「蛍」
夏の日なかのヂキタリス、
釣鐘状(ツリガネガタ)に汗つけて
光るこころもいとほしや。
またその陰影(カゲ)にひそみゆく
蛍のむしのしおらしや。
《感想1》ヂキタリスは劇薬を持つ草、毒草。夏の陽射しが死を招く。
《感想1-2》詩人は性的にギラギラした20代の男。釣鐘状(ツリガネガタ)の花芯に汗つけて光る官能が手招きする。その妖しさがいとおしい。
《感想1-3》しおらしく蛍がヂキタリスの釣鐘状の花の奥に秘かに入り込む。性的暗喩。
そなたの首は骨牌(トランプ)の
赤いジャックの帽子かな。
光るともなきその尻は
感冒(カゼ)のここちにほの青し、
しおれはてたる幽霊か。
《感想2》蛍の胴の黒と、首の赤の妖艶な対比。骨牌(トランプ)の南蛮趣味。
《感想2-2》夏の真昼のまぶしい明るさのもとで、蛍の尻の青い光はしおれはてた幽霊。弱弱しく光っているのかいないのか。感冒(カゼ)のここちにほの青い。
ほんに内気な蛍むし、
嗅(カ)げば不思議にむしあつく、
甘い薬液(クスリ)の香も湿る、
昼のつかれのしをらしや。
白い日なかのヂキタリス。
《感想3》詩人は蛍の内気に同情する。
《感想3-2》だが不思議にむしあつい香りは官能の香りだ。蛍は内密な恋人同士の性愛のしるし。
《感想3-3》昼の情事。「むしあつく」、ヂキタリスの毒の「甘い薬液(クスリ)」の香りが湿る。「昼のつかれ」。だが蛍が、しをらしい。
《感想3-4》真夏の「白い日なかのヂキタリス」、その毒草の秘密を蛍が告げる。
《感想3-5》詩人の気持ちが分裂する。一方で、蛍のしおらしさへの共感。他方で、蛍は真夏の情事の官能の象徴だ。
夏の日なかのヂキタリス、
釣鐘状(ツリガネガタ)に汗つけて
光るこころもいとほしや。
またその陰影(カゲ)にひそみゆく
蛍のむしのしおらしや。
《感想1》ヂキタリスは劇薬を持つ草、毒草。夏の陽射しが死を招く。
《感想1-2》詩人は性的にギラギラした20代の男。釣鐘状(ツリガネガタ)の花芯に汗つけて光る官能が手招きする。その妖しさがいとおしい。
《感想1-3》しおらしく蛍がヂキタリスの釣鐘状の花の奥に秘かに入り込む。性的暗喩。
そなたの首は骨牌(トランプ)の
赤いジャックの帽子かな。
光るともなきその尻は
感冒(カゼ)のここちにほの青し、
しおれはてたる幽霊か。
《感想2》蛍の胴の黒と、首の赤の妖艶な対比。骨牌(トランプ)の南蛮趣味。
《感想2-2》夏の真昼のまぶしい明るさのもとで、蛍の尻の青い光はしおれはてた幽霊。弱弱しく光っているのかいないのか。感冒(カゼ)のここちにほの青い。
ほんに内気な蛍むし、
嗅(カ)げば不思議にむしあつく、
甘い薬液(クスリ)の香も湿る、
昼のつかれのしをらしや。
白い日なかのヂキタリス。
《感想3》詩人は蛍の内気に同情する。
《感想3-2》だが不思議にむしあつい香りは官能の香りだ。蛍は内密な恋人同士の性愛のしるし。
《感想3-3》昼の情事。「むしあつく」、ヂキタリスの毒の「甘い薬液(クスリ)」の香りが湿る。「昼のつかれ」。だが蛍が、しをらしい。
《感想3-4》真夏の「白い日なかのヂキタリス」、その毒草の秘密を蛍が告げる。
《感想3-5》詩人の気持ちが分裂する。一方で、蛍のしおらしさへの共感。他方で、蛍は真夏の情事の官能の象徴だ。