(1)
1978年、36歳で落ち目の女優マデリーン(メリル・ストリープ)の楽屋に、学生時代からのライヴァルのヘレンが「美容整形外科医アーネストと婚約した」と自慢しに来る。ヘレンは、今は作家だ。ところがその数ヵ月後、アーネストと結婚したのは、なんとマデリーンの方だった。マデリーンはいつもヘレンの恋人を横取りする。ヘレンは怒り、ふてくされる。かくて過食症に陥ったヘレンは、あまりに太り過ぎ7年後、1985年、ついに療養所に入ることとなった。ヘレンは、マデリーンへの復讐と怨みばかり語り続けた。
(2)
それから7年後、1992年、マデリーンとアーネストはビヴァリーヒルズの邸宅で暮らしていたが、マデリーンはすでに50歳、老化に勝てない。他方、アーネストは死体のメークアップ技師に落ちぶれ、酒浸りだ。マデリーンはアーネストを「無能・意気地なし!」とののしる。そんなある日、ヘレンから出版パーティーの招待状が届く。マデリーンは、ヘレンが別人のように若返り美しくなったことに驚ろく。若返ったヘレンはアーネストを誘惑し、さらにマデリーンへの復讐のため、殺害計画をアーネストに吹き込む。
(3)
パーティーに居たエステの社長が、「若返るためなら金に糸目をつけない」と言ったマデリーンに、「よかったらここに連絡するといい」と名刺を渡す。自分の老化に絶望したマデリーンは、名刺を見て電話をかける。それはリスルという美女の邸で、彼女から「肉体を若返らせ、不死にする秘薬」をマデリーンは大金を払って買う。マデリーンは、顔も体もかつての美貌を甦らせた。
(4)
邸宅にもどったマデリーンが、アーネストを罵倒する。アーネストはカッとなって、思わずマデリーンを階段から突き落とす。「マデリーンを殺した」と思ってアーネストは狼狽した。だが「不死の秘薬」を飲んだマデリーンは死なない。彼女は首の骨を折り、体は完全に死んでいるのに、秘薬で生きている。アーネストは驚くが、事情を知って落ち着く。「階段から落ちたマデリーン」はあちこち傷だらけだ。そこでアーネストがマデリーンの体(死体)にメークアップする。メークアップといってもペイントをスプレイするのだ。
(5)
アーネストがマデリーンの体をメークアップしているところへ、ヘレンがやって来る。《アーネストとヘレンの電話》を盗み聞いて、「殺害の企み」を知っていたマデリーンは、猟銃でヘレンの腹を撃ち抜く。ところがなんと、ヘレンは死なない。実はヘレンもリスルの「不死と若返りの秘薬」を飲んでいて、死なないのだ。マデリーンとヘレンは、シャベルを振り回して決闘する。だがいくら怪我をしても、不死身の体は死なない。2人は「戦うのもばからしい」と気づく。ヘレンは「自分が上流だとマデリーンを見下していた」と謝り、マデリーンは「あなたが憎らしいからと、あなたの恋人を奪って悪かったわ」とヘレンに謝る。2人は和解した。
(6)
ところが、シャベルで決闘をしたので二人の体は傷だらけだ。彼女らの体は「死体」だから、死に化粧が必要だ。死体のメークアップ技師であるアーネストに、化粧してもらわないとならない。だが今や、「マデリーンもヘレンも生きた死体だ」と知ってアーネストは、「家を出て二人から去ろう」と決意する。ところがここで彼に出て行かれるたら「特殊な体(死体)の化粧」ができなくなる。2人はアーネストを引き留める。
(7)
しかもアーネストも彼女たちと同様、不死でないと、メークアップをずっとやってもらえない。かくてマデリーンとヘレンは、アーネストにも「不死の秘薬」を飲ませようと、リスルのもとへアーネストを連れていく。だが「永遠に生きてもしょうがない」とアーネストは逃げ出す。彼は高い屋根に宙づりになり、「落ちたら死ぬ」という状況に陥る。彼はポケットから秘薬を取り出し、「飲んで不死になること」を選択するかどうか熟考するが、結局、飲まなかった。アーネストは屋根から落下した。しかし下がプールで彼は、死ななかった。そのままアーネストは逃げ去った。(アーネスト50歳!)
(8)
マデリーンとヘレンは、互いに体(死体)にペイントを塗り合って化粧しながら、生き続けた。アーネスト(50歳)は、2人(マデリーンとヘレン)と別れ、別の女性と結婚した。彼は過去を一切語らなかった。彼とその妻には、2人の息子と4人の娘が生まれた。
(9)
こうして37年後、2029年、「幸福な一生」を終えたアーネストの葬儀が行われた。(アーネスト享年87歳!)アーネストは生前「人生は50歳からだ」と言っていた。この日、教会の席に、マデリーンとヘレンの姿があった。葬儀の途中、2人は早々に教会を抜け出した。ところが、2人は教会の階段を踏みはずし、ごろごろと落ちてしまう。するとすでに長い間生き、傷んでいた体(死体)がバラバラになってしまった。だが2人は死ぬことができないので、首同士が、話し続けた。
《感想1》シュールだ。「永遠の生」はおそらく《苦しみ》なのだ。そうアーネストは思った。「(有限な)人生」への賛歌だ。
《感想2》マデリーンとヘレンは2人、(生きた死体として)永遠に楽しく付き合っていけるだろう。2人はおしゃべり仲間だ。(Cf. それにしても、バラバラになった体をどう修繕するのだろう?)
1978年、36歳で落ち目の女優マデリーン(メリル・ストリープ)の楽屋に、学生時代からのライヴァルのヘレンが「美容整形外科医アーネストと婚約した」と自慢しに来る。ヘレンは、今は作家だ。ところがその数ヵ月後、アーネストと結婚したのは、なんとマデリーンの方だった。マデリーンはいつもヘレンの恋人を横取りする。ヘレンは怒り、ふてくされる。かくて過食症に陥ったヘレンは、あまりに太り過ぎ7年後、1985年、ついに療養所に入ることとなった。ヘレンは、マデリーンへの復讐と怨みばかり語り続けた。
(2)
それから7年後、1992年、マデリーンとアーネストはビヴァリーヒルズの邸宅で暮らしていたが、マデリーンはすでに50歳、老化に勝てない。他方、アーネストは死体のメークアップ技師に落ちぶれ、酒浸りだ。マデリーンはアーネストを「無能・意気地なし!」とののしる。そんなある日、ヘレンから出版パーティーの招待状が届く。マデリーンは、ヘレンが別人のように若返り美しくなったことに驚ろく。若返ったヘレンはアーネストを誘惑し、さらにマデリーンへの復讐のため、殺害計画をアーネストに吹き込む。
(3)
パーティーに居たエステの社長が、「若返るためなら金に糸目をつけない」と言ったマデリーンに、「よかったらここに連絡するといい」と名刺を渡す。自分の老化に絶望したマデリーンは、名刺を見て電話をかける。それはリスルという美女の邸で、彼女から「肉体を若返らせ、不死にする秘薬」をマデリーンは大金を払って買う。マデリーンは、顔も体もかつての美貌を甦らせた。
(4)
邸宅にもどったマデリーンが、アーネストを罵倒する。アーネストはカッとなって、思わずマデリーンを階段から突き落とす。「マデリーンを殺した」と思ってアーネストは狼狽した。だが「不死の秘薬」を飲んだマデリーンは死なない。彼女は首の骨を折り、体は完全に死んでいるのに、秘薬で生きている。アーネストは驚くが、事情を知って落ち着く。「階段から落ちたマデリーン」はあちこち傷だらけだ。そこでアーネストがマデリーンの体(死体)にメークアップする。メークアップといってもペイントをスプレイするのだ。
(5)
アーネストがマデリーンの体をメークアップしているところへ、ヘレンがやって来る。《アーネストとヘレンの電話》を盗み聞いて、「殺害の企み」を知っていたマデリーンは、猟銃でヘレンの腹を撃ち抜く。ところがなんと、ヘレンは死なない。実はヘレンもリスルの「不死と若返りの秘薬」を飲んでいて、死なないのだ。マデリーンとヘレンは、シャベルを振り回して決闘する。だがいくら怪我をしても、不死身の体は死なない。2人は「戦うのもばからしい」と気づく。ヘレンは「自分が上流だとマデリーンを見下していた」と謝り、マデリーンは「あなたが憎らしいからと、あなたの恋人を奪って悪かったわ」とヘレンに謝る。2人は和解した。
(6)
ところが、シャベルで決闘をしたので二人の体は傷だらけだ。彼女らの体は「死体」だから、死に化粧が必要だ。死体のメークアップ技師であるアーネストに、化粧してもらわないとならない。だが今や、「マデリーンもヘレンも生きた死体だ」と知ってアーネストは、「家を出て二人から去ろう」と決意する。ところがここで彼に出て行かれるたら「特殊な体(死体)の化粧」ができなくなる。2人はアーネストを引き留める。
(7)
しかもアーネストも彼女たちと同様、不死でないと、メークアップをずっとやってもらえない。かくてマデリーンとヘレンは、アーネストにも「不死の秘薬」を飲ませようと、リスルのもとへアーネストを連れていく。だが「永遠に生きてもしょうがない」とアーネストは逃げ出す。彼は高い屋根に宙づりになり、「落ちたら死ぬ」という状況に陥る。彼はポケットから秘薬を取り出し、「飲んで不死になること」を選択するかどうか熟考するが、結局、飲まなかった。アーネストは屋根から落下した。しかし下がプールで彼は、死ななかった。そのままアーネストは逃げ去った。(アーネスト50歳!)
(8)
マデリーンとヘレンは、互いに体(死体)にペイントを塗り合って化粧しながら、生き続けた。アーネスト(50歳)は、2人(マデリーンとヘレン)と別れ、別の女性と結婚した。彼は過去を一切語らなかった。彼とその妻には、2人の息子と4人の娘が生まれた。
(9)
こうして37年後、2029年、「幸福な一生」を終えたアーネストの葬儀が行われた。(アーネスト享年87歳!)アーネストは生前「人生は50歳からだ」と言っていた。この日、教会の席に、マデリーンとヘレンの姿があった。葬儀の途中、2人は早々に教会を抜け出した。ところが、2人は教会の階段を踏みはずし、ごろごろと落ちてしまう。するとすでに長い間生き、傷んでいた体(死体)がバラバラになってしまった。だが2人は死ぬことができないので、首同士が、話し続けた。
《感想1》シュールだ。「永遠の生」はおそらく《苦しみ》なのだ。そうアーネストは思った。「(有限な)人生」への賛歌だ。
《感想2》マデリーンとヘレンは2人、(生きた死体として)永遠に楽しく付き合っていけるだろう。2人はおしゃべり仲間だ。(Cf. それにしても、バラバラになった体をどう修繕するのだろう?)
