風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

青森南部のアメリカンタウン 4-2

2017-10-12 | 東北
その1からの続きです。

● 嵐の海岸線

八戸の朝市を離れて車で移動しましたが、まだ朝の7時にもなっていません。
しかも休日の日曜日とあって、どこも開いていない時間。
そこで、私のリクエストで種差海岸へと向かいました。

これまで、電車の窓から眺めるだけだった種差海岸。
見るだけでも気持ちがよさそうで、海岸線沿いに広がるゆるやかな天然芝の丘をのんびり散策してみたいと思っていました。

ところがこの日は台風が接近中です。
雨は降ったりやんだりしながらどんどん強くなっていき、ついには暴風雨に。

そんな嵐の中を、海岸線伝いに走っていきます。
晴れの日にはのどかで風光明媚な海岸でしょうけれど、ごうごうと海が鳴り、高速で雲が移動していきます。

こんな悪天候や悪路を走る時にこそ、4WDの真価が発揮されます。
JBさんの車は全天候対応型の四駆で、嵐の中でも揺れませんでした。たのもしい~。

● ウミネコとカモメ

蕪島の横を通ります。
蕪島といえば、ウミネコ。でも見た目はカモメと変わりません。
JBさんに聞いても「くちばしがちょっと違うくらい」だそうです。
よく似ているから、ガイド中に「あの鳥なんですか?」と聞かれると(ウミネコか、カモメか、ううむ?)と悩むんだそう。
「鳴けば一発でわかるんだけどね」
「そういえば、ネコみたいに鳴くからウミネコだったっけ」
「そう、ミャーミャーいうよ」
鳥なのにミャーミャー。島にたくさんとまっていましたが、鳴き声は暴風雨にかき消されて、聞こえませんでした。



蕪島を過ぎてほどなくすると、岬の先の波打ち際に海沿いの小さな建物がありました。
「あれは食堂なんだよ」と教えてもらいました。
小舟渡食堂というそうです。
「しょっちゅう波に洗われながらも踏ん張っているよ」
天気がいい日は、目の前が海のすばらしいロケーションですが、こんな嵐の中では、流されないかと心配になる立地。

東日本大震災時には、津波がぎりぎりまで押し寄せたものの、なんとか耐えぬいたそうです。よかった~。

● 日本のハイランド地方

葦毛埼に寄りました。「この辺りも、馬に関係した地名が多いんだ」とJBさん。

こんな風景、どこかでみたことがありますよ。
そう、あれはハイランド地方。
うす暗い天気もあいまって、スコットランドの城跡にいるような気分になります。
十字架まで立ってるし!(単なる標識だけど)



緑の丘陵地帯も彷彿とさせるものがあるし、この辺り、「日本のハイランド地方」として売り出せばいいんじゃないかと思いますよ!
観光課の方、ご検討下さいませ(笑)!
"地方"をつけないと、富士急ハイランドと一緒にされちゃいそうですけどね。

この古城チックな建物は何だろう?と、風にあおられながらそばまで行ってみると、それは展望台でした。
太平洋戦争末期には旧日本軍が軍事施設として使用していたそうです。
ここからの眺望は、もうすばらしいの一言!
足元の岸壁に当たって上に登ってくる強い海風にあおられて、私もウミネコのようにどこかに飛んでいけそうになりました。



岸壁に波が打ち付けられ、海は重低音でうなっています。
縦横無尽に風が吹きつけて、髪の毛はあっという間にもしゃもしゃに。
そんな暴風雨にあおらながらも、カオリンと遊歩道を少し歩いてみました。
連日行動を共にしているので、彼女も相当冒険好きだとわかっています。
吹きすさぶ嵐の中で荒野をさまようリア王の気分になりました。(やっぱり英国)
う~ん、気分爽快!



● 八戸ジェーン

途中の海岸でもまた車を停めてみると、海の中にサーファーがたくさんいました。
台風のビッグウェーブに乗る、稲村ジェーン状態ですね。
「土地の角度的に、今日はいい波は来ないんだけどなー」とつぶやく現役サーファーのJBさん。
この辺りには、台風が去った後にいい波が来るんだそう。
なるほど、いいサーファーは、天候だけでなく地形の特徴もつかんでいるんですね。

「ここのところずっと仕事していて、それが一段落したころにちょうどいい波が来るだろうから、そうしたら社員に言って…サーフィン♪♪」
今からウキウキしている社長です。

どう想像しても青森でのサーフィンは寒そうなイメージですが、彼は真冬でもウェットスーツを着て潜るんだそう。
「そこまでー!寒くないんですか?」
「めっちゃ寒いよ!!」
ですよね~(^_^;)

車に戻り、さらに海岸線伝いに進んでいきました。

● 葉祥明の世界

種差海岸を越えて、岩手県との県境、小舟渡海岸までやってきました。
かつてはこの辺りに馬が放牧されていて、草を食んでいたそう。
「それで自然に草が刈られていたけど、今は馬がいないから人が芝刈りしているんだよ」
「また馬を放牧すればいいのにね」
「まったくだ」



広々とした緑の草地に立つ白い灯台。その向こうは青い海。
風が吹きすさぶ曇り空ですが、メルヘンな景色が広がっています。
葉祥明氏の絵の中に入りこんだみたい。



足元には何か植物の茂み。赤い実がなっています。
「これは、ハマナスの実。食べれるよ」
そう教えられて、カオリンと私はトライ。
プチトマトのようですが、それよりずっと固くて、あまり味がしませんでした。
食感は、ちょっと前に食べたナツメの実に似ていました。



● 直売所めぐり

海岸沿いの一本道をこのまままっすぐ行くと、岩手の久慈に着きます。
道路沿いに、金田一温泉の大きな看板がありました。
金田一というだけで、湯けむり事件のにおい!

嵐にあおられながら、種差海岸あたりの海岸線を楽しみ、県境までやってきましたが、まだ道の駅が開く時間になっていません。
それで岩手にまで足を伸ばして、種市に行ってみました。
オレンジ色の目立つプレハブ小屋は、震災後に中小企業基盤整備機構の助成を受けて作られたはまなす亭。
津波によって壊された種市ふるさと物産館代わりに建てられたそうです。
うに丼、ほや丼があるそうですが、まだ開いていませんでした。

● トンビいろいろ

ようやくお店も開き始めました。
おや、おばあちゃん、道なき道をどこへ行くの?



魚介類の直売所に入ると、いけすがズラリ。
カニー!



大きなホタテと姫貝ー!



生のエイのひれがあります。それを「カスベ」と言うそうです。
「とんび」と書かれたものもありましたが、まさか翼の生えた猛禽類ではないでしょう。
どこの部位かな?
あとで調べてみたところ、トンビは牛肉では肩の肉、魚介類ではイカ・タコの口を指すそうです。
朝市ではタコのワタと目が売られていたし、この日はタコの部位をよく見るなあ。

● 三陸あわび茸寿司

次に、たねいち産直ふれあい広場センターに行きました。
ここにはさまざまな収穫物があります。

あけびがありました。わあ、すてき。
山に入らないとなかなか見られません。



お吸い物界の帝王、いちご煮参上~。
青森のものしか食べたことがありませんが、ここまで来ると三陸名産になるんですね。



私は嶽(だけ)きみを見つけて、大コーフン。
ちょうど旬の季節ですが、弘前近い産地から離れているためか、なかなか出会えなかったのです。
やっほ~!もちろん買いまーす♪



ここには三陸あわび茸なるものが売られていました。
初めて見ます。大きくて、結構なお値段です。



このあわび茸のお寿司が売られていました。
蒸したアワビのような食感なんだとか。
一度は食べみたい・・・。(脱字に気づいてなさそう)



説明を読んでいるうちに、カオリンがサッと1パックお買上げ。
またもや分けてもらいました。
ごちそう様です!嶽きみ食べて!



コリコリした食感で、たしかにアワビのような気がします。
そんなにアワビ慣れしていないので、こんな感じだったかなと思う程度ですが。(庶民)



とうふ田楽がきれいに並べられて焼かれていました。奥にあるのは五平餅です。



ほやもありました。「伝統南部もぐりの手摘み」と書かれています。
まさに『あまちゃん』ワールドですね。
ちょうどこの日、ヒロインを演じた能年(のん)ちゃんが、秋まつりのゲストとして久慈に来たそうです。

● 売り切れサバップル

それから、道の駅はしかみに行きました。
ここで、さきほどの朝市で買い損ねた南部せんべいの耳を無事ゲット。

「えごまってなに?」とJBさんに聞かれて「ゴマじゃない?」と原材料ラベルを見ましたが、「荏胡麻」としか書かれていません。
調べてみたら、しそでした。知らなかったー!

カオリンが欲しがっていた天日干しのお米が売られていましたが、うるち米だけで白米はありませんでした。

サバップルもあったようですが、こちらも残念ながらもう売り切れでした。
これを、お土産に買うつもり。
かつて一度、食べたことがあるのです。おいしくて楽しかったな〜。
「自由が丘でお花見サバップル」



商品がちゃんとあることが判明したのはラッキー。
要冷蔵品なので、帰りの八戸で買おうっと。

● 青森の夜明け

車の中で、津軽と南部の関係について、教えてもらいました。
青森は長いこと、津軽と南部のしこりが抜けないまま、トップの県知事についた人の出身地が代々優遇されてきたそうです。
それは不平等感がぬぐえません。そんな中で仲良くなれるはずありませんね。

今の三村申吾氏は、そうした地方のいがみ合いをやめて公平にしようと決めた、初めての県知事なんだそうです。
わあ、なんて画期的なこと。青森の新しい夜明けですね。
ミムラ知事、がんばって〜。

● ノースピークのわらじ

自然派志向のレベルを超えて、ワイルドライフを理想とするJBさん。
学生のころは、なんと裸足で通学していたとのこと。
「さすがになにか履いてくれ~」と友達に懇願されて、わらじをはき始めたそうです。
サーファーに(貧しいやつ)というような失礼な態度を取られたこともあるそう。
ビーサンと、そんなに変わらないのに。
わらじが貧しいイメージなのは、昔話の頃のこと。
現代の貧しい人は、わらじにまでたどり着けませんね。

「調べてみたら、一つのブランドだけがわらじを取り扱っていて。それがノースピークだったんだ」
あったなんて、すごい~!
ノースピークのわらじなんて、考えたこともありませんでした。
「わらじにもロゴが付いていたの?」興味津々に尋ねます。
さすがにロゴは入っておらず(入れるの大変そうだし)、会社のカラーが入っていたそうです。
ノースピークは、福利厚生が素晴らしく整っている会社ですし、本当の意味での自然生活についてきちんと考えているんでしょう。

なぜ裸足やわらじにこだわったのかというと、足の裏から情報が伝わるのがいいんだそうです。
なんという健康生活。先ほど布草履を買ったカオリンと意気投合していました。
この人達、つくづくワイルド・・・。そんな2人と同行できて、ハッピー!

● 立派な縄文館

買い物もひとしきり済ませたので、ふたたび「これからどうしようか」と考えます。
天気がよければなんでもできますが、なにせこの日は嵐なので、アウトドア活動が軒並みアウト。
そこで、またもや私の希望で、八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館へ向かいました。



なぜそこに行きたいかって?
国宝の縄文時代の土偶がいるんです。
「体育座りをした、ひとりぼっちの土偶に会いたいわ〜♪」と2人に話しましたが、「う〜ん?」とうまく伝わらないまま、とにかく到着しました。



驚くほど大きな立派な博物館です。
単純に陳列ケースが並んでいるだけだと思ったら、最新デジタル技術を駆使して視覚的に楽しめる場所でした。
これはあなどれません。



土器土器のポスター。
去年青森駅で見て、気になって撮影したんだっけ。



十分に予算をかけて視覚的効果を生み出しているブース。
リッチな町なんでしょうね。



「自分もプリミティブ・テクノロジー・ライフが送れそう」とJBさん。
「まずは縄文生活の勉強だ!」と、一つ一つの陳列品に見入っていました。
勉強熱心です。



わー、クオリティが高いですね。
今にも語り出しそうな、愁いを帯びた目つきに、時代を超えてドキドキします。

● 国宝ボッチ土偶

たくさんの展示物の一番最後に、お目当ての国宝が展示されていました。
ひとりで寂しがっているボッチ土偶ではなく、「合掌土偶」と言う名前でした。
体育座りではなく、祈る手つきだったんです。失礼しました〜。

そうは聞いても、土偶にはやっぱりボッチ感が漂っていました。
後光がさしていて神々しかったです。



そしてこの土偶さん、力強い表情なので男性だと思っていましたが、なんと女性だそうです。
やはり土偶は産みの女神なんでしょうね。



土偶の勉強ができるブースがありました。
土偶は約13000年前からあり、合掌土偶は今から3000~4000前の縄文後期のものだそう。
国宝の土偶は日本国内に5つ。
八戸で出土した土偶は約650個あるおそうです。ここは土偶パラダイス!

合掌ボッチさんの等身大レプリカがあったので、触ってきました。
等身大レプリカって、いいですね。陳列ケースの中だと、決められたアングルでしか鑑賞できませんが、直接触れると360度、好きな角度から観察できるんです。
ほかの博物館でも取り入れてほしいわ〜。



● げきにぼラーメン

大きな縄文館を堪能して、出た頃にはお昼になっていました。
「げきにぼ、行ってみる?」
JBさんおすすめのお店に連れて行ってもらいます。
八戸の根城辺りに来るたびに足を運ぶという、中華そば まる井
駐車場が混んでいましたが、回転が早くて、すぐに座れました。



メニューは普通か煮干しかの二択。限定10色の特別濃いものは売り切れです。
みんなで煮干しにしました。
出てきたラーメンは、スープがスープの色ではありません。
「中が見えないー!!」



これが激にぼラーメン。
煮干しベースのラーメンは最近増えてきており、都内で食べる機会もありますが、青森の激にぼの濃厚さには遠く及びません。
煮干しをそのまま食べているような味。
なのにざりざりしておらず、マイルドな食感なのが不思議。
食べがいがあって、とってもおなかにたまりますが、胸やけはしません。
煮干しエキスをたっぷりとりました。
半年分くらいの煮干しを一気に摂取したような気分です。

青森の煮干しラーメン事情はどんどん強力になっているようです。
「げきにぼ」に収まらず、いまでは「デスにぼし」「やりすぎにぼし」なんてものも出ているそうな。
本当に、窒息しそうなほど濃い味です。美味しいのですが、「節度を越えている」という表現がぴったり!

げきにぼにくらくらしながら、その3に続きます。



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