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風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

にこたま・立春・地下巡り 2

2017-06-30 | 東京
その1からの続きです。

● 暗く続く地下霊場

堂内を一巡して、心を固めて、いよいよ地下霊場へ向かいました。
一歩一歩階段を下っていくと、地下5mの場所に広がるのは暗黒世界。
真っ暗で、ダークサイドに堕ちた気分です。

これまで京都・清水寺や長野・善光寺で戒壇巡りをしていることだし、まあ大丈夫だろうと思っていましたが、そうした著名すぎる場所にはない、謎の恐怖感がひしひしと押し寄せます。
怖さの余り、キャーキャー言いたいのですが、暗闇の中に何が潜んでいるのかわからないため、息を殺して、壁伝いにそろそろと進んでいくしかありません。
壁に触れた手と床に触れた足の感触だけが頼り。見えないために触感に集中し、壁はコンクリート造りだとわかります。
でも通路は平坦ではなく、微妙に起伏があるため、不安定で身体がぐらつきます。

道はとっても細く、右手で壁をさぐりながら進んでいく時に、左手も反対側の壁に当たったりします。
大柄の人は、横歩きをしないと進めなさそう。
地下にいる間は巡礼中なので「南無大師遍照金剛」と唱え続けるべしと決められていますが、地下に降りた時点で、そんな冷静さは二人とも頭から飛んでしまいました。
もう、それどころではありません。
息詰まる緊張が少しほぐれてきた頃に、目も暗闇に慣れて、ぼんやりと辺りが見えてきました。


画像は二子玉川の地域ポータルサイト 二子玉くん「玉川大師玉眞院」より


両側にずらりと石仏が並んでいます。
壁画が施された壁に、涅槃仏や烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)、干支の守護仏といった、おびただしい数の仏像群。
全部で約300体ほどいるという石仏の前を、ひたひたと通っていきます。
道はくねくねと折れ曲がり、広い空間になると、四国八十八ヶ所霊場や西国三十三観音霊場の石仏が飾られています。

霊場内は聖域のため、撮影は禁止。明かりも禁止。
仏像がある場所にのみ、明かりが置かれています。
明るくなると、なんとなく空気が白く見えるのは、線香の煙でしょうか。
行けども行けども続く地下霊場。
以前、長く感じた善光寺の戒壇巡りは、全長45m。
ここ玉川大師は、善光寺の倍以上の100mあるそうです。

さらにここは、直線よりもカーブが多く、アップダウンもあるため、どうなっているのかさっぱりわかりません。
今どこにいるのか判らなくなり、自分も石仏になって、このまま永遠に地下から出られないのかと震えたりもします。

真っ暗闇の中、そろそろと歩みを進めるため、少しの距離にも長い時間がかかります。
わずかな光を見つけると、ありがた~く感じます。
お日様、ありがとう。



巨大な銅鑼(どら)を鳴らします。
ゴ~ン!地表へ帰らせて~。

● 地表生還

階段を上がってようやく地上の堂内に戻ってきた後は、帰ってこれたことに安心しながらも、呆然自失状態。
しばらくの間は頭も身体も動けませんでした。

ここを巡ることで四国の遍路と西国観音巡礼をしたのと同じご利益を得られるといいます。
アコリンは実際に四国の遍路をしたことがあり、私は西国観音の巡礼中。
2人ともに、達成感がありました。

本堂で護摩木を奉納するアコリン。
柱には、観音経の一字一字を小さな米粒に書き並べたものが飾られています。
お大師様のお寺に、ガネーシャ様がいました。もう怖いものなしって感じですね。



境内には5mもの巨大な修行大師の像がありました。
大きすぎて写真には入りきらず、撮影は断念。
白梅がちょうど見ごろでした。



● お茶タイム

呆然としたまま、お茶をして気持ちをなだめることにします。
まだビクビクしており、いただいたお寺のパンフレットの表紙もなんだか怖く見えてしまいます。



いいお顔の仏像なんですが。モノクロだから?
気を取り直して中を開いても、やっぱりこわいパンフ。
この古い感じが・・・。



アコリンが高層階のおしゃれオムライス屋さんを紹介してくれたあとで、私が連れて行ったのはアングラな地下霊場。
あまりに違いすぎます。高低差はどのくらいあったでしょうか。

でも彼女は、単なるオサレ女子ではありません。
彼女とは前に一緒に、田谷の洞窟に出かけたことがあります。→(「紫陽花の鎌倉散策 2-(1)」
ロウソクを持って入るその場所も、かなり勇気がいる場所だったので、もはやお互い、免疫のついた洞窟仲間。
彼女とだからいっしょに行けた感じです。

引越ししたての彼女は「新しい部屋は冬にあまり日光が入らないの」とこぼしていたものの「あそこまで暗闇の中にいると、かすかな光でもとてもありがたく思えるわ」と言うようになっていました。
前向きコメント!もぐった甲斐がありましたね。

● ありがたいお言葉

地下霊場の後は、山の上の神社を参拝。
お茶をして、いったん落ち着いてから、今度は坂を上っていきました。
途中の日蓮宗寺院の入り口に貼られていたお言葉。



ちなみに五尺とは約151,5cmです。ちょっと小柄ね。
いやいや、ありがたや~。

● 山の中腹の神社

次に訪れたのは、明治期に建てられた瀬田玉川神社。
伊勢神社系の太陽の神さまです。
さっき、地下でお日様のありがたみを噛みしめたところでした。



先ほどの地下とはうって変わって、とても見晴らしがいい小高い場所にやってきました。



拝殿前には大きな酉の絵馬が飾られていました。
狛犬が3対あり、2体は新しいものでしたが、拝殿に一番近い3体目が古かったので、喜びます。
甘えている子犬がかわいい~。



手水舎が蓋付きでした。このタイプは初めてです。
水が汚れずに済みますね。



● ガーデンアイランド

ふたたび先ほどの多摩川大師の前を通り、今度は玉川高島屋S.C ガーデンアイランドの前にやってきました。
「ちょっと入ってみていい?」とアコリン。
前に来たことがあるそうです。



「長いスノーブーツを探していて」と、アウトドアショップの好日山荘に入りました。
そういえば彼女は山ガール。
でもロングのものはありませんでした。
いったい、どんな雪山登山をするつもりだったんでしょうか。

新しい家に緑を増やしたい彼女と、最上階にある園芸コーナーにも行きました。
すてきなオープンデッキになっていましたが、庭の池には不気味な魚のモチーフが。
これいったい、誰の好み?



● 夕焼け富士山

そろそろ駅に戻ろうかと振り返ったとき、夕焼けがとてもきれいに見えました。
「ねえ、夕陽のそばに見えるのって、富士山?」
「ほんとだ!きれいだね~!」
さっそく撮影会。撮っている最中も、どんどん陽の色は変わっていきます。
冬の夕日ってきれいですね。いいタイミングで見られました。



それから玉川高島屋の専用シャトルバスに乗り、にぎやかな駅前に戻りました。
でもなんとなくまだ、非日常を体験した興奮冷めやらず状態が続いています。
そこで、自由が丘まで2人でのんびり歩いて帰ることにしました。

駅前の二子玉川公園にできた、丘の上のスタバ。
絵になるわ~。



● epilogue

いろいろな体験ができた、楽しい立春の日。
横浜駅周辺をうろうろした先週(←「市場とカフェと教会へ」)に引き続き、また冒険めいた散策ができました。
オハイソなおしゃれタウン・二子玉川に、こんなディープな場所が存在していたなんて、思いもよらないことでした。
またこんな近場再発見の休日を送りたいものです。




にこたま・立春・地下巡り 1

2017-06-29 | 東京
● prologue

2月4日は立春。陰の気が、陽の気に変わるスタート日です。
友人アコリンと会うことになり、「休日に会うのなら、久しぶりにレッツ・オムライス倶楽部しようよ」ということになりました。
2人で「レッツオムライス倶楽部」を立ち上げて、都内近隣のおいしいオムライス情報を聞いては、いそいそ食べに行っている私たち。
オムライスって、いろいろな作り方があって、それはもう奥が深いんですよ~。
今回、彼女がいいお店情報を仕入れたということで、二子玉川(ふたこたまがわ)にクラブ活動をしに、出かけました。

● 多摩川ウォーキング

東京を流れる多摩川沿いに、多摩川駅という駅があります。
空高く天気の良い冬の日。古墳の並ぶ多摩川台公園をぬけて、川沿いにテクテク歩いていきました。
電車だと多摩川駅から二子玉川駅まで、10分ちょっとで着きますが、徒歩ではちょうど1時間かかりました。



二子玉川駅前でアコリンと待ち合わせ。今年はじめて会う彼女に、ここまで歩いてきたと話すと、驚かれました。

● ビストロタマ

目指すお店は、ビストロタマ
行列必至の混んでいる人気店だと聞いていたので、開店と同時に入ります。

オムライスだけでも何種類もありました。どれにしようかな~♪♪



店内には、長~いバウムクーヘンが周っていました。
わあ、すごい。あんなの、とても食べきれないわ。
ちなみにお値段は7万円ナリだそうです。



窓の外には、多摩川と駅。
のんびりしていて、休日ですねえ。



まずはサラダ。野菜と一緒に、バウムクーヘンがお皿に載っています。
タマクーヘンという、100%玄米でできた、オリジナルのクーヘンだそうです。



● 倶楽部活動中

そして、メインのご登場。
フランスのモンサンミッシェルの前にあるお店の手法で作り上げたオムレツは、ふわっふわとろっとろ。
絵になるわ~。



頼んだのは、きのこのオムライス。
おいし~い!
もう、ふわっふわのはふはふですよ!



デザートにも、再びタマクーヘンが出てきました。
このお店のメインだそうです。



● 立春からの手帳

食後は、下の階にあるLOFTに行きました。
手帳コーナーに向かうアコリン。
私は前の年のうちに、新しい手帳は用意しておくタイプなので(え、これから買うの?)と不思議に思いますが、この日は旧暦上では1年のスタートとなる立春。
そのためか、大勢の人たちがいました。

● 旧暦の初詣で

「立春の日なら、気持ちも新たに寺社にお参りしよう」ということになりました。
近くにどんな寺社があるのか、探してみます。

玉川神社のそばに、玉眞院(ぎょくしんいん)というお寺があると知りました。
玉川大師と呼ばれているそうです。
川崎大師なら知っていますが、玉川にもお大師様ゆかりのお寺があったとは。

空海好きのアコリンに話すと、「行ったことないわ」と興味津々。
「そこに、地下霊場があるみたい」
「え、なにそれ?」
ネット検索すると「怖い」「恐怖」の声が続々と載っていました。

● 古刹・玉川大師

地下霊場って、いったいどんなところなんでしょう。
「怖いよ~」とおじけづくアコリンをなだめながらお寺へと向かいました。
オサレカフェでオムライスを食べたあと、なぜかアンダーグラウンドな地下霊場へと向かう私たち(笑)。



到着すると、思ったよりも参拝客は多く、お寺は混雑していました。
境内の駐車場がいっぱいで、入れない車もあります。
「この辺の人はおハイソだからか、いい車ばっかり~」
さすがは車好きのアコリンです。



自分が率先して彼女を連れてきましたが、実際来てみると、やっぱりこわいです。
地下霊場という言葉が恐怖。
「響きだけだと、地下のご令嬢みたい」「それはそれで、閉じ込められているようでこわいからよしてー」



靴を脱いで、お寺の中に上がりました。
かなりの古刹で、中はどこを見ても線香の煙ですすけています。



お寺自体、ものすごく雰囲気がありますが、参拝者が多いので、怖さはさほど感じません。
立春だから、大勢の人がお参りしに来くるのでしょうか?

● いよいよアンダーグラウンドへ

内陣にあるご本尊には紐がついており、人々はその紐のはしを握って、ご本尊の前で長いお祈りをしています。
一見、普通の古寺ですが、やっぱり地下霊場があることが、あちこちに書かれています。



本堂の仏像を全部拝観し終わり、いよいよ勇気を出す時がやってきました。
地下霊場への入口はここから。真っ暗で先がなんにも見えません。
覗き込むと、下から冷気が上がってきて、ひやりとします。
なんだか、埋葬されに、自分からお墓に入っていくような気分。
子供なら、恐怖のあまり、泣き出すレベルです。



地下に入る時には、ゴムスリッパを履きます。
なにかが起こったとしても、これじゃあ逃げられないわ~。
でも、お寺ではお寺のルールに従わなくてはいけません。
大きなスリッパが脱げないように気をつけながら、おそるおそる、階段を下りていきました。

その2に続きます。


武蔵村山・魅力体験ツアー index

2017-06-14 | 東京
[2017.1.15]

◆ 武蔵村山 1 ←旅行記へ
 あまりなじみがない武蔵村山市の日帰りツアーに参加しました。
 プリンスの丘の表記を見てキャンディ・キャンディ気分に。
 絞り染めと機織りを体験し、地元のかてうどんをいただきました。
  ● prologue ● なぜか立川集合 ● プリンスの丘
  ● イオンライフ ● 村山大島紬 ● 染め物体験
  ● 村山大島紬資料館 ● 機織り体験 ● かてうどん 



◆ 武蔵村山 2
 東京側の狭山茶畑を見学し、お茶のおいしい淹れ方を教えてもらいます。
 大きな里山民家では、久しぶりに竹馬に乗って遊びました。
 縁遠かった武蔵村山が、ぐっと身近に思えるようになった一日でした。
  ● みどりの足湯 ● 東京狭山茶・茶畑見学 ● 私有地はけものみち
  ● 里山民家 ● 渾身の藁細工作品 ● 竹馬の友
  ● 茶道か闘茶か ● 地元スイーツ ● みかんの誤解
  ● 立川アート ● ゆるキャラ比較 ● epilogue





武蔵村山・魅力体験ツアー 2

2017-06-14 | 東京
その1からの続きです。

● みどりの足湯

昼食をすませて、建物の外に出ました。
ここは村山温泉かたくりの湯。
せっかく温泉敷地内まで来たのに、時間の都合で入浴できないのが残念でなりません。
「今年になってから、まだ温泉に入ってないんだー」
「温泉につかりたかったな~」
「ゆっくりしたいな~」



ブーブー言いながら、偶然再会した友人と3人で、外にある足湯コーナーに向かいました。
せめて足湯は入っていこうと思ったからです。
しかし湯船をのぞくと、目にまぶしいバスクリン色でした。
一気にほとばしる我が家感。温泉なのに、なぜ入れたのー?



そしてそばには、一足先にランチを終えたJ:COM TVのカメラマンたちもいました。
私たちに満面の笑みを向けて「入って!さあ、入って!!」とうながします。
足湯シーンを撮りたいからだそう。脚の方にカメラを向けられて、緊張しました。



温泉とバスクリンのダブル効果でしょうか。暖かくて、身体の芯からほかほか温まりました。
足湯から出て、足をふいている二人をこっそり激写。

● 東京狭山茶・茶畑見学

それからバスで移動して、茶畑に行きました。
静岡茶、宇治茶と並んで日本三大茶と呼ばれる狭山茶。
「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす」と謳われます。
距離的に一番身近な場所にあるのに、一番なじみが薄いお茶なので、今回は学べるいいチャンス。

とはいえ、狭山茶とは狭山丘陵の北麓側の埼玉で採れるお茶を指します。
この辺り一帯は、狭山丘陵の南麓側のため、厳密には狭山茶とはいいません。
「東京狭山茶」という名前になりますが、東京がついても、埼玉の狭山茶と同じ品質なんだそう。



茶畑で、狭山茶についてのレクチャーを受けました。
ここで取れるお茶は、肉厚の新芽が特徴的で、お茶大国の静岡でも作れないのだとか。
蒸しづらいほど茶葉が分厚いそうです。



ちなみに宇治茶をブレンドしたお茶を出しているのが、山本山社なんですって。
幕末、開港した横浜に、関東の生糸が八王子経由で集まった道は「横浜のシルクロード」と呼ばれます。
お茶は生糸に次ぐ輸出品となり、やっぱり狭山方面から八王子を経て横浜に運ばれて、海外に輸出されたそうです。
つまりお茶のシルクロードもあったんですね。ティーロードっていうのかな。



● 私有地はけものみち

「ではここから私有地を通って次の場所に行きます。許可は取ってあるので、大丈夫」
そう言われて、みんなで「私有地」の看板を超えて進みました。
次第に道は細くなっていき、人がひとり歩くのがせいいっぱいの、けものみちのような小道になりました。



どんどん山の中に分け入っていきます。
この先になにがあるのか、まったくわかりません。
まあ、天気はいいし、これはこれで楽しいものです。



● 里山民家

どんな山奥に入って行くんだろうと思いながら起伏のある細い小道を進んでいくと、突然、視界が開けて舗装道路に出ました。
あれ?
秘境に分け入っていったのではなく、近道をしただけでした。

目の前に広がっているのは、野山北・六道山公園。
面積1,323,900m²で、都立の公園では最大級なんだそう。
あれ、昭和記念公園は?
あそこは国営でした。

この公園の東側には多摩湖と狭山湖、西側には横田基地がある、なかなかドラマチックな地理です。



公園内には、大きな古民家がありました。
江戸時代の家屋が里山民家として整備されたそう。
母屋は徳川式で、中に入ると太い梁が通っています。
広い屋根裏は養蚕部屋で、天井からは繭飾りが下がっていました。



壁に「ふんごまっしぇえ!」と書かれていました。
これニホンゴ?
どこをとってもわかりません。
村山郷で使われていたことばで「あがってゆっくりしていきなさい」という意味だそうです。

● 渾身の藁細工作品

母屋の隣に立つ離れのふすまがガラガラと開き、人が出てきました。
エプロン姿で軍手をはめた女性が、籠のようなものを両手に掲げて「見て、七福神よ!」と言います。
見るとそれは、たしかに七福神が乗った宝船でした。
「わあ、すごい!」



見事な藁細工です。
素晴らしい出来ばえに驚きました。

あまりに私たちが喜んだからか、ほかの人が、別の作品も持ってきて見せてくれました。
「これが去年の宝船。鶴と亀もついているわよ」
「こっちもすごい!」

エプロン姿の方はわら細工講習会の先生で、この日は5時間コースで生徒たちに作り方を教えているそう。
先生渾身の作品を2つも見せてもらいました。
こんなのが作れたら、雪に閉ざさた冬の間も、暇を持て余さずに済みますね。
まあ、この辺りは、大雪で村落が孤立することはないでしょうけれど。



私たちがやんやと褒めそやすと「教室はいつでも参加者募集中です。いろいろなものが作れるようになるわよ~」と、先生にグイグイ勧誘されました。
もうちょっと横浜から近ければね~。

● 竹馬の友

母屋の外には、竹馬が立てかけられていました。
平成の世にはもう姿を消したと思っていた竹馬!
もちろん乗ってみますよ!



小学生以来です。(バランスとれなくなっちゃったかな~)と思いながらのトライ。
初めこそグラグラしましたが、すぐに感覚がよみがえって、サクサク自在に歩き回れるようになりました。



まさに「雀百まで踊り忘れず」!
あの頃が、一番運動神経がよかったのよね・・・(遠い目)



● 茶道か闘茶か

里山文化を満喫して、再びバスに戻り、市役所横にある市民レストランに着きました。
先ほど、茶畑の前で解説をしてくれた製茶組合の方々が、スタンバイしてくれていました。
これから、おいしいお茶の入れ方の手ほどきを受けます。
これも茶道というのかしら?



緑茶を淹れるのは70度くらいのお湯がよいと言われます。
「沸騰したては茶葉が煮えるから」と言われてきましたが、熱すぎるお湯は、苦みが出るからダメなんだそう。 
熱湯をそのまま注いだものと、湯冷ましにいったん入れて、熱を下げたものとを飲み比べてみました。
これも闘茶になるのかしら?



淹れ方では、色はそれほど変わらない気がします。
つまり、飲んでみないと分からないということですね。



飲むと、やはり湯冷ましで冷ました方が、まろやかな味になっていました。
お湯を入れてから1分間蒸らすので、その間にお茶は少し冷めてしまうのですが。

● 地元スイーツ

ひとしきり淹れ方を学んだあとは、地元名産のお菓子をいただきながらのお茶タイム。
3種類のスイーツがお皿に載っています。

まずは田舎屋の「手作り村山ゆでまんじゅう」。
皮にうどん粉を使っており、茹でて食べるんだそう。
もっちもちでした。



そして「むさし村山四季彩シフォン」。



ふつうのシフォンケーキは水分があまりなく、ドリンクがないと食べづらいのですが、これはかなりみずみずしく、揺らすとプルプル揺れます。
やわらかいー。



そして、ふだんよく見かける歌舞伎揚げの天乃屋は、武蔵村山に会社があると知りました。



● みかんの誤解

この辺りでは、みかんも有名だそうです。
採れたてのみかんは概してすっぱいものですが、愛媛で採れたみかんはこちらに運んでくるまで輸送時間がかかるため、食べる頃には甘みが増しているのだそう。
それを「愛媛産は甘い」と勘違いしている人が圧倒的に多いとか。
あれ、私も勘違いしていましたよ!?

(そういえば)と思い出しました。
静岡に住んでいた子供の頃、よく農家のおじさんにもぎたてのみかんをもらいましたが、どれも酸味が強かったため「静岡のみかんは酸っぱいんだ」というイメージをずっと持っていたのです。
あれー、私は大きな誤解をしていたのかもしれませんね。

みんなで狭山茶を飲みながら地元のスイーツをいただいて、この日のプランは終了。
今回参加したことで、私たちは「武蔵村山の魅力教え隊」になりました。
さっそくMM情報を発信しないとね!

ところでMMといったら、横浜人はまちがえようもなく「みなとみらい」だと思います。
しかしここでは「武蔵村山」になるんですね~。ところ変われば…。

● 立川アート

市役所で市内参加者たちとお別れし、私たちは立川駅前まで送ってもらい、そこで解散しました。
立川駅に向かう帰りの道すがら、いくつかのアートオブジェの前を通ります。
さりげなく、町の風景に溶け込んでいます。



一見見過ごしかけましたが、これ、普通の車じゃありませんよね。
細長いだけだし。きっと影ができたら本物っぽいんでしょうね。



● ゆるキャラ比較

かわいいゆるキャラ像を発見。立川市公認キャラクター・くるりんだそうです。
立川とうさぎって、なにか関係あるのかしら?
「うさぎ追いし、かの山~」がここだったのかな?(残念、長野の歌でした)

魅力教え隊になった以上は、武蔵村山のゆるキャラもチェックしないといけませんね。
ええと、武蔵村山のゆるキャラは・・・と。
調べてみたら、ねぶたのようなデエダラボッチ(大多羅法師)でした(えー)。



でも、魅力教え隊を募集している魅力づくり推進事業PRキャラクター・むむちゃんも、ゆるキャラっぽいかわいさでした(ホッ)。
身長がみかん3個分というのが、どこかのニャンコのようですが、気のせいですね(笑)。

● epilogue

これまでどこにあるのかもよくわからず、きっかけがなくて縁遠かった武蔵村山市ですが、市の方々に親切に案内してもらい、武蔵村山ならではのいろいろな体験ができて、以前よりもグッと身近に思えるようになりました。
東京で唯一電車が通っていない自然が豊かな市。また遊びに行きたいです。
次回はプリンスの丘公園で、王子ならぬスカイラインを見つけることも忘れずに!

武蔵村山・魅力体験ツアー 1

2017-06-13 | 東京
● prologue

バルト三国旅行から帰って2か月後の1月15日に、旅の友のモコちゃんと再会しました。
今度は都内日帰りツアー。
武蔵村山市の『武蔵村山の魅力づくり推進事業』の一環で開催される見学体験「村山大島紬の機織り・染物体験と東京狭山茶を味わう旅」コースに参加しました。
東急目黒線の武蔵小山(駅)なら行く機会も多いのですが、武蔵村山はあまりなじみがない地域。
訪れるのは初めてです。


画像:武蔵村山市商工会


● なぜか立川集合

集合場所は立川駅。ここからチャーターバスに乗っていきます。
あれ?立川駅があるのは立川市。武蔵村山市ではありません。
なぜかしら?
地図を見てみると、武蔵村山があるのは埼玉との県境、狭山湖の近く。
都内で唯一、駅がない市なんだそう。

なるほど、電車で訪れた市外からの参加者のために、電車の通っている立川集合になったわけですね。
今回は、市民10名、市外参加者10名というほどよい人数のツアー。
参加者の中には、偶然にも友人が一人いました。

● プリンスの丘

動き出したバスの中で、20分間の武蔵村山市の紹介DVDを観ました。
季節ごとのお祭りやイベントが多いようです。ねぶたのようなお祭りもあるようですが、「村山デエダラまつり」というデエダラボッチのお祭りの時の山車でした。
「デエダラボッチ」伝説は日本各地に存在し、ここ武蔵村山にも言い伝えがあるそうです。
ちなみに横浜は、同じような伝説では「浦島太郎」ゆかりの地とされています。

道すがら、とてもトンネルが多いなあと感じます。ということは山が多いんですね。
市の地図「むらやマップ」には「プリンスの丘公園」という名前の公園が載っていました。
まあ、ロマンチックな名前!「キャンディ・キャンディ」に出てくる丘の上の王子様がいそう!



と両手を合わせてうっとりしましたが、よく見ると「日産自動車(旧プリンス自動車工業)村山工場の跡地の一部」と書かれていました。
スカイライン発祥の地だそうです。
違うプリンスだったわ!
乙女よりも走り屋が、スカイラインの聖地詣でをしに訪れそうな場所でした。

● イオンライフ

バスは武蔵村山市役所前で停まりました。
ここから市内参加者の方々が合流しました。



道路を行き交う市営バスの行先を見ると、イオンモール行きが多く、町の中心っぽいなあと感じます。
「この辺りでは車がないと困ります」「ないとイオンに行けない」と市内の方々。
イオン中心の生活なんですね。

● 村山大島紬

まずは、村山織物協同組合を見学しました。
レトロな建物が保存されています。市の指定有形文化財です。



この地方は、江戸時代からの絹織物「村山大島紬」が特産物。
紬といったら大島紬が有名ですが、それは奄美大島のこと。
そこから「大島」の名前をもらいながらも、染める際に板締技法を用いるといった異なる点もあり、東京都指定無形文化財に指定されています。

● 染め物体験

大島紬との大きな違いは、「板締め注入染色法」という群馬の伊勢崎より導入した技術を用いていること。
シルクのスカーフがこんな風に染まるようです。
普段は何気なく見ているこうした手作りの柄ですが、今回は(どうやったらこんな風にできるんだろう?)と前のめり。



2階の体験工房で、自分たちも染めてみました。
この辺りは養蚕も盛んで、それでシルクが調達できています。
今回は割り箸を使って、糸や輪ゴムでスカーフを縛り、絞り染めを作っていきます。



スカーフを縛ったら、それを染液に浸して染めます。
グレーと黄色、どちらかを選べます。



食べかけの綿菓子のようになったスカーフを取り出しまして。



入れます。ドボン。
私たちは黄色の方を選びました。



しばらくおいてから、中身を移します。



再び染液の中に、ドボン。



さらにしばらく煮込んでから取り出したのが、こちら。
よく染まっているようです。



とっても絞った人や、ほんのちょっと絞った人など、できた柄は人それぞれ。
みんなで作った柄を見せ合いました。



● 村山大島紬資料館

1階の村山大島紬資料館も見学しました。
古い道具類や制作途中の様子が展示されています。
「板締め注入染色」の技法も分かりやすく解説されています。



これは生糸1kg分の繭玉。2500粒あるそうです。つまりひと粒は4gなんですね。
村山大島紬のアンサンブルを作るには、これだけの量が必要なんだそう。
たくさんいるんですね。やっぱり着物って贅沢なんだわー。





マネキンの着ていた紬。生地がしっかりしていて暖かそう。
帯の光沢もよかったです。

● 機織り体験

村山大島紬について学んだあとは、2階の工房に戻りました。



ここにはさまざまな織機があり、実際に体験できるようになっています。
説明を受けた後で、自分たちも機織り体験をしてみました。



シャトル(杼)を使って、機織り機に通してある経糸(たていと)に、緯糸(よこいと)をくぐらせていきます。
これはまさに織姫気分だわ~。



シャトルというものを、初めて触りました。
スペースシャトルやシャトルバスの元となった言葉ですね。
横浜港にはマリンシャトルという遊覧船も浮かんでいます。



シャトルを糸にくぐらせたりすくい取ったりするのは、単純な動作でありながら、力加減の調節が複雑。
油断すると糸がゆるくなり、出来栄えに響きます。
慣れないまま、一回一回緊張しながら機を動かしていきました。
余分な力を込めて機織りをしたため、すっかり肩がこってしまいました。



とうとうできましたー!
上がモコ、下が私の作品です。
それぞれ違う色合いのものができました。



自分が作った絞り染めのスカーフと紬のコースターをいただいて、建物を後にします。

● かてうどん

体験講座は結構時間がかかっていたようで、もうお昼になっていました。
「村山温泉かたくりの湯」内の「かたくり亭」のお座敷で昼食にします。

多摩川分水流域のこの辺りは小麦文化で、江戸時代からの郷土料理は地粉麺の「村山かてうどん」。
「かて(糧)」とは、地野菜を茹でたものなどの添え物を指すそうです。



つけ麺スタイルのかてうどん。
不揃いでコシが強く、無骨な見た目は手作り感たっぷり。つけつゆは濃いめの醤油味でした。
かてとして、地元で採れた小松菜や菜花、ナスが添えられていました。
かては汁に入れ、うどんと合わせて食べるそうです。



今回同行した、J:COM TVのカメラマンと隣り合わせになって、おしゃべりしました。
インタビューも受けたので、どんな番組になったのか放映が気になりましたが、ケーブルテレビなのでこの辺りでしか見られないんだとか。
よそでは放映されないとは、残念~。

その2に続きます。