久しぶりに登場の近所のレコード屋の店主が、“今月いい新譜が出たよ~ ちょっとさわりだけ聞いてみる?”と聞かせてくれたのが、新生ディープ・パープルのバーンでした。
一回試聴すると、レコードの場合、厳密に言えば中古になるので、普通は買ってから、傷があるかどうか調べるために試聴するのが一般的でした。今回店主が一押しのアルバムでどうしても私に買わせたいという思いで特別に試聴させてくれたようでした。バーンのイントロを聞かされてかなり心が動いたのですが、その時の予算はLPを一枚を買えるだけしか持っていなく、既に購入するレコードを決めていたので、スキップとなりました。その時、何を買ったのか記憶はありません。
新メンバー、デビッド・カバーディールとグレン・ヒューズのダブルボーカルと彼らが持ち込んだファンキーかつソウルフルな音楽性が、ディープ・パープルを新しい方向へと導きました。しかしこれだけの作品が出来上がった最大の原因は、やはり前作とは違いリッチーのやる気が俄然出てきたことにあるのでしょう。イントロの1小節目でエンジンの一発点火、そしてすぐにエンジン全開しトップギアに一気に昇りつめる迫力を持ったアルバムはあまり見当たらないでしょう。当時リッチーはポール・ロジャースを後任のボーカルにしたかったみたいですが、ポールがバーンを歌うイメージは私にはありません。短命な3期のラインアップでしたが、これはこれで大成功したのではないでしょうか。そのほかの曲も粒ぞろいで、最初から最後まで一気に聴けること間違いはありません。
それ以外の注目ポイントは最後の曲のA-200と言うインストナンバーです。ボレロのリズムに乗って、ジョンロードのシンセがELPの演奏みたいに絡んでくるのですが、ここではリッチーが、ほかの曲で弾くソロのように全面に飛び出してくるような感じではなく目立たなく弾いていて、彼の音楽の嗜好がよく出ている作品ではないかと思います。言い換えれば、A-200を入れることで、リッチーなりに新生ディープ・パープルの方向性に少しブレーキをかけていたのではと思えてなりませんでした。
それから月日が経ち、30周年記念のCDが発売され、それに収められているボーナストラックにCORONARIAS REDIGというシングルB面の曲を発見!
なんとレインボーのフレーズが出てくるではありませんか?
3期新生パープル誕生と思いきや、既にレインボーがの卵が産まれており、やはり次のアルバムで解散するという運命だったのです。
今日の一言、“やっぱりリッチーにファンキーは似合わない。”てことでした。
それから、A-200の曲名はSFがらみではなく、シラミ退治の薬からでした。なんといい加減なネーミング。
後日、
私:ディープパープルのバーン下さい。
店長:それだと、取り寄せになるよ。
私:えー、試聴したやつ売れちゃったの?
遠い昔の田舎の小さなレコード屋での会話でした。
30周年記念のCDのジャケット、ディープ・パープルというよりは、ピンキッシュ・パープル