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米民主党敗北を警告していたラストベルト(オハイオ州マホニング郡)の民主党委員長デビッド・ベトラス氏:民主党は、トランプ氏やその支持者を、「バカ」などと侮辱してはならない

2017-12-08 09:18:11 | 日記
(1)オハイオ州などラストベルト諸州で共和党トランプ大統領が連勝:労働者が民主党から離反した
かつて製造業や製鉄業が栄えた米中西部のラストベルト(さびついた工業地帯)のオハイオ州マホニング郡ヤングスタウンの民主党郡委員長David Betrs氏(1959-)が話す。
米民主党への労働者の支持は「今も、戻っていない」という。
ラストベルトは、かつて民主党の地盤だった。労働者が民主党を支持した。
ところが2016年11月大統領選では、オハイオ州、ミシガン州などラストベルト諸州で、共和党トランプ大統領が連勝した。
労働者が民主党から離反した。

(2)民主党は、トランプ氏や支持者を「バカ」などと侮辱してはならない
民主党は、トランプ氏や支持者を、「人種差別主義者」、「外国人嫌い」、「バカ」などと侮辱してはならない。
民主党は、労働者に響く方向性を示し、メッセージによって、トランプ氏に勝たないといけない。

(3)2016年予備選で、多くの労働者が民主党から共和党に移った
民主党はブルーカラー労働者の暮らしを、以前と違って、気に掛けなくなった。
2016年大統領予備選挙(党候補を1人に絞り込む)で、多くの労働者が民主党から共和党に移り、共和党の投票用紙が足りなくなった。
地域の民主党幹事さえ、「トランプに投票する」と続々と党を去った。
何があっても民主党支持だった人々の離反。
前代未聞だった。

(4)民主党は、両手を汚して働いている人に敬意を伝えよ
民主党は、配管工、美容師、大工、屋根ふき、タイル職人、工場労働者など、両手を汚して働いている人に敬意を伝えるべきだ。

《感想1》
その昔、「職業に貴賤はない」と言った。これは、民主主義の基本だ。
真面目に働いたものは、報われねばならない。
ただし「怠け者」は、経済的にダメで仕方ない。

《感想2》
真面目に働いて報われない社会は、不正義だ。
誰もが幸福に生きる権利を持つ。
真面目な努力は、報われねばならない。
「努力の量に対する報酬は、公平であるべきだ。」
あらゆる種類の仕事があり、そのいずれもが社会にとって必要なら、基本的に「職業に貴賤はない」。
そして、エリートたちが、努力の量と比較して、余りに多くの報酬を得られるとすれば、それは、公平・公正の原理によって、国家により、修正されなければならない。

(4)-2 民主党は、汗を流す重労働の価値を認めるべきだ
高等教育が広がっていると言っても、大学を卒業していない者も多い。(※大学進学率は2012年、米ロ韓英70%、日独50%、仏40%、中20%。)
汗を流す重労働の価値を認めるべきだ。
彼らは自分の仕事に誇りを持っている。
しかし、民主党の姿勢には、彼らに対する敬意が感じられない。
「もう両手を使う仕事では食べていけない。教育プログラムを受け、学位を取りなさい。パソコンを使って仕事をしなければだめだ。」と民主党は言う。
労働者たちは、そんな言葉にウンザリなのだ。

《感想3》
例えば、3K(きつい・汚い・危険)仕事は、大変なのだから、敬意が払われて当然だ。
それは「職業に貴賤がない」からだ。
日本では、3K(きつい・汚い・危険)仕事としては、建設・土木・介護士・看護師・警察官などが、挙げられる。
もちろん、熟練・未熟練による賃金の差は、当然。
資格を持つ者と、持たない者との賃金の差も当然。
しかし、財テクの巨大な利益、経営幹部のあまりに高い報酬などは、一定の制限が必要だ。
それは、「努力の量に対する報酬は、公平・公正であるべきだ」との原則による。
自由競争の経済的効率性の原則を、余りに阻害しない範囲で、公平・公正の原則による制限が必要だ。

(5)「民主党は、雇用より、(性的少数派者の)便所の話ばかりしている」との不満
民主党は、労働者たちに、「労働者、庶民の党」と伝えてきた。
ところが今は、民主党(反トランプ派)は、性的少数派の人々が男性用・女性用のどっちのトイレを使うべきか、そんな議論ばかりしている。
民主党支持だった労働者には、「民主党は、雇用より、(性的少数派者の)便所の話ばかりしている」との不満があった。

(5)-2 メインは労働者の雇用・賃金という経済問題だ:少数派の権利の問題はサイドディッシュで、民主党は順番を間違えてはいけない
60年代以降の公民権運動に象徴されるように、民主党は、少数派の権利を擁護してきた。
これは、米リベラリズム(民主党など)の功績だ。
「偏見や差別に抑圧された側に立つ。」それが民主党の品質証明だ。
だが順番を間違えてはいけない。
雇用・賃金など労働問題は、万人にとっての最大の関心事。これが中央にあるべきだ。
人口妊娠中絶、性的少数者の権利擁護、「黒人の命も大切だ」運動などリベラル派が重視する争点は、大切だが、選挙では、サイドディッシュだ。
メインは、肉か魚、つまり「労働者の雇用と賃金という経済問題」であるべきだ。
トランプ氏が「今晩のメインは大きなステーキです」と売り込んでいる時に、民主党は「メインはブロッコリー。健康にいい。」と言っていたようなものだ。
勝てるわけがない。
労働者が、民主党から離反し、トランプ支持に移行するのは当然だ。

(5)-3 民主党支持だった労働者の多くは、自らを「リベラル」と認識していない
この地域(ラストベルト諸州)で民主党支持だった労働者の多くは、自らを「リベラル」と認識していない。
リベラル派の争点は、彼らにとって、最重要ではない。
労働者の関心は、「良い仕事があるか、きちんと家族が養えるか、子の誕生日にパイを用意できるか、教育を用意できるか、十分な休暇を取れるか、自分の仕事に誇りを持って引退できるか」(つまり雇用・賃金など労働問題)だ。
これらが、アイデンティティー政治(サイドディッシュ)より、重点的に扱われるべきだ。

《感想4》
日本では、非正規雇用がすでに4割だ。
ここで言われた意味での「雇用・賃金など労働問題」は、日本でも、最重要な問題だ。

《感想5》
「働き方改革」が「残業を減らせ」と言うなら、まず企業が多くの人員を雇うべきだ。
①「残業を減らせ」と言いながら、企業が「人は増やさない」、つまり本音としては「サービス残業せよ」と言うのはおかしい。
②さらに「残業代を出さない」、いわゆる「残業代ゼロ」法案は、労働者を安く使うための算段にすぎない。

(5)-4 超富裕層が、民主党を本来の争点、から遠ざけた
カリフォルニア州、ニューヨーク州は民主党が圧倒的に強い。
今の民主党には、これらの地域で、超富裕層から、他のどの地域よりも献金が集まる。
超富裕層が、民主党を本来の争点、から遠ざけた。

(6)なぜ「労働者のための政策を実施する」と、民主党は、訴えないのか?
「かつての製造業をラストベルトに戻すのは容易でない」などという言葉を、労働者は、候補者の口から聞きたくない。
「労働者の再教育」などという言葉も何度も聞かされたが、「今さらプログラミングなんてできない」。
なぜ「労働者のための政策を実施する」と、民主党は、訴えないのか?
例えば、「インフラ整備に力を入れる」と民主党は言わないのか?古びた橋や道路を補修すれば、多くの雇用になる。
彼らは汗を流して、自分の腕で稼ぎたがっている。

(6)-2 民主党の指導層は傲慢だ:①「片田舎」軽視、②「世論調査」過信、③「現場」よりビッグデータ重視、④エリート主義
オハイオ州マホニング郡の民主党委員長ビッド・ベトラス氏は、投票日の半年前(2016年5月)に、問題点を列挙したメモを、民主党上層部や選対幹部に送った。
彼は、そのメモで「メッセージを変えないと民主党はラストベルトで負ける」と述べた。
民主党は、メッセージを変えず、楽勝のはずのオハイオ州、ミシガン州などラストベルトで敗北し、トランプ氏が大統領となった。
①ビッド・ベトラス氏は、オハイオ州に88ある1つの郡の委員長にすぎない。昨年5月のメモは、おそらく、「はあ?マホニング郡ってどこだ?なんだオハイオの片田舎か。」と、無視されたにちがいない。
②民主党上層部や選対幹部は、世論調査を信用し、オハイオで勝てると思い込んだ。「オハイオはすでに獲得済みだ」と。
③有権者と日々接している「現場」よりも、ビッグデータや、それを活用する大都会ニューヨークの選挙コンサルタントが、信用された。
④民主党の指導層は、傲慢だ。彼らは「自分たちは地方よりも物事を理解している。」と考える。エリート主義。資金と権力を握る指導部が、「地方の君に何が分かる?」という姿勢を示した。

(7)トランプ大統領の支持率は低くないはず!
トランプ大統領の支持率が歴代大統領より低いとの「世論調査」を信じてはいけない。
トランプ支持は「恥ずかしい事」との認識があり、調査の電話に対し、なかなか「支持している」と言わない。

《感想6》
世界が急速にグローバル化し、激しい国際競争で、先進国では、労働者の賃金低下・雇用不安定化が生じた。
1990年代のクリントン政権は、労組の反対を押し切り、NAFTAなど自由貿易路線を推進した。

《感想6-2》
かくて労働問題の軽視は、「ストロングマン」への期待感情の高まりを生じさせた。(Cf. リチャード・ローティ『アメリカ、未完のプロジェクト』)
60年代に獲得された少数者の権利(黒人アメリカ人、褐色アメリカ人、同性愛者の権利)は、「帳消し」になるかもしれない。
白人至上主義へ、労働者層が移行する可能性がある。
「教育を受けていない白人アメリカ人」は、大学の卒業生から指図されることに、憤る。それが、はけ口を捜す。

《感想6-3》
グローバル化による激しい国際競争で、日本の労働者も、賃金低下・雇用不安定化の流れのうちにある。

《感想6-4》
グローバル化とは、自国の政府が、企業がつぶれたら国の経済が崩壊するから「企業を守らねばならない」と、(ア)賃金の下落を食い止めず、(イ)勤め口が海外流出すること(企業の海外進出)を食い止めないことだ。

《感想6-5》
アメリカの問題は、日本に大きな影響を及ぼす。
なぜなら日本の安全保障の問題では、対中、対ロ、対北朝鮮との均衡上、日米同盟が不可欠だからだ。
アメリカについて知っておく必要がある。
もちろん、国際友好、国際協調が、《究極の安全保障》であることに変わりがない。

《参考文献》「オピニオン&フォーラム『米民主党、苦悩の背景』民主党敗北を警告していたラストベルトの党委員長David Betras(デビッド・ベトラス)氏(1959-、オハイオ州マホニング郡の民主党委員長;弁護士として医療過誤・刑事弁護などを手がける)」(『朝日新聞』2017/11/16朝刊)
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