King Diary

秩父で今日も季節を感じながら珈琲豆を焼いている

曜変天目茶碗におもう

2013年04月02日 12時59分05秒 | 日々のこと
この曜変天目茶碗という中国の最高傑作とされる
陶器は現存しているものは世界で三つしかなく、
しかも全てが日本にあるのです。

そうして、最高傑作でありながらその技巧が再現される
こともなく、茶器の窯元は廃れ、それを再現しようと日本や
中国で研究していますが、それにかなうものは未だ作られて
いません。

しかし、日本には利休の楽茶碗があります。

こちらは未だに技を受け継ぐものと茶道そのものが続いて
います。

どちらも至高でありながら、その姿かたちや行き着いた境地が
まるで違うところが面白いところです。

同様に仏像もインドから伝わった仏陀像から実にいろいろな仏像が
日本では残っており、それはインドのペルシャ文明の影響を受けたものと
またまるで違った姿になっています。

しかし、それは本家のオリジナリティを失ってしまったということより
むしろ独自の発展を遂げたものであり、そこにまた新たな美なり、
世界観が展開されていることで評価されます。

近代では日本が得意とした家電や技術大国といった分野で韓国や
中国にとって代わられることが多くなったわけですが、そういった国に
並びえない独自の道が日本にどれだけ残されているかこれがこれから
日本が発展と国際的な地位を保つ鍵となるでしょう。

そんな時に、日本人の詫び寂びにも一言ものもうす人が現れました。


『中国と茶碗と日本と』です。
何ともつまらないというか冴えないタイトルですが、戦国の世から現在に至るこの茶碗に
賭けた諸々を考えると実に面白いのです。

美術品に限らず、権力の象徴とかステイタスとか日本の覇権を争っていた武士が
茶器を愛していたというのも面白いですし、その当時最高とされたものが今では
作れないというところも魅力に拍車をかけます。

私もこの茶碗を見に行こうと考えていたところこの本を紹介する夕刊のコラムを
みて、何百年も人々の心をひきつける焼き物にさらに興味を覚えました。
コメント
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