King Diary

秩父で今日も季節を感じながら珈琲豆を焼いている

恣意的仕掛け

2017年11月05日 11時20分25秒 | 珈琲
先日見てきたブレードランナー2049はあまりその後の
反響が聞こえてこない静かな反応です。

ネットを覗いてみるとやたらと多いファンだからわかる
仕掛けとかこのシーンは幻の前作のオマージュだとか
そんな解説記事ばかりが目立ちます。

それをネタバレと称してブログなどで書いている人たちは
何が楽しいのだろうかと考えてしまいます。

つまりは自己満足で、何の広がりも作品理解にもつながらない
ことばかりか、どんな哲学的思想と宗教観念を含むのかとか
自身の映像体験を深めてくれるような情報はないのです。

みんなあらかじめばらまかれた制作側の用意したテキストを
ばらまいたようなものをさもありがたく前作の何々とか
幻のシーンなどという誰も見たこともないシーンの再現など
といわれても見てないシーンの再現なんか何の意味があるのかと
思うばかりです。

そんなものを書く連中は本当に映画館に足を運んでこの映画を
見たのかと思ってしまいます。

ブレードランナーなんて言うゲームの名のような映画はできそこない
のSF映画でアメコミの映画化でつまらないだろうと最初は見ようと
さえ思わなかったもので、友人にスターウォーズのハリソンフォード
が主演だから見た方がいいという押しでそんならと足を運んだ新宿の
ミラノで見た映像は巨大ビジョンに強力わかもとのCMが浮かぶという
衝撃の未来図でした。

ハリソンフォードのデッカードがレプリカントとの格闘のあと自室で
飲む酒に血が流れるシーンとかドアの前に置かれた仲間の刑事の置いた
折り紙とか最後の闘争の後に飛び立つ鳩の映像とか印象に残るシーンは
あとでとやかく実はこれは何々の象徴でと蘊蓄を語られたくないもの
でもあるのです。

そんな理屈で語られたくないものというのは朝のひと時に飲む珈琲でも
これは何々の何々の味というようなたとえ話にしてほしくないまたは
たとえで表現するようなものでなく唯一無二の時間と空間の話のように
思えるのです。

それはホテルやファミレスのドリンクバーで飲むコーヒーのように
付けられた強い一つの香りと焦げたような苦みとざらっとしたぞうきんの
搾り汁のような味のものとは全然違うのです。

毎日変わる日の射し方と雲の形と吹く風に呼応し、観念と想念にそった
イメージを刺激する香りの広がりがほしいと思いませんか。

珈琲という一杯の椀に広がる宇宙が自分の中の宇宙と呼応するそんな
朝の特別の時間にまがい物の付けられたような強い香りと味とはいえない
ようなものを味わうのではあまりにわびしいのです。

軽井沢という地においしい珈琲があるという伝説がよく語られ、秩父でも
思い立ったら夜中でも軽井沢にわざわざ珈琲を飲みに行くという人の話を
よく聞かされました。

後年それを確かめるべく軽井沢のコーヒー屋さんに行ってみましたが、
なるほどと思えるような味には出会えませんでした。

まあ、こういう体験の積み重ねが自身で珈琲を焙煎するという挙に出る
ことになります。

今月の『木枯し』は香りの点においても今までのブレンドと違い、
より深くより広がるイメージに力を貸す働きを持ちます。

珈琲に足る朝の重要な役どころ。更に。

午後の仕事の休み時間や友人を迎えた冬の始まりのひと時に。

寝るには早い夕食の後の一杯に。

この珈琲でよかったと思える味を常に考えて今月も作りました。

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