風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

にこたま・立春・地下巡り 2

2017-06-30 | 東京
その1からの続きです。

● 暗く続く地下霊場

堂内を一巡して、心を固めて、いよいよ地下霊場へ向かいました。
一歩一歩階段を下っていくと、地下5mの場所に広がるのは暗黒世界。
真っ暗で、ダークサイドに堕ちた気分です。

これまで京都・清水寺や長野・善光寺で戒壇巡りをしていることだし、まあ大丈夫だろうと思っていましたが、そうした著名すぎる場所にはない、謎の恐怖感がひしひしと押し寄せます。
怖さの余り、キャーキャー言いたいのですが、暗闇の中に何が潜んでいるのかわからないため、息を殺して、壁伝いにそろそろと進んでいくしかありません。
壁に触れた手と床に触れた足の感触だけが頼り。見えないために触感に集中し、壁はコンクリート造りだとわかります。
でも通路は平坦ではなく、微妙に起伏があるため、不安定で身体がぐらつきます。

道はとっても細く、右手で壁をさぐりながら進んでいく時に、左手も反対側の壁に当たったりします。
大柄の人は、横歩きをしないと進めなさそう。
地下にいる間は巡礼中なので「南無大師遍照金剛」と唱え続けるべしと決められていますが、地下に降りた時点で、そんな冷静さは二人とも頭から飛んでしまいました。
もう、それどころではありません。
息詰まる緊張が少しほぐれてきた頃に、目も暗闇に慣れて、ぼんやりと辺りが見えてきました。


画像は二子玉川の地域ポータルサイト 二子玉くん「玉川大師玉眞院」より


両側にずらりと石仏が並んでいます。
壁画が施された壁に、涅槃仏や烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)、干支の守護仏といった、おびただしい数の仏像群。
全部で約300体ほどいるという石仏の前を、ひたひたと通っていきます。
道はくねくねと折れ曲がり、広い空間になると、四国八十八ヶ所霊場や西国三十三観音霊場の石仏が飾られています。

霊場内は聖域のため、撮影は禁止。明かりも禁止。
仏像がある場所にのみ、明かりが置かれています。
明るくなると、なんとなく空気が白く見えるのは、線香の煙でしょうか。
行けども行けども続く地下霊場。
以前、長く感じた善光寺の戒壇巡りは、全長45m。
ここ玉川大師は、善光寺の倍以上の100mあるそうです。

さらにここは、直線よりもカーブが多く、アップダウンもあるため、どうなっているのかさっぱりわかりません。
今どこにいるのか判らなくなり、自分も石仏になって、このまま永遠に地下から出られないのかと震えたりもします。

真っ暗闇の中、そろそろと歩みを進めるため、少しの距離にも長い時間がかかります。
わずかな光を見つけると、ありがた~く感じます。
お日様、ありがとう。



巨大な銅鑼(どら)を鳴らします。
ゴ~ン!地表へ帰らせて~。

● 地表生還

階段を上がってようやく地上の堂内に戻ってきた後は、帰ってこれたことに安心しながらも、呆然自失状態。
しばらくの間は頭も身体も動けませんでした。

ここを巡ることで四国の遍路と西国観音巡礼をしたのと同じご利益を得られるといいます。
アコリンは実際に四国の遍路をしたことがあり、私は西国観音の巡礼中。
2人ともに、達成感がありました。

本堂で護摩木を奉納するアコリン。
柱には、観音経の一字一字を小さな米粒に書き並べたものが飾られています。
お大師様のお寺に、ガネーシャ様がいました。もう怖いものなしって感じですね。



境内には5mもの巨大な修行大師の像がありました。
大きすぎて写真には入りきらず、撮影は断念。
白梅がちょうど見ごろでした。



● お茶タイム

呆然としたまま、お茶をして気持ちをなだめることにします。
まだビクビクしており、いただいたお寺のパンフレットの表紙もなんだか怖く見えてしまいます。



いいお顔の仏像なんですが。モノクロだから?
気を取り直して中を開いても、やっぱりこわいパンフ。
この古い感じが・・・。



アコリンが高層階のおしゃれオムライス屋さんを紹介してくれたあとで、私が連れて行ったのはアングラな地下霊場。
あまりに違いすぎます。高低差はどのくらいあったでしょうか。

でも彼女は、単なるオサレ女子ではありません。
彼女とは前に一緒に、田谷の洞窟に出かけたことがあります。→(「紫陽花の鎌倉散策 2-(1)」
ロウソクを持って入るその場所も、かなり勇気がいる場所だったので、もはやお互い、免疫のついた洞窟仲間。
彼女とだからいっしょに行けた感じです。

引越ししたての彼女は「新しい部屋は冬にあまり日光が入らないの」とこぼしていたものの「あそこまで暗闇の中にいると、かすかな光でもとてもありがたく思えるわ」と言うようになっていました。
前向きコメント!もぐった甲斐がありましたね。

● ありがたいお言葉

地下霊場の後は、山の上の神社を参拝。
お茶をして、いったん落ち着いてから、今度は坂を上っていきました。
途中の日蓮宗寺院の入り口に貼られていたお言葉。



ちなみに五尺とは約151,5cmです。ちょっと小柄ね。
いやいや、ありがたや~。

● 山の中腹の神社

次に訪れたのは、明治期に建てられた瀬田玉川神社。
伊勢神社系の太陽の神さまです。
さっき、地下でお日様のありがたみを噛みしめたところでした。



先ほどの地下とはうって変わって、とても見晴らしがいい小高い場所にやってきました。



拝殿前には大きな酉の絵馬が飾られていました。
狛犬が3対あり、2体は新しいものでしたが、拝殿に一番近い3体目が古かったので、喜びます。
甘えている子犬がかわいい~。



手水舎が蓋付きでした。このタイプは初めてです。
水が汚れずに済みますね。



● ガーデンアイランド

ふたたび先ほどの多摩川大師の前を通り、今度は玉川高島屋S.C ガーデンアイランドの前にやってきました。
「ちょっと入ってみていい?」とアコリン。
前に来たことがあるそうです。



「長いスノーブーツを探していて」と、アウトドアショップの好日山荘に入りました。
そういえば彼女は山ガール。
でもロングのものはありませんでした。
いったい、どんな雪山登山をするつもりだったんでしょうか。

新しい家に緑を増やしたい彼女と、最上階にある園芸コーナーにも行きました。
すてきなオープンデッキになっていましたが、庭の池には不気味な魚のモチーフが。
これいったい、誰の好み?



● 夕焼け富士山

そろそろ駅に戻ろうかと振り返ったとき、夕焼けがとてもきれいに見えました。
「ねえ、夕陽のそばに見えるのって、富士山?」
「ほんとだ!きれいだね~!」
さっそく撮影会。撮っている最中も、どんどん陽の色は変わっていきます。
冬の夕日ってきれいですね。いいタイミングで見られました。



それから玉川高島屋の専用シャトルバスに乗り、にぎやかな駅前に戻りました。
でもなんとなくまだ、非日常を体験した興奮冷めやらず状態が続いています。
そこで、自由が丘まで2人でのんびり歩いて帰ることにしました。

駅前の二子玉川公園にできた、丘の上のスタバ。
絵になるわ~。



● epilogue

いろいろな体験ができた、楽しい立春の日。
横浜駅周辺をうろうろした先週(←「市場とカフェと教会へ」)に引き続き、また冒険めいた散策ができました。
オハイソなおしゃれタウン・二子玉川に、こんなディープな場所が存在していたなんて、思いもよらないことでした。
またこんな近場再発見の休日を送りたいものです。





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