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金子武蔵『ヘーゲルの精神現象学』I 序論(六)「精神現象学の方法」:「悟性の反省」の媒介を通じ、「肯定的理性」によって「全体」が恢復される!その恢復された「全体」が「理念」Idee だ!

2024-04-11 16:05:44 | 日記
※金子武蔵(カネコタケゾウ)『ヘーゲルの精神現象学』ちくま学芸文庫(1996)(Cf. 初刊1973)
I 序論(六)「精神現象学の方法」1「方法一般」
(11)「方法一般」:(A)直観あるいは表象、(B)悟性の分析、(C)否定的理性、(D)肯定的理性!(78-80頁)
※「方法一般」については、『小論理学』(『エンチュクロペディー』に含まれる)が描いている。(78頁)
★(A)「直観あるいは表象」:これは「全体」をつかんでいる。「直観あるいは表象」はヘーゲルにおいて哲学の根本になっている。ヘーゲルは決してそれらを無視していない。このことはヘーゲルの思索の基礎に「キリスト教」の人生観・世界観があることからもわかる。(78-79頁)
★(B)「悟性の分析」:これは「独断論」の立場でもある。(79頁)
★(C)「理性の否定(あるいは否定的理性)」:これは「懐疑論」の立場でもある。(79頁)
★(D)「理性の肯定(あるいは肯定的理性)」:これは(D)-1「神秘主義」と(D)-2「思弁」との2つに分けられる。(79頁)

★「ものを認識する」という場合、まず(A )「全体」が「直観」的あるいは「表象」的につかまえられる。(79頁)
☆しかしそれだけでは「主観的」たることをまぬがれないから、これをさらに(B)「悟性」が分析して「自我一般」の「規定」をもたらさなくてはならない。(79頁)

☆しかし「悟性」の与える規定は独断的一面的であるので、反対に転換する。その転換によって「定立」は「反定立」に移る。そういう否定を行うものが(C)「否定的理性」だ。しかし否定だけでは「懐疑論」に終わる。(79-80頁)

☆かくて「定立」と「反定立」とが「綜合」されなくてはならない。これが(D)「理性の肯定」あるいは「肯定的理性」だ。(80頁)
・しかしこの場合、対立している区別をなくしてしまうのが(D)-1「神秘主義」であり、また「直接知」の立場だ。Ex. 「ロマンティスィズム」はこれに属する。(80頁)
・それに対して、区別あるいは対立を認めながら、両者を統一づけるのが「思弁」の立場だ。(80頁)

★このようなプロセスが繰り返されることによって、すなわち「反省」(「悟性の反省」)の媒介を通じ、しかもこれを生かしつつ最初の「直観あるいは表象」のまぬがれなかった「感覚的な個別性・偶然性」が洗い落とされ、その「全体」が恢復される。そうして恢復された「全体」が「理念」Idee である。(80頁)
☆このようなプロセスを『精神現象学』もたどってゆくことは、もちろんだ。(80頁)

《参考》「悟性の反省」の「媒介」を通ずることによって、「実体」は「主体」となる。じつは「実体」を「主体」に転換させることこそが『精神現象学』の目的だ。(69頁)
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