小林真 ブログ―カロンタンのいない部屋から since 2006

2006年開設の雑記ブログを2022年1月に市議当選でタイトル更新しました。カロンタンは40歳の時に飼い始めたねこです

音楽と体調不良で春近し

2006-01-30 16:06:27 | 週間日記
先週日記です。

23日(月)余裕あり自宅映画『幸せになるためのイタリア語講座』
24日(火)夕、ラーメン籠原・山岡屋。塾にいると、鼻水の止まらぬ高3F君とともにこっちは気持ち悪くなり、こりゃ風邪ひいた。CCレモン1.5Lを飲みつつの早寝で撃退
25日(水)塾にOB・M君、Y君登場。もうすぐ卒業する京都の大学生I君のところに旅立つという。羨望閑若、Bon voyage. 頼まれた曲の途中を切る作業を終え、CD、デヴィッド・ボウイ・ベスト聴了
26日(木)前夜風呂に入らず、お昼過ぎにシャワーでU2のシカゴライブ観
27日(金)CD、これもアナログ所有で友人結婚関係で購入の Roxy Music "Avalon" 聴。初期ロキシーもいいが、やはりこれは名盤。が、新品なのにパソコン、上のドライブでかからず。なぜだ
28日(土)昼はよく働くも競馬は当らず。夜は同級生M君に誘われ、他2家族とともにチーズの会。葡萄酒鯨飲(C. by 町田康)で、「今日はずいぶん酔ってるね。泊まってたら」と勧められるもよせばいいのに大丈夫と自転車帰宅。途中、バランスを失い転倒で負傷し、幸福愚者完成
29日(日)3月の陽気の中、昼、撮影。前夜、自分が持って行った南アフリカ産ワインのせいか、一生でもワースト10に入る宿酔で苦しい仕事。南ア産美味だったのだが。そんな中、関係者まずMさんから「U2の記事見ましたよ」、同じくFさんからは「おしえてもらって見ましたよ。ねこいっぱい飼ってるんですね」。嬉々 with deep stomachache。さらには、苦しい時こそ弁が立ち、関係者英国人Hさんに小春日和や俳句の季語について解説。Koharubiyori is indian summer, it means small spring weather. Do you know kigo, season words for haiku?...。一日水だけで生き、帰宅後入浴すると可飲麦酒、可食豆腐

サッカーはマンU:リバプール、ベティス・バレンシア。
サッカーはつまらないゲームも多いですが、きちんと準備された音楽は興味があるものならまあ退屈はしません。9月にとったままのフジロックもみて、何だか音楽づいた一週間でした。体調不良の日が2日。健康管理にも気をつけねば。
この2日の何とあったかなことか。春近し。

(写真は昼に起きて目の前にいたティーの幅広背中。寒いと思って油断していたが、やはりまた生まれそう)
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"I believe in U2"~4月来日を前に05年シカゴライブ予習

2006-01-27 17:46:27 | 音楽
先週だったか、塾OBの若いやつと飲酒討論中、最近のまわりの出来事やY君が最近読んだという遠藤周作『沈黙』、仕事などの話からテーマは“信じる”ということに。J-WAVEをつけていたところ、メアリー・J・ブライジ+U2 "One" がかかったところでふと、「あ、そういえばおれは、U2は信じてるよ。いかがわしいところ含めて」と発言。そうこうするうちに4月来日というニュースがあってチケットぴあの抽選予約も申し込み、昨日はサッカー観戦を休んでこの間 WOWOW でやっていた昨年のシカゴライブを観。やはり泣けました。

『WAR“闘”』をきいた学生の頃、U2は「魂」とか「気合い」とかの象徴だった。それはただ暇つぶしのボウリングであと一本を倒すための気合いのこもった一投を「U2ボウル」と呼んだりという他愛もなく陳腐な魂だったが、そういったものからほど遠い当時の暮らしぶりからしてボノの歌う "Sunday bloody Sunday" をきくことは、政治的背景などまったくわからないままに、きいている間は彼らの熱い怒りや焦燥がダイレクトに感じる、そんな時間だった。

そして "With or without you" などの大成功があり、当時、「悪魔に魂を売り渡した」などと酷評されたシンセポップ三部作。動員数が多くなるともにエラそうな言動が目立つようになり、学生でなくなった私もまったく興味を失っていた。この頃、小錦関に電話したりしたという東京ドーム公演もあったが、そういうわけでみていない。

そんな私にU2熱が甦ったのは、NHK-BSであった97年発売"Pop"のツアーをあまり期待もせずにみてからだ。彼らのことをうまいバンドといういう人はあまりいないだろうが、メンバー4人だけでつくりあげる音は『WAR“闘”』の頃と変わってはいない。よくぞその名前をという感じのエッジの分度器で計れば15度くらいの鋭角的なギターに、ボノの魂のボーカルが乗っかると実直な魂が冷たい空の上をかけめぐる。変わってしまったのは、ビッグネームになった彼らをみるこっちの見方だけだったのだ。塾の若いやつらにきかせても、『WAR“闘”』当時の曲はビートルズやレッド・ツェッペリンへの反応に劣らない。

そして98年、"Boy" のジャケットのヘルメット少年写真を使った初のベスト盤。音自体は変わっていなくても金儲け体質ゆえにベストは出さないのだろうと思っていた彼らのヒット曲集は、私にベスト盤を最初にきく時の正しい方法をおしえてくれた。すなわち、曲目は見ずにライブをきくように反応する。これぞ、最新アルバムをもじっていうなら、ハウ・トゥ・ディスパッケージ・ベスト盤。
何で "One" がねえんだと文句をいっていたら、当たり前でそれは範囲外。円熟を感じさせた "All That You Can't Leave Behind" の後、02年に発表された牛のジャケットのベストにきちんと入っていてよかった。
そうこうするうちに、『WAR“闘”』のスティーヴ・リリーホワイトを迎えての "How to Dismantle an Atomic Bomb" 。オープニングの "Vertigo" はこの年もっともよくきいたシングルとなり、特に塾で徹夜試験勉強に突入した翌朝、帰りに10回くらい連続できいたこともあった。

ということで、音楽的にはこっちの勝手な信頼を回復したU2だが、問題のポリティカルな部分はどうだろう。同時多発テロ翌年のグラミー賞だったか、ステージに亡くなった消防士、警官の名を映してみたりという行為は、今の若者にもうさんくさいと敬遠されがちだ。ミュージシャンたるもの、ショーンが生まれてからのジョン・レノンのように、身近なところにこそ物語を見つけ出すのが本来の姿ともいえる。
しかし、「いつまでこの歌を歌わなければならないのか」と歌う "Sunday bloody Sunday" のU2だ。ダブリンからロンドンに出てきたばかりで先のことなどまったくわからなかった時にあの歌を歌ったボノが、思いもよらぬ巨大なステージに立った時、「Africa! Journey to equality! And go on!」と叫ぶことは、エッジのギターが初期とまったく変わらないのと同じように一貫性がある。
メディアの発達した今、ポップスターは30年前とはまったく異なる、誰も思ってもなかった場所に来てしまった。ほとんどありえないだろうが、そのうち "With or without you" あたりが教科書に載ってもおかしくないほどクラシックになったU2は、シカゴライブで「My first impression to America is the man walking on the moon」と発言した69年アポロのアームストロング飛行士のように前人未到の場所にいる。ならばこれらの所業は、もっと後になってからしか評価できないのではないか。何が正しいのかわかりにくい世の中、彼らのような存在が正論を叫ぶことは悪くないのでないかと思う。
そしてその後にかぶさる "One" のイントロの何と美しいことか。U2の何がもっとも信じられるかといえばその音楽だ。今後、彼らのすべてが否定されたとしても、 "Sunday bloody Sunday" や "One" が素晴らしいことに変わりはなく、何十年経ってきいても、今とは違ったかたちではあるとしても、ああ、生きていてよかったと思うことに変わりないだろう。

4月の横浜国際が待ち遠しい。

(写真は The Best of 1980-1990 。また、さすが商売上手の彼らというかその周辺のせいか、WOWOW でのオンエアはDVDのダイジェストで "Sunday bloody Sunday" など重要曲が除かれていたことも付け加えておきます。なお、リスニングは不正確)
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『キングコング』~ビューティフォー、ビューティフォー

2006-01-26 02:23:20 | 映画
劇場作優先という新ルールにより、正月にみたこの映画のレビューを。
めったにみないエンターテインメント作品ですが、4回分たまったポイントカードが半年間の期限切れが近づいたので、『SAYURI』でもみようかと思うといっていたら、特撮ファンの同級生M君がそれなら『キングコング』がいいのではということになり、M君車で出かけました。

【introduction】
私などが説明する必要はないでしょう。3度目の映画化ですが、私は前2作は未見です。M君と、行ってから「なにー、3時間もあんのかよ」と驚きました。

【review】
という3時間の上映時間でしたが、終わって出る時近くにいた20代前半女性2人連れも、「すっごい迫力~。全然長く感じなかったね」とのこと。長さに怖気づかなければ、古典的な美女と野獣物語をスリル満点のシーンが彩る、誰もが満足のいく映画なのかも知れません。
大変よくできた映画という印象。導入部、島に行くまでもいいし、現実的とはいえなくても映画らしさの極致といえそうなライティングなども十分楽しみました。
私にはちょっとしつこい恐竜シーン。何でああいうのがいるんだというと、前2作ともみているM君が「オリジナルにも出てくるんだ」。以前『ターザン砂漠へ行く』に巨大クモが出てくるのをみて、「誰も行ったことないと思ってずいぶん大胆だな」と思いましたが、当時の映画的常識はそういうものかも知れません。
ただ、『ジュラシック・パーク』以来、変温動物の恐竜も、実は速く動けたということになったようですが、私にはどうにもうそ臭く思えてだめです。CGに関しては、ほとんどみないので語る資格はありません。
ジャック・ブラックもエイドリアン・ブロディもそれなりにいいですが、やはりここはナオミ・ワッツ。実に楽しそうに演じています。思うに、恐怖に慄き、からだいっぱいで愛を表現し、怪物にこの世の誰よりも愛されるというこの役は、美人女優なら一度は演じてみたい役なのではないでしょうか。とはいえ、タイトルロールまでナオミ・ワッツとはわからなかったのですが。
しかし情報をみるとこの映画、だいたい今週いっぱいで終わるよう。帰りに寄った飲み屋でM君と傑作だったと話し合いましたが、残念ですが若い人に敬遠されるのもしかたないような気もします。
ひとまず、翌日だったか夕方部屋にいたので、窓から夕陽を見ながら、近くにいたたれ目の顔を外に向け、ビューティフォー、ビューティフォーといってみました。そうした人も多いのではないでしょうか。M君とあっちよりよかったという『タイタニック』をみて、船の舳先で手を広げた人にはかないそうもありませんが。

1月4日観 伊勢崎MOVIXにて

(BGMは来月結婚する高校の友人の関係で購入したデヴィッド・ボウイのベスト。やっぱりよくできた曲が多い。キングコングが出てきたところで "Scary Monsters" という名曲も。確かギターはロバート・フィリップ。何で "It's No Game" を入れねえんだ、と思いますが、それはしかたないところ。「シルエットや影が革命を見ている……新聞は書きたてるぞ~」。昔よくまねしました)
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ジミー・ナシューの意外、

2006-01-24 15:52:19 | 週間日記
先週日記です。

16日(月)今年初の自宅映画トリュフォー『夜霧の恋人たち』。よくやっていたことからしばらく離れた時はいつもどこか“渇き”に似た感覚を感じ、映画なら映画の文法がいつもよりぐさぐさと入ってくるのはおもしろい現象。映画ももちろんおもしろかった。夕、同級生M君と焼き鳥串屋で大飲み
17日(火)打ち合わせで市ヶ谷。時間があったので気になっていた高田馬場のカレー屋夢民でポパイカレー。その後、渋谷シネアミューズでトニー・ガトリフ『愛より強い旅』。いやー、極端な人だ。帰りにやはりラーメン、金伝丸
18日(水)昼、撮影。ブログを読んでくれている関係者Kさんから「最近更新が滞ってますね」と指摘。むう。その後、恒例籠原・福龍で味噌ラーメン大盛。夜、塾にOB・Y君がパソコンを持って登場。再インストールうまくいかず
19日(木)新たな仕事の取材で府中へ。眠かったので上野回りで帰ろうとしたところ、資料探しで本屋に行く必要があったので何となくお茶の水へ。トイレに寄った母校明治大。文学部の授業があった校舎が壊され、博物館ができていたので、話題になっていたギロチンやら拷問台やらの常設刑法展示をみる。何なんだとは思うが、博物館とはめずらしいものをみる場所と実感。その後、神保町に下り、三省堂やグランデで本を探し、今週誕生日だった弟の娘の絵本選びで1時間ばかり時間を忘れて見入る。ルールとして70年以前の作品を設定してきたが、迷った末、購入はもっと新しい長新太。古本や中古レコードは疲れていたのでいいやと思っていたが、休んで朝青龍敗戦を見ながらビールと神田餃子屋で回復し、古本屋コースを買わずに一周で心を洗う。つい disk Union に寄ると、buying spirit に火がつき、1000円中古CD8枚買って satisfied 。勢いで、とんかついもやも食うという、何か充実した一日
20日(金)夕、山田うどんの天ぷらうどん。今週では普通に塾だけ
21日(土)前回書き込みの通り
22日(日)久々の日曜自由。競馬は当らずも、PO馬エイシンテンリュー新馬勝ち。夕、またしても煮ぼうと製作。エバートン:アーセナル戦でショック

サッカーはアーセナル大勝のミドルスブラ戦、久しぶりにクライフェルトが出たバレンシア:オサスナ、へんてこな試合ベティス:アトレティコで計4ゲーム。
正月も過ぎ、ひょっとしたら一年でもっとも印象の薄いかも知れない、地味ーな週は意外に盛り上り。こういうのもだじゃれいうのか、へんなタイトル失礼しました。

(写真は朝の窓辺のねこども。まぶしい光の中、並んでいます。BGMは先週購入の1枚、ベルベット・アンダーグランドのバナナ。アナログで持っていて、劣化も少ない盤のCDを買うかどうかはいつも迷っていましたが、800円なら一生何度もきくうちに損はないと購入。CDやMP3でも、 Famme fatale や I'll be your mirror はききたい。ここでのニコは奇跡的だし、全体としてこのバンド特有の“ずらしの美学”が存分に味わえる名盤)
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新宿ニューイヤージャズフェスティバル1日目~雪の中、前衛の熱き祭典

2006-01-23 00:31:43 | 音楽
首都圏に雪が降った土曜は、OB・Y君と新宿ピットイン主催、ニューイヤージャズフェスティバルに行ってきました。そのレポートを。

12:30 ファミリーマートで前夜番号間違えて出なかった紙発券に成功
13:00 出発。雪のため湘南新宿ライナー運休で一本遅れ。空いた車内、ビールとともに1時間半
14:30 新宿到着。桂花、太肉麺で腹ごしらえの後、三平ストアでウィスキーを買って厚生年金会館へ
13:15 到着。しまった、すでにメインの1組で毎年1度はみている
●渋さ知らズ が演奏中。1組目、持ち時間少ないというハンデの中それなり。『本多工務店のテーマ』ほかお決まりの曲をやらなかったのは“ヨーロッパバージョン”なのか。2月のNHK・FMライブビートにも行こうと企んでいるのでその時に確認
●三好“3吉”功郎 スペシャル・ユニット。疲れで少し寝てしまったが、村上“PONTA”秀一(Ds)と仙波清彦(Per)の叩き合いが圧巻
●梅津和時 KIKI BAND。若い頃にみたRCサクセションといっしょの生活向上委員会以来。非常にロックっぽく、シャープでダイナミックな大人の演奏
いったん出て雪の中少し歩いたMという店でビール2杯ずつとつまみ1品ずつ。これで3800円は高く、後にY君と当日唯一の失敗と認定
●Pain Killer。戻ったらすでに始まっていて2曲か3曲しかきけず、もっとききたっかたがしかたなし。いや、ハード、ハード。ジョン・ゾーンもビル・ラズウェルも恐ろしくかっこいい
●大友良英 ニュー・ジャズ・オーケストラ。メインの1組。初めからいきなりの『ユリイカ』で、早くも彼らの世界にのめり込む。圧巻はやはり『真夜中の静かな……』か。途中、外国人らしき観客からの掛け声にコンダクトの大友が一瞬にらんだ後、それから掛け声に合わせてオーケストラを操っていった流れは至福の音楽時間。昨年のライブビート以来だったが、あれだけの人数が不似合いに静かな音を奏で、その緊張感が会場全体に広がっていく。それがこの上なく気持ちよく、本当にまたすぐに身を浸したくなる素晴らしいパフォーマンス。仕事が終わるとさっさとたかたか帰っていくカヒミ・カリイのキュートさ、大友の実直なMCはいつも通りの味わい。Y君とこれだけでチケット6000円中、4000円以上の価値と確認
●室内楽団 八向山。山下洋輔を生でみるのは初めて。これ以上足せも引けもしないといった感じの前衛ジャズは、老舗の風格とほとばしる若さが共存

というわけで、この日は前衛的なラインナップだったよう。次から次へとききどころだらけのミュージシャンが出てくるのは、まさにフェスティバル。音楽をきく喜びを満喫しました。
帰りは西口しょんべん横丁の焼き鳥屋に。最終で駅に帰ると、北埼玉の雪はもう乾いて空っ風。いやあ、いい土曜日でした。
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『ある子供』~懐かしいような、それでいて味わったことがないような人の手の温もり

2006-01-20 15:00:00 | 映画
今日は映画レビュー。昨年最後にみた劇場映画で、新作はすぐ書こうと宣言しながら、結局1月後になってしまいました。

【introduction】
『ロゼッタ』に続き2度目のカンヌ映画祭パルムドールを受賞したダルデンヌ兄弟監督最新作。ワル、ではなく、とことんダメな若者が、恋人に産ませた子どもを売ってしまったり、小学生と組んでひったくりをしたりといった突飛な内容ですが、それが実に不思議な心動かされ方をします。

【review】
ビデオ観賞の『ロゼッタ』に続くダルデンヌ兄弟体験。これもまた驚かされた。
スタイルは一貫している。よく話題になる、音楽がないとか手持ちカメラでアップが多いとかはいいにしても、やはりその極端なキャラクター造型に唸らせられてしまう。ロゼッタをみていて「何でそんなに仕事がほしいんだ」とあっけに取られたように、本作の主人公ブリュノにはその超越的なダメぶりに圧倒させられるのだ。
映画好きとたまに話題にする、映画史上最悪のキャラクターは誰かというテーマがある。私としては、人でなし王として最近の偽装建築騒ぎで再注目の『タワーリング・インフェルノ』リチャード・チェンバレンのバカ婿、ろくでなし王として俳優名は知らないパゾリーニ『アッカトゥーネ(乞食)』のごくつぶし亭主などをあげることが多い。だが、ブリュノはまた新たなタイプだ。
例えば終盤、小学生とバイクで企んだ引ったくり。映画の犯罪シーンというのは大体がスリリングな昂揚感に満ちたものになるが、そういう感覚からははるかに遠いところが恐れ入る。それまでのあまりのダメぶりに、おいおい、やめろよ、どうせうまくいかないよと、感情移入とはいえない奇妙な気分で画面を見つめるしかなく、川に入る場面に至っては、おめえ何やってんだよと、開いた口がふさがらない。
ドキュメントのようにリアルにみえて、ダルデンヌ映画はリアリティ云々という以上に極端だ。つまりそれは、周到に、この上なく意図的につくり込まれた劇映画なのだと思う。
象徴的なのは、HPによれば「犬のようにじゃれ合う」二人のシーン。延々と、ベルギーの若者事情に不案内なこっちにしても、いくら何でもそんなことはないだろうと思うような“楽しそうな”じゃれ合い。いったいどんな演技指導がなされたのだろうか。そしてそれが『ロゼッタ』の長靴と同様の、人間のプリミティブな所業である乳母車のリフレインに隣接することで、唯一無比の映画時間を創出している。ロベール・ブレッソンとの類似も指摘されるが、この奇妙な連なりはブレッソンにはなかった効果だ。
観客がそんな不思議な映画時間に翻弄させられた後で訪れる、あのラストシーン。こんな場所にもM&Mの広告があるのかなどと感じさせられるのも、この映画世界に入り込まされているからだろう。食い入るようにスクリーンをみつめる肩のあたりに、懐かしいような、それでいて味わったことがないような人の手の温もりを感じたことは、本作がめったにない良質の映画表現であることを示している。
未見の『息子のまなざし』も、DVD保存してあるので近いうちに。

05年12月15日 恵比寿ガーデンシネマにて観
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うまれてはじめてさむいものども

2006-01-18 03:33:06 | 週間日記
先週日記です。

11日(水)原稿「日本史」完了。夕、西島・萬来飯店でタンメン。塾にY君、I君、途中からM君も来て少し飲む
12日(木)夕、資料探しに図書館~原郷・昇竜でタンメン
13日(金)夕、はなまるうどん。塾では同級生Hさんから再インストールを頼まれ、モニタが認識されず困っていたパソコンのドライバインストールに成功。Hさんの息子M君とがっちり握手
14日(土)昼、撮影。夜、福龍で味噌ラーメン大盛。帰ってそのまま原稿
15日(日)風呂にも入らず一日原稿で「憲法」完了。夕、煮ぼうと製作

サッカーはスペインに好カード多く、バルセロナ・ダービー、ビジャレアル:レアル、アトレティコ:バレンシア。特に後の2つは、期待していたがスコアレスドローとは。
早くも仕事に追われだしました。ありがたいことではありますが。
ねこどもは相変わらず。生き残った夏こねこも、ずいぶん大きくなってきました。
そういえば、たれ目ほか春こねこも夏こねこも初めての冬。人間のわれわれは満1歳未満で記憶に残りようもありませんが、うまれてはじめてさむいというのはどういう感じでしょう。もっとも祖母によれば、「ねこは土用の3日しか寒くない日はない」ほどの寒がりだそうですが。

(BGMは久しぶりにきいた Solo Monk。本作での彼のピアノは、ほかよりちょっとはきはきした感じがします。写真は朝、ふとん上のやつら。わかりにくいですが中心部、まだお乳が出るオディールが得意の立ったまま授乳中です)
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ヨハン・セバスティアンと肉入りスープと……

2006-01-16 01:37:57 | 身のまわり
今日、日曜は原稿一かたまり完了。年内最初の完全フリー・フロム・ワークな夕方に煮ぼうとをつくっていると従弟が来て帰り、酔っ払ってJ-WAVEをきいていると『Voice』、アルベルト・シュバイツァー博士の誕生日。はるか30年以上前に読んだ、彼の伝記を思い出しました。

小学校2年の時だったか、父親が買って来てくれた何冊かの偉人伝の一冊。赤のハードカバーに金文字のクラシックな装丁が記憶に残っています。
そのエピソードで覚えているのが、彼の博愛主義につながったという肉入りスープの話。リッチなアルベルト少年が貧しいガキ大将とけんかをし、アルベルトが勝つとガキ大将は「ぼくだってお前みたいに肉入りのスープさえ飲んでれば負けないんだ」と負け惜しみを吐いて去りますが、それをきいたシュバイツァーは家に帰っても肉入りのスープを食べなかったといいます。
小学校2年の私は、シュバイツァー少年のフェアネスの精神とともに、彼の食べていた肉入りスープとはどんなものかが気にかかり、それは今もって謎のままです。そういえば実は私はこれまで、何かの「尊敬する人」の欄に「シュバイツァー博士」と書いたことが何度かありました。

『Voice』によれば、そんなシュバイツァーの残した言葉の一つが、
“人生の艱難辛苦(かんなんしんく)から逃れる道は二つある。音楽と猫だ”

「密林の聖者」と呼ばれたアルベルト・シュバイツァーが、バッハ研究家、オルガン奏者でもあったことは私もその後知りましたが、ねこ好きだったとは知りませんでした。酔っ払った頭の中、少しだけ彼の博愛主義がわかったような気がした晩です。

そしてこういった言葉に出会うと、長く生きるとはいいものだな、少なくとも歳を重ねることは少しもこわいことでなくいくらでも素晴らしい瞬間が待ちうけているのだな、それは若い時には決して味わうことのできない喜びなのだな、という思いを新たにします。もし20年前にシュバイツァーとバッハとねこの話をきいても、きっとこんなに響いていなかったでしょう。そして、かけがえのない言葉を心に置いておくことの大切さ。

などと思いつつ、J-WAVEのHPをみるとほかに、

“30歳までは学問と芸術をしっかり身につけよう。それからは、人に奉仕できるような意義のある仕事に自分の一生を捧げよう...”

“運命は予測できない。でも一つだけわかっている事がある。本当に幸せになれる人とは、自ら進んで世の中の役に立つ全てを求め、それを見いだした人である”

との言葉。40を越えた自分のこれまでに思い至り深くうなだれることも、歳月を重ねることの味わいなのかも知れません。

現在パソコンが奏でているのは昼間の仕事からCDドライブに入っていたキンクスの『ウォータールー・サンセット』。ヨハン・セバスティアン・バッハに特に思い入れはなく、肉入りスープがどんなものかはわからないけれど、「友達がいなくてもウォータールー・サンセットがあれば最高」と歌うレイ・デイヴィスやロンドンに行った時に最初に行ったウォータールー橋の夕焼け、そして何度となく食べてきた煮ぼうと、それと今ひざの上で丸くなっているカミーラほかねこどもは、確かに信じることができて大好きで、もう30年経っても決して忘れることはないでしょう。
『ウォータールー・サンセット』と煮ぼうととカミーラと……

(写真のために検索したウィキペディアでは誕生日は1月14日。どっちでもいいですが、どっちでしょう)
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見慣れたあくびのよろこび

2006-01-12 13:58:24 | 週間日記
早くも多忙に入り更新ままならず。間はさまずの先週日記です。

2日(月)昼は原稿。夜は忘年会に続き塾OB・OG中心の新年会で、ここも総勢14名の盛況。2次会カラオケ対策に会場を養老の滝に変えるも、1次会だけで4時間近くに及びヒート。久々の面々も元気そうで何より。筋肉自慢M君:O君の裸腕相撲に女子参加者「キャー、テレビみたい」と歓声。料亭やら美容室やらで働くOGらに未知の世界を知らされる。野郎どもは2次会、塾にて将棋大会+1局麻雀。将棋は本命O君優勝。塾長は準決勝で伏兵R君に90%勝ちから、金をけちって歩をはる手痛いミスで逆転負け。これまた幸福でにぎやかな新年の一夜
3日(火)帰ってよく寝る。翌朝起きて一年でも最も楽しみな一戦、アーセナル:マンU。いまいち
4日(水)3回分たまったポイントカードを期限切れからセイヴの目的もあり、同級生M君と伊勢崎MOVIXで『キングコング』。意外なほどおもしろい。帰りは地元で少し飲む
5日(木)昼、原稿書きながら競馬で40万円の夢1分。京都金杯、生中継では当ったかに見え、確かめると40万円。ひえー、こうなったら念願のロンドン、ハイバリーに行っちゃうかいなどとどきどきするも、VTRでは2着かと思ったエイシンドーバーは届いていないかな。まあそんなもんだよなと少し醒め、写真判定でハナハナの4着入線でしかも斜行で12着降着。しかし1分は40万円を信じ、大金が当る気分だけ実感の初夢。本年最初のラーメンを籠原・福龍で醤油大盛で夜、塾で高3F君購入のSHARP・MP3を預かり、40万円の夢に笑う
6日(金)昼、F君SHARP機なぜか認識されず。充電して帰ってやったらうまくいく
7日(土)昼、撮影。帰って馬券買うと6千円初的中。SHARP機F君に渡し、彼の音楽生活広がる
8日(日)昼、撮影。夕、久々に近辺でもっとも愛する深谷・餃子一番で、ラーメン+半チャーハンセット500+餃子150。帰ってもずっと原稿

サッカーはアーセナル:マンUのほか、旧年中にとっておいたレアル:ラシンだけだったか。アーセナルもレアルも現在最悪の状態で、2月のCLはどうか。新年会では若いサッカーファンと、03~04年あたりにみたかったマッチアップと嘆く。

正月気分もすっかり抜けてただの1月に。新年会やら40万円の夢やらもいいけれど、そういうことはいつまでもやってられません。
ひざの上でカミーラがあくび。息が魚くさくても、めずらしくない光景でも、こういうものこそと思います。
味わうべきは、見慣れたあくびのよろこび。

(写真は近くから、すでにでかい暫定名ちびっこ、サイズ変わらずの暫定名はちのじ、第1世代ティー。風のない冬の庭はねこどもの天下です。BGMもやはり晴れた冬の昼が似合うアイルランド・トラッドのアルタン "Island Angel"。歌姫モレートの歌声が、当たり前のすばらしさを放ちます)
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いつか翌朝のにゃんをきくために

2006-01-05 02:12:32 | 週間日記
年越し先週日記です。

26日(月):買い物で運転中、強風、乾燥の市内ある路上に何やら丸めた紙、キャンプファイヤーのトーチのようなものが炎を上げている。何だ何だとひとまず迂回して避け、後続車も続々かわす。あんなんでいいのかと振り返ると、前からチンチン鳴らしながら火の用心の消防車通過。まあやつがどうにかするだろうと安心し酒屋に。帰りに同じ道を通ってみると、路上には濡れたトーチ。どのような活動が行われたかと思いめぐらせつつ、上柴・喜楽でタンメン。塾入りし、訪れたOB・O君とM君と談笑
28日(水):忘年会の知らせで、連絡先のわからぬOB・M君を探して働いていると思われるユニクロに。見事発見で喜ぶ。いいたいことをいって、「じゃあ、何か買ってぐから」といって店内を一巡。しばらく衣類買ってないに関わらず、まるで購買意欲わかず撤退。籠原・山岡家でラーメンを食べ、これから原稿に専念と思いきや、仕事先写真室の忘年会に呼ばれ、~マイナス5歳の関係者総勢4名で、今突然「芸能人で誰が好き?」といわれたらどうするか、周囲の人々、とくに若者の場読みビリティ(今思いつきの造語)などについての熱いカンバセーションで夜は更ける
29日(木):塾OB・OG中心、オープン参加の忘年会。途中参加含め総勢12名の盛況で、これは一つ“先生”の幸福を味わう。2次会はカラオケになだれ込み、最ヒートの1曲はクイーン「Somebody to love」
30日(金):生徒の親御さんがお餅を持ってきてくれたので行った塾で、前日の疲れもあってだらだらしていると、前日体調不調で途中リタイヤのOB・I君、M君、またメールの連絡があり、忘年会不参加のOG・Sさん、Mさん登場。仕事の話や、過去に出会ったすごい人の話などでやはり朝まで
31日(土):夜は同級生M君の誘いで、2家族ウィズ・チルド連とM君宅で紅白はじめ格闘技、お笑いなど年末テレビと食事。自分が初めてみるのがほとんどなのはわかっていたが、彼らが紅白のメンバーはともかく、90年代国内アーチストをあまりによく把握しているのに驚嘆。訪問夫婦帰宅後やがて眠ってしまい朝帰り
1日(日)前回の書き込み通り、帰って寝て~シャワー~天皇杯~また寝る~起きてブログの記事書き~ウィーン・ニューイヤー・コンサートで感動~仕事があったが疲れて寝る

起きてる間、自由業ゆえこの時期に関わらず仕事もけっこうしましたが、それ以外はずっと酒を飲み、ほかはひたすら眠る、いうなれば充実の年末年始でした。
その後、この記事を書いている4日はアーセナル:マンUの大一番があったサッカー。おいとくとこの週はチャールトン:アーセナルとリバプール:ニューカッスル(後半は流し)。
幸福な酔いの中で眠り、幸福に目覚めることの多かった、おかげさまの一週間。そんな目覚めにみるねこどもの顔、にゃんという声はまた違った幸福に満ちています。
思い出すのは、20年以上前に読んだつかこうへいのエッセイ『傷つくことだけ上手になって』の一節。「お酒を飲んだ翌朝は、起き抜けの水がとてもおいしい。いつかのこの水を飲むためにお酒を飲むようになるのでしょう」(うろ覚えで不正確)。
いつか翌朝のにゃんをきくために。にゃんがなくても飲むにしても、そう思えば少しは違うのかも知れません。

(写真は巨大化のため、重くなったパソコンひざ上、今夜の3頭。右からたれ目、暫定名けむし、しまにゃん。最近この位置を占めるカミーラが近くでナーヴァスに。BGMは理由なけれどスタッフのベスト。リチャード・ティーのピアノ、タッチも素晴らしいですがやはりフレージングがいい。特にバックに回ってのオブリガードは快感原則の賜物と思います)
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しんねんねこ

2006-01-01 22:02:19 | ねこ
みなさん、あけましておめでとうございます。

年末から外酒続きで、1日朝帰還。ドアを開けるとやつらがにゃあにゃあいって、キャネットをやって、パソコンの前に座るとカミーラがひざの上に乗ってきて。
そのまま寝ると、どやどやふとんの上に集まってやつらも寝て、起きて天皇杯をみるとテレビのボールに飛びついて、おいかけっこのやつがいて、また寝るとどやどやで。
目がさめるとふとんの上でティーがにゃあ。ふとんから出るとどいどいえさ場に移動し、キャネットをカリカリ。パソコン前に来るとカミーラと暫定名けむしがひざの上。

いぬどしでもしんねんねこ。新年ねこ、信念ねこ、深ねんねこ。やつらは新しい年が来ても騒がず、何かを信じるように同じキャネットを食べて深く眠り。そういう風にして今年も始まりました。

本年もよろしくお願いします。

(写真はCD、レコード棚の上でバトルの夏こねこ2頭、暫定名かおひろと保護色でわかりにくいですが覆面うし。年も変わったので暫定名のものどもに正式名をつけなければ。BGMは "Let it be...naked"。ジョンが歌います Nothing gonna change my world... 泣けてきます。Nothing gonna change にゃん world...よし、明日の新年会、『アクロス・ザ・ユニヴァース』でいこう)
コメント (2)
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