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安部悦生『文化と営利』「第11章 イタリアの経営文化」(その1):1980年代以降、市場の細分化、多様化!サードイタリー(中部イタリア)が産業集積された地域経済として発見された!

2020-06-06 12:32:51 | 日記
※安部悦生『文化と営利 ―― 比較経営文化論』有斐閣、2019「第Ⅱ部 経営文化の国際比較」「第11章 イタリアの経営文化」(その1)

「はじめに」:2000年代にはイタリアが豊かな国になった!イタリアモデル(サードイタリー=中部イタリア)!
A 1980年代から30年間、生活スタイル、モノづくり、文化に関しイタリアの時代だった。Ex. カプチー、「イタ飯」、トスカーナのキアンティ・ワイン、ミラノ・コレクション、アルマーニ、グッチ、フェラガモ、ヴァレンティノ。
A-2 1970年代のイタリアのイメージは、貧しく、子だくさん、家父長的なイメージだった。
A-3 2000年代にはスローライフ、スローフード、スローシティでイタリアが「豊かな国」になった。
A-4 「家族主義」(フクヤマ)において中国とイタリアは類似する。Cf. 温州商人が大挙してイタリアに進出。
B 以下では、イタリアモデル(サードイタリー)、家族主義、カンパニリズモ(同郷主義)、アソチアツィオニズモ(団体主義)等を論じる。

(1)需要の性質が変わった!1980年代以降、加速した市場の細分化、多様化!(215-7頁)
C 18世紀のイギリス産業革命、その後、アメリカの量産・量販の成立で、汎用品的、画一的な製品が大量に供給された。
C-2 だが第2次大戦後、全般的な所得の上昇により「差異化(differentiation)商品」が求められるようになる。市場の細分化、多様化。(Cf. 両大戦間期にも、フォードのT型単一車戦略に対し、GMのフルライン戦略あり。)
C-3 1950年代からの独・伊・日・英・仏の「奇跡の経済成長」「高度成長」。その後、1980年代以降、「需要の細分化」が加速。
D イタリアでは1950年代の「第1次成長期」のあと、1980年代に市場の細分化・多様化による「第2次成長期」が訪れた。
D-2 市場の細分化・多様化は、《多品種、デザイン、使い勝手の良さなどで競争優位を保っていたイタリア企業》に有利だった。中世以来、イタリアのデザインにこだわる気質!
D-3 また幸いなことに、供給側で、コンピュータなどエレクトロ二クス技術によって、多品種少量生産を可能とするイノベーションが起きた。

(2)イノベーションによる「柔軟な専門化」の出現!パソコンが普及し、10人以下の零細企業でも導入可能となった!(217-9頁)
E 1970-80年代にかけて、パソコンが普及し、10人以下の零細企業でも導入可能となった。
E-2 このエレクトロニクス革命で多品種少量生産が可能となる。ソフトウェアの組み換えで、市場細分化や需要変化に対応可能。
E-3 そして小回りの利く(柔軟性・適応力をもつ)小企業の方が、売れ筋製品が目まぐるしく変わる消費者市場に適合的だった。「柔軟な専門化」の出現。
E-4  1980年代、イタリアでは、ベンチャー企業が経済活動の主役とまで考えられるようになった。従来の大企業は市場環境の変化についていけない「恐竜」にたとえられた。
E-5 イタリアでは、革新的な、個性ある中小企業、すなわち10-500人くらいまでのSME(small-and-medium-sized firm)やマイクロファーム=職人企業(10人以下の零細企業)が称賛されるようになる。
E-6 そうした中小企業・零細企業・ベンチャー企業を結び付ける「地域の結びつき」・「地域経済」つまり中世以来のコムーネ(8000以上ある市町村)の伝統も、イタリアには存在した。

(3)サードイタリーの出現:大企業・大工場の北西(第1)地域、中小企業の中部(第3)地域(サードイタリー)、農業や観光依存の南部(第2)地域!(220-223頁)
F 1980年代、イタリアでは、サードイタリー(「第3のイタリア」、中部イタリア)が産業集積(industrial aggromeration)された地域経済として発見された。Cf. シリコンヴァレー、ルート128(ボストン郊外)、大田区、東大阪市(旧布施市)
F-2 イタリアは国有企業のウェイトが高い。(1982年、総雇用の国有企業従業員比率15%、公務員を含めると30%。)民間大企業は少なく、中小企業(ブランド力あり)が多い。
F-3 第1のイタリアは北部。(Ex. ピエモンテ州トリノのフィアット、イヴレーアのオリベッティ。)労使対立が激しい。
F-4 第2のイタリアは南部。一人当たり所得が北部(第1と第3のイタリア)と較べると半分以下で、工業化、経済開発が遅れている。
F-5 サードイタリー(第3のイタリア)は中部地域(北東・中部地域)。Ex. ヴェニス、ボロ-ニャ、フィレンツェ。中部地域では機械工業が盛ん。(ヨーロッパではドイツに次ぐ。)農業機械、NC工作機械、自動包装機械、単品注文設計機械など。
F-6 まとめ:大企業・大工場の北西(第1)地域、中小企業の中部(第3)地域(サードイタリー)、農業や観光依存の南部(第2)地域。
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