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金子みすゞ(1903-1930)「金魚のお墓」:死んだ「金魚」の主観はこの詩人の主観だ!死はただ「無」である、中性の「無」!記憶を失わないマジカルな死!金魚には生前、「友だち」がいた、幸福な金魚だ!

2020-10-18 09:50:12 | 日記
 「金魚のお墓」   金子みすゞ

暗い、さみしい、土のなか、
金魚はなにをみつめてる。
夏のお池の藻の花と、
揺れる光のまぼろしを。

靜かな、靜かな、土のなか、
金魚はなにをきいている。
そっと落葉の上をゆく、
夜のしぐれのあしおとを。

冷たい、冷たい、土のなか、
金魚はなにをおもってる。
金魚屋の荷のなかにいた、
むかしの、むかしの、友だちを。

《感想1》死後の「土のなか」は、どういうところか?①「暗い、さみしい」所、②「靜かな、靜かな」所、③「冷たい、冷たい」所。
《感想1-2》だが実は死んだ金魚の主観にとって「土のなか」は①「暗い、さみしい」所でも、②「靜かな、靜かな」所でも、③「冷たい、冷たい」所でもない。ただ「無」であるだけだ。中性の「無」!(詩人の主観においてのみ「土のなか」は、金魚の主観にとって①②③のような所だ。)
《感想2》死んだ金魚に五感があったとすると、その五感は超高感度で①「暗い」中に、2つの出来事を見る。(実際には、金魚の目玉はすでに腐り何も見えない。)死んだ金魚が、驚くべきことに「夏のお池の藻の花」と「揺れる光のまぼろし」を見る。
《感想2-2》背景は黒、その中に出現する、明るい光の2つの情景。記憶が昼の水中の情景として出現する。美しい記憶が失われないマジカルな死!

《感想3》死んだ金魚がいる土の中は②「静か」だ。土の中で金魚は腐り、虫に食われ、バクテリアにより食われ分解されていく。金魚にはもう耳がない。それなのに金魚は聞くことができる。恐るべき魔法。「夜のしぐれ」が「そっと落葉の上をゆく」、その「あしおと」を金魚は聞く。
《感想3-2》もう秋だ。夏は去った。金魚が死んで埋められた。時は過ぎて行き、生き物には死が不可避だ。

《感想4》「夜のしぐれ」の降る③「冷たい」土の中で、死んだ金魚が「おもう」。本当は死んだ金魚が、ものを「おもう」などありえない。だが死における「無」の例外を詩人は描く。死んだ金魚の「むかしの、むかしの、友だち」の幻。
《感想4-2》死んだ金魚には生前、「友だち」がいた。幸福な金魚だ!
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