています。ボブ・ケイトーはバンド以外にもディラン(GREATEST HITS)、ジョージ・ハリスン(33 1/3)など数多くの有名ミュージシャンのアートワークを手がけています。
2001年にディランと共演した3曲を含む全10曲のボーナス・トラックが含まれたリマスターCDが再発されたり、2013年ロビー主導でニューイヤーイヴコンサートの完全版を5枚組で出したりしましたが、やはりこのアルバムの正しい聴き方は、ボーナス・トラックは不要であり、オリジナル通りDON’T DO ITから HANG UP MY ROCK N ROLL SHOESまで通して聴くことだと思います。何度も聴き、すでに体に馴染んでいるため、曲順が違うと違和感を覚えてしまいます。
リックのベースのイントロから始まり、アラン・トゥーサン監修のホーセクションが炸裂するスタジオ・アルバムにはない迫力のライブ演奏ぜひ一度聴いてみてください。
一回でノックアウトされなくとも、数回聴けばきっと体に馴染むこと請け合いです。
リチャード:俺たちの楽団名理解できた?
キャピトル担当:あの~、楽団が楽団名ということですね?
ガース:そう俺たちはTHE BAND。
キャピトル担当:すいません。あの新米なもので、英語全然わかんないです。
メンバー全員:いいかげんしろ!