風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

まだ見ぬバルト三国へ 2-2(タリン)

2017-05-15 | 海外
その1からの続きです。

● バルト三国・エストニア

そういえば、今回の旅行の地図を載せていませんでした。
バルト三国は、ロシアの西側、フィンランド湾を挟んで北欧のそばに位置しています。
ロシア、ベラルーシ、ポーランドと、あまりなじみのない国々に囲まれています。



アップにすると、エストニア・ラトビア・リトアニアと、南北に並んでいます。
今回は、日本~モスクワ経由でリガ(ラトビア)~タリン(エストニア)と飛行機で飛び、バルト三国内を陸路で南下し、最後にヴィリニュス(リトアニア)からモスクワ経由で帰国するというルートです。



さて、ようやくたどり着いたバルト三国。
エストニアの人口は134万人で、神戸市の人口とほぼ同じくらい。首都タリンは人口42万人です。
公用語はエストニア語で、日本で知られているエストニア出身の人は、元大関の把瑠都です。

● 市内散策へ

外は冬のような寒さです。
ホテルで一息ついてから、ヒートテックを着込んでバッチリ防寒対策を行って、市内散策へと繰り出しました。

まずは、隣りに立っているホテル・エルミタージュへ。
実はここ、昨日、私たちが泊まりそびれたホテルなんです。
ううう、うらめしいわ~。
名前のイメージから、エルミタージュ美術館のような古めかしいところかと思いましたが、とってもモダンな造りでした。



道路の向こうはもう旧市街。
ちょうど紅葉の落葉時期で、公園には黄色い絨毯が敷き詰められていて、きれい。
いい季節に来られました。



秋のパリに来たみたい。
落ち着いたヨーロッパの光景に、嬉しくなります。



● トーンペア城 (Toompea Castle)

ホテルから歩いていける、旧市街のタリン歴史地区【ユネスコ世界遺産】を散策することにします。
まずは町を見下ろす丘の上のトーンペア城へ。13世紀にドイツ騎士団が建てたといいます。
高さ50mの塔は1500年に完成した「のっぽのヘルマン」。スラリとまっすぐ長細く、たしかにのっぽです。

ヘルマン・ヘッセのヘルマンかと思いきや、ドイツ語で「支配者」の意味だそう。
青・黒・白のエストニア国旗がはためいていました。
1989年までは、ここにソ連の旗が掲げられていたそうです。



お城に来ました。
宮殿のような優美な建物を前に「え、ここ?」と声を上げる私たち。
古代の要塞のような無骨なお城を想像していた私。
シンデレラ城のような建物を想像していたというモコ。
どちらもはずれ~。
18世紀後半にエカテリーナ2世の命令で作られたバロック建築のお城だそうです。
現在はピンクの国会議事堂になっています。ファンシー!



ピンクのお城の前に建つピンクの人とわんこ。

とつぜん雨が降ってきて、お城の下にかけこんで、雨宿りしました。
雨が上がるのを待つ女性グループ。みなさん、スタイルがよくお美しい。



● アレクサンドル・ネフスキー大聖堂

名前も見た目も、典型的なロシア正教会。
よくある名前なのは、実在したアレクサンドルⅢ世が建てたから。金のイコンや成人のモザイク画がクレムリンを思い出させました。
歴史的な関係から、エストニアの人たちはロシアに対していい印象を持っていません。
ロシア正教会のここも何度か解体されそうになりながら、なんとか残っているそうです。



ひとけのない静かな石畳の旧市街。
今にも妖精が舞い降りてきそう。



● 聖母マリア大聖堂

上の建物を横から見た図です。
奥にあるのは聖母マリア大聖堂。



タリンで一番古い教会です。
中に入ると、大きな木製のドイツ貴族の紋章が壁にびっしりと飾られていました。その数は100を下らないそうです。



おびただしい数の紋章が飾られた教会は初めて。
十字架や銅像よりも紋章が存在感を放っていて、神の教会というよりは人間の教会といったイメージでした。



● 重い国旗

散策途中で見つけた大きな建物。議会でしょうか。
「エストニアの国旗って真ん中に黒が入ってて、珍しいね」と言うモコに「あの黒は、ロシアに占領されていた暗黒の時代を意味してるんだって」と話すと「国旗にそんな暗い意味があるなんて!」と驚かれました。



ラトビアとリトアニアの国旗の赤は、国を守るために流れた血の色だといいます。
独立運動などで戦った末に国を作ったところは、国旗にその大変な歴史を残しているんでしょう。
日本の日の丸の赤は、血じゃありません。占領されたことのない平和な国って、恵まれていますね。

● 展望台のカモメ

コフトウッツァ展望台へ向かいます。見晴台からはバルト海が見えました。
眼下には赤い切妻屋根でそろった美しい町並みが一望。14-15世紀の町並みだそう。
海からの風がまっすぐ吹いてきて、私たちの頬を冷やします。寒い~。
町のあちこちに教会がたくさん建っており、石畳にしっくり合います。
時代が止まったかのような中世の趣深い町並みです。
タリンがこんなに美しい町だったなんて、知らなかったわ。



展望台には一羽のカモメがいました!
飛んでいかないうちに、すわ、写真、写真!とカメラを取り出しましたが、全く飛んでいきません。
人に物怖じせず、観光客のそばをうろうろしています。



慣れているようですが、人が触れようとするとすかさず離れます。
なついてはいないけれどなつっこいのは、みんなから餌をもらえるからでしょう。
色んな人達の写真に一緒に写っていました。


ギリギリ近寄ってこのくらい~


カモメが飛んでくるほど、海に近い場所なんですね。
ここで一人の台湾の人と会いました。
日本人どころかアジア人自体が少ないバルト三国です。



ここを離れて、別の角度から海が見える展望台へと行ってみました。
女性が一人、海を眺めながらピクニック中。
ひとりピクニックも結構楽しそうです。私たちにはちょっと寒すぎるけど!

● タリンの南部さん

独創的な屋敷前のオブジェ。あれ、何処かで見た人がいますね。
ええと、誰だっけ?立ち止まって、二人で考えます。

モコ「電気グルーヴ?」
私「なんかちょっと違う?」
モコ「電撃ネットワークだ!」
私「そうそう!」



南部さんとソックリでした。彼ならこの石の中から出てきても、驚きません!
あとで調べてみたところ、この人はヴォルデマール・パンソ(Voldemar Panso、1920-1977)という、エストニアのプロデューサー・俳優・演劇教師・映画批評家で、この建物は今は博物館となっているかつての彼の演劇学校でした。
電撃じゃなかった~。



お土産屋さんの前に建つ、今にも動き出しそうな騎士の甲冑。 
どこもかしこも中世っぽいわ。

旧市街に教会はいくつもありましたが、お寺はひとつもありません。
こんな感想を持つのは、国内で寺社めぐりを目的にした旅をしているからでしょう。
「当たり前じゃない?」とモコ。まあそうですが…。
「アメリカでは見かけるよ」と言うと
「えー、どうして?」と聞かれました。
「外国人はZEN(禅)が好きで、瞑想と一緒に取り入れたりしているからかな」



道はすべて石畳。細道をくねくねと登ったり下りたり。



階段の途中でスチールパンを奏でている人がいました。
生み出される音色が街に広がっていって、すてき。



どの道に出ても、絵になる街並みが広がっています。
本当に、昔の世界にタイムスリップしたみたい。



● 聖ニコラス教会

聖ニコラス教会に着きました。とても大きく、全貌を写しきれません。
『死の舞踏』の絵画があるところですが、中は見学しませんでした。
絵につられて、旅行中にデス・ダンスを踊りたくなかったし…。
ちなみに船乗りの守護聖人、聖ニコラスは、エストニア語だとニグリステになるそうです。
うーん、ピンとこない~。



教会の向かいに建ち並ぶ、三角屋根の建物。
ギルドの街並みっぽくて中世の面影そのままです。



ここは城壁。なんだかすごい遠近法。



● 旧市街の中心へ

旧市街の中心部に近づいてきました。
西欧のようなおしゃれなカフェが多いです。
震えるほどに寒い日なのに、ジェラート店に人が大勢入っています。
ロシアでも、みんな真冬に毛皮のコート姿で、アイスを食べていたっけ。

日本と違って、店員がお店の前で呼び込みをやっていないので、通りには静かで落ち着いた空気が保たれています。
おばあさんになったら住みやすそうな街だわ。寒いけど。



鳩サブレーみたいな石のオブジェがありました。
かわいい!日本にもこんなかわいい車止めがあればいいのになあ。
町のあちこちに並んでいました。



少し離れたところから、ようやく聖ニコラス教会の全景が見られました。
どの教会も大きくて古めかしく、立派です。
通りを曲がるたびに教会があるような感じで、旧市街に教会がいくつあるのか、見当もつきません。
12時などにはすべての教会の鐘が一斉に鳴りだすんでしょうか。
ゴーン、ゴーン!それはうるさすぎて耐えられなさそう。



その3に続きます。




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