風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

青森南部のアメリカンタウン 4-1

2017-10-10 | 東北
3日目からの続きです。 

● 夜明け前の出発

この日は早朝に、日本一といわれる八戸の館鼻岸壁朝市に向かいました。
普段は何もない場所に、毎週日曜日の早朝にだけ出現する、日本最大級の市場。
大規模で大賑わいなのに、昼前には全て忽然と姿を消すという、蜃気楼のようなところが謎めいています。
八戸といったら美味しいお魚。知らない魚も上がっていそう。
行かない手はありません!

夜明け前に起きてホテルのチェックアウトを済ませ、5時にJBさんの車に乗り込みます。
辺りが徐々に明るくなっていくのを、寝ぼけ眼で眺めていました。



この日のメンバーも、カオリンと私。
ヂンさんは「3時に市場が始まる頃から様子を見届けたい」とバイクで先に行き、夜型のジェニーはパスしたためです。

前の日の下北に続く道路は、北海道の道のようにどこまでもまっすぐでしたが、八戸への道もまた一直線。
気持ちのいいドライブロードです。

● シャケつかみどり祭り

道中「おいらせ下田まつり」の話を聞きました。
八戸の隣のおいらせ町で11月に開催されるお祭りで、300匹くらいのシャケが奥入瀬川の特設いけすに放流されて、それを人が素手で摑まえるイベントがあるのだそう。
500円から1000円で入場できるつかみどりのお祭りで、捕まえたシャケはもらえるとのことで、地元の人にもアメリカ人にも大人気だそう。

JBさんも参戦したことがあるそうです。
「メスを捕まえたら、イクラも手に入るんだよ」
わー、やってみたい!魚を両手に抱えて、ハトヤのCMごっこができるわ!(関東限定のネタ)

そんなお祭りがあること、知りませんでした。
知っている青森のお祭りといったら、青森ねぶた、五所川原立ちねぶた、弘前ねぷた、八戸えんぶり・・・くらい。
(あ、鶴田町はげます会も!w)
知らない祭りは、日本中にまだまだたくさんあるんでしょう。

● 大盛況の朝市



日曜の早朝なので、前後に走っている車もいません。
途中までは道路独り占め状態でスイスイでしたが、八戸に着き、市場の前まで行くと、突如として自動車が長蛇の列を作っていました。
三方から車が市場の中に入ろうとやってくるため、押すな押すなの大混雑です。
こんなに人がいるなんてー!みんな早起きねー!
中に入っても、空いている駐車スペースを探すのがまた一苦労でした。

ようやく車から降りると、すでに会場は大混雑。ひといきれでムンムンです。
頭も体も半分目覚めていない状態ですが、ぼんやりしていると、すぐに二人とはぐれてしまうほどの人込みでした。

アラブの市場のような喧噪っぷり。
飛び交っているのは、ちょっとわかりづらい、くぐもった南部弁。
地元民ではないので、異邦人気分を味わえます。



岸壁にある市場なので、売られているのは魚がメイン。
それでも、魚以外のものもいろいろと売られています。

南部せんべいの耳が売られているのを見かけました。
好物なので(あれ買おう)と思いましたが、来たばかりだったのでそのまま通り過ぎたら、次に前を通った時には、もう完売していました。
私「えー、あっという間に売り切れちゃった!」
JB「みんな好きなんだよ。あると思ったらすぐに買わないと」
お得なものからどんどん売り切れていきます。みんな狩人モードなのね。

● 謎の売り物あれやこれや

変わった謎のものがいろいろと売られていました。
ええと、「あずきばっと」って、なに?



がまずみ(ジョミ)なるもの。マタギドリンクだそうです。
がまずみという響きがなんだかすごいですね。



このまま歩き出しそうな作物を発見。
「なにこれ?」「里いもの巣」
バラバラになるから、この形で売っているそうです。



ホヤが豪快に盛られています。
いいですねー。豊かな海の幸がいっぱい。



この時期に手に入る「ミズ」。食べたことがない人も多いでしょう。
でも「ムカゴ」も「カックイ」も知りません。



● 市場グルメ

「Don't miss it!」とJBさんにお勧めされたのが、しおてばのモモ肉の方。
下北の塩手羽は、この朝市の名物だそう。
長い行列に並んで買ってみました。



大きい!見るからにボリューミーです。
食べてみると、サクサクと香ばしいおいしさ!
早朝だからまだ食欲ないなあと思っていましたが、食べやすくてするすると頂いちゃいました。



青森のおでんは生姜たれ。なかなかイケます。



コーヒーをドリップで淹れている本格的なお店もありました。
その様子を横目で見ながら、私はリッチココアをチョイス。



● 豊かな海の幸

イカがたくさん!わあ、カニもすごい。
スルメイカもたくさん売られていました。ちょっと前までは不作だったそうですが、もう戻ってきたようです。
首都圏はまだイカ不足のまま。都心にイカが届くのは、もう少し後になりそう。



青森はヒラメの漁獲量日本一ですが、見かけないなあと思って、聞いてみました。
高級魚なので、あまり市場には出ないそうです。

串刺しの焼き魚が売られていました。
いろいろな魚がいて、足を停めて見入ります。
私はしおモモ肉でおなかいっぱいですが、地元名産に興味のあるカオリンは果敢に挑戦。
おいらんカレイをやめてカラスカレイを頼んでいました。
一口頂いたら、ほかほかでソフトな食感でした。



焼きウニ貝盛り!うわ、これは贅沢~。
と思ったらカオリン、またもや立ち止まっています。



カオリン「食べてみて~」
またもや一口お相伴にあずかりました。どうもご馳走さま~。
うん、新鮮な上にいい香りがして、食べてみるととろけるような旨味と甘みが口に広がります!
ほんとに贅沢!



なぜかキクラゲも売られており、キクラゲ好きとしては見逃せませんでした。
わー、買いたい!ああ、でも今は調理のできないホテル住まい。ということで見るだけに。



こちらもコーヒー屋さん。
わんこがおとなしくお店番をしていました。かわいい。



● メンバーと合流

すでにヂンさんがいるはずですが、この喧騒の中、まったくすれ違いません。
そこで連絡を取り合って合流しました。

少し疲れた顔をしていると思ったら、昨晩から一睡もしていないとのこと。
確かに、2時台にホテルを出たということですからね。
3時前に到着したものの、まだ何も市場ができておらず、だだっ広い岸壁しかなかったので、ここでいいのかかなり不安だったそう。
3時からぽつぽつ設営が始まったそうです。

「何か面白いものはあった?」と聞いたら「鈴虫とSurfaceが売られてた」とのこと。
鈴虫とSurface!幅広すぎ~!

市場というと築地を連想しますが、ああいったプロの市場とはずいぶん違って、近所の人たちが売るものを持ち寄って市場を盛りあげているような身近さがあります。 
売る側も買う側もおばあちゃんが多いです。
この市場の出店料は年間契約で、そう高くないため、門戸が広いそうな。



商売っけがあまりなくて、なんだかほのぼのしています。
コーヒーを飲んでいる私たちを見て「なんだかコーヒーが飲みたくなったから、買ってきて」と隣の人に頼んでいたおばあちゃんもいました。
カオリンが布草履を買ったら、おばさんが隣で売ってたリンゴをおまけにくれました。
青森らし〜い。

山菜採りに使うような竹で編んだ篭をしょってきてるおばあちゃんに何人も遭遇します。
運動会の紅白玉入れの籠を思い出しました。



ハックルベリーといったら、トム・ソーヤの親友ですよね。
山ぶどうでもあるんですねー。ブルーベリーの3倍のアントシアニンが含まれているそうです。



「これはなに?」
売っている人に聞きました。
タコのわたと、目だそう。
「わ~・・・」としげしげと見入って未知との遭遇を果たす私たちに「おいしいよー、買ってってー」と市場のおじさん。
キッチンがあれば、タメしてみるんだけどね~。



● ゆるいアナウンス

途中、放送が入りました。
「出店者の方に連絡です。先ほど台車を借りたお客様が、返すお店がわからなくなったそうです。心当たりのある出店者は、名乗り出て下さい」
思わずクスッと笑いました。なんというアナウンスでしょう。
周りのみんなもざわざわしています。
放送は続けて
「お友達に木村さんという方がいる人だそうです」
盛大に吹きました。周りからもどっと笑いが起きます。
「なにそれー!」
「木村さんが友達の人はたくさんいるだろうから、買った商品がなにかいう方がいいんじゃない?」
結局何を買ったか、品物の言及はありませんでした。

その後どうなったのかと気になって続編を待ちましたが、放送はそれきりでした。
あの情報で、無事お店の人と出会えたんでしょうね。
まあ、お店も台車を貸しているから、見当がついたんでしょう。
なんともユル~イ感じがイイ!

● イカドン56才

突如目の前に出現した大きな物体。
むむ、この後姿は何モノでしょう・・・?



気になって、正面に周ってみました。
虚無僧みたいだと思いましたが、全く違います。
う~ん、あなたは何者?
名札がついていました。「イカドン パパ 56才」
56歳!!パパがいるってことはママもいるんでしょうね。
この朝市の非公認キャラで、ファミリーがいるそうです。

人の波に合わせてしばらく後ろを歩いて行きましたが、イカドンは子供にも大人にも大人気。
「あっ、イカドンだ~♪」と近づいてきては、手を握ったり背中や肩を叩いていきます。
ヤンキー(?)も嬉しそう。みんなを笑顔にするイカドン、すごいわ。



市場には本当に何でも売っています。
さびた釘とか…古い網とか…。
ニーズあるのかな?



歩けば歩くほどカオスっぷりがわかります。
すごい行列ができていました。売っているのはしいたけのようですが。謎の人気です。



● ミキライフ

そういえば、リンゴの国に来たというのに、青森に来てからまだ一個も食べていなかったことを思い出しました。
未希(ミキ)ライフを初めて食べました。
「千秋(せんしゅう)」と「つがる」を掛け合わせた、この時期の早生りんご。糖度高めでジューシーです。

この未希ライフという名前、(ちょっと変わってるなー。ミキハウスみたい)と思ったら、弘前を舞台にしたNHK大河ドラマ『いのち』に由来しているそう。
主人公の「未希」と、タイトルの『いのち』→ライフをつなげたそうです。
ラグノオで出しているお菓子の『いのち』もおいしいですね。時々カルディでも売っています。



のんびり散策していたら、突然大粒の雨が降ってきました。
目下、台風が青森に接近中で、この日の天候は不安定。
雨は強くなる一方なので、バイクのヂンさんとお別れして、車に駆け込み、市場を後にしました。

寝ずに取材をしたヂンさんの記事はこちら。さすがはプロ、おもしろいですよー。
[石からSurface Proまで、日本一の朝市が自由すぎる!] デイリーポータルZ

その2に続きます。


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