ほぼ日刊、土と炎、猫と煙突

白く燃え尽きた灰の奥深く、ダイアモンドは横たわる。

ヤクザとコンビニ

2004年12月26日 00時26分25秒 | 古い日記
年末に向けて、暴力団員がコンビ二に、
門松などを売りつけている、と言う。

警察では「勇気を持って断わりましょう」
と指導しているらしいが、コンビ二やファミレスで、
「シノギ」をする、というのは、
やっている本人(ヤクザ)も恥ずかしいそうだ。

が、そんな事までしなければならないとは、
かの業界も相当苦しいのだろう。

...それで思い出したけど...

俺が、高校生くらいの時の話だが、近所のコンビニで、
「ヤクザ」と遭遇した事がある。

いや、その時は明らかに彼等は「客」として
来ていただけだが、やはり異彩を放っていた。

兄貴分らしいオッサンと、
若くてホストっぽい雰囲気の子分の二人連れだった。

オッサンの方が、酒とか肴とか、
「オイ、アレ。それも買っとけ。」
と、色々指示を出す。

それを若い方が「ハイ、ハイ」
と言いながら、買い物籠に入れている様子は、
コンビニでは、あきらかに普通じゃない。

(場所がスーパーや、八百屋でも普通じゃない)

それが面白くて、近くで聞いている俺も普通じゃないけど。

「俺のはそんな所だ。お前も何か好きなもん買え。」

「ハイ。」

「あ!忘れてた。何だっけ?○○が好きなやつ。
 えーと。ピーーーー」

それから暫く、オッサンは放送終了後のテレビ
みたいにピーピー言っていたが、やがて
若い方がドスのきいた低い声で、呟いた。

「味噌ピーです。」

「それや!それも買っとけ。」

「ハイ。」

それから二人はレジの所へ行くと、
若い方は買い物籠を、
オッサンの方は万札を出して言った。

「オウ、つりはいらんぞ。とっとけ。」

店員さんは困ったような顔をして苦笑いをしていたが、
結局、「スミマセン」と礼を言って受け取った。

二人が出て行くと、店に居た人達全員が、
おかしな「笑い」の雰囲気に包まれた。
(実際に声を出して笑っている人はいなかったが)

「何だったんだ?ありゃ?」
皆、そんな事を小声で言っていた。

が、突然、コンビ二の入り口がガァと乱暴に開いたか
と思うと、あのオッサンがまた、入ってきて、
店内は、緊張した雰囲気になった。

オッサンは、急ぎ足でレジの前に来ると、
渦高く、重なりあっている、スポーツ新聞を、
グイっと一部引き抜き抜いた。

店員が驚いているのも構わず、オッサンは、
そのまま新聞片手に出ていこうとする。

が、最後の最後で、クルリと振り返って、
新聞をレジの店員の方に向けてこう言った。
「オウ。これ、さっきのつりでな。」

暫くすると、駐車場から、ベンツが出ていった。

こんなコテコテヤクザがコンビにに来たのを見たのは、
後にも先にもこの1回きりだった。