風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

まだ見ぬバルト三国へ 2-1(モスクワ・タリン)

2017-05-12 | 海外

1日目からの続きです。

● 朝が来た

どんなにハードな夜でも、いずれ朝はやってくるものです。
外が明るくなってきました。夜のうちに降った雪が、窓の外に積もっています。



眠気覚ましに辺りを歩いてみると、熟睡している人々はけっこう多く、豪快にフロアにころがって寝ている人たちもいました。
眠りの中の人々。



うわー、床は冷たいから、とてもじゃないけど無理。平気な人たちは、よっぽど寒さ耐性があるんでしょうね。
うっかり踏んづけないよう、足元注意です。



夜には周りに誰もいなかったので、私たち二人だけが取り残されたような気がしていましたが、この巨大な空港内で夜明かしした人は、たくさんいたようです。



夜が去りました。きつい現実をなんとか乗り切ったわ。
さあ、あとは気持ちを入れ替えていきましょう。
予定外の長逗留となったロシアを、一刻も早く脱出したい私たち。
今度こそはフライトをのがしたくないので、念には念を入れて、ボーディングリストをチェックします。



そとは雪が降ったりやんだり。これでは滑走路も凍っていることでしょう。この空港ではいつもの光景なのかもしれませんが。
外では、旅客機に水をかけて、霜を落としています。北国だからこその光景ですね。



● 今度はのがすまじ

前の日にのがしたフライトは、タリン直行便でしたが、私達が買い直したチケットは、一番早い到着便を選んだところ、リガ経由になりました。
つまりモスクワ→リガ便とリガ→タリン便の2回、飛行機に乗らなくてはなりません。
なかなかたどり着けないタリン。気持ち的にとっても遠いわ~。
モスクワでまさかのトラップにかかってしまいました。どう頑張っても、巨大なロシアから脱出できないような気にもなってきます。
いえいえ、ここはあくまで経由地。私たちの目的地はまだ先です。進まないと!

電光掲示板に私達のフライト情報が出るのを待って、表示されたゲートに向かいました。
今回は明るく広く、スタッフのいる搭乗口が目の前にあるゲートです。
ここなら大丈夫でしょう。
昨日の問題の49番ゲートは、待ち合いスペースに搭乗口がなく(おそらく階段を降りた地下にあった模様)スタッフもいませんでした。
昨日の出来事を考え直してもやっぱり謎です。

もう一度49番ゲートを確認してみたい気持ちですが、今はなにがあってもゲートの前を離れるつもりはありません。
チェックするのは帰りにしようっと。

私達のところに、突然背の高い男性スタッフがやってきて「どこまで行くのですか?」と聞かれました。
モコがチケットを見せると、内容を確認してそのまま戻っていきました。
私たちの前の便のフライト担当者で、まだ来ない人を待っている様子。
じきに、アジア系の女性2人が駆けこんできました。
「あの人達を待っていたんだね」「ちゃんと探してくれて、いいよね!」
「いいよね~~!!」
昨日は探してもらえず、取り残すされた私たち・・・。
モスクワ-タリン便なので、乗客はロシア語がわかって自力で動ける人がほとんどだったんでしょうけれど。

● またもや違う便?

その便が離陸した後、周囲に座っていた人たちが列を作って並び始めました。
私たちのフライトの番が来ましたが、新しい行き先表示には「ブカレスト」と書かれています。
ブダペストはハンガリーで、ブカレストはルーマニア。そんなことより!
「あれ、違うフライト情報じゃない?」
「どういうことなんだろう?」
昨日のことがあるため、違う行先情報を見て及び腰になる私たち。
「この行列って、リガ行の人たちなのかな?それともブカレスト?」
「えー、どっちなんだろう」



「疑問はすぐに聞こう!もうこわいから」
ということで係員に確認してみると、「あれ、表示が間違ってる、ワッハッハ」
係員は、笑いながらどこかに電話をかけていました。
笑い事じゃないわーー!こっちは置いてかれないように、もう必死なんだから。
並んでいる人たちもやっぱりちょっとザワザワしていて「これ、リガに行く列?」と大声で周りに聞いている人もいました。

いよいよ搭乗開始。係員がチケットをチェックし、何も言わずに返してきます。
ということは間違ってないのね?じゃ、じゃあ、先に進んじゃうわよ。
搭乗口の先は階段になっており、階下に降りるとバスが待っていました。

昨日の49番ゲートも、階段の下にはバスがいたんでしょう。
あのとき、別の行き先の乗客たちの波と一緒に、ふたたび上階に戻らなければ、乗れたかもしれないのに・・・。
でもあのときは、足元がよく見えない暗くて階段の途中で、事情がわからないまま突然向きが変わった大柄の群衆の流れに逆らって踏みとどまることは、とても不可能でした。

● エア・バルティックのCA

バスから降りて、機内に乗り込みます。ああ、ロシア脱出まであと少し。
私たちが買ったチケットは、アエロと共同運行のエア・バルティックでした。
機内にいたCAさんたちがそろってとっても美人でスラリとしており、モデルのようだったのでびっくり。
これまでいろいろな航空会社のCAさんを見てきましたが、その中でもハイレベルです。
バルト三国の人たちは美しいと風のうわさに聞いていましたが、本当にそうみたい。



次に、彼女たちがロングダウンコートを着込んでいたことに、びっくり。
乗客を迎えた後でコートを脱ぎましたが、たしかに機内はとても寒く、私達はブルブル震えます。
暖房が入っていないんでしょうか。入っているのに効いていないんでしょうか。
さらに有料の食事メニューがあったので、外国版LCCだと気づきます。
海外にもLCCってあるのね~。むしろ海外から来たシステムだったかな。

● とうとうロシア脱出

とにもかくにも、飛行機が離陸した時には、心底ほっとしました。
ようやくロシア脱出!やった・・・!



だんだん小さくなっていくシェレメーチエヴォ空港を上空から眺めます。
さようなら、モスクワ~。
1週間後、帰るときにまた立ち寄るけど~。



機内にほかのアジア人の姿はありません。
放送はロシア語ではなくラトビア語のようです。
つまりやっぱりわかりません。



相変わらず機内は寒いままですが、身体が慣れてきました。
ロシアを出た安心感から、また眠気に襲われ、着陸時に目を覚ましました。

● タリンではなくリガ

無事に到着~。でもタリンではありません。ここはリガです。
バルト三国で最初に訪れる国はエストニアの予定でしたが、ラトビアになりました。

次のタリン行きのフライトまで1時間余裕があるはずが、到着時間を見ると、どういうわけかボーディング時間まで残り10分となっていました。
そういえば、モスクワからの離陸にかなり時間がかかっていたなあと思い出します。
またここで足止めは、いやー!!今日はいいかげんタリンに行かせてー!!
直行便だったらどんなに遅れても気になりませんが、経由便だと、こういうこわさがあるんですよね。

● リガで乗り継ぎ

LCCなので、空港の真ん中に飛行機が停まりました。
連絡バスに乗り換えなくてはなりません。バスは既に乗客がいっぱいでギュウギュウでしたが、次のバスを待っている時間の余裕はありません。
なんとか乗り込み、ラッシュの時のように押されながら、バスを一番に降ります。
急いで空港内に入ろうとしましたが、自動ドアが開きません。
あれーー?

すると、バスに乗っていた係員が後ろから私たちに追いついて、カードを照らしてロック解除し、ドアを開けました。
みんなの波に一緒について行きましたが、(あれ、流れのままでいいのかな?)と思い、空港スタッフに聞いて、それは出国者の列だと判明。
乗客はほとんどラトビア人だたようです。
でもこのままこの空港を出てしまったら、私たちはタリンに永遠に辿りつけません。
トランジットの表示を探していきます。

まずはパスポートチェックがありました。
単に乗り換えするだけなので、簡単に通れると思いきや、なかなか時間がかかりました。
「これからどこに行くのか?」「タリンでは何泊するのか?」「その後の予定はどうなっているのか?」「帰国は何日か?」など、こと細かに聞かれます。
モコは「今日はここからタリンに行き、あすリガに戻ってくる」と言ったら「ハア?」と言われたそう。
うーん、普通に考えると、たしかに変な旅程ですよね~。
でももう説明している暇はありません。

そこを抜けると、今度は荷物チェック。
私はモスクワの空港から持ってきたペットボトルの水が引っかかり、その場でポイしました。
それでもまだ何か引っかかり、再チェック。
うっかり荷物の中に入れてしまったMacBookでした。
ああ、あせるわ~。

● 空港内を猛ダッシュ

そんなこんなで、ようやくチェックが終了。
次のゲートはB17。
けっこう遠い場所にあることがわかり、絶望しかけますが、とにかくダッシュ。
空港内にたむろする大勢の団体客の間を忍者のようにすり抜けて、スーツケースを引きながら走ります。
ようやくゲートを発見しましたが、ここもやっぱり外に連絡バスが待っていたし、もうフライト時間になっているので、何十回目かの絶望感が再びよみがえります。
でも係員がいて(やっぱり美人)、落ち着いた様子でチケットをチェックしてくれました。
間に合ったのかな、間に合ったのよね。
バスがまだ出ていないということは、OKなんでしょう。

セーフかアウトか判断できないまま、バスに飛び込んでからもハーハーと息が上がったままでしたが、私達が乗ったあとからも、人が乗りこんできました。
「そんな急がなくても良かったかな」「あの人、さっきの飛行機で一緒だったよ」
それでも、飛行機を乗り過ごす恐怖はもう味わいたくないので、バスに間に合ったことでほっと一息つきます。
体力の限界を超えて、全力で急ぎましたが、それでも移動に20分はかかっていました。

動き出したバスが横付けした飛行機の隣にあったのは、なんとさっきまで乗っていたモスクワからの飛行機。
うっそ~。2人とも決死の覚悟で、フルスロットル・ダッシュしたのに、元来た場所にまた戻ってきたなんて。
飛行機から飛行機にまっすぐ行ければ、なんの苦労もなかったんですが、まあそういうわけにはいかないものですよね。
結局タリン行きの飛行機も、遅れ目に出発。
おそらくは、モスクワからの接続の乗客を待ってくれたんでしょう。
ああ、間に合ってよかった。心底ほっとしたのは、この日2回目です。

● LCCのビジネスクラス

私たちの座席は4列目でした。
「昨日買ったのに、前の席だね」と驚く私に
「会社の方で押さえていた席かも」と教えてくれるモコ。
私達の前の1列目から3列目は、スペシャルシートになっていました。



前の列に美しい男女が座り、ドリンクがサーブされていると思ったら、3列目と4列目の間にあった私たちの目の前のカーテンがシャーッと引かれました。
差をつけられちゃったわ。こんな思いをしたら、たしかに民衆はフランス革命を起こしますよね?(関係ないか)

「LCCにもビジネスクラスのシートってあるの?」と私。
「さあ。席のレベルは一緒なんだけどね」とモコ。
降りる時に見ると、3列並んだ真ん中の席が、ドリンクを置く場所になっていました。

前の席に料理が出されたようで、いい匂いがすぐ前の席から漂ってくるので、なんだかお腹が空いたなあと思います。
そういえば、朝からろくに物を食べていません。
それでも食欲より睡眠欲の方が勝ったらしく、いつしかまた眠っていて、目覚めた時にはもう飛行機は雲の下に降りていました。

さようなら、リガ~!またすぐ訪れるわね~。



モスクワもリガも天気はさほど良くありませんでしたが、空の上は快晴。



国境を越えて、もうタリンの上空です。



森に囲まれた、大きな豊かな湖を超えていきます。ウレミステ湖というそうです。



● タリンに到着

そうこうして、タリンに無事に到着しました。
ああよかった。ようやっと、着いたわ。この日3度目の、心からの安堵。
あまりに遠くて、「アメリカ横断クイズ」で最後まで残った人の気分を味わいます。
気にしていた雨も降っていません。



水色屋根のタリン空港は、コンクリートを感じさせずにいい感じ。
停まっている飛行機はとても小さくて、もしかしたら個人所有のプロペラ機なのかもしれません。

● ポップでかわいい空港

飛行機から降りると、空港の可愛らしさに二人で「わあ・・・っ!」と声を上げました。
こんな可愛い空港、今まで見たことがありません。



ポップな可愛らしさでいっぱいのインテリアが、すてき。
ウキウキしてくる色合いです。



プライベート空間が保たれた一人がけ用椅子。
とっても落ち着けそう~。



人をダメにするクッションもたくさん置かれていました。
ここにダイブして、ゴロゴロしたいなー。



北欧のスタイリッシュさもあって、スマートです。
そういえばここはフィンランドに近い町でした。



ここは子供のプレイスペース。木張りの通路の床はなんともいえず温かみがあります。



ようやくのことでたどり着いたタリンは、とてもかわいらしいセンスにあふれた町みたい。
嬉しくなります。長安に着いた小野妹子とか、ガンダーラに着いた三蔵法師の気分です。

荷物が出てくるターンテーブルコーナーのチューリップのオブジェも、明るさたっぷりでした。



かわいいワンちゃんが近づいてきた~。わあ、ムク犬だー。
と思ったら、実は麻薬犬だったようです。
クンクンとかがれて、オッケーとばかりに通してくれました。



● 入国審査なし

さてその先の手続きはなんだろうと進んでいくと、もう外でした。
あれれ?
「パスポートコントロールはないの?」「入国審査票は?」
どうやら、リガ空港で行ったから、もう必要ないようです。
バルト三国はそんなに緊密なのかしら。というよりEU諸国だからでしょう。

● まだ闘いは続く

いよいよ空港の外に出ました。
タリン!タリン!
しかしここれまでの不測事態にかなり気力体力を使い果たしている私達は、もうすっかり満身創痍。
なにはさておき、ホテルで休憩したい気持ちでいっぱいです。
タクシーでホテルに行くことにして、乗り場で待ちます。
タクシーが3台まとまってやってきたので、停車するのを待っていたら、左右後ろから私達を追い越して、人々がそれぞれに乗り込んでいきました。
えっ、どういうこと?あっけにとられて呆然とする私たち。
こちらでは、行列を作って待つという意識がないのかしら?
タクシー乗り場を仕切る係員もいないため、無法地帯なんでしょうか。

旅の神さまが与える試練はまだ終わっていませんでした。
とにかくタクシーに乗らないことには、ホテルに着けません。
「次のタクシーには絶対に乗り込もう!」
現地の人たちに負けてはいけません。
すぐにはタクシーは来ず、しばらく寒い中を待って、ようやくやってきた車に走り寄って、乗り込みました。
かなりタクシージャックに近い、日本では決してしない乗り方です。

● やさしい運ちゃん

おかげでタクシーに乗ってからもすぐに緊張は解けず、お互い言葉少なになっていました。
でも、初老のタクシーの運ちゃんはいい人で、私たちがきょろきょろと町を見回しているのを見て、簡単な英語で「あそこがお城、あっちが駅だよ」と教えてくれました。
タクシーのお客さんは怖かったけど、運ちゃんは優しかったから、プラマイゼロ!?

● フォン ステッケルバーグ ホテル

そうして、この日宿泊するフォン ステッケルバーグ ホテル(The von Stackelberg Hotel Tallinn)に到着。
運ちゃんに手を振って、タクシーが去るのを見送ります。

こちらは大通りに面したホテル正面。



入り口は裏側になります。



元男爵の邸宅だったという、クラシカルですてきな建物は、重厚さに満ち満ちています。



レセプションのホテルスタッフも、美男美女ばかり。
うーん、美しすぎてまぶしい…!



チェックインを済ませて部屋に入ると、思ったよりもずいぶん小さなスペースでした。
ツインルームといってもシングルベッドを2つ並べてダブルベッドにしたような部屋。



まあ、私達には十分です。
出窓には石が飾られていました。禅を意識したインテリアなんだとか。



窓から中庭を眺めると、中世に戻ったような気分になります。



ベッドに横になると、とたんに疲れが押し寄せて、動けなくなりました。
ここに来るまで、こんなにハードな行程となるなんて、全然予想していませんでしたから。
でもまあ、なんとか切り抜けて、こうしてたどり着けたので、よかったわ~。

その2に続きます。



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2 Comments

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Unknown (アネッティワールド)
2017-05-26 15:39:01
ハラハラする旅行記ですね。
空港で雑魚寝する姿、見たことないし
寒くないんでかねぇ。

世界一美人の国なんですね。
カメラレンズがストーカーになりそうです。
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アネッティワールドさん (リカ)
2017-05-26 16:55:12
そうですね~。1日目は本当にハードでした。でもまあ、やってしまえばやれるものです!
外は雪だったので、夜半はかなり寒かったです。でも多分気が張っていたので、全く風邪を引かずに済みました。
旅行中って、変なアドレナリンが出るものですよね。

バルト三国は、本当にきれいな人が多くて、どこを向いてもハッピーでしたよ(^O^)
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