風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

島根に友を訪ね・ちょっぴり鳥取1-1

2016-11-28 | 中国(山陰)

○ prologue

高校時の仲良しさっちゃんが、共通の友人Pちゃんと、久しぶりに連絡が取れたと、教えてくれました。
Pちゃんが別の大学に進んだことまでは知っていましたが、その後なんと出雲の神社にお嫁入りし、さらに神主の資格もとっているとのこと。
ピアノの先生を目指していた彼女が、神職についていたなんて、びっくりぽんです。
西洋と東洋は、音階からして違うのにねー。(お互い音楽部だったのでこんな感想に)

恋人がサンタクロース、ならぬ、友だちが神主さん~♪(あ、歌える)
彼女が今、どんな人生を送っているのか、とても気になります。
Pちゃんも懐かしがってくれたので、さっちゃんとそのパートナーのヒロポンと3人で、出雲まで会いに行くことにしました。

○ 出雲までの道

さっちゃんは目下熊本在住。ヒロポンは中国出張中。私は横浜。
3人がバラバラの場所から、出雲空港で集合することになるのかと思いました。
号令がかかった、いわくありげな秘密結社のメンバーみたいですが、彼女が横浜に一時帰省しにきたので、一緒のフライトで行けることになりました。

早朝に羽田空港で落ち合い、2人で飛行機に乗り込みます。
出雲にはANAは就航していないため、JAL便で。
機内ドリンクのキウイジュースが人気だと聞いたので、頼んでみました。
最近乗るのはLCCばかりだったから、ドリンクを出してもらえて感激~。
何も食べずに来たため、機内にクロワッサンを持ち込んで、2人で食べようとしたら、CAさんがそっとおしぼりを出してくれました。
さすが、大手航空会社は気配りが違いますね!



お互いとても早起きをして寝不足ですが、眠さを忘れてお喋りしていたら、あっという間のフライト。
境港を上から眺めて「わー、地形がくっきりわかるねー」と言っているうちに、出雲に着きました。
「しまねっこ」のキャラクターにかわいく歓迎されると思ったのに、SPが立ちはだかってる?
いえ、三代目J Soul Brothersのメンバー3人のいかついポスターでした。
空港のあちこちでみかけます。出雲が出身なのかしら。



○ 縁結び空港

正式名称は「出雲縁結び空港」。出雲は空港までもが縁結びなんですね~。
フルネームで言うにはなんだかちょっと照れちゃいます。「神話の里空港」とかの方が言いやすいのに。
宗教っぽくなるからダメなのかしら。
壁には巨大なハート型ののしと、しめ縄がかけられていました。



この空港で、中国出張を終えて福岡経由でやってくるヒロポンと待ち合わせ。
国際便が到着するまで、空港内を探検しました。



○ 秘密結社鷹の爪

2階出発ロビーに『秘密結社鷹の爪』の吉田君のパネルを発見。
た~か~の~つ~め~。
そういえば、彼は島根のキャラクターだったわ。
来たばかりなのに「ようこそ」じゃなくて「また来てね」って別れを告げられちゃいました。
その隣には、湯の川温泉のやがみちゃん。キャラもタッチも違います。



片隅にはフライトシミュレーターがありました。
「これなんだろう?」観察してもよくわからない、メカに疎い私たち。
「パイロットごっこができるんだね、きっと」
「"電車でGO!"の空版かな」
「うん、スカイバージョン」
「英語で言いかえただけだね」

飛行機の操縦席からの眺めを体感できるそうです。
5分間のジェットストリーム体験。好きな人は操縦桿を離せなさそう。
初級から上級まで何コースかあり、上級レベルは出雲空港から羽田空港まで、雷雨・強風の中、ボーイング767を夜間飛行させるそうです。
モーション付きフライトシミュレーターが空港にあるのは、全国でもここだけだそうですよ。

○ とんがり帽子の道の駅

予定通りにヒロポンが到着。メンバーがそろってほっとします。
ちゃんと集合できれば、旅はほとんど成功したようなものですからね。
それにしても、二人ともスーツケースが大きいわ~。私はバッグ一つなのに。
そうか、この旅の前にそれぞれ別の旅をしていたからなのね。

さっそくレンタカーに乗り込んで出発しました。
「まずはどこに行こうか?」
今回、直前まで3人ともバラバラに過ごしていたため、詳しいルートは会ってからにしようと、まだ決めていません。
旅の作戦会議をするために、道の駅に向かいました。



着いたのは、道の駅「キララ多伎」。
なんとここは、平成5年に全国の道の駅第一号として認定された場所だそうです。
全国初があるなんて、すごいじゃない、島根。

とんがり帽子のかわいい建物。そばには風車があって、絵になりますが、眺めていてもピクリとも動きません。
それなりに風は吹いているのに。
「今日土曜日だから、休みなんじゃない?」
「休日があるの?」
「なんてやる気のない風車!」
ヒロポンともすでにおなじみなので、楽しく車内の話は弾みます。



建物内に入ると、2階の方から何か視線を感じました。
見上げると、そこにはスパイダーマンが。
なぜか2体。あれ、双子だったっけ?
あ、分身の術ね。あれ、使えたっけ?



でも、いちじくソフトクリームの看板を見たら、すぐに意識はそちらの方へと移りました。
食べたことなーい。食べてみたーい。
つぶつぶ入りだ、わーい。
いちじくは、出雲の名産というわけではなく、この辺り限定の名産だそうです。



○ リゾート日本海

道の駅は海に面した場所にあり、ソフトクリームをなめながらきれいな海を眺めました。
とてもきれいで、白い砂浜が広がっています。

日本海になじみが薄い私たちにとって、しぶきが岩にぶつかって飛び散る、凍れる演歌の世界が日本海。
「リゾート気分を味わうなんて思わなかった」
「全然、こぶし握りしめての"悲しみ本線"ってイメージじゃないね」
「そもそも電車走ってないしねー」



○ 隠岐の島と竹島

島根県のこと、実はあんまりよく知りません。
さっちゃんとヒロポンは、今回が初めての島根旅行だそう。
私は数年前に出雲大社を参拝しましたが、そのほかの場所はほとんど見知らぬ土地です。

そこで敷地内にあるマップで、県の形を確認しました。
「隠岐の島がある」
「後鳥羽上皇は、島根に流されたんだね」
「その上に別枠であるのは・・・えっ?竹島!?」

竹島の領有権を巡っては、近隣の国々でまだ論争が続いています。
実際のところはどうなっているのでしょう。
Wikipediaには「韓国が実効支配しており、日本および北朝鮮がそれぞれ領有権を主張している」とありました。
だから日本の地図に、竹島も描かれるわけですね。
それが島根県に属しているとは思いませんでした。
穏やかな神話の里のイメージが、一気にものものしい国際問題にとって変わったよう。



みんなでプランを考えて、この日は石見方面に行くことにしました。
南に車を走らせます。水田が多いなあと思います。
夏のような天気に、どこまで行っても同じ感じの田園風景。

○ 石見国一宮 物部神社

まずは私のリクエストで、石見国一宮の物部神社へ。
「物部氏っていたね。」
「ええと、蘇我氏のライバルだね」
「蘇我むしごろし」
「それ、大化の改新(645年)じゃん」

ここの御祭神は、物部氏の御祖神とされているそうです。やっぱり物部氏ゆかりの場所でした。
高校の時に音楽の教育実習で見えた物部(ものべ)先生のことを、さっちゃんと二人で思い出しました。(ヒロポンは別の高校)



立派な鳥居が石段の上にあります。
まさに見下ろされている感じ。
緑が深みを増す季節、境内は生き生きとした新鮮な空気に満ちていました。



鳥居を抜けると、参道の奥に拝殿が。
後ろには鎮守の森が広がっています。



○ 狛犬に狛鶴

狛犬の横を通り過ぎると、次には一対の鶴が奉納されていました。
阿吽?の鶴なんて初めて!なぜ鶴なの~?
ここのご祭神の宇摩志麻遅命(ウマシマジノミコト)が、鶴に乗ってこの地に降臨したと伝えられているからだそうです。



目つきの悪い手水舎。迫力ありますねー。



神社を訪れると、境内にときどき奉納された馬の像を見かけます。
びっしりと書かれた解説文があったので読んでみました。
かつて皐月賞、ダービー、菊花賞を含め7冠を取ったシンボリルドルフという競走馬がいました。
オーナーが、この神社の氏子だった縁から、シンボリルドルフの父馬の像を奉納したのだそう。
競馬の馬だったとは。



ここにも、『秘密結社鷹の爪』の吉田君の絵がありました。
た~か~の~つ~め~。
吉田君、活躍していますね。



ふと後ろ側に周ってみると、そこにはイラストが描かれていました。
FROGMANって書いてあるので、作者の直筆ですね。
「物部様最高!」と言っています。ファンみたい。



○ 石見銀山探検ツアー

そこから車を走らせて、石見に着きました。
目指したのは、銀山。
国内の世界遺産の中でもかなりマイナーで、人気の度合いも若干微妙だと聞き、「それだけレア度が高いってことじゃない」と、逆に行ってみることにしました。
(へそまがり?いえいえそんなことは)

ビジターセンターに向かうと、建物の中にFROGMANのカレンダーがありました。
おお、これが『島根県×鷹の爪 スーパーデラックス自虐カレンダー』ね。
"「日本で唯一○○がない県」の常連。"
たしかに自虐炸裂~。
ほかに「交通量調査のバイトの人数の方が多かった」「県花の花言葉は“人見知り”」などがあるそうです。
が、がんばれ~。



お勧めされたツアー「ガイドと歩く石見銀山最大の坑道跡 大久保間歩一般公開限定ツアー」がそれなりのお値段(4000円)だったので、一瞬みんなで顔を見合わせましたが、せっかくなので参加することにしました。



○ すべりこみソバ

ツアーは10分後から始まります。
3時間コースなので、今食べておかないと、暗い坑道の中でおなかが空いてしまいそう。
そこで、急いでそばを注文しました。
「こっちに来たら出雲そばを食べようと思っていたんだけど~」と言いながらも、時間がないので背に腹は代えられません。
普通のざるそばをつるつるいただいて、ツアーにすべりこみました。



ソールがある靴をすすめられて、さっちゃんは靴を借りました。
「手には極力ものを持たない方がいいですよ」と言われた私は、日傘を預けました。
中は寒いからと、ウインドブレーカーを手渡されました。
それだけでも(え?え?)と思っているのに、集合場所に現れたガイドさんは、完全な登山スタイルでした。
(山に登る格好なの?軽装で大丈夫かな)と内心あせります。
いったいどんなツアーなんでしょう?



参加者20名の中には外国人の姿もありました。まずは座学のレクチャーから。
大きなジオパノラマでの説明を受けて、おおまかな土地の形状を頭に入れます。



○ 準備体操からの登山

説明が終わると、建物入口に待っている大型バスに乗り込んで、現地に向かいます。
バスを降り、敷地内に入った辺りで念入りに全身ストレッチを行いました。
「はい、オイッチニ、サンシ!よ~く身体をほぐしてくださいね~。」
ますますどんな場所なのか、気になる~!
準備体操を済ませたところで、登山用の木の杖を片手に、出発ー!



途中、いくつか、鉱山の穴が見られました。
石見銀山では、坑道のことを間歩(まぶ)と呼んでいたそうです。
そうした間歩は、危険だということで、今は閉鎖されていました。



うっかり誰かが入り込んじゃったら、大変ですものね。
熊のねぐらになっても面倒だし。



途中まで、えっさえっさと細い山道を登って行きます。
すぐに洞窟かと思いましたが、結構暑い中を急勾配で上っていく。簡単に音を上げたくなります。
確かにここでは登山用の杖は必要。暑い日で、上着を脱いでもハーハー息切れがします。

○ メット・長靴・懐中電灯

標高400mの金生坑(きんせいこう)までノンストップでひたすら登って行き、小高い場所にある小さな小屋にたどり着きました。
ゼイゼイいっている参加者たちは、そこでヘルメットと長靴を渡され、荒い息のままで装着します。
懐中電灯を手に、フル装備完了。
長靴で岩場を歩くことに慣れていないため、ゴム底の感触にみんなはじめはおっかなびっくり。
ものものしい格好になって、後姿だと誰が誰だか、判別つかなくなっています。



ここが内部見学できる間歩の入り口。
入る前に、注意事項の連絡が再び行われ、それからいよいよ中へと向かいます。
暗い道に近づくごとに、冷たい冷気に包まれていきました。



その2に続きます。



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